■ バックアップランプSW(ミッション直付け)の交換 ■ |
トランスミッション(MT)に直付けされている、バックアップランプスイッチ(後退灯用リバース
センサ)が故障したため、交換した。このページは、その交換作業についての記録である。
●2003-03-21 :
新製、 ●2003-03-22 : 校正、公開
【図1】 MTのバックアップランプスイッチは、トランスファーケースに直付けされている。
(※下図はスイッチの位置を示すためのものであり、スイッチ自体は車載状態で交換可能。)
1.故障の内容 |
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ギヤをリバースに入れたときに点灯する、バックアップランプ(後退灯)が付かなくなった。 |
2.発見のきっかけ |
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夜間、車庫入れのためクルマをバックさせようとして、ギヤをリバースにシフトしたとき、バックアップランプ(後退灯)が点いたり点かなかったりしたので気が付いた。前日までは異常なし。この時点での点灯具合は、あたかも配線が接触不良を起こしたような感じで、一瞬だけ消えるがすぐに点灯し、また消えかかってすぐに再点灯を繰り返す、というパターンであった。 |
3.現象の把握 |
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車輌停止状態で改めてシフトレバーを
「ニュートラル ←→ リバース」
に繰り返し動かしてみると、最初のうちはランプが点いたり点かなかったり・・・という状況であったが、そのうち完全に付かなくなった。一方、シフトレバーのリバースへの入り(いり)自体には異常はない。よって、バックアップランプスイッチ(以下、スイッチをSWと略す)の作動不良、または故障が怪しいと思われた。 ただし、その数日前に、バックアップランプと連動する追加補助灯(マーシャル850GT)を取り付けする作業を行っていたので、念のためその配線関係に不備が無いか否かも再チェックすることにした。 【図2】 バックアップランプと連動させた追加補助灯(マーシャル850GT) |
4.点検結果 |
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まずは左右のバックアップランプ(電球)本体のフィラメントを点検。電球単体での点灯チェックも良好で問題無し。
次に、追加補助灯:マーシャル850GTの配線を再チェック。リヤ用マーシャルの設置場所はマフラーの右横で、既存の車体穴を利用して汎用ステーで固定してある。室内への配線は、テンパータイヤの水抜き穴(のグロメット)から引き込み、車体右側のテールランプのカプラからリバース信号(+12V)を分岐させている。 【図3】.配線チェックの様子 マーシャル用の追加配線は1本のみで、配線の固定状態、また通電状態にも異常は無い。もちろん車体への短絡(マイナスへのショート)も無し。また、その分岐にはエレクトロタップは用いず、直接素線同士を寄り合わせており、ハーネステープでの絶縁も問題なし。その他、既存の車体側ハーネスを痛めるような履歴も無いことから、この時点で
(関連配線の接触不良ではなく)
トランスミッションに直付けされているバックアップランプSW本体の作動不良だと判断した。 |
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5.スイッチの交換作業(その1・外観観察) |
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レガシィを地下ピットの所定位置に止めて、車輌の下からトランスミッション(MT)をのぞき込む。 問題のバックアップランプSWは、ミッションの後方、左側面のやや上方に位置している(図1参照)。 ミッションと車体との間には十分なスキマがあるので、工具も入り、車載状態でバックアップランプSWの交換は可能である(わざわざミッションを降ろす必要など無い)。もしも車載状態どころかミッションを分解しないと現れない内蔵型SWのミッションがあったと仮定すれば、それはメンテナンス性への考慮に欠けたミッションと言えるだろう(もしもそんなミッションがあったと仮定すれば、の話だが。ただし、全く故障しないメンテナンスフリーミッションなら、話はまた別だが)。 【図4】.自宅の地下ピットに移動するレガシィ 実作業に取りかかる前に、バックアップランプSW周辺の状態を確認しておく。ハーネスの固定状態は? オイル漏れやにじみの有無は? その他、特記事項の有無は? などである。故障修理の場合、手を付ける前の状態、すなわち現状のままの状態が、故障原因のヒントを雄弁に物語ってくれている場合がある。その状態をやみくもに崩すべきではないからだ。 ストリームライト(ペン型LEDライト)で目視確認すると、トランスミッションの後部・左側面にオイルのにじみ出た跡があり、汚れが付着している様子が観察された。