2月26日


Jリーグプレシーズンマッチ
名古屋グランパスエイト×京都パープルサンガ
(豊田市運動公園)
キックオフ:14時3分、観衆:47,172人
天候:晴れ、気温:15度、湿度:26%

名古屋 京都
2 前半 2 前半 0 0
後半 0 後半 0
02分:岡山哲也
35分:山口素弘
 

 今季最初の「公式戦」に臨んだ名古屋は、日本代表で宮崎キャンプに参加していなかったDF大岩剛、GK楢崎正剛、MF平野孝らを加えたほぼベストとなるメンバーによる、4バックで(望月は怪我のため欠場、呂比須は風邪で欠場)前半から京都に対して試合を優位に展開した。
 前半開始2分、ウリダの左からのセンタリングに岡山哲也が頭であわせて先制。また35分にも、岡山が左サイドからゴール前に切り込んできた山口素弘にパス、山口はこれを左足ボレーシュートで決め、2−0と試合を前半で決めた。
 しかし、この後、引き気味になるDF陣に対して、再三、カルロス監督から「もっとラインを上げてその状態を維持せよ」と、積極性を求める指示が飛んだ。後半には、京都にこぼれ球を拾われ、シュートまで持ち込まれる場面や、シュート数も7本とフィニッシュまで持っていく場面が少なく、攻守とも細かい修正点も残された。名古屋は3月4日のゼロックススーパーカップで磐田(国立競技場)と対戦し、3月11日の開幕戦を迎える。
 この日、トルシエ監督が協会関係者とともに試合を観戦に訪れた。25日の試合でFW中山雅史(磐田)が怪我をしたことについて、「そのことは聞いた」とだけ話し、一切の質問にノーコメントを通した。同監督は27日、鹿児島で行われているアジアクラブ選手権の視察に回る。

京都・加茂監督「試合はきょうで3試合目になる。ゴール前の決め手がはっきりしない面があったが、もう1試合(5日、G大阪)あるのでなんとか上手く開幕には仕上がるのではないか。カズはきょうで合流4日目なんで、ちょっと心配はしたが、よく持ち味を出してプレーしたんじゃない」

名古屋・カルロス監督「きょうはリーグ開幕のための準備となる試合で、ゼロックスまでに(3月4日)はもう少し厳しい戦いをしなくてはならない。得点の後、チーム全体的に下がってしまって、こぼれ球を見ているようなところがあった。もっともっと前での守備をするように、と注意をしていた。基本的にはこのフォーバックで、3バックも試すことができる能力を持ったチームだと思う。DFでは、相手のFWに前を向かせてから守ろうとするのではなく、前を向かせないような守備をまずは徹底するべきだ」

「連勝記録更新中」

 名古屋はこの日の勝利で、昨年からの連勝を「16」に伸ばしたことになる。昨年の第1ステージ、7勝7敗1分け(8位)で苦戦し、「負け癖」がついてしまったかのようだったチームの変身ぶりはあまりに鮮やかである。
「やっているぼくらとしては、別に連勝を意識することはないけれど、チーム全体にはいい影響もあると思う」と、大岩は試合後話した。意識はしないが、負ける気もしない、というのならば、それこそ「勝ち癖」、とでも言えばいいのか。今の名古屋の試合運びにはほかのクラブにはない安定感がある。
 代表が4人と、日本代表の中では最も多い人数を供給しているだけに、宮崎キャンプに参加していないことから、コンビネーションなどが心配された。しかし、監督は「彼らは頭のいい選手で何も心配していない。私は、彼らが起用で対応力に優れていると思っている」と信頼を寄せている。
 安定感の理由には、言うまでもなく監督の意図がチームに浸透している技術的な点、また、メンバーも昨年からはトーレス(DF)が抜けたのみで大幅な変動がないという、いわばチームの体力ともいえる部分。この2点が作用している。両者がうまく絡み合う相乗効果が、勝ち癖とでもいえるムードを生んでいるようである。今季最初のプレシーズンマッチでの勝利はそれ自体大きな意味はないが、今年正月の天皇杯での優勝までの連勝は、決して勢いによるものではなかったことを強く裏付ける1勝にもなった。
 個人的には、昨年、このプレシーズンマッチでの原稿には、山口、楢崎、呂比須と、さまざまなクラブからの代表選手が集まることで、名古屋の内なる「化学反応」の結果が楽しみだ、と書いた。しかし第1ステージ、化学反応も度を越して、ついにはシーズン途中、実験中のビーカーまでが爆発した感があったが、どうやら、さまざまな融合も一段落したようである。過去何度も、『悪循環』という罠にはまったクラブに、「本物の」ビッグチャンスが巡ってきた。

「33歳の誕生日に」

 三浦知良(京都)が、代表トルシエ監督の前で代表選出へ絶好のデモンストレーションを見せた。京都に合流わずか4日目。加茂監督も「コンビネーション、本人のコンディションとも多少心配した」という中、前半から積極的にゴールに絡み、後半にはシュートがバーに当たるなどアンラッキーな場面もあった。
「積極的に行けたと思う。チーム全体も昨年よりは質も内容も上がっていると思う。後はひとつひとつのプレーの精度を高めていくことだと思う」と、後半には雪が降り出すほど冷え込んだ中でのフル出場に、手ごたえを感じているようすだった。
 トルシエ監督が観戦したことについても「監督がいるからうんぬんではなくて、きょうのプレーには満足できる」と笑顔を見せていた。加茂監督は「今年は、昨年に比べても非常にいいコンディションだ。カズも力の加減というか、メリハリがうまくつけられるようになった。きょうのプレーは〔トルシエ〕監督にもいいアピールになったはず」と、期待を寄せていた。
 この日は冷え込み、選手全員が長袖に手袋という姿だったが、1人半袖でプレーを続けた。クロアチアのザグレブ在籍中のチームメイト、ゴラン・ユーリッチが雪の中でのゲームでも常に半袖で「寒さを感じさせないようなプレー」をしていたことから、昨年から半袖でのプレーを続けているという。
 この日33歳になったFWにとって、2000年がどんな1年になるのか。ファンからの「お誕生日おめでとう」の声に、「ありがとうございます」と笑って頭を下げていた。

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