2003年 駄ピドの旅

ふじもり@えりー(ピドニ屋)

 

4日目(7月29日) H水源地〜N山〜O山

■今度は2日前のG岳と同じ常念山脈であるが,表銀座の南、島々谷の北にある昔の主要交通路であるが、今は登る人がほとんどいないというO山登山道である。
林道途中にある展望台は1500mあって途中の鍋冠山は2000mを超えるので距離にしても標高差にしても申し分ない好採集地のはずだった。
しかし、展望台への島々谷林道(島々谷は一谷隣のはずであるが、こういう名前がついている)は実は植林道であることが判明してちょっと愕然とした。
予定どおり展望台の駐車場に車を泊めて野営する。
結局、私以外誰も居ないまま午前7時登山開始。
ゲートまで車で入れるはずなのだが、道の状態、ゲート前に駐車できる場所があるどうかもわからなかったので展望台から歩くことにした。
明るい植林道だけあって、途中はノリウツギが多数あり、それらが満開でハナカミキリ類は事欠かない。
ルリハナやミドリなどの美麗系の虫は一応毒ビンに入れておく。
朝早いがクモマハナも1ex採れた。
ノリウツギがつぼみになるころには今度はショウマが満開で、さすがに明るいだけあってはじめはP. masakiiだけだったのが、次第にP. matsushitai, P. insuturata, P. semiobscura, P. bouvieri, P. takechiiなどが入ってきて標高があがってきたことを実感する。
とにかく一回ネットを振るうと無数のピドニアが入るのでなかなか足が進まない。
緩やかな林道を歩くのに3時間もかかってしまったのは予定外であった。
ゲートのところにある営林署の小屋を超えるとさらにネットに入るPidoniaの数は増えていった。

 ■H水源地のオニシモツケは満開。

 ■針葉樹に囲まれた水源地

■O山への登山道入り口はH水源地という安曇野への水源を確保するために江戸時代に開発された場所である。
今でもその水は尾根を越えて安曇野へと注いでいるようだ。
水源地の標高は約1700m。
やや明るい場所ではあるが、水源地だけあってオニシモツケが多く、しかも満開をやや過ぎた状態であった。
天気は薄日が射したり曇ったりである。
水源地の様子をぱっと見たとき、これは採れる!と思ったが、本当に多数の駄ピドたちが居た。
やや暗い場所を掬えば林道沿いの明るいところの花ではP. ohbayashiiが思ったとおりに採れた。
しかし、P. suzukiiやP. signataには若干標高が低いようであった。
叢の中ではシラネニンジンの花がひっそりと咲いていて、ここにもP. ohbayashii、P. semiobscula等が居た。
とにかく多数のピドニアがいて、十分数を採っている虫は逃がすことにした。
ただ、maculithorax種群は何が出るかわからないのでとりあえず優先的に毒ビンに入れた。
採集しているうちに、P. bouvieriと思われる虫の中に、ほとんど紋様の欠落した小型の個体が混じることに気づいたが、よくわからないまま毒ビンに放り込む。
P. silvicola, P. palidaかもしれない.
一通り掬い終わると昼近くになっていたのでN山まで急いで登るが、これまで薄日が差していた天気がどんどん悪くなる一方でガスもかかり登山道はほとんど先が見えなくなってしまった。

 ■N山へ続く登山道。道が掘り返されているのはイノシシの仕業か?


■天気がよければこの森はよい環境であったのでP. signataが採れただろうに・・・。
H水源地まで降りてくるころには小雨が降り始めていた。
急いで植林道を引き返したが、あれだけ時間の掛かった道を45分で下っていた。
登りでいかに多数の花を掬っていたかがわかるだろう。
さて、翌日からの槍ヶ岳登山(これは採集道具を持たない本当に登山)の予定だったが、どうも天候が思わしくない。
今日、気圧の谷が通過したあと今度は低気圧が抜けるようだ。
これでは雨の中登って、上では嵐になるかもしれない。
槍の穂先に登ることが目的だったため、こんな天気で登るのは最悪のコンディションだ。
かといって他の山はどうかと・・・携帯の山頂天気予報を探るが南アも含めてどこもかしこも雨マーク。
仕方ないので、一度大阪まで戻ることにした。
これまで採集した虫はクーラーボックスに氷を入れて置いてあるので、しばらくは持つだろうが一度整理して冷凍庫に入れるなり、展足しておきたいとも思ったので、後ろ髪を引かれる思いをしながら高速を飛ばして戻ることにした。


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