2003年 駄ピドの旅

ふじもり@えりー(ピドニ屋)

 

■2003年駄ピドの旅の最後に駄ピドが採れない・・・これでは話にならない。
そう、まだ旅は終わらないのである。
金曜日どうしてもはずせない仕事があったので大阪に戻ったが、すぐに土日である。
それに、いくら駄ピドの旅だからといって、これだけ登ってP. signata 4 exs, P. suzukii 4 exsではお粗末すぎる・・・。
さてどこにするか?
採れるとわかっていてもK峠再びでは芸が無さ過ぎるし、徳本峠も昨年行っている。
しかもこの土日、師匠の一人が行くことになっているのでバッティングは避けたい。
ということは・・・赤いP. signataが採れる北ア北部か後立山連峰を狙うしかないだろう。
昨年のR温泉は時期が遅く、花も終わりかけであったが今年の状況だとばっちりチリ足に違いない。
ということで、予定外であるが急遽白馬方面へ向けて車を飛ばすことにした。
この週3000kmも走ることになろうとは我ながら想像していなかった。

6日目(8月2日) Y岳登山道

■土日の北ア北部は,マンモス小屋のある山へ登る人でごった返すと判断して、Y岳へ登ることにした。
隣のT山で赤いP. signataが採れているのだから、ここも赤いはずである。
問題があるとすれば、上は草原状だということだ。
分断された針葉樹の小さな森にもP. signataは居るだろうか?
■Y岳登山道はA湖のほとりから始まるため結構標高差があり登山は楽しそうである。
以前下見をしにいったことがあるので場所はわかっているのだが、ついたのが9時を回っており、駐車場はすでにあふれていて登山口から離れた路上に車を置いて、とりあえず出発した。
ここもネットを振るわけにはいかないので、カメラ片手に花の写真を採りながら登る軟弱登山者を装う。
登山道を歩いていて気づいたのだが、Y岳は他の北アの山とはちょっと雰囲気が違う。
確かに、針葉樹林帯に入ればカラマツやモミもあるのだが、ほとんどカラマツの林といったほうがいいだろう。
ダケカンバが少なく、虫の気配がしない。
ふと目の前をでかい虫が飛んでいる。
シラフヒゲナガカミキリである。
そういえば,T山でも1♂を採っていたっけ.
夜行性と聞いていたが・・・?
近くにカラマツの伐採木があったのだが、新しい脱出孔が無数についている。
ふと休憩した場所にあった半生の立枯れを見ていると蜂のような虫が上のほうでタッチアンドゴーを繰り返している。
サハリンか!?と一瞬思うが、きっとヒメバチだろうと笑ってやり過ごす。
■標高はどんどんあがっていく。
なのに一向に虫の気配はない。
O山で採ったのと同じ金緑色のコメツキが飛んでいるか、たまにシラフヒゲナガが飛ぶくらいである。
足元にも花はなく、ついに草原になってしまった。
これは困った。
ピドニアが1匹も採れないで終わってしまうなんて・・・。
2000m付近の三角点のベンチで休憩していると、ちかくにコメツツジの群落があった。
日本のつつじのなかでもっとも小さな花をつけるツツジである。
丁度鞍部になっており、下からよい風が吹き上げてくる。
ニッコウキスゲも多数咲いていた.
ただ、さっきまで晴れていたのに、またもやガスが出てきた。
T山方面を見上げても、Y岳方面を見上げても山頂はまったく見えない。
もう一度コメツツジを見ると、マルハナバチのような蜂が多数群がっていたが、なんとピドニアもいる。
P. matsushitai, P. bouvieri, P. miwaiである。
君たちこんな高いところでなくても居るでしょう!といいたくなるが、とりあえず写真をとる振りをしながら摘んでは毒ビンに入れていく。
見ていて気づいたのだが、日が射すと盛んに活動し、曇るとピタっと動かなくなる。
完全に陽光性の虫なのだなということがわかる。
気温が高いせいか、動きが早く摘むのも一苦労である。
毒ビンへの入り方もピドニアの種類によって個性があり面白い。
P. miwaiなどは案外簡単に落ちるのだが、P. matsushitaiは本当にしぶとい。
指からはなれずに毒ビンの中にはなかなか落ちないで逃げ出してしまうのである。
■さて、どうするか。
これより上はGベンチに行く途中で森林限界を超えてしまう。
しかし、遅出とはいえ、虫を採らずに登ってきたので時間は余裕があるので、こうなりゃ登れるところまで登ってみることにした。
途中、いくつかカラマツの針葉樹の森を抜けるが、やはり虫の気配はまったくない。
岩がごろごろしているが、草原の中に木道を整備中であり、これが完成すれば歩きやすい道になるのだろう。
ニッコウキスゲはここでも満開であった。
背の低いコメツツジの群落もあったが、直射日光があたり、森からはなれたところにあるのでピドニアの気配は感じられない。
結局、五光岩のベンチまで登って、お昼を食べていつものように小走りで今来た道を引き返すことになった。
こんなことなら冬山か残雪期しか登れなかったが新たに登山ルートが開拓されたK山(来年の予定)か,よいブナ林のあるS山にすればよかったと思っても後の祭りであった。
Y岳は亜高山性ピドニア不毛の山である。
6月にA湖周辺でP. obscurior hakusana, P. limbaticollis ohbayahsiiを採ったほうがずっとましであるが、A湖の標高の虫は昨年採っているので必要ない・・・。
■帰りは湖を半周してHトンネルへ抜けた。
1週間前には沢山採れたピドニアであるが、今回は少なかった。
気温が高すぎたのかもしれないが、いずれにせよシーズンが終わろうとしていることを感じさせるものであった。


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