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圭オフィス車高調・タイプTD&TD−II 混成仕様
 
〜 ストローク重視で リヤ用ダンパーをフロントに使用するの巻 〜

〜 脚廻り交換記 三部作・その3 〜

ノーマルサスペンションから車高調導入に至るまでの期間を、三部に分けて回想してみました。
 
  ◎第一部 : デイトナΣβ200の装着(純正ビルシュタイン+ローダウンスプリング) → こちら
  ◎第二部 : クスコ・バカンツァ車高調(初めての車高調選びで大失敗?するの巻) → こちら
  ◎第三部 : 圭オフィス・タイプTD&TD-II 車高調 混成仕様の巻 → このページ

【画像1】 圭オフィス車高調をベースに、swift・スプリング と クスコ・ピロアッパーを組んだ様子
圭オフィス+swift クスコのアッパーマウントも使用
(※ベステックス・フリクションレスシートも組み込んでいます。)

<もくじ>
1.まえがき
2.圭オフィス・タイプTD車高調について
3.圭オフィス(株)へオーバーホールを依頼する
4.トラブル発生の巻
5.リヤ用ダンパーをフロントへ(タイプTD&TD−II 混成仕様)
6.スプリングの選定について
7.いざ装着の巻(各構成パーツの印象)
8.走行時のインプレッション(街乗り編、ミニサーキット編)
9.まとめ
10.あとがき
来訪者数 ;
 

●2004-03-24 : 新製
●2004-03-30 : 校正&仮公開
●2004-04-09 : 画像追加&正式公開
  (※画像7、参考画像1〜3、表1、を追加)
●2004-04-10 : 表1訂正(Δ1)&追記

 

1.まえがき
 

前章: 「クスコ・(旧)バカンツァ車高調 (〜KAZさん、初めての車高調選びで失敗?するの巻〜)」 からしばらくの後、私はまた車高調選びを再開させていた。

ここでは、新品の車高調キット購入も視野に入れつつ、結局中古の車高調を手に入れるに至った経緯、およびそこからの仕様変更ドキュメント (メーカーである圭オフィスとのやりとり)、そして現在の使用状況とその感想について、順に述べることにする。
 

2.圭オフィス・タイプTD車高調について
 

前回の バカンツァ の一件により、ロアシート移動式の中古・車高調に懲りた私は、今回初めて新品の車高調キットを購入することも視野に入れ、見積もりをとってみた。具体的には、仲間うちで使用実績のある (あるいはひどい評判を聞かない) APEXiN1ダンパーに的を絞り、複数の通販業者に見積もり依頼のメールを送ってみたのだった。

候補は、
 (1)N1ダンパー・タイプPro、
そして
 (2)N1ダンパー・タイプV、
の2機種である。

2003年の年頭でオートサロンに参考出品されたらしいN1ダンパー・タイプZは、いつまで経っても市販される気配が無いので、上記2種に的を絞ったというわけだ。

さて戻ってきた返信メールの内容によると、通販業者によって販売価格に多少の差が見られたが、タイプ V(260AF005、定価 22万3千円) で通販価格はおおむね16〜17万円程度、タイプPro(262AF005、定価28万8千円) でおおよそ21万円〜22万円であった。・・・ううぅ、安値がウリの通販とはいえ、やっぱり新品のキットは高価であることには変わりない。私には、(新品購入は) ハードルが高く感じられた。結局、また中古 (オークション) でめぼしいものを漁(あさ)ることにした。

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そんな中、ふと目についた出品物が、「美品」 とのふれこみで出品されていた圭オフィスのERFOLGKEI 車高調であった。オークションの商品説明欄には、その商品に関しての情報があまり載っていなかったため、オリジナルの仕様を確認すべく、発売元の圭オフィスの公式サイトをそのとき初めて見に行った。それまでは、圭オフィスというと、雑誌でたまにその名前をみかける程度であった。また、実際にその製品を身近で装着している知人もいなかった。

圭オフィスの公式サイト によると、現行の車高調シリーズは、ダンパーの減衰力が固定のものと可変のものとの2シリーズに大別される。例の出品者の車高調は減衰力固定式であるから、シリーズ名でいうとERFOLGKEI の タイプTD-II に相当することが判った。だがまてよ? 出品物と現行品では、スプリングのレートが若干異なっているようだ。が、出品者はスプリングなどの仕様変更は行っておらず、いわゆる 「つるし」 の状態のままのようだ。

圭オフィスの公式サイト をよく見ると、現行品は 「タイプTD−II 」 と表記されていることから、たぶん、初期型としてタイプTD というのが存在し、それがマイナーチェンジしてタイプTD−II になったのだろう、と推測。つまり、出品物は現行になる前の旧モデルであると判断した。

それにしても、圭オフィスの公式サイト不親切だ。たとえば APEXi の公式サイト では、N1ダンパーの 寸法図 が公表されており、購入予定者はその仕様について事前検討することが可能となっている。それに対し、圭オフィスの公式サイトではそういった情報の公開ほとんど無い。私見であるが、ユーザーの視点に立ったサイト運営とはなっていないように感じてしまった。

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しばらく検討を重ねた結果、圭オフィスの車高調は、私の周りでだれも装着していないこと、出品物は程度が良さげに見えたこと、そしてこれは完全な私の主観になるが、少なくとも、前回の(旧)バカンツァ車高調よりは造りが ”まとも” であるように思われたことなどから、思い切って落札した。読者の中には、車両のハブ (ナックル) と接続される部分のロアブラケットの構造が、板金による一体成型品ではなく溶接品であることを嫌う方もいるようであるが、ミニサーキットをラジアルタイヤで流す程度の入力なら、実用上は強度的な問題はなかろうと (勝手に) 判断し、落札に踏み切ることにした。

【画像2】 ロアブラケットは、「円筒+板」 の溶接構造
ハブと接合する板は、ブラケット(筒)と溶接で接合

もちろん、中古の車高調 (しかも旧タイプと思われる) なので、今回も多少のリスクは付き物だろうが、少なくとも ”箸にも棒にもかからない” といったお手上げ状態にはならないだろう、と判断したうえでの落札である。果たして凶と出るか吉と出るかは、落札後のお楽しみ・・・である。

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さて、今回実際に商品が送付されてくると、梱包はしっかりとしたものだった。やはり前回が例外的に運が悪すぎたのだ。

【画像3】 落札した圭オフィス車高調・(旧)タイプTD
落札した圭オフィス・(旧)タイプTD 
フロントのピロアッパー部分拡大図

各部を分解してよ〜く観察すると、前オーナーの使用状態に対して・・・というよりも、圭オフィスがリリースしている仕様そのものに関して、私なりに多少の文句品質改善要望が出てくる。例えばアルミアッパーマウントだ。公式サイトでは、「アッパーマウントの材質もテストにテストを重ねて磨きだしたアルミ合金を採用。」 と明記されているが、”テストにテストを重ねた” という割には、ネジと接する部分がしっかりと座屈しているではないか (後述)。やはり、強度が求められる部分にはそれ相応の部材を用いたいものである。

・・・などというように、各構成パーツ一つひとつに、素人の私なりのツッコミを入れて現状の状態確認をしていった。

その結果、1点だけ致命的なものが見つかった。フロントのダンパーが1本、死んでいるのだった。フロントの左右2本のダンパーロッドをゆっくりと下まで押し下げ、素早く押しつけ力を解放すると、明らかに左右のロッドで伸展速度が異なっている。しかも、その伸びが遅いほうの1本は、元の状態 (上端) まで戻らずに途中で動きが止まってしまう。これではまったく使えない。

