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サッカー日本代表発表 取材・田中龍也 日本サッカー協会はこの日、6月4日からモロッコで開催されるハッサン2世杯に向けて、日本代表26人を発表した。DFの海本慶治(神戸)が初選出され、4月の韓国戦では代表から外れた三浦知良(京都)らが復帰した。代表メンバーは別表の通り。 トルシエ監督の会見より
今回は2つの国際大会で4試合を戦うために選手を5月29日から6月18日まで召集することになる。こうして選手を国際マッチのために呼んだわけだが、それはもちろん我々日本人にとっては、ワールドカップへの準備、並びにアジアカップへの準備、そしてこのリストを見ればわかるようにオリンピックへの準備でもある。全部で26人の選手の召集を予定しており、そのうち30%はオリンピック世代。またその26人のうち20人ほどは1か月前から一緒に練習を積んできた選手になる。残りの6人については、以前から知ってはいたものの当時の状態からは全面的な満足は得られなかった選手であるが、今回はもう少し(これまで呼ばなかった選手たちに)チャンスを与えてみようと思ったわけだ。彼ら6人には代表チームのエスプリ(スピリット)にしっかり食らいついてきてほしいという願いも込めて選んだ。それから、故障した選手もいるので、その代わりに新しい選手も入っているが、こうして選んだ選手にも期待できると確信している。 今回の4試合の目的は、先ほどから言っているようにワールドカップ、アジアカップ、そしてオリンピックに向かっての準備となる。我々はもう6か月前から練習を積んできたわけだが、それを引き続き行っていくこと、と同時にチームの力を伸ばし前進させていくということ、さらには選手を全体的に評価するという機会でもある。またこの国際試合は選手にとってみても、外国で生活をするという経験を積むチャンスにもなるし、一緒に行動するということで得る経験、人と人との関わりという経験を積むことになるであろう。 ──今回初選出された、DFの海本慶治(神戸)について、どの点を評価し、どういう面を期待して、このチームに選んだのか説明してほしい そして彼には27歳という年齢から得た経験がある。つまりは必要な資質をすべて備えていたわけで、今回こうして26人のメンバーとして召集することにリスクはないと思っている。また、海本にこうしてチャンスを与えてやりたいと思ったのには、海本だけでなく誰もに扉が開かれているということを、ここで再びお見せしようとしたことでもある。つまり代表選手はあらかじめ名前が決まっているわけではなく、あくまでパフォーマンス、どういった態度で試合に臨み、どのくらいの力を見せてくれるのか、そうしたものを見て私は選手を選んでいこうと思っている。日本の代表チームに選ばれる道は、すべての選手に開かれているのだということをここでもう一度、言っておきたかった。 ──FWの三浦知良(京都)と久保竜彦(広島)が復帰したが、この理由は もう1つの方の質問、久保について。“6人”のうちのひとりに入っている選手であり、今回私がたくさんの疑問を投げかけてみたい選手だ。私がみんなと一緒に打ち出していこうと思っているスピリットにぜひ久保を参加させたいし、久保はそれだけのことができる素質を持っている。彼はプレーに個性というものを持っている。久保という選手は、本人は気づいていないかもしれないが、レベルの高いものをそこここに持っている。かつての西澤に近い状態といえるかもしれない。西澤は、今ありとあらゆる目標にすべて到達したとはいえないかもしれないが、非常に著しく進歩した。もしかすると結婚したのがよかったのかもしれない。それで体重も増えて成熟度も増した。それを考えると久保にも結婚しほしいと思うくらいだ(笑)。(※久保は既婚) 先日の対鹿島戦でのことだが、これは見ていた人もいるかもしれないが、試合後のインタビューで久保はイエスとノーしか答えていなかった。次回からはもっと自己表現ができるようになってほしい。そうすれば、久保という選手は我々が求めている素晴らしいFWに成長できると思っている。今回、私やみんなと一緒に生活することによってもっと努力をして、そして、ときどき見え隠れしている彼のあの素晴らしい良さというものを、壁を突き破って出してほしいと思っている。 ──ヨーロッパ組の中田、名波、城のこれからの使い方は? また、プレー以外で彼らに期待するもの(持ってきてほしいもの)は ──きょう発表されたメンバーで、秋まで固定して戦おうとしていると思ってよいのか ──契約が6月に切れる監督にとって、この2つの大会は通じて評価のレポートが作成されるという意味でも大事な試合になると思うが、これまでの心境と今後への自信を聞かせてほしい また2つの大きなチャレンジに向けて、私は大いなるモチベーションを持っているし、それに挑むことには興奮もしている。私は確信している。(オリンピックでの)メダルを1つとアジアカップを持ち帰ることができると。だから今回モロッコに行く。そして2つの大会を戦うわけで、まさに私の契約の中にきちんと記載された目標にきちんとした到達したからモロッコに行くことができると思っている。そして残り、つまり私自身に関係しないことについては、コメントを差し控えたい。自分としては到達しなくてはならない目標と、与えられたミッションだけをしっかりと果たしていくべきだと考えている。もう一度、繰り返す。私の契約は2000年の10月30日までだ。そして2つの目標、オリンピックとアジアカップに出るということは目標が設定されている。残りは私の関知するところではない。 ──今後の4試合はすべて大切な試合となると思うが、特にハッサン2世杯の初戦、監督の母国でもあるフランス戦に向けての抱負は また今回は日本代表選手と2週間、外国で一緒に生活することになる。そして世界チャンピオンと対戦する。モロッコにおいても今までやってきたことを引き続きより強くやっていくまでだ。例えば選手がそれぞれ今まで表現できなかった小さな壁というものがあったのなら、それをすっかりと壊していくこと。もうすでに表現できている選手であれば、それをもっともっと強化して表現することができるようにすること。代表チームに入るのが3回目や5回目という選手もいるが、そういった選手についても自分自身の指針をもっと持つこと、そして経験を積むこと。こうしたことをしっかりとはぐくむ機会としたい。 だからこそ今回の目標というのは結果と同時にチームとしてきちんとした仕事ができるようになること、チームとしてコミュニケーションが取れるようになること、チームとしてやっただけのものが得られるようになるということ、そしてそれがスコアボードに表れてくれるように、1人1人がベストの力を発揮できるように、そうした方向にチームを引き続き持っていかなくてはいけないと思っている。 まずはフランスが対戦相手になるわけだが、フランスだからと言って好き勝手させるわけにはいかない。フランスのチームはデンマーク戦(※欧州選手権の初戦)を念頭に置いて1週間前から合宿をしている。確かに彼らには目標があるかもしれない。しかし我々だってアジアカップまであと4か月になった。ワールドカップまでは2年になっている。我々は我々の目標があるわけで、そこに引き続き向かっていくまでであり、頭の中でもそのことを考えながら今後しっかりと強いチームに仕上げていきたいと思う。 それと今回のモロッコへの遠征は、ワールドユース前のブルキナファソへの遠征と同じように考えることができる。あそこに行ったことで選手たちは人間的な厚みが出たと思う。それが今回の遠征でも出てきてくれればと期待している。みなと同じ生活をしながら、プロとして仕事をしていくということ。そしてそこでの高い要求の中、人間として開放された形で大いなる表現を選手にはしてほしいと思う。 ──キリンカップの後、シドニーとレバノンの2つの大会に向けて、どういう構想を持っているのか だからこそ、日本代表の監督としては、J1であろうとJ2であろうとJリーグ全体の各監督とのスムーズな、そしてまた実りあるコミュニケーションというものが必要になる。 選手がクラブで過ごす時間というのは年間のトレーニングに直すと250〜300回、試合数では50〜60試合となる。そして選手は自分の所属するクラブチームで年間約40週間を過ごしている。クラブは選手の体調、技術、メンタルの面でも、やらなければならない仕事がたくさんある。クラブにとっては、日本代表のチームに選手を送り込むことができるような、最高の準備をするということも1つの使命でしょう。だからこそ私はクラブには感謝している。選手はクラブチームでフィジカルを高め、経験を積み、成熟度を増すことができる。またフィジカルな面でもテクニカルな面でも成熟することができる。私はこうしたクラブチームとダイレクトにいろいろな関係を持たせてもらい、日本サッカーの隆盛というものを目指したい。 私の目標はというと、残りの20%であり、年間に10試合ばかりをこなし、一緒に練習するのは70回ぐらいだ。そのあたりは、自分としてもしっかりとできている。 そんな中で我々日本代表チームとしても、各クラブチームと一緒になって物事を進めていかなくてはならない。そこではさまざまな交渉も必要だろうし、インターナショナルことも考えながら、いろいろな改革をしていかなくてはいけないだろう。特に日本の外のことも考慮にいれながら、改革をしていく必要があると思っている。各クラブチームと日本代表チームが同じ方向を向いて物事が進むようにしたい。そして2002年のワールドカップというものを照準に入れ、志は高く、そしてそれに対する要求基準というのはものすごく厳しい構想になるわけだが、それをみなさんに伝えていこうとしているし、私が日本代表チームを引っ張っていく上でも、そうしたことが大切なことであると思っている。私はワールドカップに向け、日本のサッカーを大いに発展させるための務めを持っていると思うし、志を高くしっかりとがんばっているつもりだ。 ──もう一度、契約に関する話になるが、11日の日本サッカー協会の三役会では「監督オプション契約については考えず、6月の4試合をもって7月以降どうするかを決める」と我々は聞いている。12日に監督と釜本強化推進本部長との会合では、そのことについての説明はなかったのか 私の目標というのは、繰り返しになるが、今回のハッサン2世杯にしてもキリンカップにしても、選手をしっかりと評価するということ。それからまたいろいろな点をしっかりと見極め、テストしていくということだ。今までに引き続き、新しい情報なり今までわかっていたことであり、情報としてしっかりとため、どのあたりを強化していくのかということを見極める。あくまでもアジアカップ並びにオリンピックの準備としてこの試合を行っていく。まず優先課題というのは一緒に生活をすることでブルキナファソのときと同じように経験を積んでいくこと。このことによって選手個々人に自信がわいてくるだろう。そしてナショナルチームとしても自信がうまれてくるだろう。私は私の責任の限りをつくしてこの準備段階を果たしていき、10月30日を迎えることになると思う。また、それ以外のことについては、私は一切のコメントを差し控えたい。私がいま興味があるのは、あくまで私に与えられた務めであるこの仕事に集中することだ。
<今後の予定>
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