7月1日(月)
月曜だというのに無謀にも深夜採集へ行く。その祟りかご褒美か、Dポイントでヒラタ♀を採集した余勢で
ここAポイントでもペアを採集。6月19日の♂に次いで、こんどは♀で同日アベック・ポイント採集を達成できた。
また、7月に入りカブトも姿を見せるようになって、ますますの賑わいだ。
結果:ヒラタ1♂(39mm)1♀(25mm)採集、コ多数、ノコ・カブト数頭観察
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赤みがかったノコのペア | 左が2箇所で採れたヒラタ♀ |
7月9日(火)
桧枝岐へ泊りがけ採集に行った週末が明けたばかりというのに、懲りずに深夜の出撃。桧枝岐では念願のオオ♂を街灯で
拾うことができたりしたのだが、どうも自分は夜の樹液廻りの方が性に合うようである。この夜はピーコ氏が一緒に採集してくれた。
残念ながらヒラタを見つけることはできなかったが、コクワの他にノコがあちらこちらの樹上に貼りついていた。
カブトも樹液にかぶりついていた。夏本番だ。
結果:コ多数、ノコ・カブト数頭確認
7月16日(火)
職場が変わったばかりだが、私生活は何ら変わることなく平日深夜出撃。ただし、この夜の目的は、
これまでこのポイントで採集してきたヒラタのリリース。放す♀達に、たくさん産卵してほしいと願いをこめる。その後、せっかく来たのだから、
とりあえずいつもの木々を巡回。すると、ヒラタが結構見つかったりする。採り終えたらリリース。一通り廻り終った夜更けに、
入れ替わりのようにあきんこ氏がやって来た。先行してしまい申し訳なかった。
結果:ヒラタ2♂♂2♀♀、コクワ多数、ノコ数頭観察
(注14) この日以降は、ヒラタといえども観察または採集後リリースを基本とし、持ち帰りはめぼしい個体に限ることとした。
7月25日(木)
深夜のポイント観察へ。しかし、ヒラタについては不調のうちに終わる。それでもカブトを含め3目が観察できるので、
十分に楽しい。また、ポイント周辺の街灯に、東京ではめずらしいヒゲコガネが見られた。
結果:コクワ多数、ノコ・カブト数頭確認
7月29日(月)
深夜採集へ。6月と比べると、樹上の賑やかさがなくなってきている。まあ、真夏の暑い盛りのときは、かえってそんなものかもしれない。
ヒラタは何とか1頭だけ見つける。ヒゲコガネも相変わらず見つかる。
結果:ヒラタ1♂、コクワ多数・ノコ数頭・カブト数頭を確認
相変わらず見つかるのはマメピカ君
8月4日(日)
同じ区内で知り合った中学生のクワガタ少年を採集に連れて行く。アンタエウスやオウゴンオニなど飼育は自分より詳しいのに、
採集はあまり経験できていないとのことだったので、採集行きを約束していたのだ。全国の昆虫少年達よ、フィールドに出よう、
採集に行こう。
深夜ではないものの、夜の採集のため父親同伴となり、ご迷惑だとしたら申し訳なかった。幸い、コクワはもちろんのこと、
ノコやカブトもしっかり樹上に顔を出していた。そしてヒラタも1♂採集することができた。採集の楽しさを満喫してもらえたかな?
結果:ヒラタ1♂(32mm)、ノコ・コクワ・カブト数頭採集
(注15) 次の週末から夏休みに入り、家内の実家の三浦半島方面へ。この夏は三浦ミヤマ採集は不調だった。 何もかもうまくいくというわけにはいかない。
8月16日(金)
coelacanth氏が昨日、通勤帰途でヒラタ♂(54mm)を採集、ピーコ氏がこの日、その近所でヒラタ♂を採集、との報が入る。
うーむ、煽られますねえ。自分も何とかデカいのを、と思ったところ、いつものチェック・ポイントの最後の洞が
この夜はビンゴ! ピンセットで何とかつまみ出すと、デカい。思わず、ガッツポーズ。ところが、測ってみると、45mmしかない(苦笑)。
羽も傷ついている。自分が取り出したときにつけた傷ではないと思うが…。それでも東京での自己最大サイズなので、久々に持ち帰る。
結果:ヒラタ1♂(45mm)採集、コクワ、ノコ、カブト数頭を確認
測るまでは大きいと思ったのだけど
8月23日(金)
コクワがまた増えてきて、それと入れ替わりのようにノコやカブトが見られなくなってきている。この晩はヒラタもボーズであった。
結果:コクワ数頭確認
(注16) 晩夏から初秋は、他の採集者が少なくなるため、定点観察にとって何とも楽しみな季節である。その季節がそろそろ始まる頃だ。
8月31日(土)
久々にあきんこ氏と深夜出撃。コクワが多く見られる中、ヒラタ♂を何とか1頭だけ見つけた。帰ろうとすると、ピーコ氏も現れる。
先行してしまいゴメンナサイ。ところがこの夜のピーコ氏の狙いはヒメマイマイカブリだったそうで、見事採集したとのことであった。
結果:ヒラタ1♂・コクワ多数確認