【画像4】 フロントダンパーのうち1本は、要オーバーホール状態

ロッドを縮め、手を離した直後の様子

左側ダンパーの
ロッドの動きが悪い

手を離してしばらく経ったあとの様子

だがもしかすると、2本とも死んでいる可能性もある。

上記は単に左右を相対比較しただけの事であり、新品と較べると、両者ともに劣化している恐れだって考えられる。が、フロントの残り1本はロッドの動き方に違和感が無く、またリヤの2本のダンパーと較べても、極端に伸縮特性 (注:”特性” とは言っても、機械で計測された定量的な厳密なものではなく、あくまでも簡易的に目視確認したレベルであるが・・・) が変わるものでは無かったため、1本のみダンパー特性が劣化したものと判断し、早速オーバーホールの手続きをすることにした。ちょうど去年(2003年)のゴールデンウィークのころの出来事である。
 

3.圭オフィスへオーバーホールを依頼する
 

さっそく、圭オフィスに電話してみる。受付嬢が出た。以下は、そのときのやりとりの大まかな再現である。
 
私 「御社のダンパーについて、オーバーホール(以下、O/Hと表記)を依頼しようと
   思っているのですが、その際、事前に確認させていただきたいことがありまして、
   今回電話させていただきました。担当の方をお願いいたします。」
嬢 「はい、どうぞ。
私 「(え?受付嬢がそのままオーバーホール担当者なのか??) 」 と思いつつも、
   言われた通り、とりあえずそのまま受付嬢に話を続けてみる。

私 「御社のO/Hの制度について、詳しく教えて下さい。O/Hというからには、
   内部を構成する消耗部品を交換する際に、例えばダンパーのストロークを
   もう20mm伸ばしたりするとか、初期減衰力の立ち上がりカーブに小変更
   を加えるなどというように、ユーザーサイドからの要望を元にした仕様変更
   =オーダーを同時にお伝えすれば、そのように仕様変更していただける
   制度・・・なのでしょうか?」

嬢 「すみません、弊社のO/Hとは、送っていただいた古いダンパーを、丸ごと新品
   のカートリッジに替えて、新品をそのまま送り返すだけの作業になります。」
私 「(少々しつこいとは思いながら・・・) すると、御社のO/H制度とは、ユーザーの
   要望に応じた仕様変更を受け付けるのでは無く、単にダンパーを丸ごと新品に
   交換する手続き・・・のことをO/H制度、と言うのですね?」
嬢 「はい、そうです。今まで、そういった個別の要望を伝えてきたお客様は
   いなかったと聞いています。」
私 「(^_^;) ・・・(そこまで開き直って(?)元気に言い切られてもなぁ)・・・。」

私 「分かりました。では、ユーザー登録とO/H手続きを同時にお願いしたいのですが、
   よろしいでしょうか?」
嬢 「今お使いのダンパーを送付する箱の中に、記入済みのユーザー登録用紙も
   同封していただければ結構です。」

私 「分かりました。ちなみに、今現在O/Hを依頼すると、どれくらいの所要期間が
   見込まれるでしょうか?」
嬢 「そうですね・・・。連休明けで工場の方が混んでいますので、だいたい3週間
   程度になるかも知れません。」
私 「(どひゃ〜、3週間もか!?とは声に出さず)・・・ありがとうございました。
   後ほど御社に送付しますので、よろしくお願いいたします。」
嬢 「お待ちしております。」

私はダンパー単筒を丁寧に梱包して、ユーザー登録用紙とともに圭オフィス当てに送付した。ちなみに、単に ”交換するだけ” のO/H費用 (・・・全然O/Hじゃないやんけ、というツッコミは置いといて) は、14000円/本 (消費税は別途) である。まぁ、仕方があるまい。本来ならば、左右のダンパーでほぼ同じような使用履歴を持つことから、例えば水平対向エンジンの左右ロッカーカバーガスケットのように、左右同時交換望ましいのかも知れない。が、今回はしばらく様子を見るためもあって1本のみの送付とした。

そして、先方から新品が返送されてくるのを待つ日々が続いた。
 

4.トラブル発生の巻
 

ようやく、待ちに待ったフロント用ダンパーが、ユーザー登録カードとともに届けられた。O/H料金は、商品を無事に受け取った後の支払い (商品先送り) でOKである。早速、丁寧に開梱し、おニューのダンパーを手に取ってみる。

【画像5】 ユーザー登録カードとともに送られてきた新品ダンパー
会員登録カード 
送られてきた新品ダンパーだったが・・・。

「やっぱり、新しいダンパーは気持ちが良いねぇ・・・。 (^_^) 」
「あれ?! (@_@) 」
「・・・・?! (>_<) 」
「ちょっとちょっと!! (T_T) 」

何と、送られてきた新しいダンパーを、残っていた手持ちのダンパーととなり合わせて並べてみると、明らかに種類というか、型そのものが違うじゃないか!! フロントの左右でダンパー長が全然異なっているじゃねーか!! うおー! これじゃ、まったく使い物にならねぇー!!

【画像6】 圭オフィス側の発送ミスで、フロントの左右でダンパー長が異なり使い物にならない状態。
上が誤送された新品ダンパー 左が誤送されたダンパー。明らかに長い。
(画像左):上が新品、下が手持ちの品    (画像右):左が新品、右が手持ちの品

すぐさま圭オフィスに抗議の電話をすることに。その際、単に怒鳴り込むだけでは相手側に 「クレーマー」 と受け取られかねないので、まずは次の内容に沿って話を進めるようにした。

◎最初に事実を伝達する(O/Hを依頼したが、御社の発送ミスで別物が届いた)。
◎なぜ、そのような発送ミスに至ったのか、その原因の説明を求める。
  (その原因によっては、謝罪を求める。)
◎発送時はお互いが送料を負担することになっているが、今回は完全に
  そちら (圭オフィス) 側の発送ミスであるから、送られてきた新品ダンパー
  を返品する際の送料については、そちらで負担していただくよう要求する。

受付嬢は前回と同じ人だったようであるが、さすがに今回は
 嬢 「開発部の担当者と変わります。」
といって、電話を技術窓口担当に回してくれた。

結局、原因は圭オフィス側の確認ミスであった。人的な要因だ。以下、O/H担当部署の人によると、

◎圭オフィスの車高調では、現行タイプTD−II に至る前の旧・タイプTD
  には、前期型と後期型の2種類が存在する。
◎私が落札した圭オフィス車高調は、この旧・タイプTDの中のでも
  前期型であり、最初期の仕様であった。
◎旧・タイプTDの前期型は、販売個数が少なく、しかも販売中止になって
  から、けっこう時間が経っている(今ではほとんど見かけないという)。
◎担当者は、私が送ったダンパーに添付されたO/H注文票を見て、
  単に旧仕様とだけ判断し、旧・タイプTDの中から後期型を発送してしまった。

ということが判明した。
本来ならば、私が中古で入手した圭オフィスは旧仕様の中でもマイナーチェンジ前の前期型であるから、O/H後の新品ダンパーも、同じく旧仕様の前期型を発送のが基本だと思うのだが、圭オフィスの内部事情により、その旧仕様の前期型の在庫ほとんど無いという。また、今後も使用していく過程において再度O/Hが必要になった場合、そのときこそ、もう在庫が残っていないと思われるという。要するに、補用品としての在庫もほぼ無い状況だという。
 

5.リヤ用ダンパーをフロントへ(タイプTD&TD−II 混成仕様)
 

そこで、圭オフィスの担当者は、私に対し、「今回のO/Hのタイミングで、もともと手持ちのものを含めたフロント2本を同時に、より新しい仕様のダンパーに替えてはどうですか?」・・・と言ってきた。つまり、こういう(↓)提案だ。

 <先方の言ってきた提案(1)>
 
残っている、手持ちの正常な 「旧仕様の前期型」 1本のみを追加で圭オフィスに返品。
 → これを、間違って発送したものと同じ 「旧仕様・後期型」 に替えて当方に発送。
 → (結果)ヤフオクで落札したフロント2本を、両方とも旧仕様 (タイプTD)
        の後期型に交換することになる。

 <先方の言ってきた提案(2)>
 
間違って発送した 「旧仕様・後期型」 の返品に加え、
残っている、手持ちの正常な 「旧仕様の前期型」 も同時に圭オフィスに返送する。
 → これらを、2本とも現行仕様 (タイプTD−II ) に交換して当方に発送。
 → (結果)ヤフオクで落札したフロント2本を、両方とも現仕様の
        タイプTD−II にそろって交換することになる。

