9月28日

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ベルリンマラソン

ロルーペ記者会見
(ベルリン市内、テレビ)
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 高橋尚子(積水化学)とともに優勝を争う、世界最高記録保持者(2時間20分43秒)のテグラ・ロルーペ(ケニア)が会見を行い、「私は今大会記録に対してはそれほど大きな興味がない。ベルリンは高橋が走るよりもずっと前から出場を決めていた。五輪チャンピオンに勝ちたい」と、世界最高記録の樹立に集中していた27日の高橋の会見とは正反対の、「勝負」を強調した。
 ロルーペの世界最高記録は99年、ベルリンでマークされたもの。シドニーオリンピックで13位となった後、昨年のNYシティマラソン、今年4月のロンドンマラソンと一年で4本目のマラソンとなるが、一度も優勝をしていないだけに、記者からは記録についての質問が繰り返されたが、ロルーペは一切答えず、勝つことへの意欲が際立った。

ロルーペの話「今回は、記録のために特別な練習をしたわけではないし、尚子(高橋)の練習についてもまったく知らない。私は自分のレースをするだけで、彼女とはお互いにいいレースをすればいいだけ。記録を更新するとか、どのくらいのペースで行くとか、こういったことは考えないし、(目標タイムは? と聞かれて)その質問の答えをできるランナーなどひとりもいないでしょう。ゴールするまで待って、としか言いようがない。
 雰囲気にはいいものを感じているし、ベルリンは私が思うベストのマラソンのひとつでもある。今回は、オリンピックチャンピオンに挑戦できることを非常にうれしく思うし、このところマラソンではいい結果が出ていないので、きっちりと走りたいと思っている」


「記録か勝負か、記録と勝負か」

 不思議なことは、レースをリードするはずの2人の目的が大きく違っていることだ。高橋は「記録を更新するためのレースをしたい。今回は記録だけを考えている」と27日に話し、ロルーペはこの日「今回、記録は考えていない、私は私のレースをしてオリンピックチャンピオンに挑戦する」とする。ともに「2兎をは追わない」とするこういうケースでは、どんな展開になるのか、それこそ、予想もつかない、ワクワク、ドキドキを越えた、ハラハラするものがある。
 選考会では、全員が順位を狙ってくるために自重し記録は低調となる。
 高橋にどうしても勝ちたい、というのならロルーペは、前には出ないだろう。出ないが、射程圏内にはつけていかなくてはならない。
 30キロまではマッチレース、と踏んでいる高橋も「無謀なことはできない」(小出監督)と、5キロを16分40までのペースで走れば十分とする。レースの主導権、レースの存在価値をどちらが強く意思表示するか、水面下で展開する心理戦が、5キロの関門が最初の「チェックポイント」となりそうだ。



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