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これは新成虫か | 樹上のヒメマイマイ(5月撮影) |
9月8日(日)
自分にはめずらしく、夕方明るいうちに出てみた。夜には見られないキマダラヒカゲやジャノメチョウなどのチョウが、
数多くヤナギの樹液に集まっているのが、深夜採集ばかりしているためかとても新鮮に映った。ヤナギの樹液は、
8月末頃から、根元に出ている場合が多くなっている。そのため、ヒラタ探しも樹上よりも根元が中心となる。
結果:ヒラタ2♂♂1♀・コクワ数頭確認
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樹液に群がるチョウ達 | 根元に潜むヒラタ♂ |
(注17) 観察を続けていると、季節の移り変わりによって、ヒラタの見つかる場所が違ってくるように感じる。 初夏の頃は、樹上に出ている個体が結構見られた。7月頃になると、夜でも小さな洞の中に引きこもっている個体が多くなる。 8月下旬以降は、根元で見つかる個体が少なくない。正しいかどうかはわからないが、これが季節を通じての印象である。
9月11日(水)
サイコ氏をお誘いし、平日の仕事の帰りに都心からサイコ車でAポイントへ。車の中でスーツから採集着に着替えるのは、
7月の桧枝岐行きのエンダー氏の車内以来である。途中で仕事の連絡が携帯に入るが、適当に受け流す。
コクワが初秋の盛り上がりを見せる中、ヒラタもしっかり活動していて、当初目的どおり無事に採集を果たすことができた。
サイコ氏が見つけたヒラタ♂は、自分にとって今季最大個体であったが、それでも残念ながら50mmには届かなかった。
また、姿を消しつつあったノコを、1♀だけ樹上で確認した。自分にとってノコ観察最遅記録であった。
結果(二人計):ヒラタ2♂♂(47, 39mm)1♀(30mm弱)、コクワ1♂採集/コクワ多数、ノコ1♀確認
この日の成果
(注18) 自分は別にヒラタだけを狙っているわけではなく、他の種だって採れれば採りたい。ミヤマ狙いの採集などには 今季も何度か行っている。9月16日はあきんこ氏と丹沢方面へ。天気が悪い中、ヤナギを蹴飛ばすとアカアシの雨が降る。
9月20日(金)
今年はたいした残暑もなく秋が足早に深まり、このポイントもそろそろコクワの数が減り出してきた。
樹液採集シーズンも末期が近づいているようだ。それでも、探せばヒラタはまだ見つかる。
結果:ヒラタ2♂♂・コクワ多数確認
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符節の一部が欠けている | 大顎の磨耗が激しい |
(注19) 初秋に入ると、もしかしたら越冬前のピカピカの新成虫が多く見られるかもしれないという、淡い期待を理由もなく 抱いていたが、実際に9月以降に見られた個体は、符節がとれていたり顎が擦り減っているようなものが多かった。
9月28日(土)
樹液採集シーズンが終わってしまうのは、なんとも寂しい。土俵際をこらえるように、深夜の出撃。樹上や洞の中の
コクワはますます姿を減らしているが、ヤナギの根元を注意深く見て廻ると、結構ヒラタが姿を潜ませているのが見つかる。
結果:ヒラタ1♂(39mm)3♀(27, 28, 29mm)・コクワ数頭確認
根元の近くを歩くヒラタ♀
10月2日(水)
昨日東京に来襲した台風が過ぎ去ったあとの様子を見に、深夜の巡回。しかし、こんな日に行くのはどうかしている。
ポイント全体が、それはもう、たいへんな水浸し。長靴でも歩きにくいこと、この上ない。根こそぎ倒れているヤナギもある。
ヒラタの生息環境はこうして更新されていくのだと、改めて思った。ところが、こんな中でも、泥だらけのヒラタを樹上で観察。
10月に活動中のヒラタを確認できたことがとても嬉しい。
結果:ヒラタ1♂(30mmほど)・コクワ数頭確認
10月6日(日)
相当涼しくなってきて、藪漕ぎ対策のウィンドウ・ブレーカーが防寒のためにも欠かせなくなってきた。車内の温度計によると、
深夜の外気はとっくに20℃を割り込み、17℃を表示している。それでもコクワはポツポツと見られ、ヒラタも動きは鈍いが
まだ健在の様子。産卵のためか朽ち木の上を歩く♀や、樹上の洞近くでペアが見つかったりした。どうか来季も多くの姿を
見せてほしいものだ。
結果:ヒラタ1♂(30mmほど)3♀♀、コクワ数頭確認
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朽ち木の上を歩くヒラタ♀ | 樹上にはまだペアが |
(注20) その後、さらに気温の低い日が続き、これをもって今年の樹液採集の幕を閉じることとした。最後までヒラタを 観察することができて、満足のいくシーズンであった。