2000年9月16日(土)
フランス旅行記 その8  パリ最終日

パリでの最終日は自由行動。とはいえ一日しかないので、この日は大忙し。朝一番でルーブル美術館に行き、オペラ座を見て、そのそばのラーメン屋「きんたろう」で久しぶりにラーメンの昼飯を食べた後、買い物タイム。カミサンと二手に分かれて、私はワイン探しに奔走。


ルーブル美術館を訪れるのは改築されて「リシュリュー翼」がオープンとなってから初めて。レイアウトがずいぶん変わっていたのに面食らって、いや歩きまわったこと。モナリザの展示スペースがずいぶん仰々しくなっていたのが可笑しかった。(写真左。写真右は私の好きなクラナッハの「風景の中のビーナス」)。
サンジェルマンにある「リュクサンブール公園」はパリに来ると必ず訪れる、私の贔屓のスポットだ。ほんとはここでのんびりしたかったんだけど、時間がなくて分刻みのスケジュールだったのが残念。

さて、パリの酒屋は事前に「予習」していったんだけど、時間がなくて結局行けた店は3軒だけ。
まずは有名なマドレーヌ広場わきの「ニコラ」。パリ中にあるチェーン点だが、このマドレーヌ広場のものが最大。地下にオールドビンテージやレアものがそれなりにあって、結構そそられる。昨年のワインアドバイザーの二次試験にも出たのでご存知の方も多いだろう。
次に行ったのが、そのそばの「フォーション」。チョコレートでも有名な総合食品店で、ワインも充実。ただ、急いでいる身には、目当てのワインをちょっと探しにくいレイアウトが難点かな。
とりあえずこの2軒をチェックしたあと、少し離れたヴィクトワール広場横の「ルグラン」に行ってみた。ここは日本人の女性店員がいて、日本への発送もしてくれるというので、期待も高まる。店内はわりと狭く、ギガルのコートロティ・ダンピュイがかなり安かったり、コトー・デュ・レイヨンのオールドビンテージとか、ルロワのネゴシアンものの古いのとか、なかなか面白い銘柄が置いてある。結構コート・デュ・ローヌやシュッドウエストが充実している印象だ。ただ、残念なのはボルドーの品揃えがかなり少なめ。正直この店だけで1ケース買って送ろうという気にはならず、そうかといって、ここからまた重いワインを何本も担いでホテルまで戻る気力もなかったので、結局一本も買わずにすごすごと引き返した。

カミサンとの待ち合わせ時間が迫る中、大急ぎでマドレーヌ広場の「ニコラ」に戻る。 もはやケース買い&日本への発送はあきらめて、少し良さげなワインを1〜2本だけ買うということに方針転換。一本はせっかくだからオールドビンテージをということで、探していたらぴったりのものがあった。

・Ch.ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド53
ボルドーではロングヴィルバロンのシャトー訪問もしたことだし、そこで96ビンテージも買ったことだし、おとなりのシャトーのものを記念に買うには絶好と思い購入。価格は4万2千円ぐらい。まあ、R・パーカー氏はあんまり誉めてはないけど…。

もう一本、なにかお奨めはないか、と若い店員に尋ねて薦められたのが、

・ Ch.パルメ82
グレートビンテージの82というわりには価格は約26000円と比較的安め。
日本での相場がイマイチ判らないけど、まあ記念にということで。

ところで、今回行けなかったんだけど、予習?していった店には以下のようなものがある。今度行かれる方のご参考に。

・Jean Baptiste Besse
カルチェラタン地区、ソルボンヌ大学の裏手。有名な店ということなので行ってみたかった。

・Carve de Goblines
カルチェラタンのさらに南、13区、イタリア広場の近く。旧市街からはちょっと離れている。

・Gran Vin de Bourgogne
ポンピドゥやパリ市役所のそば。ブルゴーニュが充実しているというのでぜひ行って見たかったのだが。
他に
・Marcel Bossetti
・Le Nectar de Bourbones
La Cave a Millesimes   など。

もう1軒、面白い店を紹介しよう。
「レスプリ・エ・デュ・ヴァン」は、パリ随一と言われるワイングッズの店。私の宿泊していたコンコルドラファイエットのそば(Av.des Ternes沿い)なので覗いてみた。Ch.ラギオールのソムリエナイフが安ければ買おうと思ったが、やまやのセールの時の値段とあんまり変わらないのでやめた。他にはデキャンタとか、ワイングラスとか、はたまたネ・デュ・ヴァンや小物に至るまで結構充実していてそれなり楽しい。まあ遠方からわざわざ行くほどの店ではないけれど、近くに行くことがあれば立ち寄ってみれば?

