11月17日

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サッカー

J1 2ndステージ第14節
柏レイソル×コンサドーレ札幌
(日立柏サッカー場)
天候:晴れ、気温:16.0度、湿度:45%
観衆:10,819人、19時04分キックオフ

札幌
1 前半 1 前半 0 0
後半 0 後半 0
39分:柳 想鐵


 ホームでの今季最終戦となった柏は、前半から黄 善洪、北嶋秀朗のFWが積極的にゴールを狙い、ポストプレーなどで札幌を引きつけて、攻撃突破を試みた。序盤から攻撃に入ると必ずシュートまで打つ積極性が効果をもたらし、39分には先週、韓国代表としてクロアチア戦に出場し、疲労、風邪もあって体調を崩していた柳 想鐵が、ゴール前へ大野敏隆が左サイドから狙ったセンタリングに、頭で合わせて1点目を奪う。現在得点王のウィル、播戸竜二といった得点力のある札幌の攻撃陣に対して優位に立った。
 後半もメンバーを替えずに臨んで、柏は終始押し気味の展開をする。しかし前半だけで11本、後半9本で1ゴールと、攻め疲れの感もあり、またフィニッシュの手前で正確性を欠いたプレーが連続するなど、自らペースを崩す場面もあった。渡辺毅、薩川了洋、この試合からプロ契約CからA契約選手に昇格した(公式戦出場時間が450分以上)町田忠道の3人がよく凌いで、追加点のないゲームを0−1で締めくくった。
 柏は14試合ぶりの完封勝利を収め勝ち点を21に。優勝候補にも挙げられながらも苦戦したシーズンとなったが、年間順位と合わせて中盤での順位をキープした。

試合データ
  札幌
20 シュート 9
5 GK 17
1 CK 4
15 直接FK 10
3 間接FK 8
0 PK 0
柏/ペリマン監督
「14試合で初の無失点試合となった。最後の10分は選手もナーバスになっていたが、それでも後ろの3人のDFがウィル、播戸をよく抑えたと思う。札幌にはバーにあてたシュート以外、特にうちのDFが割られる場面はなかったと思う。柳の韓国帰国で、風邪をひき多少体調が崩れていたが、それも熱がないので試合に出場させた。こういうネガティブな要素(風邪の体調不良)を含んだ選手が、得点するというところが、不思議なところだが」

札幌/岡田武史監督「怪我人も多く、なかなか機能できない場面も多かったが、選手は最後の最後まで1点を取ろうとチャレンジしていたし、自分自身感謝しています。クロスボールの精度など問題もあるが、現状のメンバーでよくやったと思う。(これで年間勝ち点が目標の39に届かないことが確定し)それは本当に残念ですが、残り1試合で最後まで勝ち点を挙げたいと思っている」

    情報
    (J1 2nd第14節終了現在)
    2001シーズンJ1得点ランキング
    順位 得点 選 手
    1 24 ウィル(札幌)
    2 21 雀 龍洙(市原)
    2 21 ウェズレイ(名古屋)
    4 17 アマ色ラオ(F東京)
    4 17 ニーノ・ブーレ(G大阪)
    6 15 中山雅史(磐田)
    後半、リーグ得点王のウィル(24点)が、柏のスライディングをかわした際に左ひざを負傷。そのまま退場したが、札幌の広報によれば「検査が必要。本人は(何かが切れる)音がしたと話している。明日、札幌に戻る前に東京で受けるか、あるいは札幌に戻って受けるか、明日の腫れを見て決めることになっている。靭帯を伸ばしたようで、少し時間がかかるかもしれない」と、検査を待つ状態。得点王争いは現在3点差で、雀 龍洙(市原)とウェズレイ(名古屋)が追っているが、ウィルの最終戦の出場は微妙になってきた。


「監督力」

 柏、札幌とも、監督の会見では同じ単語が何度も何度も発せられた。
「選手は非常によくやった」「選手がベストを尽くしたことは高く評価されるべきだ」
 試合前、札幌は森下仁志の父親が危篤状態となってしまい、急きょ、和歌山の実家へ帰ることになった。岡田監督は森下をいち早く帰し、代わりに、故障明けで、しかもこの試合のラスト15分ほどでゆっくりと復帰させようとしていた名塚をボランチにすることで緊急対応をしたという。
 ペリマン監督も、軸となる柳の体調が韓国代表戦後戻らなかったために、試合前まで思案していたという。最終的には発熱していないことで、「前半だけでも」と起用したところが、その前半に決勝点をものにした。

 ひとくくりにすることは必ずしもいいアイディアではないが、ペリマン監督と岡田監督には共通している点がある。監督にはさまざまなタイプがいるが、一言で表現すると、時間をかけてチームの色を染色していく監督と、あっという間に色を塗り替えてしまう監督、この2種類には分けることができるのではないだろうか。両監督は前者で、岡田監督は今年で札幌の指揮をとって3年になる。ペリマン監督は柏の西野監督の後任となってまだ3か月である。
「来年のプランは、やはりキャンプからスタートをさせたい」
 ホーム最終戦の挨拶を終えた後、ペリマン監督は話した。
「このチームは5年にわたってブラジル、そして西野監督とつないできたチームで、たとえ監督が交代しても、西野さんの残したサッカーはこのチームに生きている。それを無駄にしてしまって自分の色を出すとか、指導をするというのは、私のやり方ではない」

──ゆっくり、ということですか
「そう、私はこのチームに来てから、それはやめろ、とは言っていない。私のスタイルを理解してもらうためには、本当の意味で納得してもらいたいし、まずはキャンプから、これだけの素晴らしいDFを持ったチームをさらに強固なものにしたい」

 強化のポイント、補強選手はこれからフロントとの話し合いになるが、どこのチームでも経験する転換期があるとすれば、柏はまさにその真っ只中にいるといえる。染色法に注目したい。

 就任3年目の岡田監督は、全日程の終了まで決して去就は口にしないと固く信念を貫いている。この試合を終えて、順位は12位、年間では10位である。勝ち点39には届かないが、監督もまた、2部の札幌をJ1に引き上げるために時間をかけ、さらにトップチームのように整った環境を持たない、むしろハンディともいえる北の地、スター選手のいない人材の中で、どう戦っていくのかのひとつの「スタイル」を十分に示したといえる。
 シーズンの残りあと1試合、それぞれの監督のベンチの「座り心地」はどんなものだろう。



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