お!? するってぇと、O/H前のダンパーとO/H後のダンパーは、型(年式)が違っても良いということか! しかも、料金は変わらないという。それならば、より設計年次の新しい現行モデルに交換してもらった方がである。・・・ということで、さらに以下の点について、ダメ元 (だめで もともとだ、もしOKならラッキー、の意) で打診してみた。

私 「実は、単に車高を下げるファッション目的の装着ではなく、ミニサーキットを
   走ることを目的として、ダンパーストロークをなるべく多く取りたいのです。
   O/Hの際、そういった仕様変更はやはりしていただけないのでしょうか?」
氏 「なるほど。ウチでは仕様変更はしていないのですが、もう少し詳しく聞かせて
  もらえませんか?」
私 「かくかくしかじか。」

  以下、クルマはレガシィワゴンで、ミニサーキット目的 (街乗り用途の快適性は
  損なわれても可)、富士など高速サーキットは走らない (中低速コーナー主体)、
  タイヤは16インチで車高はあまり下げたくない、スプリングのバネレートは走る
  コースに応じて今後替えていく予定、などといったことについて説明する。すると、

氏 「当社のBGレガシィ用ダンパーで、いちばんストロークの長い物は、現行の
  タイプTD−II (ラム式) のリヤ用になります。ストロークの確保を重視される
  なら、この現行リヤ用フロントに装着してはいかがですか?」
私 「えぇっ? リヤ用ダンパーをフロントに・・・ですか?」
氏 「えぇ、そうです。」
 
私 「リヤ用をフロントに用いると、まず減衰特性が合わないのではないですか?
   第一、フロントとリヤでは車重 (軸荷重) がかなり異なりますし、それ以外
   でも、例えば組み合わせるべきスプリングのバネレートの選択に制約
   生じたりとか、何か他に不都合な点が生じたりしませんか?」
氏 「特に不都合な点は無いですよ。リヤ用をフロントに用いた場合、ダンパー
   の減衰力は、大雑把に言って (オリジナルより) 約3割ダウンです。
   硬い・柔らかい、という表現は抽象的ですが、強いて言えば、3割ほど柔らく
   感じられるくらいですね。組み合わせるスプリングのバネレートについては、
   ご自分で変更されるとのことですから、最初はレートの低いものから順に
   試していけば良いでしょうね。」

私 「そそそ、そうですか?」
氏 「えぇ、ダンパーのストローク確保を最重視されるのなら、BG用の現行リヤ
   ダンパーをフロントに使うのが一番良いですね。最新のラム式になります
   から強度上も有利になりますし、後々のメンテナンスのことを考えると、
   もしも今後O/Hされる際にも、最新モデルなだけに在庫体制が十分に
   整っているので、即納することができますよ。」

私 「なるほど。それでは恐れ入りますが、比較のため、各ダンパーの減衰力
   特性 (横軸:ピストンスピード、縦軸:減衰力、のグラフなど) がありまし
   たら、こちらに資料を送っていただけますか?」
氏 「グラフは今すぐには出ませんが、各ダンパーの寸法やストロークについて
   簡単な図面をそちらに送りますので、それを見ながら検討してみて下さい。」
私 「解りました。よろしくお願いします。」

上記のようなやりとりを経て、実際にFAXで送られてきたのが、【画像7】に示す寸法比較用の資料図面である。なかなか親切な対応をしていただいた。これによると、各モデル (ダンパー仕様) での寸法とストロークは、次の通り。

【画像7】 圭オフィスから送られてきたFAX画像
FAXで送られてきた簡易図面

<↓参考画像1 上段:旧旧フロント、下段:旧フロント>旧旧フロントvs旧フロント

<↓参考画像2 上段:新フロント、中段:新リヤ、下段:旧旧リヤ>
新フロントvs新リヤ

資料によると、現行のタイプTD−II のリヤ用はストロークが 約140mm となっている。BGレガシィの整備解説書によると、純正ビルシュタインでも、フロントのダンパーストロークは 147mm である。一説によると、APEXi の通常のN1ダンパーでフロントのストロークが約105mm(リヤ 約140mm)、同 APE 仕様の特注品でようやくフロント 約140mm(リヤ 約160mm) まで可能・・・との情報もあることも考慮すると、タイプTD−II のリヤ用をフロントに適用すれば、確かに標準状態でストロークは長く取れると言えるだろう。なお、ロアブラケットのネジ部はフロントとリヤで共通仕様なので、リヤダンパーはそのままフロントのブラケットに差し込むことが出来る。

う〜ん。リヤダンパーをフロントに・・・という ”発想” も ”アリ” なのかも知れない。「せっかく乗りかかった船であるし、まだ私の周りでは誰ひとりとして圭オフィスを装着している者はいない。ここはひとつ、私が実験台になって試してみようか・・・。」 という気になってきた。

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こうして圭オフィスの担当者とやりとりを重ねた結果、圭オフィスから誤送されてきた新品の旧仕様・後期型ダンパーのみを着払いで返品し、代わりに現行最新型のラム式リヤダンパーを2本、こちらに送ってもらうことになった。なぜこちらからは1本を返品するのに、圭オフィスからは2本送ってもらえるのか? については、仮に私の手持ちの旧仕様・前期型を圭オフィスに返品しても、向こう側にとっては古すぎて役に立たないので、梱包の手間も考え、返品は誤送されたぶんの1本だけで良い、とのことからであった。

つまり最終的には、O/Hと称して、死んだフロント1本を圭オフィスに送付して、代わりに新品2本の現行リヤダンパーを手に入れたことになる。もちろん、そのぶんのO/H代金はかかっているけど。

【画像8】 タイプTD・旧ダンパー(正立式) と タイプTD-II ・新ダンパー(ラム式)の外観比較
全体の比較
ロッド頂部の新旧比較 ロッド(シール部)の新旧比較 角度を変えて外筒の太さの新旧比較

こうして、
◎フロント・・・現行・ラム式 タイプTD−II ・リヤ用ダンパー (← 圭オフィスから送付された新品)
◎リヤ  ・・・・旧・タイプTD(前期型)・リヤ用ダンパー (← オークションで入手したままの状態)

というように、リヤ用ダンパーをフロントに・・・つまり四輪ともにリヤ用ダンパーを適用する・・・という変則的な組み合わせ (暴挙?) を試すことになった次第である。これにて思うようなセッティングが出せるのかどうか? 果たして鬼が出るのか蛇がでるのか? それは今後の 「お楽しみに」 というところである。

・・・本件について、頭ごなしに 「そんな無茶な!」 と言う無かれ。確かに、フロントに要求されるダンパーの特性リヤに要求されるダンパーの特性異なるであろう。だが、(完璧なものはムリだとしても) 素人向けにそこそこのセッティングが出せるならば、まずは (フロントだリヤだと騒ぐより) 運転者のスキルアップを目指すことの方が重要だと思われるのだ。

   (注):ただし、万が一、リヤダンパーをフロントに使うこと自体が間違った選択
      有害な結果しか生み出さないのならば、間違ったセッティングに合わせた
      運転方法を身につけてしまい兼ねない、という点で、避けるべきであろう。

こうして、O/Hという名の新旧ダンパー交換制度 (>失礼!) により、最も初期型のタイプTD・旧ダンパーから最新型のタイプTD-II ・ラム式ダンパー (それもリヤ用) をフロントに流用することになった。想定コースをミニサーキットに限定しているので、フロントに極端にバネレートの高いスプリングを使うことは無いと考えられることもあり、何とかその状態で 「使える脚周り」 に仕上げたい。