夕食は当然豪華レストランで、とみなさん思われたかもしれないけど、その予想を裏切って、カジュアルなレストラン「La Butte Chaillot」にて。

とはいっても、事前にわりと入念にリサーチして、長らくパリに在住していた友人に頼んで、「格式ばっていなくて、それでいてコストパフォーマンスのよいオシャレなレストラン」の候補を挙げてもらった。参考までに友人の挙げてくれた候補を以下に挙げておきます。

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Le Clos des gourmets; 16 avenue Rapp 75016; 01 45 51 75 61
Le Rond de serviette; 97 rue du Cherche-Midi 75006; 01 45 44 01 02
La Dinee; 85 rue Leblanc 75015; 01 45 54 20 49
Le Tire Bouchon; 62 rue des entrepreneurs 75015; 01 40 59 09 27
L'Epi Dupin; 11 rue Dupin 75006; 01 42 22 64 56
Le Petit Laurent; 38 rue de Varenne 75007; 01 45 48 79 64

これらは フランス人グルメが300〜400フランあたりで食べられる小さ めの口コミでうわさになったお店だとか。場所は5,6区あたり?

以下はGuy Savoyなどの高級レストランのおなじみセカンドブランド店。味は言うまでもなく、雰囲気も今時の麻布あたりにありそうな コ ジャレたものが多く、スノッブな業界人などが多いそうだ。
Les Bookinistes; 53 quai des Grands Augustins; 01 43 25 45 94
La Butte Chaillot; 112 Avenue Kleber 75016; 01 47 27 88 88  
La Rotisserie d'enface; 2 rue Christine 75006; 01 43 26 40 98
Le Bistrot d'a cote St. Germain; 16 bd Saint Germain 75005; 01 43 25 45 94    

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この中から、「L'Epi Dupin」 をチョイスしたのだけど、予約の電話を入れたら、なんと当日休み。ということで、夜のエッフェル塔観光もかねて、その近くの「La Butte Chaillot」にしたというわけ。

ところが、ここでもうひとつの不愉快な事件が。場所がわからなかったので、ホテルのフロントのインフォメーションに住所を示して、地図上の場所を聞いたら、思いきり面倒臭そうな顔をされて、通り(Kleber)の名前にマルをつけただけ。これじゃわかるわけない。だって、日本で言えば、「明治通り」という名前にマルつけてるだけだから。で、その通りのどの辺かなのかとさらに聞いたらまたまた面倒くさそうにボールペンで地図に点を打ったのだけど、その位置がまるでデタラメ。おかげで疲労困憊の中、探し回って、予約の時間に20分も遅れて到着。

ちなみにフロントのインフォメーション係、あんまり態度が悪かったんで、チップもやらなかったけど、もし渡していたら、「金返せ!」といいたくなるところでした。(^^;

さて、遅刻していったにもかかわらず、この店のスタッフはとても快く迎え入れてくれて、前日来のいや〜な気分は霧散する。
メニューはなんと日本語のものがあって拍子抜け。フランス語のものしかないと文句を言うくせに日本語のものがあると、なんか観光客ずれしてそうでガッカリするから私たちって現金だ。
ちなみにこの店、アメリカ版のガイドブックに載っているのか、なぜかすぐにそれとわかるアメリカ人の集団が次々と入ってくる。おかげでフロアはインターナショナルな雰囲気。(^^;

ムニュ(コース)の値段はなんと190フラン(約3000円)という安さ。ワインリストも安めなもの中心だし、ちょっとカジュアすぎたかな、と思ったが、クオリティの方はまずまず。なるほど現地で人気があるのも頷ける。
前菜は「鴨のカルパッチョ」。 うん、美味しかったです。

メインはまたまた「子羊のロースト」。コルディアンバージュほどの洗練度はないが、量も多く、値段を考えれば納得の内容。
銘柄 Ch.カデ・ボン93
産地 仏>ボルドー>サンテミリオン・グランクリュ・クラッセ
場所
La Butte Chaillotにて 価格 328FF(約4800円)
感想

最後の晩に選んだワインは、最初に訪れたサンテミリオンにちなんで、日本であんまり見かけない同地の銘柄を。

色は濃いめのガーネットで中心には黒みがかっている。香りはブラックベリー、カシスのコンフィ、オリエンタルスパイス、ロースト香、それにやや土っぽいというかホコリっぽい香りも。味わいはやわらかな果実味のアタックのあと、豊かなタンニンとしっかりした酸が広がり、タンニンはやや粉っぽくて上級ワインのような質感はないものの、角が取れていて今でも美味しく飲める。フィニッシュには果実味と渋味が残り、余韻は中程度の長さ。ギュッと詰まったような凝縮感はないが、密度のある味わいであり、メドックの個性とは明らかに異なるサンテミリオンのやわらかくしなやかな赤という印象。
【83点】

支払いは、かけつけのビール代とワイン代を入れても日本円にして2人で1万円をちょっと超えるぐらい。日本で同レベルの食事をしたら確実に2万円コースだっただろう。


ということで、長々と書いてきた旅行記もこれで終わりにします。
(コラムではまた別途とりあげるつもりですが。)
長文駄文におつきあいいただきありがとうございました。
それから、この場をかりて、御世話になった方々に再度お礼を申し上げます。
Merci beaucoup!
m(_ _)m

次回は、アルザス&ブルゴーニュ、かな!

p.s.帰りの飛行機の中ではシャンパーニュを飲んで見ました。
「Nicolas Feillatte」
ニコラが作らせている銘柄でしょうか?味わいは深みやコクはないものの、さっぱりした果実味があって、悪くないです。赤や白のミニボトルよりはこちらの方がお奨めと思います。