3月31日

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Jリーグ
ジュビロ磐田×京都パープルサンガ

(ジュビロ磐田スタジアム)
キックオフ:19時4分、観衆:11,266人
天候:晴れ、気温:16.3度、湿度:51%

磐田 京都
3 前半 2 前半 0 1
後半 1 後半 1
09分:ジヴコヴィッチ
22分:高原直泰

60分:藤田俊哉
鈴木慎吾:57分

 開幕から3連勝の磐田は、代表のポーランド遠征から高原直泰、鈴木秀人、大岩剛、福西崇史の4人が帰国しチームに合流。ベストとは言えないコンディションの代表組に加え、開幕前に急性腹膜炎による緊急手術を受けた服部年宏が復帰するなど様々な材料を抱えての試合となった。
 前半9分、ジヴコヴィッチが藤田俊哉からのボールを左足で決め先制。楽な時間帯でアドバンテージをものにして、22分には、CKからジヴコヴィッチが高原の頭に合わせて早々と2点のリードを奪った。高原は27日のポーランド戦でも1点を決めており、完全に勢いを取り戻した。後半に入り57分、京都に1点を返されたが、60分にはこの日、最も運動量が多く、前線でもボールを追いかけ続けた中山雅史がPKをものにし、このPKを藤田が落ち着いて決めた。試合はそのまま3−1で終わり、これで磐田は4連勝(勝ち点12)で首位をがっちり守った。

磐田/鈴木政一監督「内容は満足の行くものではなかったが、今季の大きな目標に向かってプラスになるものだった。高原の起用は、帰国翌日の30日の練習後に決めた。服部は、福西の体調があまりよくなかったので、金沢とのコンビを引っ張ってから替えたかった。(服部は)声をよく出し、ゲームを落ち着かせることのできる選手だ」

中山雅史「(川淵チェアマンが中山に代表復帰をと講演で言ったことについて)そう言っていただけることはうれしいですし、そういう人たちに失望感を与えないようなプレーを披露していきたい。(PKを取ったことについて、藤田が試合後、ゴンちゃんに蹴ってもらうほうが良かったかなあと口にしたが)でも、ロッカーのホワイトボードには「PK10」って書いてありましたからねえ(笑)。今日は前半は確かに体がよく動いていたんですが、後半になってどうしても疲れてしまうところがあった。疲労というよりも、もっと相手の出方を考えて賢くプレーをしなくてはならないだろう。どうしても後半、縦に縦に動きすぎることがあったと思う」

高原直泰「上手く連携できているし、チーム状態も上向きだ。確かに代表でゴールを入れて、それは自信になっている。相手の嫌がるプレーを続けていければいいと思う」


「去る人、戻る人、待つ人」

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 後半15分に金沢と交代して、約1か月半ぶりに復帰した服部は、照れたように少し笑って、ピッチに駆け出して行った。2月の鹿児島キャンプ中に急性腹膜炎を起こして開腹手術。W杯は絶望とまで言われた中、予定よりも2週間以上早く、復帰を果たした。
 慎重な試運転の後、服部は言った。
「大丈夫ですか? と聞かれて、え、どこが? と聞き返してしまうくらい腹の方に違和感はない。ただ、まだ試合中の視野が狭いな、という感じがする。リハビリはすべて予定通りで驚くほどだったし、節制も行き届いて、大分脂肪も減りました。代表のことはもちろん考えているけれど、あまり先のことを考えても仕方ないので、1歩ずつ前進して行きたい」
 腹膜炎で倒れる直前、服部は「サッカーは一寸先は闇」と何故か繰り返していた。あの当時、選手の故障情報が新聞に掲載されているのを見ると、他人事ではない、とも言った。

 戻った服部よりも、後方にいる選手がいる。この日、午後1時からの清水対FC東京も取材したが、取材が終わって、試合に出ていない、伊東輝悦、森岡隆三にも会った。
「だいぶ足が足らしくなったというか、苦しくなくなってはきたけど、まだまだだね。うん、とにかくやれるとこまでやってみるけど」
 ひざの手術を受けたばかりの伊東は、そう言って、バミューダ丈のズボンからのぞく装具を触った。W杯を考えれば、極めて厳しい状況といわざるを得ない。
 森岡はスーツ姿だった。
「かなり良くはなりましたが」と苦笑いしながら「でもまだまだですよね。焦っていないといえばうそですが、でも、できることをやるしかないですから」
 サッカー選手の日常はリスクとの並走だ。
 代表という受け皿を見ても、日々、ケガで離脱する選手がいて、カムバックする選手がいる。磐田の試合でも後半、DFの鈴木秀人が接触プレーで相手のヒザが顔面にあたって、大事ではないが鼻骨骨折の疑いがあると診断された。一寸先さえ、わからない。



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