T A K E IT EASY!

 何も分からない僕だけど、「旅は道連れ」とばかりに−緒に捜す。どうもこのデパートにはなさそうなので、とりあえず誰かに聞いてみようと提案する。玄関の所にお巡査さんらしき人が立っていたので聞いてみるが、「No speak English」だと。それじゃぁホテルで聞いてみよう。通りの向うに大きなホテルがあったのでフロントで聞いてみる。提案するのは僕で実際に尋ねるのはLuc。英語が母国語のL u cを差し置いて僕が下手な英語で聞くなんて!「〜turn to right and right〜」とか。ホテルを出て右に曲かって、大きな交差点をまた右に曲がって歩いて行くと、在りました在りましたマクドナルドの横にドラッグストアーが。Lucはお店の人に相談して15$で液体の喉薬を買いました。
 Lucが部屋に遊びに来ないかと言うのでためらわず付いて行く。相手が複数だったら僕もためらったに違いないが、1対1ということで自然に付き合うことが出来た。LucはMarco Polo Hotelのツインルームに一人で泊まっていた。僕の部屋より2ランク以上グレードの高い立派な部屋に。なんだかんだと自己紹介しながら、お土産を見せてもらう。Lucは香港に来る前にタイに1週間、マレーシアに3日寄って来たらしい。ファッションに興味があるのか土産はすべて服。ラコステのポロシャツを数枚、オールレザーのジャケットやらネクタイ等々。見るからに優しいLucはちゃんとこれはお母さんに、これは妹に、これは彼女にと抜かりない。彼が出してくれたビ一ルのせいか、僕もお粗末な英語ながら悪戦苦闘する。彼はオーストラリアの都会メルボルンに住んでいてレストランで働いているらしい。月給は約16万円。それで充分やって行けるらしい。年に一度のバカンスと決め込んで1ケ月の旅の最中らしい。香港で1週間遊んだら帰る予定とのこと。羨まし〜!土産の値段の話しになるとまったくややこしい。日本円・US$・HK$・AU$にタイのバーツまで顔を覗かせて、二人とも紙とペンを持って計算しまくる。ランプの下では僕の太陽電池電卓が大活躍。話しはどんどん進展して物価問題にまで発展する。Lucは僕の英語力を察してか、いや見破って〔一聞瞭然〕易しい単語を選んで話してくれるのが嬉しいしだいである。聞き辛い単語は紙に書いてくれるし、相手の身振り手振りに表情を見ればなんとかなるものだ。僕も話す前に頭の中で一応英作文してみるが、いつも途中で行き詰まる。それでも構わずえ〜いとばかりに話しかけ、行き詰まったら先はゼスチャーとそれらしい単語をぶちまけて。「言葉なんていかに自分の思いを伝えたいか」である、と自己弁護などして我が無学は棚の上。
 それにしても彼は旅慣れているのだろう。次から次へと見せびらかす土産はすべて部屋の引き出しやクローゼットの中から。1週間も滞在するとあってか自分の部屋として使いこなしている。僕はと言えば不精と言うか用心深くトランクに鍵を掛けてベッドの上に。


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