1月6日


陸上宮崎女子ロードレース大会
ハーフマラソンほか3部門

天気:晴れ、気温:18.3度、湿度:72%
宮崎市内シーガイアから県総合運動公園までのハーフコース

 ハーフマラソンの部には、シドニー五輪女子マラソンの選考レースとなっている30日の大阪国際を狙うスピードランナー・弘山晴美(資生堂)、世界陸上で8位に入賞を果たしている小幡佳代子(営団地下鉄)らトップ選手が出場した。
 大阪でも優勝候補筆頭にあげられている弘山は、年末年始に風邪をこじらせてこの日も体調は不良のままレースを決行。それでも1時間10分49秒で5位。世界陸上に続いて2度目の選考レース挑戦となる小幡も、ここまでの合宿の疲労がちょうどピークになる時期でもあり、レース途中で腹痛にも見舞われ、1時間12分43秒の10位だった。また、東京でマラソンに初挑戦した千葉真子(旭化成)は3月の名古屋での出場権獲得再挑戦を狙うために、練習の一環として出場し、レースを終始リードするなど果敢な姿勢を見せ、記録は1時間10分25秒で3位となった。
 優勝争いをしたのは、昨年から力をつけてきている若手選手のトップリーダー、双子の大南姉妹(ともに東海銀行)で、優勝は姉の博美で1時間9分40秒、これは千葉が持っていた1時間10分19秒の大会記録を更新する好記録だった。妹の敬美は1時間10分21秒と2秒差で2位に入り、姉妹でのワンツーフィニッシュとなった。
 宮崎のハーフマラソンは、大阪を3週間前に控えた、いわば前哨戦ともなるレースで、大阪の出場予定選手がそれぞれの仕上がり具合を確認する重要な意味合いを持っているレースでもある。

「欲しいのは、実数値」

 この日の宮崎地方は異常ともいえるほどの気温上昇で、昼過ぎには気温が20度まで上がってしまった。宮崎県の総合運動公園の中では、あまりの気温にうぐいすが間違って鳴き出してしまうほどで、関係者もみな半そで姿でのレース観戦となった。
 1月上旬のハーフマラソンで勝つか負けるか、あるいは記録自体には大きな価値や意味はない。しかし重要なのは、これが大阪国際前の最後の公式レースであるという点だ。
 大阪での出場権獲得のための条件は、東京で山口衛里(天満屋)が出した記録(2時間22分)を更新する、あるいは高橋尚子(積水化学)の持つ日本最高を塗り替えるなど、とてつもなく高いハードルを超えなくてはならない、と言われている。
 こうした中で、国内の有力選手として大阪での優勝戦線の一角に絡むとされるのが、弘山と小幡であり、2人は揃って奄美大島での合宿から(弘山はいったん帰京したのち)宮崎入りしており、その調整ぶりに注目が集まった。
 弘山は、昨年末、万全の形で奄美での走り込みを終えたはずが、帰京してから、自転車で転倒。足をつこうとした際、そこがたまたま路肩の切れ目だったことから頭から転がってしまい、両ひざを負傷してしまった。またその後も年末年始に風邪をこじらせ、熱こそ出さなかったものの、鼻水とせきで、今朝まで「しんどいので出たくない」と本人がこぼしているほどだった。
 小幡は、レース中に、スピードをあげようとするたびに腹痛が走り、それを我慢するのに大変だったそうだ。こちらも走り込みから、筋肉だけでなく内臓も疲労していたといえる。
 ともにいわば最悪のコンディションでもなおレースを決行するのは、これが大阪を前にした最後の「本番」であるからだ。そして、弘山監督、営団の長沼監督ともに、「計算式を作るとすれば、その計算をある程度可能にする数値が欲しいから」と、レース後、それなりに満足そうな様子を見せた。本番での記録というのは、計算式にあてはめる上での重要な生きた数値となるわけだ。
 ランナーには、2通りのタイプがいる。出ると決めたレースを比較的多くキャンセルするタイプと、まったくキャンセルせずに、どんな調子でも出場してくるタイプと。今回の2人はまさに後者のタイプ。長沼監督は「レースは何日の何時何分という形で決まったものですから、それにあわせることも非常に重要な練習だと捉えています」と話す。小幡は腹痛には見舞われたものの、それでも10キロを33分台の前半でカバーするなど、これまでとは一段上のスピードがついている一端は見せた。
 弘山も周囲にはキャンセルをすすめられ、スタート直前まで本人もティッシュ箱をかかえて鼻をかんでいるような状態だったが、それでもいざスタートすれば、ハーフでの自己記録で戻って来て見せた。
「息は詰まるし、どうしようかと……」とレース後もすぐに咳き込んでいたが、これが「現在の状況でもこれだけのタイムが出た」という最低値だとすれば、おのずと大阪の記録の計算も成り立つというものだ。
 マラソン練習の疲労のピークでは、スピードを競うことは不可能だ。
 しかし、この日、五輪を狙う2人が見せた、一見快走とは言い難い走りの中に、大阪での大きな可能性──それはもちろん、限りなく日本最高に迫るタイムだが──が秘められていたのではないか。
 大阪まで、泣いても笑ってもあと3週間。

弘山晴美「きょうはギリギリまで走れるかどうか考えていました。年末には転んでしまったし、マラソン練習になるとどうもいけませんね(笑い)。でも、きょうは最後までバタバタしない走りで戻ってくることを心がけて、それはできたと思う。記録も決して悪くはないし、のこりの3週間、きちんと修正して行きます」

小幡佳代子「練習は今きついところなので、体も疲れていたのかもしれませんね。私にしては上出来なタイムでしたし、きょうの気温なら満足できます。これからまた奄美に戻り最後の仕上げをします。できることをやって、いい顔で大阪のスタートにつきたい」


城彰二のスペイン移籍が決定

 横浜F・マリノスはこの日、かねてよりスペインへの移籍交渉を進めていた城彰二(24歳)のレアル・バリャドリードへの期限付き移籍が決定したことを正式に発表した。なお、今回の契約内容には、2000年6月30日までの期限付き移籍およびその後の完全移籍の優先契約権が含まれている。城は7日の朝に記者会見を行ったあと、午前中の便でスペインへと出発する予定。

城彰二
ポジション:FW
生年月日:1975年6月17日
身長/体重:179cm/72kg
出身:北海道/鹿児島実業高校−ジェフユナイテッド市原−横浜F・マリノス
Jリーグ出場記録:通算176試合出場/90得点

レアル・バリャドリード
クラブ名:Real Valladolid Club de Futbol, SAT.
所在地:バリャドリード(スペインの首都・マドリードの北西役200km)
備考:クラブ設立は1928年。今季の成績は1部リーグの16位(1月5日、第18節終了時点)。現監督はグレゴリオ・マンサーノ。

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