異国の晩餐会

 話し疲れて二人とも眠りかけたが、晩めしを食べに行くことにする。ウェスタンスタイル・日本料理・インド料理・中華料理・イタリア料理・スペイン料理等々食べ物に不自由しない香港。せっかく香港に来たのだからと中華料理に二人で決める。
 さて、何処で食べようか?ホテルを出る時にフロントのインフォ−メイションで聞いてみる。いろいろ歩き廻ったが教えられたレストランも分からず、かと言って適当なお店も見当たらず、迷いに迷った末、Lucのホテルの傍の中華レストランに入る。見るからに立派なレストランで懐の寂しい僕は少々心配だったが、つい勢いで入ってしまった。レストランの中はまさしくけんらん豪華でまっ赤なじゅうたんが敷詰めてあり、店じゅう装飾品が飾ってある。ちょうど食事時で入り口のテーブルしか空いてなかったのでボーイさんに案内されるまでもなくそこに陣取る。少しすると窓側のテーブルが空いたのでウェートレスさんに了解を得て移動する。丸いテーブルに奇麗なテーブルクロスが掛けてあり、お行儀の悪い僕はクロスを汚すのではと心配顔。メニューを見ても訳の分からぬ漢字がずら〜と万里の長城の如く果てることなく続いている。仕方なく英語の添え書きを読んで大体の察しを付ける。知ったか振りをしても始まらない。ウェートレスさんを呼んでお薦め料理を紹介してもらう。結局Special menuを頼むことになった。暫くすると器が次々と出て来る。四大文明の一つ黄河文明発祥の地中国、食文化を大切にするところは流石と唯々感心するばかり。北京ダッグ・魚・海老・チャイニーズマシュマロ等々出て来る出て来る。二人の出会いを記念して中国のビ−ルでLucと乾杯!Lucはサウスポーで著を上手に操る。「著の使い方が上手いね」と決まりきった誉め言葉しか言えない自力がなんと情無いことか。著文化は中国や日本ばかりではないのに。  いろんな調味料があるのでウェートレスさんに美味い食ペ方を聞きながらたいらげる。手の掛かるお客さんと思いながらも面白がってボーイさんもウエートレスさんも自然と僕らのテーブルに集まってくる。すぐに皆さんと打ち解けて話しが盛り上がって来た。すかさず今度は香港のビールを注文して。タバコに火を付けてもらえば、すぐタバコの話しになって、私は少し吸うけど香港の女の子はほとんど吸わない、と胸の内ポケットのタバコをチラつかせながら話す奇麗なお姉さん。オーストラリアじゃ女の子もプカプカと大公害などと自分の事は棚に上げて話すLuc。日本語が少し話せるボーイさんがやって来て、僕が名前を紹介するのに免許証を見せれば車の話しに。オーストラリアでは16歳から、香港では20歳?)から免許が取れるとか。若くて可愛いウェートレスさんも寄ってきて、何処に住んでてどんな墓らしをしてるとか。話しは尽きない。5年間イタリア語を勉強しているとLucが言えば、姉さんウェートレスもイタリア語なら任せなさいといきなりレッスンが始まる。みんな色々と勉強してるんだなーと感心しきり。後で聞いて分かった事だけど香港では、中国語の他にどれだけ外国語が話せるかによって、仕事が決まり生活が決まるらしい。だから、中国から物が氾濫する香港に来ても、中国語しか出来なければ日雇いの仕事しか就けない。英語が出来ればホテルなどで働くことも出来るが。国際観光都市香港では語学力こそ力であり金であるらしい。だからこそ、香港には活気があり、ハングリアンスピリッツを感じる。香港を考える時、高層ビル群だけに目を向けることなく、それを取り巻く雑居ビル、スラム化したアパート群、そしてそこに住む人々の凄まじいまでに底知れぬ生活力そのパワーにこそ香港を見るような気がする。
 こんなに時間をかけて食事したのは生まれて初めて。みんなの話しに釣られて2時間近く騒いでしまった。自分であって自分でないような気がした。だけど、みんなの話しが100%理解出来た訳ではなかった。多めに見積もっても45%位しか分からなかった。でも、そんなこと問題じゃなかった。
 食事代は二人合わせて358HK$。大阪空港で替えた170HK$の残り150HK$しか持ち合わせてなかった。残りはLucに御馳走になる。我ながらいい度胸してると思った。初めての国で初めての人と食事して自分の金が払えないなんて。
 Lucの部屋で少し休んだ後、明日会う約束をして別れた。ホテルヘの帰り道、街角のマネーチェンジで15US$を107.50HK$に替える。香港にはいたる所に銀行やマネーチェンジがある。夜のそれはネオン菅のイルミネーションがとても奇麗でアレッと思うこともある。
 スターフェリー乗場の前でタバコと道に広げて売っていたエロ本を10HK$で買ってシャツの下に忍ばせてホテルヘと急ぐ。フロントでルームキーを受け取る時、少々後ろめたいやら気恥ずかしいやら。部屋に入るや否や開けてぴっくりたまて箱。思わずニタ〜ッと得意の粘っこい笑みが溢れる。たった10HK$でノーカット。なんとラッキー。HongKong is Heaven!HongKong is Paradise!

 何が何だか分からぬ内にハプニングだけで一日が過ぎ去った。
                       おやすみなさい  AM2:00


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