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韓国代表×日本代表
前半は、中田に対して韓国の崔成勇(チェ ソンヨン、神戸)がマンマークにつくという徹底した作戦で中田へのパス、あるいは中田を起点とするパスを封じ込めた。このため日本はボールが前線に送り込まれる機会が極端に減ってしまい、少ないチャンスで得点に結びつく形を作るものの決定機を逃がす。18分には逆にDF松田直樹(横浜)のクリアミスから柳想鐵(ユ サンチョル、横浜)に持ち込まれ大ピンチを迎えたが、これをGK楢崎正剛(名古屋)が好セーブでしのいだ。 中田へのマンマークについては、中田、名波が話し合い、中田が左のアウトサイドに崔を引き連れて開いたスペースに名波が入るなど、臨機応変なポジションチェンジで対応をした。 後半になると、中田がパフォーマンスを上げたのに対して、崔は疲労からか筋肉のトラブルを起こして交代。また韓国のストッパー金泰映(キム テヨン、全南)が2枚目のイエローを受けて退場となったため、日本は数的優位にも立ち、チャンスが広がるかに思えた。 しかし1人少ない韓国の攻撃から、河錫舟(ハ ソッチュ、神戸)が左サイドから上がりそのままシュート。これがポスト内側に当たってゴールとなり、残り12分で失点を喫してしまった。 日本は後半、代表に復帰を果たした森島寛晃(C大阪)、小島宏美(G大阪)とFWを入れ替えたが功を奏すことなく0−1で敗れた。 トルシエ監督の去就については、試合後、26日深夜まで協会の岡野俊一郎会長、川淵三郎、釜本邦茂(強化推進本部長)両副会長が緊急で話し合いの席を持った。 また、名波は試合中右手の指の付け根、甲の辺りを傷めたために場合によっては病院で検査を受けることもあることが説明された(まだ検査を受けたかどうか発表されていない)。
サウジアラビアから直行し疲労が心配された中山「もっと(一度自分に)当ててから(攻撃に)展開できればよかったと思う。ヒデへのマンマークがあまりに執拗だったこともあって、ヒデにボールが入っても前線と距離が大きく開いているような感じだった。内容自体は悪いとは思わなかったが、1点取られた後、どうやって取り返すかということ、そういうサッカーをやらないといけない」 中田とのポジションチェンジ、また激しい当たりにも果敢に挑んだキャプテンの名波「ヒデとのポジションチェンジは、お互いに話してやったこと。負けない試合をしたかったが……」 再三のピンチを高い守備力で防いだ服部年宏(磐田)「1人少なくなった後、韓国がまるでパワープレーみたいな形で攻めてきた。ああこられると弱い」 復帰戦も無得点、シュートも0本の柳沢「(記者の質問にも)コメントなし」 攻守の切り替えがスムーズにいかなかったと、無念そうな伊東輝悦(清水)「中田への厳しいマークはあったが、後半はいい形が出来たと思う。もっとサイドからの切り崩してスペースを取らなくてはいけなかった」 追加で代表メンバー滑り込んだものの持ち味を生かせなかった望月重良(名古屋)「中田へのマークが厳しかった」 再三のピンチもファインセーブで切り抜けたが、河のファインゴールで失点した楢崎「あの場面は真中に(DFのシフトも)下がってしまっていたことが振り切られた原因だった。前半はこちらのペースになる試合だと確信していたのに……」 先発で実に5人のJリーガーが揃った韓国の中でも闘志を剥き出しにプレーした盧廷潤(ノ ジョンユン、C大阪)「前からどんどんプレスをかけていったのが非常いいい作戦で思い通りの試合展開ができたと思う。(1人少なくなってから得点できたがが、と記者に聞かれ)それは精神力の勝負の差です」 釜本邦茂・強化推進本部長の話「いい試合だったと思う。決定力があるとかないとかではなくて、チャンスは作れていたと思うし。韓国のメンタルの強さ、ホームであれだけの声援を受けて勝とうとするメンタル面において、日本とは差があった。決定力は韓国も抱えている問題だ。トルシエ監督が2002年までやることに私は否定的でも肯定的でもない(感情的に考えているのではないということ)。レポートを出し、みなさん(強化委員)の意見を聞き、私なりの結論を理事会に報告する。(監督がアンラッキーだったと話していたことについて記者から聞かれ)何がアンラッキーだったのか? (監督が河の決勝ゴールを100回打てば99回外れるシュート、と表現したが、と聞かされ)それがサッカーや」
