試合データ
福岡 |
|
C大阪 |
21 |
シュート |
9 |
11 |
GK |
15 |
5 |
CK |
3 |
17 |
直接FK |
18 |
8 |
間接FK |
3 |
0 |
PK |
0 |
「勝利の味を忘れかけていた」と、セレッソに4-0と快勝した後、選手は口々に話していたが、実際のところ、忘れかけていたのではなくて、本当に忘れていたはずだ。
第1ステージ5月19日のFC東京戦(2-1で勝利)以来3か月ぶり、しかもゴールを上げたのさえも、6月23日の磐田戦(1-2で敗戦)以来2か月ぶり、カップ戦を挟んで8連敗中の福岡がようやくもぎ取った勝利は、一体どんな味がしたのだろうか。
それにしても、これほどユニークで強烈な「顔」を持ったチームもJリーグにそうはないのではないか。背番号「40」をつけた韓国代表MF盧がいきなり先週までの古巣セレッソと対戦し、FC東京から移籍してきた背番号「39」の呂比須はビアージョと実に2人合わせて66歳の「2トップ」を組む。スタメン11人の平均年齢が31.6歳、20代が2人しかいないチームは、しかしサッカーにおいて、競技の限界はどこにあるのかを知る上でも、重要な存在でもある。
「盧選手と呂比須選手の加入で前線のボールが生きるようになった。その結果、全員が前を向いて積極的にプレーをするようになったのではないか」
三浦泰年はそう言う。3か月ぶりの勝利を見る限り、ベテランと若手の融合ではなくて、ベテラン同士の「あうんの呼吸」といった高度なチームワークを感じることができる。この日の1、2点目などは、あうんがよく表われていたはずだ。
盧は不本意な格好で解雇されたことを悔しく思っている。おそらく呂比須も昨シーズン限りで離れることになった名古屋に対して同じ思いを持っていることだろう。盧がセレッソのベンチ前からのFKを渾身の力で蹴り、これがヘッドで待ち構えていた呂比須への絶好のアシスタントになった。
盧はセレッソのベンチ前で「見たか」といわんばかりにガッツポーズを見せるなど、「アピール」でも満点である。「本当はセレッソの前で踊ってやろうとまで思った」と試合後、茶目っ気たっぷりに話していた。盧のリベンジへの執念や試合にかける意気込みは、同時にユーモアは、福岡の不思議な魅力を引き出すものになるだろう。
ベテランと呼ばれる選手たちが肉体的には衰えたとしてもなお経験の幅は少しも落ちることがないのかもしれない。
そして、大きな背番号、彼らの過去の経歴、年齢(年代でも)、そして背負ったしがらみ……。彼らがピッチで表現しているのは、単にサッカーのテクニックではない。そう思うとき、福岡には「四弱」などと言われる下位ではなくて、堂々上位に居座って欲しい。年間通算の最低得点記録からもこの日の4点で脱出を果たしている。
おじさんたちの逆襲は、なかなか見ごたえがある。