1月7日


第78回全国高校サッカー選手権大会
準決勝
(国立競技場)

(取材・田中龍也)

市立船橋 0−0
4−PK−2
前橋育英
富山第一 1−4 鹿児島実業

Masahide Tomikoshi/TOMIKOSHI PHOTOGRAPHY
 第78回を迎えた全国高校サッカー選手権はこの日、いよいよ国立競技場に舞台を移し、準決勝の2試合が行われた。

 第1試合は、優勝候補筆頭との呼び声も高い千葉県代表・市立船橋と、前回大会では準決勝で帝京に敗れた群馬県代表・前橋育英という関東勢同士の対決となった。ここまで無失点で勝ち抜いてきた市立船橋が評判通りのプレスの利いた守備を見せ、押し気味に試合を運んだ。しかし前橋育英も両サイドへの展開から後半リズムをつかんだかに見えた。しかし結局両チームとも得点するにはいたらず、試合はPK戦の末に市立船橋が勝利し、現柏レイソルの北嶋秀朗らを擁し優勝した第75回大会(96年)以来3年ぶり4回目の決勝戦進出を決めた。

 第2試合は、今大会9ゴールを上げ1大会最多得点記録を塗り替えた石黒智久を擁する富山県代表・富山第一と、U-18日本代表候補の2トップに注目が集まる鹿児島県代表・鹿児島実業との戦い。富山第一は中央から、鹿児島実業はワイドに、それぞれ何度も見せ場を作りながら試合は進んだが、決定力の上回った鹿児島実業が第74回大会(95年)以来4年ぶりの決勝戦出場を決めた。

 決勝戦へと駒を進めた両チームとも、前回決勝進出時には優勝している実力校同士。注目の1戦は8日14時キックオフとなる。

「休養日のあとは疲れる?」

 試合後の会見で鹿児島実業の松沢隆司監督は「イージーミスが多く、この大会で一番質の悪い戦いだった。これがプロの試合だったら、金返せと言われるような内容だったんじゃないか」と、苦々しく試合を振り返った。
 松沢監督によると、前日の休養日でのコンディション調整がうまくいかず、選手たちは余計に疲労が表に出てきてしまったようだ。それは鹿児島実業に限った話ではなく、準決勝に残った4チームともこれまでの戦いよりよくない内容だったと松沢監督は見ている。
 常識的に見ると、1日休んだことで疲れが取れるように感じるものだが、全国大会で準決勝に残るようなチームは、普段から大会で試合をこなすよりもよっぽど疲れる練習を毎日こなしてきている。それが休むことでかえって身体がギクシャクしてしまうということのようだ。
 決勝戦は明日行われる──つまり休養日はない。「1日あくより身体もほぐれてもう少しいいゲームができるんじゃないかと思う。相手については攻撃で7:3、守備で6:4と市立船橋の方が上と見ているが、そういう相手にチャレンジして、子供たちがどんな戦いを見せてくれるのか、指導者として楽しみにしている」と松沢監督は謙虚に語るが、きょうよりもいいゲームができるという感触はつかめているようだ。

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