トルシエ監督の会見(試合後のものほぼ全文) 後半、私たちにとってももっともいい時間帯(人数が多く、攻撃の形が作れていたとき)に失点してしまったことが痛かった。韓国のスピリットはすばらしいと感じた。アジアのリーダーとして常に進歩し続けていると思う。決定力不足と言われるが、これは日本だけではなく世界中どこの国でも同じに悩んでいる問題だ。世界的なリーグを見れば、どこも得点のトップを奪うのは外国選手である。日本のFWにはパーソナリティ、経験、頭脳的な動きが足りない。それをもっとつけるようにしてほしい。
「12月にも日韓戦」 大韓サッカー協会の鄭夢準会長は試合後、「きょうのようなタフなゲームを戦える相手がすぐ隣にいるのは非常にうれしいことだ。こうした環境をもっと効率的に使うためにも、私は日韓戦を定期戦という以上に、レベルの高い強化試合としたい。その点から日本の協会に、今年12月にも日韓戦を開催したいことをお願いした」と話した。 トルシエ監督、日本人記者との立ち話会見
この試合は非常にビッグゲームで技術的によかった。100回打てば99回は外れるような(河の)シュートが決まったことはアンラッキーな点で、(1人退場で)我々に余裕があり過ぎた。そこ(優位なのに失点したこと)にフラストレーションを感じた。しかし、日韓戦の戦い方は大きく進歩している。 ──アンラッキーというが、相手が10人になったことはこちらにとってラッキーであり、韓国にアンラッキーだったのではないか ──前半の内容はよくなかったのでは ──ハーフタイムにはどんな指示を? ──中国戦と比較するとコンディションが悪いのではないか ──昨日の会見で中田や名波のチームではない、と言っていました。しかし、実際には彼らに戦術的に頼る部分が圧倒的に大きかったのではないですか 「古くて新しい……」 韓国は、中田への「マンマーク」によって試合の主導権を握ろうとした。 前半からマークは執拗なものだった。おそらくユニホームの一部分はちぎれているのではないか。後半には崔と河と退場になった金の3人で中田の襟と袖を引っ張り、それが大きく伸びて中田が苦笑してしまう場面もあった。また、スライディングにも、前だけでなく後方からも入るなど、パスの出て行く先を封じるよりも「ボールを持たせない」原始的な方法を取ったところに、韓国側のなりふり構わない勝利への執念がにじんだようだ。特に、ハーフラインから中に入った地点でのボールは、中田がどんな形でも得点に結びつける可能性が非常に高いことから徹底してマーク。中田にまったくのフリーでシュートを打たせたのは後半8分、と耐え忍んだ。 このDFの崔は、実はマンマークのスペシャリスト。96年のアトランタ五輪アジア最終予選での日韓戦でも、その時には前園を徹底的にマークして全く仕事をさせなかったことがある。 洪明甫キャプテンの話「(5人の先発がJリーガーで)普段も対戦しているのだから、私たちにはやりやすかった。退場者が出て不運だと嘆いたら、もの凄いシュートが入った」
試合前のコメント 松田直樹「きょうは大事な1戦になる。持ち味を十分に出したい」 稲本潤一「このような雰囲気の中でやるアウェイの試合は初めてだけれども、自分の持ち味を十分に出したい」 中田英寿「韓国での試合は久しぶり。よいプレーができるようにしたい」 名波浩「負けない試合をしたいと思う」 柳沢敦「久しぶりの代表なのでよい内容で勝負にもこだわりたい」 |