パプキンイロクワガタの体色発現で遊ぼう(partU)


by make


【黄金色に輝く Irian Jaya Arfac Mt.産 F2】

1. はじめに

2000年秋号(No.20)に、「
パプアキンイロクワガタの体色発現で遊ぼう(-遺伝基礎知識編-)」を投稿させて頂いてから1年が過ぎた。
Irian Jaya Arfac Mt.産のパプキンを主軸にし、体色発現に着目、選別累代を続けておりますが、数代羽化させたくらいでその遺伝子型を想像させてくれるほど、パプキンの体色発現の仕組みは易しくはないようです。
複数の遺伝子がお互いに影響しあい発現しているためか、或いは体色発現の仕組み(上翅等の構造)そのものが微妙であるためか、その答を得るためにはまだまだ長い付き合いが続くでしょう。
さて、今回PartUとして、光沢や体色を基準に選別累代して得られている個体の紹介と、少々珍しい体色発現を持つ個体を紹介させて頂こうと思います。
パプキンの面白さは、なんといってもその綺麗な体色とバリエーションの豊かさにあると私は思います。少々画像が重いかもしれませんが、磨けば光るパプキンの面白さを今一度感じて頂けたら幸いです。


2. 珍しい体色発現を持つ個体

2.1 
上翅の光沢が異常に強い♂

【上翅の光沢が強い体色発現をみせるPapua New Guinea産ワイルド♂(画像右[右]が同一産地普通個体)】

上翅にニスを塗ったり画像処理を施した偽物でもない。勿論羽化直後の個体でもない。そろそろパプキンの季節だろうと、都内のSHOPへ足を運んだおりに、Papua New Guinea産ワイルドとして売られていた個体群の中に混じっていたものです。上翅の感触は、若干ツルツルしたように感じられ、硬度は一般の個体と同じ。
原産地では、稀に上翅に艶のある個体が観察できる。と、
載っている書籍がありますが、このような個体を言っているのではないかと思われます。
この個体を購入したさいに、
Papua New Guinea産処女♀の手持ちがなかったので、とりあえずIrian Jaya Arfac Mt産処女♀と交配することで、雑種第一代(F1)目となる幼虫を得ています。雑種第二代(F2)目あたりで同発現個体が混じることを期待しているわけですが、如何なることやら。
常染色体に座上し、♂♀共に発現する遺伝子によるものであって欲しいと願うわけですが、そうであれば、上翅にコーティングを施したようなアウラタに酷似したパプキンを創ることができるかもしれません。


2.2 前胸背板に斑点を持つ♀

【前胸背板にベース色と異なる色の斑点を持つ Irian Jaya Arfac Mt.産 F2

前胸背板にベース色と異なる色の斑点を持って羽化した個体です。画像からは確認しづらいかもしれませんが、斑点部分は羽化不全による凹凸というよりは、パッチワーク状にその部分が切り張りされたような構造になっています。何故このような斑点が生じたのか原因は判りませんが、羽化不全を含め3桁を越える個体をこれまに羽化させておりますが、このような斑点を確認できた個体はこの1匹のみでした。
何かしらの事故により、このような斑点が発現したように考えてはいるのですが、一応遺伝するか否か同胞♂と交配し、雑種第一代(F1)目となる幼虫を採っています。
このような事例は私のところでは初めてですが、皆さんのところでは如何でしょう。原因などご存知の方がおりましたら、是非ご教授頂けたらと思います。


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