5月6日
Jリーグ ディビジョン1 1stステージ 第11節
横浜F・マリノス×京都パープルサンガ
(横浜国際総合競技場)
キックオフ:15時3分、観衆:16,223人
天候:曇、気温:22.6度、湿度:60%
横浜 |
京都 |
2 |
前半 2 |
前半 1 |
1 |
後半 0 |
後半 0 |
08分:三浦淳宏
18分:松田直樹 |
熱田眞:34分 |

激しくボールを競り合う中村(左)とカズ
 |
混戦の優勝戦線にはなんとしても生き残りたい横浜は、前半8分、コーナーキックのチャンスから三浦淳宏が中村俊輔にショートパス。中村が三浦に再度ボールを返し、そのまま三浦がドリブルで切れ込んでシュート。これが先制ゴールとなり、早い時間帯で試合を優位にした。また、10分後の18分にも京都のシュートを防いだ直後、DFの岡山一成、松田直樹と守備陣から前線につなぎ、中村がロングパス。これをオーバーラップしてきた松田が、前に飛び出ていた京都のGK松永成立の頭を越えるようにループシュートし、先制された試合を逆転できない京都に試合序盤で強烈なパンチを見舞った。
その後横浜は、J通算100ゴールまであと1ゴールとなった三浦知良、豊富な運動量と読みから正確なパスを前線に繰り出す中村忠らを中心とした京都の攻撃に再三ピンチを招く。34分には、熱田眞に右足でゴールを決められ1点差とされる。
ハーフタイムには、7連敗中の相手から2点のリードを奪いながらふがいない動きを続けるメンバーに、アルディレス監督からも激しい叱咤が飛んだが、結局、試合の内容はまったく冴えないまま終了。とりあえず勝ち点だけは21と伸ばしたものの、今後激しくなる優勝争いに向けては、なぜかあまり士気の上がらない試合となった。京都はこれで8連敗(勝ち点3)と泥沼状態に陥っている。
また代表のトルシエ監督が試合を視察したが、ノーコメントだった。
「今、腐っては絶対にいけない」
あと1ゴールで区切りの100ゴールを迎えるカズはこの日、前半から積極的にゴールを狙い、前半だけで4本のシュートを放った。ヘディングが2本、FK、横浜の川口能活のファインセーブに阻まれたバーすれすれのシュートと、前節のオーバーヘッドから続いて、動きの中でダイビングヘッドや走り込みながらのシュートなど、すべて(合計6本)がスピードに乗った状況でのシュートとコンディションの良さ、そしてキレが伺える。
また1点目も、ボールをカットした野口裕治が切れ込んで、熱田と重なる場面があったが、この瞬間、自らのコースをあえて切ってスピードダウンし、オープンスペースを熱田に明け渡すという隠れた「アシスト」も見せた。
「川口がよく止めたシュートはあったけれど、とにかく自分が入れないとね。もちろん100ゴールは意識してたけれど、そういう気持ちだけじゃない。こういうとき(連敗)には絶対に腐っちゃいけない。もちろん、見てる人(サポーター)には我慢してもらうわけだし、我慢できないこともあると思うけど、ぼくらは練習から試合でも絶対に我慢してやらないといけない。それしかない」。
クロアチアで、解雇を言い渡したアルディレス監督の前で是非ともゴールを奪いたかっただろう。
GK松永も「今は我慢するしかないし、前向きにやるしかない。若い選手には自信が必要なのに、それが持てないのは辛いだろう。失点も3分の2がセットプレーから。苦手意識をなんとかしなければ」と、カズとともにチームを何とか盛り立てようとしている状態のようだ。
京都はスタメンの平均年齢が27・1歳と高いほうである。言い換えれば、それだけ若手にチャンスがあるチームともいえる。
後半10分過ぎ、ベンチにいたメンバーに対して「アップ開始」の指示が出たとき、19歳から22歳までの5人の背中は、まるで「どっこらしょ」とでも言っているかのような立ち上がり方だった。