少なくとも 「スプリングの有効ストローク (限界) よりも先にダンパーの有効ストローク (限界) が来てしまう・・・」 という事態は避けられることになったと思う。また、マッチングについても、スプリングのストロークの中心とダンパーのストロークの中心を合わせやすくなるかも知れない。スプリングをしっかりしたもので選んでおけば、ダンパーのシェル長が長く、もともと全長調整式 (ブラケット移動式) であるので、希望の車高が出せないということはなさそうである。少なくとも、ダンパー長の短い (筒のネジ切り部の短い) オリジナルのフロント用をそのまま使うよりは、車高調整幅が広がるであろうから、(車高をあまり落としたくない私にとっては) かえって好都合と言えるだろう。
 

6.スプリングの選定について
 

ダンパーが実際に送り返されてくるまでの間、しばらく時間があったので、その間、組み合わせるべきスプリングの仕様について簡単検討してみた。

まず、圭オフィスのタイプTD&TD−II に組み合わせることのできる直巻バネは、ID=60[mm] だ。ここで、圭オフィスに付属のスプリングは、今後のセッティングを考えて使わない(※)。その代わりブランドは最初から信頼性のある swift(東京発条) 製にすることに決めていたから、具体的には自由長バネレートを選べば良い。

(※)例えば今後、スプリングを変更する際、同一メーカーの同一ブランドの中からの交換
   とすれば、純粋にレートのみの仕様変更による効果の確認(比較)ができるのに対し、
   スプリングのメーカーも変えてしまったら、変化を比較しにくくなってしまうからである。
   比較のためには、比較したい項目 (ここではレート) 以外のものはなるべく同一条件
   にそろえておきたいのだ。そういう意味で、適用するスプリングは、最初から品質と
   入手性が安定している swift 製で統一するつもりである。

なおアシストスプリングは、ややこしいので最初から手を出すつもりは無い。車高調の取り扱いに慣れた人が特定の目的のために、あえてアシストスプリングを組み込むのなら話は別だろうが、素人の私がいきなりアシストスプリングを用いるとなると、セッティングの範囲が広すぎてワケ分からなくなり、発散してしまいそうだ。ダンパー本体にアシストスプリングを組み込むことが出来るだけの物理的なスペースがあるなら、そのぶん、メインスプリングの自由長をより長い物にしたいところだ。その方が、トータルでの (スプリングの) ストロークも稼げるだろう。

以下、当時の私が、直巻コイルスプリングについてラフ検討したときのメモである。
(※注):実際には、諸条件がまったく考慮されていないため、真の値ではない
      その意味では、あくまでも単なるラフ検討そのものに過ぎない落書きである。

かつての検討メモ
    ↓
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BG5B
・前輪軸荷重840kg → 1輪あたり約420kg(ドライバー含まず)
・後輪軸荷重680kg → 1輪あたり約340kg(スペアタイヤ、放送宣伝用機材含む)
・バネ下荷重 → 正確な値は不明につき、計算の簡略化のため今回は約20kgと仮定。

<1.静止荷重状態>
まず最初に、いわゆる1G状態でのスプリングの縮量 (静止状態での自由長からの
スプリングストローク) を算出してみる。
「1G状態でのスプリングの縮量 ≒ バネ上の軸荷重 ÷ バネレート」 で近似できる。
  ※ストローク初期の非線形領域は全て無視して一定値(1次近似)とする。
  ※その他、ダンパーの影響(ガス圧など)は一切無視する。
  ※小数点以下は四捨五入とする。

◎フロント
バネレート4.0[kg/mm]の場合 400[kg]÷4.0[kg/mm] =100[mm]
       5.0      の場合                = 80[mm]
       6.0      の場合                = 67[mm]
       7.0      の場合                = 57[mm] (検討候補)
       8.0      の場合                ≒ 50[mm]
      
◎リヤ
バネレート3.0[kg/mm]の場合 320[kg]÷3.0[kg/mm] =107[mm]
       4.0      の場合                = 80[mm]
       5.0      の場合                = 64[mm]
       6.0      の場合                ≒ 53[mm] (検討候補)
       7.0      の場合                ≒ 45[mm]
(※参考  8.0      の場合                = 40[mm] )

<2.作動長(縮側のストローク:静止状態から縮み切るまでの余裕度)>
次に、いわゆる1G状態から出発して、さらにスプリングが縮んでいくときの縮み代(しろ)
(スプリングが線間密着するまでの実効ストローク) を求めてみる。

※ID60、9インチ(228[mm]) : フロント用として 
                                 A           B      
                  最大許容作動長 1G状態での縮量  残り実効ストローク  コメント
----------------------------------------------------------------------------------
バネレート4.0[kg/mm]の場合    138[mm]  − 100[mm]  =  残 38[mm]   ありえない(A>>B) 
       5.0     の場合    134[mm]  −  80[mm]  =  残 54[mm]     A>>B
       6.0     の場合    125[mm]  −  67[mm]  =  残 58[mm]     A>B
       7.0     の場合    122[mm]  −  57[mm]  =  残 65[mm]     A<B
       8.0     の場合    114[mm]  −  50[mm]  =  残 64[mm]     A<B

※ID60、9インチ(228[mm]) : リヤ用として
                                  A           B
                  最大許容作動長 1G状態での縮量  残り実効ストローク  コメント
----------------------------------------------------------------------------------
バネレート3.0[kg/mm]の場合    設定無し     設定無し     設定無し       −
       4.0     の場合    138[mm]  −  80[mm]  = 残 58[mm]     A>>B
       5.0     の場合    134[mm]  −  64[mm]  = 残 70[mm]     A<B
       6.0     の場合    125[mm]  −  53[mm]  = 残 72[mm]     A<B
       7.0     の場合    122[mm]  −  45[mm]  = 残 77[mm]     A<<B
(※参考  8.0     の場合    114[mm]  −  40[mm]  = 残 74[mm]     A<<B )

※ID60、(300[mm]) : リヤ用として
                                  A            B
                  最大許容作動長 1G状態での縮量  残り実効ストローク  コメント
----------------------------------------------------------------------------------
バネレート3.0[kg/mm] の場合   196[mm]  − 107[mm]  =  残  89[mm]     A>>B
       4.0      の場合   177[mm]  −  80[mm]  =  残  97[mm]     A<B
       5.0      の場合   168[mm]  −  64[mm]  =  残  104[mm]      A<<B

<3.全般的考察>
※まず最初に、静的な状態にて、車体の前後の姿勢がなるべく均等になるように、バネレートを検討する。
  (車重による、「フロントSPRの沈み込み量」 と 「リヤSPRの沈み込み量」 が同等になるように考慮する。
  車高調整はそのあと。初期状態で前後のSPRの縮み量が異なるバネレートとなる場合は、
  SPR自体の自由長を前後で変えてみる、などの検討も視野に入れてみる。)

※ダンパーにSPRをノンプリで組んで静止状態となったとき、「SPRの縮み側の残り代(B)」 よりも
  「ダンパーの縮み側の残り代(C)」 の方が先に限界に来る(B>C)場合、細かな調整として、
  バンプラバーを採用するなどして B≒C となるよう調整した方が良いのでは無いか?
  → 組み合わせるダンパーのストロークも把握しておかないと、スプリングは選べない。

<4.フロント用考察>
※動的な影響も考えないとならない。
  ブレーキング時のフロント荷重が、仮に静止時の荷重の2倍(注:真偽は不明、あくまで仮定)
  だとすれば、少なくとも A≦B でなければならない。
  → フロントはバネレート7.0[kg/mm] 以上が必要になると思われる(注:上記仮定に基づく場合)。

<5.リヤ用考察>
※動的な影響も考えないとならない。
  加速時のリヤ荷重が、仮に静止時の荷重の1.5倍(注:真偽は不明、あくまで仮定)だとすれば、
  少なくとも (1/2)*A≦B でなければならない。
  さらに、前傾姿勢を作るためには、「フロントの1G状態での縮量<リヤの1G状態での縮量」 が望ましい。
  → リヤはバネレート 6.0[kg/mm] 以上(9インチ(228[mm])の場合)が
   必要になると思われる(注:上記仮定に基づく場合)。