ただし、そのにじみ跡を辿(たど)ると、バックアップランプSWのシールワッシャから漏れたものではなく、トランスファーケース上面にある板金製の四角いカバー(フタのようなもの、図1・右側の構成図参照)からにじんだオイルが伝わってきたことが判った。この部分のシールは液状ガスケットではない(繊維ガスケットの)ため、まぁ、この時代の5速MTにおける、一種の持病のようなものであろうか。 【図5】.まずはミッション外観の目視チェックから ちなみに、同じレガシィでもBH/BE型以降や現行のインプレッサなどでは、MT本体の改良により、この板金カバーは廃止されている(トランスファーケース自体が円柱状に形状変更されており、上面の開口部そのものが無くなっている)。今回のケースでは、それ以外には特に異常らしきものは外観からは分からなかった。よって、スイッチへの通電状況を確認したのち、取り外す作業へと進んでいくことにする。 まずはバックアップランプSWハーネスのカプラを外し、内部の端子の状態を観察する。接触不良や腐食(白サビなど)の類は見受けられない。念のため、端子を電気接点用のスプレーで簡単に洗浄しておく。カプラを元に戻してギヤをリバースに入れてみるも、やはりバックアップランプは点灯しないままである。そこで、故障したバックアップランプSWをミッションから取り外す前に、車体側ハーネスを新しく取り寄せた交換用バックアップランプSWに直結させ、この新しいスイッチのON/OFFで通電があるかどうかを確認する。 【図6】.(左)バックアップランプSW周辺の様子、(右)交換用のSW 一人作業のため、自分でミッションの下(地下ピットの中)でSWをON/OFFさせながら、車輌後方のテールランプの反応を目視確認することはできない(もちろん、鏡を使えば単独でも作動確認できるのだが・・・)。 そこで今回はSWの突起部分に適当なテープを巻き付けて回路をクローズ固定とし、強制的にリバースシフト相当の電気状態を作り出してテールランプの点火状態を確認することにした。結果、みごとにバックアップランプは追加補助灯とともに点灯することが確認できた。また、SWに巻いたテープを取り外して回路をオープン固定にすると、ランプが消灯することも確認できた。さらに念のため、車輌からのハーネスを古いバックアップランプSWにつなぎ直して同様に試してみると、やはりランプは点かない。これでほぼ間違いなく、バックアップランプSW本体の故障が原因だったということになる(以上の手順を踏んで、初めてミッションに直付けの故障したバックアップランプSWを取り外すことになる)。 【図7】.テーピングでSWの突起を押し込み、リバースON状態に固定 |
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6.スイッチの交換作業(その2・SW本体の交換) |
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いよいよバックアップランプSW本体をトランスミッションから取り外すべく、適当な工具を用いて緩めていく。SW自体は簡単に緩めることができるのだが、ここでちょっとした懸念が・・・。
このままSW本体を緩めてミッションから取り外してしまうと、その取り付け口からミッション内のオイル(75W-90)が流れ出てくる可能性があるのだ。今回はトランスミッションオイルを同時交換しないので、なるべく外へはオイルを漏らし出したくはない。通常ならば、あらかじめトランスミッションオイルを抜いておく (そして作業後にオイルを入れ直す) とか、あるいは (オイルを抜かずにもっと楽をしたい人は) 後輪をスロープの上に載せて車輌全体を前下がりとさせ、油面を傾けることによってミッション後方に溜まったオイルを前方へと追いやる作戦に出るだろう。 だが私の場合は、作業工程的にシンプルな行動に出た。古いSWを取り外すや否や、素早く新しいSWを入れるという作戦だ。つまり、オイルが漏れるヒマが無いほど手際よくSWの脱着をすれば良いワケだ。今は時期的に寒い季節(1月末)なので、外気温度は約5〜6℃ほど。その状態でのギヤオイル(75W-90)の粘性は高いはず。バックアップランプSWをミッション側壁から取り外した際、すぐに素早く新しい交換用のバックアップランプSWを押し当ててネジ込んでしまえば、ミッション内から漏れる油量も微々たるものに抑えられるだろう (もちろんその際には、シールワッシャの挿入も忘れてはならない)。 また、バックアップランプSWの位置は、ちょうどトランスミッション内で油面高さ(オイルレベル)にギリギリ触れるかどうかといった微妙な位置にあると思われるため、万が一、素早い穴ふさぎに失敗して手間取ったとしても、オイルが多量に漏れる恐れは低いのだ。・・・ということで、新しいシールワッシャともども、すぐに挿入し取り付けできるようにバックアップランプSWを準備をした上で、緩めたバックアップランプSWを慎重に手回しして外していく。そしてSWを引き抜いた瞬間、今度は新しいSWを挿入する。 【図8】.交換し終えたバックアップランプSW 実際に作戦 (というほど大げさなものではないが・・・) をやってみたが、狙い通り、ほとんどオイルを漏らさずに交換できた。