結果が出ないのも苦しいだろう。その中でさらにベンチにいることもどんなに厳しいだろう。松永や三浦が心配する若手の「自信」など今ずたずたのはずだ。
しかし、今我慢し這い上がらなければならないのは松永や三浦ではなくて、まだ無名に近いはずの若手のほうであるはずだ。そして彼らはこの試練を乗り越えるだけの技術もメンタルも本来は十分に持った選手たちなのだ。
「状況に腐っている時間」は、ない。
「勝ったけれど……」
アルディレス監督の怒りは、ハーフタイムにメディア席に届けられたコメントシートだけでも十分に伝わった。
「勝っているのに、やる気がまったく感じられない!」
拍手を心から送りたくなるような思い切りのいいシュート、胸をすくようなキレのあるスライディングでボールを奪いかえすシーン、球際、ラインギリギリまであきらめないボールへの執着心……、こういった「優勝への必須アイテム」がほとんど見られないままの勝利にはサポーターもさすがに「勝てばいい」「結果がすべて」とは思わなかったのではないか。
「きょうは勝ちたかった。ここで負けられないと思う気持ちが前でのプレーができたきっかけ」と松田は話したが、チームとしては何かが足りない。
監督も「勝ったことはよかったが、それだけ」と同じコメントを会見中に何度も繰り返していた。
気の毒なハプニングもあった。広島での敗戦後には、バスジャック事件の影響で5時間も渋滞した道路に缶詰め状態に置かれ、そのままUターン。予定していた翌日の練習もキャンセルせざるを得なかった状態で、その倦怠感がそのまま残ったかのような試合でもあったからだ。残り5試合、首位の(暫定)クラブがこうした状態では、優勝の行方を読み切ることはまだまだ難しい。
試合データ
横浜 |
|
京都 |
17 |
シュート |
12 |
13 |
GK |
14 |
3 |
CK |
6 |
9 |
直接FK |
19 |
1 |
間接FK |
5 |
0 |
オフサイド |
6 |
0 |
PK |
0 |
他会場の試合結果 |
FC東京 |
2-1 |
川崎フロンターレ |
ヴェルディ川崎 |
2-3 |
名古屋グランパスエイト |
ジェフユナイテッド市原 |
3-0 |
ガンバ大阪 |
ジュビロ磐田 |
2-3 |
鹿島アントラーズ |
セレッソ大阪 |
1-0 |
サンフレッチェ広島 |
ヴィッセル神戸 |
2-0 |
柏レイソル |
アビスパ福岡 |
3-0 |
清水エスパルス |
順位表 |
|
チーム |
試合数 |
勝 |
分 |
負 |
得失差 |
勝ち点 |
1 |
横浜 |
11 |
7 |
0 |
4 |
+5 |
21 |
2 |
磐田 |
10 |
7 |
0 |
3 |
+9 |
20 |
3 |
C大阪 |
11 |
7 |
0 |
4 |
+6 |
20 |
4 |
東京 |
11 |
7 |
0 |
4 |
+5 |
20 |
5 |
清水 |
10 |
7 |
0 |
3 |
+3 |
19 |
6 |
柏 |
11 |
7 |
0 |
4 |
-1 |
17 |
7 |
市原 |
11 |
5 |
1 |
5 |
+2 |
16 |
8 |
鹿島 |
11 |
6 |
0 |
5 |
+1 |
16 |
9 |
福岡 |
11 |
6 |
0 |
5 |
-1 |
15 |
10 |
V川崎 |
11 |
5 |
0 |
6 |
0 |
14 |
11 |
神戸 |
10 |
4 |
1 |
5 |
+2 |
13 |
12 |
名古屋 |
11 |
5 |
0 |
6 |
-1 |
13 |
13 |
広島 |
10 |
4 |
1 |
5 |
+1 |
12 |
14 |
G大阪 |
11 |
3 |
2 |
6 |
-3 |
11 |
15 |
川崎F |
11 |
2 |
1 |
8 |
-11 |
7 |
16 |
京都 |
11 |
1 |
0 |
10 |
-17 |
3 |
|