9月2日

※無断転載を一切禁じます


サッカー

JOMO CUP 2001
Jリーグドリームマッチ

J日本選手選抜×J外国籍選手選抜
キックオフ:17時03分/観衆:24,548人
天候:曇り/気温:25.3度/湿度:60%
(国立霞ヶ丘競技場)

J日本選手選抜 J外国籍選手選抜
2 前半 0 前半 2 4
後半 2 後半 2
56分:中村俊輔
79分:柳沢 敦
ウィル:09分
エムボマ:24分
シジクレイ:52分

ニーノ・ブーレ:67分

試合データ
ジャパン   ワールド
9 シュート 12
8 GK 1
1 CK 5
12 直接FK 14
5 間接FK 1
0 PK 0
 今年7回目を迎えたJOMOカップは、ワールドドリームスが現在リーグ得点王のウィル(札幌)、今回ゲストとして参加したエムボマ(パルマ)らの得点で、過去最高得点となる4点を奪う猛攻でジャパンドーリムに4-2と快勝した。
 過去7回の通算成績はこれで、3勝3敗1分と並び、MVPには尹晶煥(C大阪)が選ばれた。
 ワールドDは、前線ではエムボマ、前日試合を行ったばかりのアレックス(清水)、最後尾で磐田のGKヴァン・ズワム、また中盤で中村俊輔(横浜FM)のパスを徹底的にマークし続け攻撃の芽を摘んだ尹と、それぞれのパートで高いパフォーマンスを見せ、組織的なサッカーでジャパンDを完全に封じた。
 一方ジャパンDは、組織的な展開はほとんど見られず、単発の個人技に終始。後半には、DF秋田豊(鹿島)が中に折り返したセンタリングを中村が左足の強烈なボレーで決めてようやく1点を奪い、79分には柳沢敦(鹿島)が中村とのコンビから追加点を右足で決めたもののそこまで。同じJリーグ開幕直後という条件のはずが、モチベーション、プレーの精彩ともに欠いてしまった。

ジャパンDの鈴木監督(磐田)「前半はモチベーション的にあまり高めることができず、さらに高さにもやられてしまっていた。しかし後半、攻めに行こうということで、みな積極的にプレーをしてくれたと思う。後半の2点はそうした意識の表われだった。いずれにしても、私としては、誰も怪我なく90分終えてくれたので多少ホッとしている」

ワールドDのベルデニック監督(市原)「選手は前半からみなすばらしいプレーをしてくれていた。DFも最後まで集中を切らさずにいてくれたし、後半相手が前がかかりになったところで取られた2点も、組織的な問題ではなかった。今日はエムボマのような選手を加えても、非常にいい動きができた。組織的なプレーを心がけたことが良かったと思う」

会心のボレーシュートを決めた中村俊輔「前半、思ったよりも中盤を支配されて先に2点を取られてしまった。後半になってスペースができて、それで自分のプレーも多少はできるようになったと思う。ただ全体の中では遅かったな、という感じです。向こうの中盤、サイドバックは技術が非常に高くて、もっと前に飛び込むとか、どこかで起点を作るとか、そういうのが自分の課題だと思いました」

2点目を決めた柳沢 敦「今日はコンビネーションが悪かった。合わないというか、イメージの合わないプレー、成功しないプレーが多かったと思う。2点目(中村のアシスト)は、俊輔のイメージであって、ぼくのイメージはそうなかった(決めても当然ということ)。(試合中、内転筋を痛めたか、と聞かれて)全然大丈夫です。Jリーグも問題ありません」


「トルシエじゃなければ気合が入らないのか」

 試合を観戦し終えた川淵三郎チェアマンは苦笑いしながら、「感想か? まあトルシエじゃなければ(日本チームには)気合いが入らないのか、というところだね。ワールドDのほうが気合いが入っていたし、こういう桧舞台を戦う意味でも非常に高いモチベーションを持っていたようだった。日本はコンビも悪いし……。まあ今日はのんびり楽しもうというところだったかな。たまにはそういうのも、よしとするよ」
 7回目を迎えるこの大会そのもののモチベーションも問われることは別として、こうした舞台で、疲れている、リーグの途中だ、といったエクスキューズは意味がないし価値もない。チーム全体よりも個人のサッカーへの日常的な愛着が見てとれるともいえる。
 MVPの尹は、中盤でコツコツとボールを拾っては前線につなげ、さらにはスライディングで中村のボールを再三奪うなど、「仕事」をきっちりこなしたことが評価されたようだ。

 欧州W杯予選ではオランダがほぼ絶望、ドイツがイングランドに1-5で敗れるといったシリアスなゲームが行われている日に、ジャパンとワールドドリームスのゲームとは牧歌的ですらあった。しかしそうした牧歌的な中でこそ、「何か」をアピールしようという多少のギラギラしたものを見せなくてはならなかったのではないか。
 前日、午前3時に目が覚めてしまい眠ることができなかったというアレックスは、90分出場を果たし、エムボマからのワンツーでアシストを決めた。関係者によれば帰化申請がこの9月にも通るはずが、多少時間がかかっており、本人は口には出さないが代表への合流が遅れてしまうことを懸念しているともいう。磐田戦では左サイドを完封されてしまい、そうした焦りと、挽回したいという意欲が足を動かしていたようだ。
「今日は90分出ようという気持ちだったし、それに体が答えてくれた。自慢になる」と、試合後笑顔を見せていた。

「中田には僕も点を取ったよ、と報告しておくよ」と笑っていたエムボマは、こんな表現をした。
「今、世界中で本当にシビアな予選が行なわれているし、自分も何とかサバイバルしたわけだ。今日のような試合は、心からサッカーを楽しむうえでとてもいいリフレッシュだった」
 勝つか負けるかの厳しいゲームをしているからこそのリフレッシュならば、すべてをかけた予選のないJリーグの、ジャパンDの選手たちは、一体この試合に何を求めていたのだろうか。
 緊張感のなさ、厳しさのぶんだけ楽しもうという積極性の欠如。そんな試合が、10月の欧州遠征を控える日本代表の今後を映し出していないことを、来週からのJリーグで示していかなくてはならないはずだ。「トルシエならば気合いが入る」ようでは、予選免除の優位は十分には活かせない。



読者のみなさまへ
スポーツライブラリー建設へのご協力のお願い


BEFORE LATEST NEXT