10月25日
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女子ソフトボールチーム
シドニー五輪銀メダル祝賀会
(品川プリンス)
シドニー五輪で銀メダルを獲得したソフトボールチームの祝賀会が行なわれ、宇津木妙子監督(日立高崎)ら、選手、関係者ら約1000人が出席する盛大なパーティとなった。
日本リーグ(12チーム)も今週28日からスタートするため、銀メダル獲得の波及効果が期待されている。
「アテネ五輪まで続投してほしい」
注目されるのは、ここまで選手、関係者をまとめあげて銀メダルを手にした宇津木監督の去就である。
シドニーでの米国戦後には、後進に道を譲る、あるいは日立高崎でのリーグでの仕事に全力を注ぎたい、などといった声も伝わっていたが、まだ全日本監督をどうするかについては明言をしていない。
監督はこの日、「代表監督の件については自分だけの判断でどうこうできるものではないし、協会の強化部会もある。監督をやる人材はたくさんおられると思うし、仮にやるというのなら今こんな(銀メダルで)浮かれてはいられない」と、正式なオファーがまだされていない現状を配慮した発言をした。
監督はこれまで、五輪後は日立高崎での監督業やリーグ発展のための事業に全力を注ぎたいとしていた。また結婚したこともあって、条件的にはこれまでとは違う、と協会も配慮はしている。
協会側も宇津木監督続投を熱望。30日にも井上専務理事が日立を訪問する。
「これまでの環境とはまた違う面もあるが、私たちとしては是非とも続投してアテネまでの指揮を取っていただきたい。監督には最大限の協力体制を取りたいと思う。年内までにメドが立てば」と専務理事は話す。
監督には、すでに台湾からその手腕を高く買われて「臨時コーチ」への要請もあったという。こちらは「すばらしく名誉なお話」(監督)ともしながらも現時点では難しい状況にある。
来年は7月下旬に世界選手権のアジア地区予選が行なわれ、2002年の世界選手権(カナダ)で上位4チームに入ればアテネ五輪の出場権を手にできる。ただ出場国が増えることが検討され、競争は熾烈になるだけに「こんなにウキウキしてはいられない」との監督の危機感もある。
世界中でもっとも高い評価を得ていると絶賛される宇津木監督だけに、近いうちに出される結論に注目が集まる。
28日から再開する日本リーグで「大徳」と対戦し、シドニー後初采配をふるう。
「なぜソフトでなく、モー娘なのか?」
誰が始球式をやろうが、「ON対決」と騒がれる日本シリーズには何の関係もないのかもしれない。しかし日本時間の25日午前中に行なわれたメッツ対ヤンキース(ニューヨーク・シェイスタジアム、メッツ4-2)のワールドシリーズ第3戦で始球式を務めたリサ・フェルナンデスら女子ソフトボール金メダルチームを見たとき、どこか寂しくなった。
祝賀会で久々に集合した日本選手たちと最後まで死闘を繰り広げた米国チームは、拍手喝采を浴びてシェイスタジアムのマウンドに上がって行った。
9試合で8勝1敗、しかも最後のたった1敗で銀メダルとなった日本の女子ソフトボールチームは、始球式に呼ばれてもよい人々ではなかったか。
そもそも、「オリンピックは商業主義の権化。協力の必要なし」と発言したオーナーのいるチームがあっさりと主張を変えて、オリンピックの「女性金メダリスト」である田村亮子(トヨタ)、高橋尚子(積水化学)2人を呼ぶのであるから、もともとポリシーなどあるわけがない。中継したチャンネルの意向もあって、人気グループが登場したことも不思議ではないし、モー娘らには何も思わない。
しかし、マイナーと言われ、大きな注目も期待も浴びないような中で日本中のスポーツファンをテレビの前に釘つけにするような戦いを続け、銀メダルを持ち帰った選手たちが、もっともふさわしい場所であるはずの「マウンド」に招待されていない現状は、どこか寂しく、同時に「スポーツエンタテイメント」に対する発想の乏しさを感じる。
シェイスタジアム総立ちで迎えられた金メダリストたちと、ホテルの祝賀会に出席した銀メダリストたち。同じ競技、同じ日、面白いコントラストであった。
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