※ブレーキング時のリヤ荷重が、仮に静止時の荷重の1/2倍 (注:真偽は不明、あくまで仮定)
  だとすれば、後輪への荷重が抜けない (SPRが伸び側で追いついている) ためには、
  → どう考えれば良い??? 実走で判断?
  → プリロードをかけない(>基本)、あるいはかけても所定値以下にする。

<6.備考>
※BG5Bノーマルダンパーストローク(Fr)=147[mm]、ノーマルSPRレート(Fr)=2.8[kg/mm]
※備考  :  400[kg]÷2.8[kg/mm]=143[mm] (単純に一次近似した場合)
(※ノーマルスプリングは実際には余圧縮されて組まれている・・・ロアシート位置が上側)

--------------------------------------------------------------
    ↑
かつての検討メモ

まぁ、今考えても、上記は本当にラフな検討でしか無いが、少なくともレガシィの車重では、直巻スプリングのバネレートが4.0[kg/mm] とか 5.0 [kg/mm] とかいう低いものの選択は、静止状態ならイザ知らず、実働状態の場合にはまずあり得ない (成り立たない) であろうことが、素人なりに読みとれた。

結局、このときは、フロントとリヤの軸荷重に合わせてバネレートを選び、

◎自由長=9インチ(228[mm]) (←同じレートなら、ストロークを稼ぐためなるべく長めとした。
                     ちなみにID=60は9インチが最大で、10インチの設定は無し。)
◎バネレート= フロント7.0[kg/mm]、リヤ6.0[kg/mm]

でまずは試してみることにした。言うなれば、フロントとリヤのそれぞれで、いわゆる1G状態でのスプリングの縮み量と、残りのストローク可能量とが同等になるように考慮した結果である。なおレートについては、これを出発点として、徐々に上げる方向に調整することはあるだろう。(下げることは無いだろう。もし下げると、ダンパー縮時にスプリングが先に底付きしそう・・・。)

こうして、通販で フロント7.0[kg/mm]、リヤ6.0[kg/mm]、の直巻スプリング (swift) を購入。同時にベステックス(株)のフリクションレスシートも購入。また、勢いに乗って(?)、キャンバー調整が可能なリヤ用のアッパーマウント (クスコ製) についても別途オークションで落札し、入手しておいた。それらと相前後して、圭オフィスからおニューの現行型ラム式ダンパー2本が無事届けられた。

【画像8】 無事に届けられた、現行のタイプTD−II、BGレガシィ用・ラム式リヤダンパーの外観
無事届けられたタイプTD−II ・リヤダンパー 現行モデルはラム式。外筒の直径は約φ43.96mm 筒の底はこんな感じ

 

7.いざ装着の巻(各構成パーツの印象)
 

ノーマルダンパー (ビルシュタイン) 一式を取り外し、swiftスプリングを組み込んだ圭オフィスタイプTD&TD−II 車高調を、レガシィに装着する。作業内容については、このページでは別段、改めて記述すべきことは無いので、以下、私が入手した圭オフィス車高調について気が付いた点や気になった点、オリジナルに対して変更した点を備忘録として記そうと思う。

それらは単に個人的な感想や見解であるので、ここに記されたことがすべて正解というワケではないので、誤解の無いようにお願いしたい。まずはフリクションレスシートから。

【↓ フリクションレスシート】
ベステックス(株)から発売されている、フリクションレスシートを使用することにした。スプリングは、その構造上、伸縮時には軸を中心として両端部がネジレる (回転する) ように動く。その動きに対して、なるべく摺動抵抗を減らす目的で今回装着してみる。理想はバネの両端に挿入することだろうが、本来の目的からすれば、どちらか一方の端面に装着されていれば良いはずだ。摺動抵抗の少ない側で、スプリングの端面が微少移動してくれる (伸縮に伴う ”ねじれ力の解放” が行われる) はずだ。
余談だが、スプリングがスムーズに伸縮できれば、車両静止状態でステアリングを左右に転舵したときに 「パキーン!」 というスプリング回転音も発生しなくなるだろう。
2枚1組を2セット=計4枚使用してみる 実際にダンパーに設置してみた状態 
フリクションレスシートの上にスプリングを載せた状態

【↓ リヤ用・キャンバー調整式ピロアッパーマウント】
クスコから発売されているものである。例えば APEXi のN1ダンパーでは、現行モデルはリヤのキャンバーは非調整式だが、一時期の仕様では調整式となっていた。どうせなら、リヤも調整式に・・・ということで落札してみた。落札時には、果たして圭オフィスの車高調と組み合わせて使えるのか、両者の接合部の構造が分からなかったため不明であったが、実際にはピロカラー部の接合面積も何とか使えそうであることが判明し、そのまま組み合わせて使用することにした。
クスコのリヤ用・キャンバー調整式ピロアッパー ダンパーに組み込んだ状態の比較 
ピロカラー部分

【↓ オリジナルのアッパーマウント】
アルミ製はダメだ。圧痕が大変ひどい。キャンバー調整ボルトとの接触部が、荷重に負けてすぐに座屈しているではないか (後述の ”私見” 参照)。
ボルト頭部の圧痕が激しい もう一方のマウントも、ボルト頭部の圧痕が激しい

【↓ ピロアッパー部のキャンバー調整ボルト(スライド固定ボルト)】
これは錆びてダメだ。「ステンレス製の内六角+ワッシャ」 に変更して対応した。多くの車高調に対して私がいつも思うのは、キャンバー調整ボルトとアッパーマウントの接触面積小さすぎる!!また、ボルト自体のサイズも小さすぎる!! ということだ。
サビが進行したスライドボルト ステンレスボルトに交換

以下、まったくの私見であるが、素直な感想を述べさせていただく。まず思うのは、スライドボルトとマウントの接触面積が小さすぎるということである。これは圭オフィスに限らず、多くの車高調メーカーの開発担当者に問いたいのだが、締め付け荷重に対する接触部の面圧計算を、ちゃんと検討しているのか?

ただでさえ、可動部を締め付けて固定させるためのボルトサイズが小さい (固定させるために必要な荷重は決まってくるから、ボルトサイズが小さくなるほど、首下面積も小さくなり、必然的に接触面圧も上昇してしまう) うえに、さらには受け手の相手側アッパーマウントは(当たり前だが) スライド式の長穴が空いており、この長穴を有効とさせるため、ボルトの実径に対して長穴の短径方向のクリアランスが大きめに取られているから、ただでさえ必然的にボルトとマウントの実接触面積は小さくなってしまう。つまり、アッパーマウントは局部的に座屈しやすい (上の画像参照) という、いわば生まれ持った構造的欠点を持っているのに、である。

そのことをちゃんと考慮したうえで、キャンバー調整用スライドボルトの設定を行っているのかどうか、非常に怪しい。もしも各種制約により、適切な首下面積を持つタイプのボルト選定が出来なければ、代わりに受圧面積を確保させるためのワッシャを設定すべきである・・・と私は考えるのだ。

こんなに小さな、たかだかM5〜M6程度のサイズのボルト4本でタイヤ側からの入力 (時にはダンパーに横方向の入力も加わるだろう) をしっかり受け止めなければならないのは、個人的にはチト不安である。物理的な制約があるだろうが、なぜ車高調メーカーはもっと首のサイズの大きな (太い) ボルトにしないのだろうか。どんなに立派な車高長であっても、このキャンバー調整ボルトが細いのを見てしまうと、何だか ”構造上の検討が十分に成されていないような チャチっぽさ” が感じられて、大変不安に感じてしまうのは私だけであろうか。

◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆

さて、主なパーツに関する個々のコメントは上記の通りであるが、以下、調整後の車高について記しておく。

【画像9】 (左):純正フロントビルシュタインとの比較  (右):フロントに装着した様子
純正フロントダンパーとの比較 
フロントに装着した様子

まず、狙いの車高を定め、純正ダンパー (ビルシュタイン) との寸法比較などにより、ブラケット移動量を仮決定。その状態でAssyしたものを車両に組み込み、ジャッキダウン。想定車高と実際の車高とにズレを生じている場合は、微調整する。という手順だ。

