2003年 駄ピドの旅

ふじもり@えりー(ピドニ屋)

 

3日目(7月28日) K峠〜S峠

予定を入れ替えて南アへ移動した。
到着は夜遅くなったが、流仙荘前の駐車場は山の中とは思えないほど場違いに明るい照明で照らされていてすぐにわかった。
かねてよりバスで2000mまで登れる真性ピドニアの宝庫との噂を耳にしていたK峠〜S岳である。
徳本峠で小型の♂を1匹だけ採っているP. suzukii、そしてまだ見ぬP. tsukamotoiが目的である。
ここはネットを出せないので、デジカメを片手に写真を撮るだけだ。
事前の情報で今年は雪が多いというのは聞いていたが、登山客の数は車の数を見るとめちゃくちゃ多い。
駐車場は月曜日にもかかわらず満車状態だった。
朝一のバスに乗り込む。

 ■バスを待つ人々。3台目でやっと乗れた。


■小一時間で北沢峠に到着するも天気は悪く、ガスが掛かっている。
雲行きが怪しいとはこのことである、果たしてこの人ごみと天気でPidoniaは採れるのか?
バス停前のオニシモツケの群落が満開である.
おもわず飛びつきたくなるが公衆の面前でここに足を踏み入れるわけにはいかないのが口惜しい。

 ■満開のオニシモツケ群

■写真だけとって終わりであるが朝早いというのにP. oyamaeやらP. warusawadakensis (?)やらが運動会をやっているのが見える。
帰りのバスの時間があるので13時までの数時間が勝負である。
とりあえずS峠まで片道2.5kmの軽いハイキングをしながら時間をつぶすことになるだろう。
C小屋までは緩やかなくだりであるが、そこから川を渡ったところから、川沿いに登る登山道が始まる。
川を渡ったところにショウマが咲いており、ここで駄ピドはうんざりするほどいた.
道沿いにはキイチゴがあるが、まだつぼみの状態である。
丹念に探していくとアザミの葉の上に黒っぽいピドニアの姿が見えた。
おお,1年ぶりに見るP. suzukii♂ではないか。
ショウマのしょぼい花にもP. ohabayashiiが来ていた。
標高が高すぎたのかもしれないがP. semiobscuraは少なく、1♂を見かけた程度である。
明るいところではショウマやオニシモツケにはP. oyamaeやP. bouvieriなどの明るい紋様のピドニアは多数集まっている。

 ■オニシモツケに来ているP. testacea warusawadakensis♀

■アザミの葉の上でP. suzukiiがいたことが気になってその後もアザミを中心に見ていくと、全部で4 exsのP. suzukiiがいた。
しかもまだ緑色の薄い若いアザミの葉ではなく、いずれも大型の濃い緑色をしたアザミの葉の上であった。
4回同じ事が続くと、suzukiiはアザミとなにか関係があるのではないかと思ってしまうが、これも単に目に付きやすいということなのかもしれない。
しかし、相変わらずsuzukiiの♀は目に入らない。
途中一箇所だけ足元のキイチゴとは違って、明るい場所にあった背丈のあるイチゴ類の白い花が咲いていて、そこはbouvieri、orientarisの溜まり場であった。
無数の♂が葉の上で♀を待っているのかべたべたと張り付いている。
飛来して着地するときに耳をそばだてているとぴたっという音が聞こえてくる。

 ■原始の森

 ■S峠手前にある大ガレ

■S小屋から上の原始の森は、森としてはすばらしい環境であるが、残念ながらP. tsukamotoiの姿はまったく見えない。
K峠で採らねばどこで採る?といわれそうだが、P. tsukamotoiはまったく採れる気がしなかった。
もっとダケカンバの多い林のほうがいいのだろうか?
とりあえず小屋より上ではシャクナゲの花でいくつかP. bouvieriを摘む程度で、あとは何も採れなかった。
やはり小屋の間が良いと思い下りながら下草を見るが、虫の姿があまり見えなかった。
結局、帰り道ではP. suzukiiはおらず、P. ohbayashiiを1ex追加しただけであった。
前日に入った友人が6つばかり摘んでいるのでまあこんなものかと思い、バスの時間まで小1時間ほど時間があったのでO小屋まで下ってみる。
沢沿いの登山道にはオニシモツケがあるかもしれないからだ。
この間の針葉樹林帯内は薄暗く、やっぱり虫の姿は見えない。
小屋までくると、期待していたO小屋〜S岳への登山道が残雪のため閉鎖されていてた。
小屋の裏には花があったが、小屋の主人もいたし、ロープも張ってあり、開けた場所だったのでP. suzukiiはいないだろうと手は出さなかった。
一人、昼飯を食べている御仁としばし会話を交わしていると自分と同業者であることがわかり、しかも3年前まで私が居た職場の1kmも離れていないところに勤めていることが判明した。
何かの会合で会っていたかもしれない(^^;
世間は狭い。
はるか昔のことだが、合宿免許で伊那に滞在していたとき、最後の試験前に1日時間が空いたので、ポロシャツにローファー,サイドバックというとても登山客には見えない格好で木曽駒が岳に登ったことがあったが、そのとき大学のクラスメートに出会ってびっくりしたことがある。
彼は大学の授業にはほとんど出ていなかったのでクラスで会うことは滅多になかったのだが・・・。
一休みしたあと、すごすごと今来た虫のいない道を登り返し、バスを待つことにした。
面白いことにこの標高でもsemiobscuraが1♂だけだがいた。

■さあ,このあともう一度常念山脈に登るため中央道そして長野道を北上だ。


INDEX
BACK/NEXT