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2000年9月15日(金)
フランス旅行記 その7 モンサンミッシェルからパリへ

この日も朝6時すぎにモーニングコールで、8時出発。いや眠いっす。おかげで車窓からこんな写真も撮れてしまった。
本日のスケジュールは午前中バス移動でモンサンミッシェルへ。
その後TGVでパリに移動という、ほとんど移動の一日だ。

どこぞのCMなどでもおなじみのモンサンミッシェルは「大天使ミカエルのお告げにより」8世紀からおよそ800年の歳月をかけて建造された僧院で、世界文化遺産にも指定されている。現在は本来の僧院としては使われておらず、一大観光名所と成っている。ちなみにこれから訪れる方にひとことアドバイス。あんまり近くに行ってからだと、被写体が大きすぎて写真に収まりません。手前で撮影しましょう。(といって私のは手前すぎたけど…)
さて、ここの名物はなんといっても巨大なオムレツ。なんでも昔貧乏な巡礼者たちがここを訪れたとき、せめて視覚的に空腹を満たそうというということで作られはじめたとか。ひとつの卵を30分ぐらい泡立てて作られるその大きさはほとんど暴力的。(^^; でも中身は泡というかムース状になってるので、ボリュームは見た目ほどじゃない。味の方は、う〜ん、まあ話のタネにということで。
もうひとつの名物はシードル。ブドウ栽培の北限を超えているこの地方では、代わりにリンゴを植えて酒を作る。ちなみにそれをさらに蒸留した酒が「カルバドス」。ところでこのシードル、アルコールは4.8%しかなく、甘ったるい一方でかなり苦味も感じる。ジューシーな味なので、思いっきり冷やして飲めばよかったのだろうけど、店で出されたのは生ぬるく、正直言って「マズイ」。
見学を終えて、TGVでパリへ。またまた記念撮影している私たち(^^;。
それにしても、TGVって、シートが一列4席なのでゆったりしていて新幹線より断然いい。おかげでまたすやすやと眠れました。

そんなこんなで、パリのホテル「コンコルド・ラファイエット」についたのは夜の20時半すぎ。私も妻も疲労困憊な上、雨まで降ってきたので、夕食はおとなしくルームサービスでもとればよかったものを、「パリに二晩しかいないのだから…」と欲張って出かけてみた。

行く先はワインバー。パリのワインバーの走りである「ウイリーズ」の隣にある「マセオ」という店。経営者はウイリーズと同じとのこと。場所は「パレ・ロワイヤル」に面した北側の通り「Rue des Petis Champs」沿い。

さて、概ね満足度の高かった今回の旅行の中で、私は2度とても不愉快な経験をした。それは両方ともパリでだったんだけど、一度目がこの店。
予約をしていったんだけど、いざ店に着いて通されたのが明るいフロアではなくて、そこからちょっと奥まった薄暗いスペース。そこはテーブルが4席ぐらいしかなくてもうひと組いた客は日本人。なんか文章でうまく表現できないんだけど、この席割りに私は妙に差別的な意識を感じさせられたのだ。フロアの席はいくらでも空いてたのに、なぜか東洋人のグループだけ別の桟敷のようなところに押し込められた印象で…。

フランスの各地を回ったのは今回が初めてだったけど、パリだけは結構行っていて、私は3度目、カミサンにいたっては5度目。ということで、パリの人間の無愛想さには慣れているつもりだったが、こういう扱いは初めて。私の思い過ごしだったのかもしれないですけどね。

そんなこともあってか、店員とのコミュニケーションもうまく行かない。
まず、英語のメニューがない!「るるぶ」には英語可と書いてあったのに…。まあこれはないものねだりだから仕方ないんだけど、食事はコース中心で、ワインバーだと思っていった我々にはちょっと多すぎ。それでアラカルトで頼めないかと聞いたんだが、意思の疎通がうまく行かず、結局メインで運ばれてきたものが期待と全く異なる温野菜をゼリーで固めたような料理だったりして、落胆させられることしきり。(どうもベジタリアンメニューだったらしい…(^^;)。
通常だとこういうハプニングも楽しい思いで出なるんだろうけど、前述の件があったので、さらに気分が鬱々としてくる。って、まあこれはあんまり店の責任ではないんだけどね。

期待したワインリストははっきりいって量質とも大したことはないし、グラスワインの種類がないのも興ざめ。新世界のワインをおいていることをひとつのウリにしているらしいんだけど、なにも「ペンフォールズBIN407」を5000円も出して飲もうとは思わない。
お奨めワインは?と聞いたら、 シャトー・フェリエール93、それに ダニエルリオンの94ヴォーヌ・ロマネ1級 と同じくニュイサンジュルジュ1級とのこと。ボルドーばかり飲んできたのでブルゴーニュにすべく、「この二つのうちどちらがおすすめか?」との問いには、「飲むのはおまえなんだから自分で決めろ」だって!

結局選んだのは「ヴーヌロマネ・レ・ボーモン」の方。
ここでまたまたハプニングが。店員がすまし顔で持ってきたのが、ダニエル・リオンでなくて、ルイ・ジャドのもの
ちょっとちょっと…。
自分でダニエル・リオン薦めといて。ヽ( ´ー‘)ノ。
ということで、かなり強い口調で言ったら、その後は店員の態度が心なしか少し改まったようでした。

まあ、そんなこんなで疲労と不愉快な気分の中で飲んだワインだけど、これが意外に美味しかったんですね〜。それだけが救い。

銘柄 ヴォーヌロマネ・レ・ボーモン94(ダニエル・リオン)
産地 仏>ブルゴーニュ>ヴォーヌロマネ村1級
場所
パリ「マセオ」にて 価格 約400FF(6000円位)
感想 色は濃いルビーで縁はかなり透明になって、エッジへのグラデーションが美しい。香りはカシス、ブルーベリーのコンフィのような黒系統の果実香、コーヒー、そして強烈なジビエやなめし革香。
味わいの第一印象はなめらかで、凝縮された果実味がきめ細かなタンニンを伴って広がる。酸は豊かで上質、果実味は甘みとともにやや旨みも感じる。骨格はしっかりしているが、それぞれの要素がやわらかくこなれてきており、味わい深くなってきている。
【87点】

最後に、この店の名誉のためにいくつか補足を。
私たちは、「るるぶ」で「ワインバー」との紹介を読んで行ったんだけど、この店はワインバーでなくて、ワインレストランでしょう。そう考えれば、グラスワインが少ないのも、メニューがコース中心なのも納得できるし、価格もとりあえずは良心的だし。

あと我々が奥の隔離されたような席に通されたのもたとえば、「るるぶ」 に載ったせいで、マナーのよろしくない日本人が大勢おしかけているからかもしれない。だとすると私たちもそれにダメ押しをしまったかもしれないけど。
それから、 私のテーブルの担当の店員は前述のとおりトホホな感じだったけど、支配人とおぼしき方は非常に応対がよく紳士的だった。
以上、補足まで。