今から思うと、前述のスプリング選定のところでラフ検討した値は、(バネ下重量などを無視したものであるから) 実際のものとは異なってしまうものであったが、最初からドンピシャの車高が出せたとしても、現実的には装着後に走ってみて (=動的な確認作業をして) 不都合の無い車高に再調整することになるであろうから、さして大きな問題とはならなかった。

で、実際に圭オフィス車高調を車両に組んでみて、困ったのは実はリヤ側だ。

【画像10】 (左):純正リヤビルシュタインとの比較   (右):リヤに装着した様子
純正ビルシュタイン(リヤ)との比較 
リヤに装着した様子

フロント側のダンパーは、もともとリヤ出身なだけあって、車高調整幅が広く、スプリング組み込み後も実車状態で上から下まで広い範囲で調整が可能であった。ところがリヤ側ときたら・・・。もともとのダンパー長が短めのため、ブラケット位置をめいっぱい下げてもなお、私が欲する車高にまで達しないことが判明。もちろん、組み合わせるスプリングのバネレートも密接に関係しているのだが・・・。ちなみに、ダンパーのねじ切り部がブラケットと噛み合っている部分の噛み合い長さは、

◎全噛み合い=120mm
であるのに対し、
◎現状噛み合い代=30mm
である。

<↓参考画像3 ダンパー本体とブラケットのかみ合い代>
現状のリヤのブラケットかみ合い代

うぅぅ・・・。恐ろしや〜。ワタシ的には、かなり冒険した噛み合い代である。実用上からはもっと車高を確保したいし、と言ってこれ以上車高を上げて噛み合い代を少なくすると、最悪、走行中にダンパーがブラケットから抜け落ちるだろうし・・・(怖)。このままダンパーを使うのなら、根本的には、スプリングのレートをもっと上げていわゆる1G状態でのスプリング縮み量を減らすか、あるいはマウントにスペーサーを挿入するくらいしか手がないだろう。あるいはスプリングのロアシート位置を上げてプリロードを与えるという手もあるだろうが、これには弊害がありそうなので現状では避けている。・・・このへんについては、実際に使いながら (走りながら対策を検討していくことにした。

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結局、今回は最終的に車高調整を以下のようにした。ただし最終的・・・とは言っても、あくまで暫定的なものであり、使用過程において変えて (試して) いくことになるだろう。

■表1 暫定仕様でのホイールアーチハイト
(バネレート F:7.0kg/mm、 R:6.0kg/mm)

仮のセッティング状態 [mm]
(※Δ1 304=JATMA値)
FL : 635 - 304 = 331 FR : 635 - 304 = 331
RL : 618 - 304 = 314 RR : 619 - 304 = 315

ホイールアーチハイト
(※参考):ホイールアーチハイトの定義

 

【画像11】 装着完了時のフェンダークリアランス(画像左:リヤ、 画像右:フロント)
リヤのフェンダークリアランス フロントのフェンダークリアランス

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ちなみに、前節 (第一章) でも書いたが、BG5B型レガシィGT-B (MT、’96/6月〜発売車輌) の純正サスペンションの仕様 (整備解説書 G2091A より抜粋) は以下の通り。

■表2 BG5B型GT-B (’96/6月〜発売車輌)
純正サスペンション仕様

ダンパー ストローク [mm] フロント 147
リヤ 194
減衰力 [kgf @0.3m/sec] フロント 182/73
(伸び/縮み)
リヤ 110/60
(伸び/縮み)
スプリングバネレート [kgf/mm] フロント 識別色 : 白・緑・黄 2.7
識別色 : 白・紫・黄 2.8
リヤ 識別色 : 白・水・黄緑 2.4
ホイールアーチハイト(※) [mm] フロント 375 (+12 〜 -24)
リヤ 369 (+12 〜 -24)

ホイールアーチハイト

 

8.走行時のインプレッション(街乗り編、ミニサーキット編)
 

さて、肝心の走行時のインプレッションだが、例によって以下はまったく私個人の私的な感想である。特に乗り心地に関しては、「客観的な評価」 ではなく 「主観的な感想」 であるため、サラッと読み流していただければ・・・と思う。

<◎装着直後の試走インプレッション>
まず、圭オフィス混成仕様 (←変則仕様とも言う) を組み込んだあと、周辺の町内を軽く走ってみた。なかなか良い感じである。どんな具合に良いと感じたかと言うと、

◎重い車体に見合ったダンピングになっていると感じた。
 (従来は、車体が重い割にダンパーの減衰力が低い印象)
◎乗り心地は大変良好。
 (家にあるもう一台のクルマ、GDA-CインプレッサWRX (通称:涙目インプ、
  後期型ターボAT) の 硬いノーマルサスペンションよりは良い、と感じた。)
◎ゴツゴツ感がほとんど無い。
 (これは、スプリングのバネレートというよりも、ダンパーによる
  もの・・・特にフロントにリヤ用ダンパーを用いた効果が大きいと推定。)
◎直進時と中低速コーナリング時の安定感が増した。
 (車高を低めにセットしたせいもあろう。本当はリヤをもっと上げたかったのだが。
  この時点では中高速コーナリング時は未確認・・・街中での確認なので。)

以上の通り、「車高調」 という目で見れば、大変乗り心地の良い脚になっていることが確認できた。この時点で、推定の域を出ないが、たぶん・・・乗り心地に対する影響度としては、スプリングよりもダンパーの方が大きいのではないか、と認識するようになった。

と言うのも、普段、私は家にあるもう一台のクルマ・・・GDA-CインプレッサWRX (通称:涙目インプ、後期型ターボAT) も使うことが多い。このインプレッサは、純正サスペンションのままであるが、低中速域での微少段差乗り越え時には、案外突き上げが大きいと感じられる乗り味だ (中高速以上になって初めて、落ち着きが出るような感じ)。つまり、この GDAインプレッサWRX のノーマルサスペンション (特にコイルスプリング) のスペックと、あの乗り心地の悪さとのギャップ(?)から想像するに、乗り心地に与える影響はダンパーの要因が大きいのだろう、と考えるに至ったわけだ。

そういえば、以前、BCレガシィ・セダンRSターボに乗っていた頃、恥ずかしながらコイルスプリングはそのままでダンパーのみSTi のラリーショックアブソーバーを入れたことがある。(∵当時は車検の問題から、スプリング交換がためらわれたような時代だったため。) この時は、確かに低速域ではゴツゴツ感が強くてよく跳ね、高車速域にならないと脚が引き締まった感じがしないような印象だった。

これらの事例から、やはり、基本的な乗り心地はダンパーで決まり、その減衰力 (固定式の場合) に見合ったスプリングレートを選んでやるのが良いのだろう・・・素人考えで、実際にはそんなに単純なものではないだろうが。

◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆

<◎他人に乗ってもらってのインプレッション>
ところで、そんなこんなと考えを巡らせていっても、脚回りに関しては私はズブの素人。私が街乗り場面で試乗する限りにおいては、この圭オフィス車高調・混成仕様 (変則仕様) は何ら違和感を感じることが無く、上記インプレッションも素人の域から脱却しないままである。

そこでより客観的な評価を得るため、知人にお願いし、ひとまずこの仕様そのままで運転していただき、感想を聞くことにした。知人は普段からレガシィセダンを愛用しており、脚には APEXi の N1ダンパーPro を入れている。お山や峠が大好きで、サーキットでの経験も私よりずっと上の人である。自分よりも経験のある人に試していただき、その感想を自分の印象と素直に較べてみるのも、時には役立つはずだ。・・・かくして、その知人には (少々遠慮がちだったと思うが) 適度にクルマを振り回してもらった。

知人の第一印象は
 「思ったよりずっと素直だね。クルマの重さは多少感じるが、中古で手に入れてこの性能なら、
  コストパフォーマンスは断然良いね。乗り心地もずっとイイ━━━━━━ (゚∀゚) ━━━━━━ !!」

