4月29日


織田記念女子5,000メートル
〜市橋有里が五輪準備の第二章を経過報告

文・浦和勉

 第34回織田幹雄記念国際陸上競技大会は29日、今年は従来の広島スタジアムからビッグアーチに場所を変えて行われた。女子5,000メートルに出場したシドニー五輪女子マラソン代表の市橋有里(住友VISA)は、15分57秒93の10位で、自己記録の更新はならなかった。
 名古屋女子マラソンで健闘した麓みどり(デオデオ)が棄権。真鍋陽子(四国電力)を除けば昨年の最高記録が15分40秒を切っている選手はいない。高校時代に出した15分49秒台がベストという市橋にも上位進出のチャンスがあるかにみえた。スタートから小鳥田貴子と楠真美のデオデオ勢が先頭を進み、市橋は6〜7番手。1,000メートルが3分8秒28、2,000メートルが6分16秒54とやや遅いペースは距離が伸びても上がらない。3,000メートルは9分29秒98。4,000メートルは12分45秒93。市橋は2,000メートルをすぎて5番手に上がり、先頭集団は11人で固まったまま。4,400メートルからレースが動いた。楠と真鍋陽子の双子の姉妹の裕子が飛び出し、東京ランナーズ倶楽部で市橋の後輩にあたる吉松久恵が単独で3番手につける。市橋は次々と後続にかわされ、最後の1周を前にして9番手。そしてゴールした時にはさらに1人に抜かれていた。
「ラスト1,000メートルで切り替えてスピードアップすることができなくて、ズルズルいってしまった。昨年もサーキットを走ってマラソン(世界陸上)に出たので、今年も同じ形でやろうと考えてトラックを走った。もう少しいいタイムが出るかなと思っていたけど、マラソン前の練習としてはまずまずです」
 そう話しながら市橋は、何度も咳き込んだ。「体調は崩していない」と言うものの、今月19日に中国での高地トレーニングから帰国して2日後くらいから疲れが出てきたことを明かした。10位にもかかわらず主催者が報道側に配慮して市橋の会見を開いたが、レース直後に行われたため、それを知らされていなかった浜田安則コーチが血相を変えて「何やってるんだ。(会見より先に)ダウンをしなきゃダメだ」と市橋に向かって大声をあげる一幕もみられた。その浜田コーチは「15分55秒プラスマイナス10秒とみていた。16分を切っておけばいい。うまくいって40秒台と思っていた」と一応は納得した様子だった。「今まで順調にきているので、もっと上げていきたい」と言う市橋は、5月7日の水戸国際の10,000メートルでトラックでの実戦練習を締め括り、6月からのスイス合宿でいよいよマラソンに向けた走り込みを始める。

    織田記念女子5,000メートル
    1 楠 真美 デオデオ 15分43秒65
    2 真鍋裕子 四国電力 15分46秒95
    3 吉松久恵 東京陸協 15分48秒62
    4 岡本治子 ノーリツ 15分49秒51
    5 那須悦子 リクルート 15分50秒47
    10 市橋有里 住友VISA 15分57秒93

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