![]() |
![]() |
※無断転載を一切禁じます サッカー 日本代表候補合宿 11月7日のイタリア戦(埼玉スタジアム2002)に向けての、代表候補合宿が22日から2日にわたって静岡県内で行われ、この日は練習が公開された。
「遠征の手土産は」 イタリアのメンバーはまだ発表されていないが、今年、フランス遠征をスタートに始まった「実験の第2段階」「新たなステージ」と監督が表現した代表の2001年のハードル競争は、いよいよ最終コーナーにさしかかったといえるだろう。 Jリーグでの出場も頻繁ではなく、こうした練習にはまだ対応するのが精一杯という前田遼一(磐田)に、監督は「もっと激しく動け」「なぜ声を出さない」と胸を突き飛ばして、闘争心のアピールを強く求める。途中には、大声で意味不明の怒鳴り声をあげるなどしていたが、「今日は監督のアピールの日なんでしょう」「みなさん(報道陣)がいらっしゃったから」と、もはや「フィジカル」での闘争心や1対1での当たり負けしない対応といったテーマには、選手のほうが冷静に対応しているといえる。 イタリア戦へ向けて最大の焦点となるのは、2番目の成熟度のほうだ。 問題は、厳しい日程を組んで対戦したセネガル、ナイジェリアとの試合後、それは本当の土産ともいえるべき課題だが、これを得て、明らかに格上との対戦を強いられる本番につなげるか、現実路線をどこに求めるかにある。今年1年、代表は成果をあげ、欠点も露呈した。積み重ねるばかりではなく、小さな針路変更も当然必要だ。次に進むべきステージ、監督が言うところの「ミニラボ」(小さな実験室)の次の部屋はどこなのか。
「殴り返すくらいじゃなきゃ」 この日、仲間が監督の派手なパフォーマンスに戸惑う中、中山雅史(磐田)は大声を出し、チームのムードを前向きなものに変えていた。 今季のJリーグ得点ランキングでも5位に浮上。「チームの状況のおかげ」と笑っていたが、肉体的疲労やメンタルの疲れが本来ならば大きく影響しはじめるこの時期になっての上昇は、やはりベテランの味と、新人を上回るサッカーへの意欲の産物だろう。 「やっぱり、まだ若いし、これだけのメンバーの中で名前呼んで寄越せなんて言えないでしょうけど、名前言わなくても寄越せ、でいいから(FWとしては)思い切りやってもいいんですよね。ただ、自分があの年の頃を思って刺激なるかと聞かれると、本当に凄い選手で、才能だと思いますよ。ヤツ(前田)は技術もあるし、自分じゃとてもこんな所(代表の練習ピッチ)には立てないですし、あんなプレーできないでしょう。まあ思い起こせばできっこないんですよね、DFでしたから。ユースの時はストッパーだった」 10年以上が経過して、ストッパーが代表の大黒柱になる。驚くべきは前田の若さと才能ではなく、中山の努力のほうである。 前田遼一(磐田)「まだジュビロでもほとんど試合に出られていないので、正直なところ今回の合宿のメンバーに選ばれるとは思っていなかったけれど、やるからには頑張ろうという気持ちで練習に臨んだ。(トルシエ監督に胸をどつかれて)予想以上に痛かったが、みんなから聞いていたんで、びびらないように向かっていかなくてはと思った。トルシエ監督からは、もっと激しく、積極的にいかなければだめだと言われた。U−20の時とも、ジュビロとも練習方法が違うので、それに合わせていかなければならない。自分は2トップと言ってもクラブでもユースでも1.5列目のような感じでやることが多かったが、今日は文字通りの2トップだった。でも、こういう形もやったことがあったので、特に問題はなかった。昨日、今日と練習して大分慣れてきたとは思う。同世代の阿部ちゃん(勇樹)とも話したが、やはり代表に選ばれる人たちは、うまいしプレッシャーも速い。それに普段はリラックスしていてもやる時はやるというのが徹底している。今回の合宿の収穫はそんな代表の雰囲気を感じることができたということでしょう」(コメント取材・松山仁)
|