というものだった。

レベルの違いはあれ、総じて圭オフィス車高調・変則仕様に対する印象の方向性には、私と知人とで大きな隔たりは無かったように思う。もしかすると、私のことを気遣って、ある程度言葉を選んでインプレッションしてくれたのかも知れないが、少なくとも知人の 「オレのN1ダンパの乗り心地とはえらい違いだ。」・・・との発言には、実感がこもっていたに違いない。

その後、アライメントを調整し、家族も乗せてみたり、あるいは長距離ドライブ (「東京←→札幌」 往復) に出かけたりしたが、(リヤの車高が低めで、駐車場の車輪留めに気を遣うという以外は) 実用上も何ら不都合な点は無く、もちろん家族からのクレームも全くない。強いて言えば、もう少しスプリングレートを上げても良いかな? という感じである。

【画像12】 知り合いのショップで四輪アライメントを調整している風景
アライメント調整風景 調整してくれたのはショップの知人。感謝。
 

◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆

<◎ミニサーキットでのインプレッション>
さて、いよいよミニサーキットを走る時がやってきた。筑波サーキット・コース1000である。ドライビングレッスンと称した走行会である。が、スポーツ走行ではここ1年間(!)ほどブランクがあったので、その前に慣れておくというか、お試しとして スポーツランドやまなし(SLy) に走りに出かけた。筑波1000の走行会のおよそ1週間前のことである。

まず、前回のミニサーキット走行からほぼ1年も経過していたため、人間の方に多くの課題を残す結果となったが、今まで腰砕け車速を落とすしか手が無かったS時の切り返しとか、S時直後の 39R→24R などでも、車高調のおかげでちゃんとタイヤに乗って走っていられるようになった (以前はキャンバー角もなかなか付けられないノーマルダンパーだったため、タイヤがずるずるとアウトに逃げていっていた)。それにしても、脚回りを交換しただけで、こんなにも楽にコーナーを回れるようになるとは・・・。やっぱりクルマはパワーではなく脚回りか?とも思える一瞬であった。

ちなみにこのときの周回タイムは、走行台数制限規制 (最大15台まで) が入るほどの混みようだったことと、そして何よりも自分自身の空いたブランクが1年間と大きかったため腕がサビ付いており、おおよそ 45.0秒台 にそろってしまった。慣れたらもっともっと縮まるだろう。(・・・実は密かに43秒台を目指していたのはナイショ(爆)。)

そして翌週。
2003年11月。
迎えた筑波1000

先週のSLyでの反省から、課題を 「ブレーキの使い方」 に的を絞り、走行練習することにした。ブレーキの踏み方にも色々あるだろうが、同じコーナーをより短時間で制動終了できれば、相対的にタイムも上がるだろう。結局私は、数回のコースアウトを挟みながら (^_^;) 、次第にブレーキ感覚を取り戻していった。・・・と言っても、トータルの走行経験はまだまだ全然少ないのだが。

【画像11】 筑波サーキット・コース1000にて。この日の課題は ”ブレーキの踏み方”。
ヘアピンを抜けるところ 
ホームストレートを駆けるところ
(※この画像を見るだけでも得られる情報 or 反省点がある。)

1ヒート20分の走行ワクを3ヒート繰り返して走り、この日のベストは、何と、タイヤをいたわりながら走ったつもりの、最終3ヒート目の最終ラップで記録していた・・・。と言っても、数値的には全然冴えない 45.8秒 だったが。やはり、まだまだ絶対量として走り足りないのだ。走れば走るほどタイムが向上するうちは、まだまだクルマのポテンシャル (特に今回は圭オフィス車高調) を使っていない、ということだ。

ということで、ミニサーキットでの印象であるが、
  「コーナリングの奥 (クリップ) でフロントが逃げていくような感じ」 ・・・ (☆後述)
があったが、総じて扱いやすい (変な挙動が突然出たりしない) 脚回りになっていることを実感した。ただ、これがベストなセッティングかどうかは、正直に言って今後も色々とセッティングを試してみないと分からない。この圭オフィス車高調・変則仕様 (タイプTD&TD-II 混成仕様) は、少なくとも、私のような発展途上の素人にとっては、まだまだ残ったポテンシャルを引き出すことができるだけの資質を持っていると言えるだろう。
 

9.まとめ
 

ここ最近では、新品の車高調でも実売価格で10万円を切るものもチラホラと出てきており、そういった意味ではユーザーの選択肢が増えるのは良いことである。だがウラを返すと、自動車メーカーが世に出す一般量販車のサスペンション性能が飛躍的に向上したのと引き替えに、あえて脚回りを交換するユーザーが次第に減り、安価でなければ売れない・・・といった車高調市場の冷え込み (あるいは飽和状態) を示唆する兆候の現れなのかも知れない。

さてこのページでは、圭オフィスの車高調・「旧タイプTD&新タイプTD−II 」 混成仕様 について、そのダンパー4本ともリヤ用を用いるという特異な組み合わせに至るまでのいきさつや、BGレガシィに組み込んだ際のインプレッションなどについて述べてきた。私のこれまでの、ごく限られた経験から私見を述べると、

◎車高調は万能では無い。自分の目的に照らし合わせて、重視する性能と
  目をつぶっても良い性能とのバランスを見極めるようにする。
 
◎したがって、その出発点である 「自分の目的」 がしっかりしていない限りは、
  いくら程度の良い車高調を導入しても失敗となる恐れがある。
 
◎何も考えずに行動するのではなく、その仕様を選ぶ根拠や、
  そのセッティングにする必然性について考えることは重要。
 
◎ただし、考えてばかりいてもダメで、分からないときは
  実際に試してみて理解しようとする姿勢も大切である。
 
◎自分より経験の豊富な人、あるいは上位の者に意見を尋ね、
  自分の感想とどこが同じか?あるいはどこが異なるのか?という
  摺り合わせをすることも、セッティングを決める上で有意義である。

以下、非常に抽象的な表現になってしまうが、次のことが言えると思う。

「純正品には純正品の良さがあり、その良さを堪能 (あるいは限界を実感) したうえで、自分の目的に合った社外品を装着すると、それまで自分がどどまっていた世界から一歩先を踏み出すことが可能となる。」

「その踏み出しが、半歩で終わるのか、あるいは1歩にも2歩にもなるのか、はたまた前方ではなく後退してしまうのか。パーツの装着は、それ自身の装着が難しいのではなく、それを使いこなせるように自分をもっていくことが難しいのだと思う。換言すると、装着点は終点ではなく、出発点である。」

むやみにパーツに頼るのも考え物だが、パーツのおかげで新たに見えてくる世界が存在する・・・というのも確かなので、慌て過ぎず・恐れ過ぎず、それらがもたらしてくれる世界を、今後もBGレガシィとともにのぞいて行こうと思う。圭オフィスの車高調・「旧タイプTD&新タイプTD−II 」 混成仕様 は、見事にそんな世界へと私を導きつつある。もっともっとそのポテンシャルを引き出したい。何だかキザなセリフになってしまうが、そう思う今日この頃である。
 

10.あとがき
 

・・・後日談・・・。
(まだ続くんかい!というツッコミはご遠慮下さい(爆)。)

2004年3月、再度、筑波1000を走る機会に恵まれた。走行会への飛び込み参加である。午前中は座学、午後からフリー走行。同じ時間帯をどんなクルマたちが走るのか、行って見るまでまったく分からなかったのだが、受付開始時刻にパドックに並んでいるクルマたちを見て非常に焦った。

と言うのも、NSX、NSX、もう一台NSX、34GT-R、エボ多数、その他ロングノーズZ、TSサニー、AE86、ロータスヨーロッパまでが並んでいるではないか! しかもどの車両も改造しまくり・・・。「うげ〜!こんなクルマたちに混ざってレガシィで走るのか?」 とビビったが、実はこれらは午前中の占有時間帯を走っている他のショップの走行会車両と判明。ちょっとだけホッとする(爆)。