同じ結果を残すなら、なるべく労力は少ない方が良いのだ。クルマもエコ(ECO)の時代だが、これからは作業工数も省力化を見据えなければならない。・・・などと、大したことをしたワケでもないのに大きなコトを書いてみるテスト(爆)。 新しいバックアップランプSWをミッション本体に装着し終わったら、ミッション側壁のオイル汚れなどをキレイにふき取り、カプラ(コネクタ)を接続する。ハーネスを元通りに固定して、周辺部を洗浄し、各部の確認を済ませ、車体下に潜り込んでの作業は無事終了となった。次は、実際にシフトレバーをリバースに入れたときに、バックアップランプが点くことを再確認すれば完了である。運転席に座り、実際にギヤをリバースにシフトさせる。「ニュートラル←→REV」 を何度も繰り返しシフトしてみたが、作動具合は良好、結果OKであることが確認できた (今回は鏡を用意した)。もちろん、追加設置したマーシャルの850GTも後方を明るく照らし出している (こちらは周囲が暗くなる夜を待ち、光軸も含めて再度確認した)。これで一応の修理は完了したことになる。 【図9】.作動確認作業も無事に終了 あとは、数日後にもう一度ミッション下部に潜り、SW周辺からのオイル漏れが無いことを確認すれば良い。たかだか数十円のシールワッシャ(アルミガスケット)をケチって再利用する人がいるが、シール性の低下ばかりでなく、再作業が必要になってしまう恐れがあることまで考えると、それは決して好ましいことではない。 |
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7.作業を終えて |
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取り外したバックアップランプSWを観察してみると、その外観からは、作動不良に至った原因を直接特定できるような異常は見受けられなかった。もちろん、樹脂製のロッド
(突き出し部分)
も摩耗した様子は無い。機能的には単純なON−OFF回路であるから、きっとSW内部での配線の接触不良
(または断線) なのだろう。 【図5】.取り外したバックアップランプSW。内部で接触不良または断線しているのかも。 私のレガシィの走行距離は約6万kmであり、その全6万kmに占めるバック(後退)走行の割合・・・すなわち、ギヤをリバースにシフトする頻度・・・は微々たるものであろうから、消耗品でも無い機能部品 (単一機能しか無いが、一応は機能部品と呼べるだろう) がこんな短距離 (または少作動回数) で故障するようでは、正直言って困るのだが(苦笑)。 ちなみに今回交換したバックアップランプSW(32005AA030)の部品価格は、シールワッシャ共々で約1700円ほどであるから、そう高価ではない。が、交換作業を自分でしない人々にとっては、工賃を含めた総費用は数千円に及ぶと思われるので、痛い出費となる恐れがある。 それにしても、故障
(バックアップランプの不点灯)
をすぐに発見できて良かった。もしも気づかずにいたならば、「自分はバックをしたいのに、他車にはその意思表示を認識してもらえない」
ことになるため、車輌として非常に危険な状態になっていたに違いない。やはり、作動頻度/修理費用/故障時の危険度、などを考慮すると、バックアップランプSWは故障してはいけない部品ではないか?
と思う。 |
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8.余談 |
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余談だが、ギヤをリバースに入れる頻度(または、今回の故障に至るまでのスイッチの作動回数)について、非常にラフな推定ではあるが、以下に考えてみる。
■前提条件 (A)クルマは通勤では使わない。 といった感じになる。 ■作動回数についての推定 (A)1日あたりの作動回数×経過日数
=全作動回数 (←今回のラフ推定) このうち、(B)方式・・・単位走行距離あたりのリバースシフト回数
(例えば、10km走る ◎自宅を出て、短距離の目的地(買い物先など)に クルマを1回出すたびに約5回ほど(※後述)リバースにシフトすると仮定すると、 5回 × 3回 × 4週間 ≒ 60回 私のレガシィは、新車登録後6年8ヶ月(=80ヶ月)経っているから、 60(回/月) × 80(ヶ月) = 4800(回) ラフ検討なので、適当に繰り上げると
5×103
(回)ほどのシフト操作でバックアップランプSWが壊れたことになる(仮に(※)印の部分を 5(回)→6(回)
と見積もると、Σ=5760(回)となる)。なーんだ、いずれにしても、10の4乗(;数万回)オーダーどころか、10の3乗(;数千回)オーダーで壊れたのか・・・。全然寿命が短いじゃねーか。無限寿命とまではいかなくとも、せめて廃車までは正常機能を有していて欲しいぞ。 |
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(恐怖の体験〜走行中にオルタネータが壊れた場合〜) (MDチェンジャーをコンソール内に設置)