群居せず
帰りの機内は体調も良く、流石に飛行機も二度目とあって落ち着いたもの。大阪空港までノン・ストップということで、ミュージックなんぞを御拝聴して寛ろごうと思うが、そうはイカのキンタマ、タコがひっぱる。後ろに座ったアン・ノン姉ちゃんが僕の席を膝で小突く。「お行儀良うせんかい、このパープー婆ぁ!」
コーヒーサービスが始まり、機内はにわかに騒がしくなった。お客のほとんどは日本人のようで、あっちからもこっちからも団体様の賑やかな話し声。いったい何だ、このハシャギ様は?既に出来上がった殿方は、自分の自慢話に酔って手の打ちようが無い。どこにもいるんだこの手の集団が。夜行列車の中にも、キャンプ場にも。仲間を大切にするあまり、自分達がすべてだと勝手に思い込み、周りにいる人達が目に入らないのである。その上「友情」だの「連帯」だのと語り始めたら始末に負えない。
集団にしろ個人にしろ、自分の世界に陶酔するのは良しとしても、せめて他人様には迷惑をかけまいではありませんか。
車の中からバイクのソロ・ツアラーを見掛けた時も、バイクで自転車野郎とすれ違った時も、自転車でバック・パッカーを追い越した時もいつも悔しい思いをする。その苦痛に顔を歪めて自分の内なる何かと闘いながら旅する彼等は、必ず僕よりいい汗を流している。お互い、どんな旅をしてきたのか知らないが、そんな寡黙な彼等と擦れ違う一瞬にこそ強い連帯意識を感じる。感動を分かち合える人がいつも隣にいるとは限らない一人旅、ちょっぴり寂しいけれど虚しくなんかないよ、心の炎だけは燃え続けているから。きっと本当の悲しみなんて自分一人で癒すものだろう、たった一人きりを感じる強さだけは逃したくない人ごみの中で。
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