2003年 駄ピドの旅

ふじもり@えりー(ピドニ屋)

 

5日目(7月31日) 御嶽山(〜飛騨頂上)

■結局、30日は予想通り嵐になったようである。
なぜわかったかというと、我ながらアホだと思うが翌日北アへ引き返して御嶽山に登ったからだ.ときに
昨晩泊まったという下山してきた老夫婦に様子を聞いたからである。
槍ヶ岳も似たような状況だろうから、登らなくて正解である。
この時期の御嶽山はサハリン狙いの人でごった返すT方面は禁忌である。
サハリンは私には縁のない珍品だ(笑)。
もちろんTのショウマでP. signataは楽勝で採れることはわかっているが、今回はあえて人のいかない飛騨斜面の登山道を登ることにした。
御嶽山は表と裏でぜんぜんPidoniaの顔が違うという。
これまでの北アの状況からすれば「若干南に位置する御嶽山は、今2000mまでのキイチゴが満開でP. suzukiiのように黒いP. signataが沢山採れるに違いない、うしし・・・」と見込んでいたからである。
採らぬPidoniaの皮算用というやつである。
いくつかルートがあるが,今回はKキャンプ場の登山口から飛騨山頂の登山道を選んだ。
実はこれも大きくはずしていて、隣の登山道にはオニシモツケの群落があることを後で知った。
川沿いの道を登るのが正解だったのだ。
それでも、Kキャンプ場の登山道入り口が1600mくらいであるから途中で隣の登山道と合流するあたりまででP. signataは採れるはずであった。
しかし、またもや悪い予感が胸をよぎる。
いきなり朝から大雨だったのだ・・・。
山頂方面はガスというよりは雲に完全に覆われていた。
とりあえず今後の天候が回復するかどうか様子を見ることにして、キャンプ場の周りのショウマを見ていたらコマガタケスグリが群生していることに気づいた。
紛らわしいカエデの幼木も多数あったが、石鎚山でK師匠に教わっていたので、どれがコマガタケスグリなのかすぐにわかった。
どれどれ・・・と枝先を見るとミヤマドウボソはすぐに見つかった。
雨の中、新調したゴアテックスのカッパを着て叩き網をして20ほど採ったところで9時になった。
すると、これまで掛かっていた雲がさーっと晴れて急に日が差した。
これはいけると判断し、急いでカッパを脱ぎ、たたき網をしまって、登山を開始した。

■登山道沿いにはノウゴウイチゴは確かに沢山あった。
が、花はすべて終わっていたのである。
まったく虫が居ない。
白い花をつけているが、カニコウモリにはピドニアは集まらない。
寺地山でみた足元の小さな花には若干のP. testaceaが見られたが、P. matsushitaiですら目に入らない。
なんと、完全に季節を読み間違えたのだ。
最後の最後で大外れをやってしまった。
途中、ツチイロビロウドムシと金緑色のコメツキを採っただけで、登れど登れど虫は雑甲虫すら目につかない。
そしていつのまにか森林限界まで到達してしまい、ハイマツ帯のゴロゴロした岩場を登り始めた。
こうなったら飛騨頂上まで行くしかないと思って、とりあえず登ったが、上はガスが掛かって展望も利かず、何しに来たんだかさっぱりわからなくなってしまった。
コマクサや名前を知らぬ花が群生しており,それだけが唯一の救いだった.
ハイマツに来るオトメクビアカハナは私ごときに採れる虫ではないことはいうまでも無いことである。
摩利支天のピークはもうすぐそこであるが、雲に隠れて見えないのでもう登る気すらなくなっていた。
翌日,どうしてもはずせない仕事が無ければ,そのまま北アで採集できるのだが仕方が無い.
結局、何しに来たのだろうかと思いながら、駆け足で下山して、狭い山道を飛騨清美まで引き返し、大阪まで高速を飛ばして帰ることとなった。


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