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2000Jリーグ ディビジョン2 第39節 取材・田中龍也
後半は、石崎監督の指示によりウィルと吉田がポジションチェンジを繰り返し、徐々にいいリズムが出てきたが、なかなか点に結びつかない大分。それに対し、浦和はゴールキーパーの西部の好セーブなど、ディフェンス陣が踏ん張りを見せる。そして82分、ゴール前個人技で抜け出したアジエルがシュートを決め、試合を決定づける2点目を奪い、このまま試合は0−2で浦和が勝利した。 これで勝ち点は浦和が72とし、71の大分を上回り2位となった。残り試合は浦和が5試合、大分が4試合。試合数の少ない大分にとってはJ1昇格がかなり厳しくなったと言わざるを得ないが、昨シーズン、ほぼ絶望的だった東京が最終節で逆転で昇格を決めた前例もあり、浦和にとっても楽観視はまだできない。いずれにせよこの昇格争い、最後まで気の抜けない、スリリングな展開は続くこととなりそうだ。 浦和・横山総監督の話「この試合が1つの山場になると思って準備してきた。勝ち点3を取れたことはうれしい。ただ、また次に取れなかったら意味がないので、次の試合に向けて、これから準備していきたい」 大分・石崎監督の話「勝てば浦和に勝ち点5差がついて、残り試合を考えると有利になるということは選手もわかっていたし、浦和の方も負ければかなり厳しくなるというのはわかっていたでしょうから、気持ちと気持ちの戦いになるとは言ってきた。前半、ウィルとアンドラジーニャをきっちりと押さえられて、なかなかいい形で攻撃ができなかった。その間に永井のマークがずれて1点取られてしまった。後半、残り時間が少なくなってきて、ウィルの状態を見ながら戦って、メンバーチェンジをしたが、2 点目を取られかなり苦しい状態になってしまったと思う。ただ、うちは残り4試合、浦和は5試合。勝ち点差は1あるが、何が起こるかわからないので、あきらめずに、しっかりと戦っていきたい」 「泥臭い勝利」 この日の浦和はピクンをスイーパーに置き、室井と西野をウィルとアンドラジーニャにほぼマンツーマンでつけるという布陣を敷いた。さらに石井と阿部の2人のディフェンシブハーフも攻撃にはあまり参加せず、アウェイゲームとはいえかなりディフェンシブな戦い方をとってきたといえるだろう。 大分の最大の得点源、ウィルは前節の仙台戦での肉離れが完全に癒えていなかったとはいえ、この徹底マークにはかなり苦しんで、仕事らしい仕事をできないまま65分、ベンチへと退いた。さらにアンドラジーニャも、「いつもならシュート打つところでパスを出したりしていた」(石崎監督)など、こちらもかなり苦戦。ディフェンダーのマークから来るストレスを表現するかのように89分には、肘打ちにより一発レッドカードを受けてしまった。裁定次第ではあるが、残り4試合中、少なくとも2試合、主力のアンドラジーニャが出場できないことを考えると、大分にとってこれはかなり大きな退場となる。このレッドカードを引き出したこともまた、浦和の勝利といっていいだろう。 昨年、屈辱のJ2陥落を味わった浦和は、若さゆえの淡泊さを時折露呈していた。しかし、この日に見せたような、粘着質の高いサッカーをも相手や状況に応じてできるようになったのは、この1年の成果といえる。残り5試合、最後まで粘っこく勝利を追求できるか、再びJ1の舞台に戻ってくるためには、そこが試される。
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