My Revolution

 腹が膨れて機嫌を良くした僕は、搭乗までの時間を一階の土産物屋で過ごそうと階段を降り掛けた時、左手の方に公衆電話があることに気づいた。Luc達はまだ眠っているだろうか。これがLucの声を聞く最後のチャンスだ。そう思うと昨日つながらなかった事など忘れて、財布の中に仕舞っておいたLucのホテルの電話番号を書いた紙切れを引っ張り出した。受話器を取って$1コインを入れて「721ー5111」ピッポッパとプッシュボタンを押す。ジーッと回線のつながる音に続いてプルプルー、プルプルーと呼出音が聞こえてきた。今日も駄目かなぁと思っていたら「Hello。Marco Polo Hotel」と低い声でフロントの人が答える。絡がってしまった!その喜びとは裏腹に、この後どう言おうと焦ってしまった。「Please call room number 730」「Name please」「Luc. Luc Tuyau」「OK. Just moment please」Lucが出てくれるだろうか、半信半疑で聴覚を受話器に集中させる。ジッ「Hello」聞き慣れたLucの声。「Hi, Hello Luc. I’m Takanari. Now, I’m at airport」「Really?」「Yes. I have to go back to Japan」「・・・」「Yes」「・・・」[Thank you. Thank you」興奮している僕には、Lucの言葉が良く聞き取れなかったけど、彼の心だけはすべて受け止めていた。「After you go back to Japan, Please send me your letter and pictures」「OK, OK. Thanku you all your kindness!I shall never forget your kindness!Have a nice trip!Good−Bye」受話器を置いた瞬間、僕の旅は一気に昇華した。電話を掛けられたこと、Lucの声が聞けたこと、お礼が言えたこと、すべてが嬉しくて、別れは淋しかったけど僕の心は踊っていた。「さよなら」が言えただけ、僕は少し大人に成ったような気がした。


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