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2000年9月14日(木)
フランス旅行記 その6  シノンのドメーヌ訪問
おっと、前のページで大事なことを忘れてました。昼食後、地元シノンの「シャトー・ド・ラ・グリーユ」を訪問したのでした。
AOCシノンは赤白ロゼが認められているけれど、このシャトーは赤とロゼのみを作っている。27ヘクタールの畑から年16000本生産というから、決して大きなドメーヌではない。収穫は2週間後だそうだ。
発酵用のステンレスタンクの前で説明する当主のローラン・ゴッセ氏。名前の通り、シャンパーニュの名門「ゴッセ」の血縁だそうだ。そのため、ボトルにもシャンパーニュ型のボトルを使用しているとか。なんとなくけむっているのは収穫を控えてちょうどタンクを洗浄消毒していたようで、部屋中カルキのような臭いが充満してた。
樽の横に無造作におかれている圧搾機。なんだか安手の工作機械のような趣…。
樽熟成させるが、使用する樽はボルドーのお下がりの古樽。新樽だと樽の香りがつきすぎてしまうのと、資金的にキビシイからとは正直なこと。
月に2〜3回ウイアージュ(目減り分の補充)をする。
地下のカーブはカビだらけ。シノンはふつう早飲みのワインだが、ここのワインは長期熟成タイプで、カーブで24ヶ月寝かせてから出荷すると言っていた。(ホント?)

瓶詰め風景。なんだか、家内制手工業と言う感じですな。

銘柄 シノン
(シャトー・ド・ラ・グリーユ)
99ロゼ 赤みのかかった鮮やかなサーモンピンク。さくらんぼ、ラズベリーのシロップ漬け、紅い花。味わいは第一印象からみずみずしい果実味が甘味を伴って広がり、酸は豊かで清涼感があり、後半の味わいには苦味も伴う。この地区のロゼというと甘口のものが多いが、これは甘さと酸とのバランスがよくとれ、心地よく飲める。
【78点】
95
濃い目のルビーで、縁は透明になってきている。香りは青っぽさは全くなく、ラズベリーやブルーベリーのコンフィ、ドライハーブ、ミルクティ、その他東洋的なスパイスの香りも。味わいは果実味がたっぷりしており、酸はしなやか、タンニンも豊かだが収斂制はなく、バランスがよい。凝縮されたワインではないが、バランスがよく、ほどよい熟成感もあり味わい深い。カベルネフランに見られる青っぽいフレーバーが皆無なのは熟成によるものか?
【83点】
97
95よりも濃いルビーで縁はピンク。香りは凝縮感がある。ブルーベリー、カシスなど黒系果実、甘草、丁子など。味わいは果実味により凝縮感があり、それでいてやわらかく、果実本来の甘味を伴う。大柄なワインではないが、タンニンと酸のバランスもよく全体的に角がなく丸くまとまっている。それにしても97と新しいのに全く青っぽさが感じられないのは立派。これはブラインドで出されるとカベルネソーヴィニヨンと答えそうだ。
【82点】
96
当主はもっともよいビンテージでまだ早い、20年ぐらいは寝かせられるだろうと言っている。
色は深いルビー。香りには凝縮感があり、ラズベリーのジャム、いちごのキャンディ、甘草、それにミントや杉のニュアンスが加わる。
味わいはアタックから濃い果実味が甘味を伴って広がる。タンニンはとても緻密に溶け込んでおり、酸はしっかりしているが丸い。果実味がとてもピュアな印象で、ピノノワールっぽい雰囲気を感じる。
【85点】
いや、試飲して驚いた。ここのワインは予想していたよりずっと上質。どのビンテージもカベルネフランに見られる青っぽいフレーバーがほとんどなく、ドライハーブやミルクティーのようなやわらなかフレーバーが独特で、バランスがとてもよい。また若いカベルネソーヴィニヨンのような厳しさもないからとてもしなやかで飲みやすい。3000円前後かと思ってプライスリストをもらったら、なんと1000円チョイという安さ。思わずケース買いして帰ろうかと思った。でもこのクラスのワインって、ボルドーのグランクリュと違って、きっと輸送の際もラフに扱われたりして、日本で飲むと状態良くなかったりするんだろうなあ…。
ちなみにこのドメーヌ、後で調べたら、ヒュー・ジョンソンの「ポケット・ワインブック」のシノンの項目に「上位の栽培業者」として載っていました。