私が参加したフリー走行会の参加車両は、インプレッサ(GC、GDB)、ランサーエボ、シルビア、セリカ、RX−8、といった感じ。レガシィも、私の他に数台発見 (BG、BH、BP)。今回の講師は、インプレッサS耐ドライバーも勤めた吉田選手と松田選手であった。座学を終え、昼食を取り、車両から荷物を降ろし(※注)、計測器を取り付け、脚のセッティングなどを確認して午後1時から走行開始。前半と後半の2ヒート制になっており、その間を挟んで同乗走行ワク (自分のクルマを、吉田選手または松田選手に運転していただく) が設けられている (前半ワク→同乗走行ワク→後半ワク、の順にスケジュールが進行)。

(※注)
インターネットで ”走り系” のサイトや掲示板を見ると、サーキット走行会に参加する際、前日など自宅であらかじめ助手席やリヤシートを取り外したうえで、サーキット会場まで自走していく・・・という書き込みを多く見かける。レガシィ系の掲示板でも、そういった書き込みを見かける。

一見すると、そういったことは軽量化の作業を会場入りする前に済ませるもので、手際と段取りが良い・・・などと感心する人ももしかするといるかも知れない。だが私は、それらの準備は決して良い行為だとは思わない。なぜか? それは、そういった行為は道路運送車両法 (昭和26年6月1日、法律第185号) に反すると思われるからだ。

例えばランサー・エボ (レガシィセダンでも良い) を例に取ってみよう。小型乗用車として普通にナンバー登録をしている限りは、乗車定員は車検証に記載されている通りの5名だ。助手席やリヤシートを取り外す行為は、それがクローズドコース内であるなら、確かに問題は何も無かろう。むしろ当たり前の作業であるかも知れない。ところが、乗車定員5名で正規登録してある車両であるにも関わらず、助手席を外したりリヤシートを外したりし、ドライバー1名のみ (または助手席との2名) しか乗れない状態で、サーキット会場までの ”公道” を自走する・・・とはいかがなものか?

陸運支局でしっかりと乗車定員を1〜2名に変更登録手続きしてある車両なら良いが、公道を車検証の記載とは異なる状態 (乗車設備の不備) で運行させることに対し、私は大きな疑問を感じざるを得ない。

特に、こういった行為が 「走り」 とか 「モータースポーツ」 (の意識向上) を目指している人たちの行為 (掲示板での書き込みを含む) だとすれば、非常に悲しくなってしまう。そういった人々に問いたい、サーキットに走りに行く前に、もっと基本的なこと・・・”公道を走る”・・・という意味が解っているのか、と。

だから私は、自分がレガシィでミニサーキットに走りに行くとき、すなわち公道を自走している区間では、絶対に助手席やリヤシートを取り外したりはしない。もちろん、サーキットに向かうときだけでなく、普段から特種用途自動車登録 (8ナンバー) の証である荷室のサブウーハーも積んだままであるし、もちろんルーフレールの車外スピーカー (拡声器) も固定設置=常設したままである。いくら現地では時間が無く忙しくなっても、どんなに面倒であっても、あくまでもサーキット会場入りしたあとでこれらの装備を取り外すことにしている。それは私の主義・・・というよりも、法律を遵守する精神であり、私にとっては当たり前のルールなのだ。

だから偉そうな立場で言い放つというのではなく、単に純粋な気持ちから、「助手席やリヤシートなどを取り外し、車検証に記載された事項と異なる状態で公道を自走することの意味を考え直してもらいたい。」 と思っている。「検問にあっても知らないぞ!!」 ・・・この文章を読んで思い当たることがあり、ドキッとした人は、ぜひ心に留めておいて欲しい。

さて、話を筑波1000に戻そう。
前半の1本目。この日の天気は、3月上旬にしては異様なほど暑く、気温がすでに20℃を越えている。(>_<) 前回、筑波コース1000を走ったときは去年の11月末で、気温はグッと低かった。今回はタイヤ(RE-01)もボロボロだし、条件的には前回よりだいぶ不利というところか・・・。

コースインした台数が15台だったこと (車間距離が取りづらく、すぐ前の車両に追いつく)、タイヤのエア圧が安定するまで数回ピットインを要したこと、その他、脚周りの確認等でさらに数回ピットインしたこと、などにより、アタックというよりもクローズドコースでの運転感覚を取り戻すといった走りに終始し、タイムは 46秒台に終わってしまった。(^^;)

1本目のあとは同乗走行の時間帯だ。私のクルマを松田選手に運転していただき、私自身は助手席へ。こういった、自分のクルマでのスポーツ同乗走行はまったく初めての体験である。

松田選手、開口一番に 「このクルマ、アンダーが強いね・・・。」
「(^_^;) ・・・。 」

図らずも、私が前述の第8章のいちばん最後に書いていた (☆)部分 の印象が、今ここではっきりと指摘され明らかにされたことになる。・・・とは言え、クルマはクルマ、運転手のレッスンとは別の次元の話。今はひとまず、せっかく与えられたチャンス (同乗レクチャー) を生かしたい。私は、自分なりに (あくまで自分での話)、今日の課題を 「コーナー手前でブレーキングした後の、ステアリングの連動操作 (具体的には第一ヘアピンと最終コーナー)」 に置いていたので、ブレーキとステアリング操作とその後のアクセル操作のタイミングを、運転中の松田選手に読み上げてもらい自分の操作タイミングと比較してみた。

私はブレーキングは直線区間で終わらせることが多く、コーナリング中はスロットルをパーシャルにすることが多かったのだが、松田選手は旋回初期で前荷重を残すためにコーナーの前半までブレーキングを残し、クリップ後に即全開、とする走りであった。つまり、コーナーに応じてブレーキのリリースポイントに気を遣う点。そしてアクセル操作は何のためらいもなくON-OFF的だった (余談だが、AD-DAショックの発生はお構い無し)、という点が異なっていた。・・・何だKAZさん、そんことも今まで出来なかったのか?!と言われそうだが・・・ (^_^;) 。

多分、スロットル全開時間なるべく長く取ろうとすると、そういった感じになるのだろう。自分よりも速い人のクルマに乗せてもらうとか、自分のクルマを早い人に運転してもらう機会を得ると、何かしら新しい発見があることを、改めて実感。(^_-)

降りる際、松田選手のコメントを聞くことが出来た。
曰く、「フロントの車高をもう少し下げるか、リヤのバネレートをもう少し上げた方がいいね。」
要するに、フロントとリヤでシャーシのバランスが取れていないので、今のままだとバランスの取れていない車両での走り方が身についてしまう・・・ということを言いたかったのだろう、と推測。やっぱりリヤのバネレート (車高も) は少々上げたいな。

で、次の後半2本目。とにかく暑い。1〜2周走って1周クールダウンというペース。日頃の寝不足がたたったのか、次第に体調も悪くなってくる(爆)。さらには、途中から第一ヘアピン直後の加速で燃料残量不足 (横Gによる片寄り) によるガス欠症状が決まって出るようになってしまった。コーナーの立ち上がりで燃料カットが入ってガクッと急減速・・・ (^^;) これはキツイ。結局、そんな状態でこの日のベストは 45.6 秒だった。まだまだまだまだ、全然走り足りず、課題未消化だったが、同じ仕様で去年の寒い冬のときのタイム(45.8 秒)より更新できたので、まぁ良しとするか。

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・・・さて、現在(2004年3月)の状況であるが、新しいレートのスプリング (swift、同じ自由長でレートだけ違うもの) を入手したので、コイルスプリングを組み替え、全体の車高も再考し、新たなバランス点を探ろうとしているところである。仕様を一気に変えてしまうと、何の要因によって変化を生じたのか、その寄与度が分かりにくくなってしまうので、まずはスプリングレートの変更から少しずつ試していこうと思う。今後、機会があればその過程も紹介していきたいと考えている。

長文にも関わらず、最後まで読んで下さった方々には、お礼申し上げます。<(_ _)>

 

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