NEXT→

2000年9月13日(水)
フランス旅行記 その5  シャトー・コルディアン・バージュにて
さて、昼食はメドック地域随一の本格レストランといわれる、 「シャトー・コルディアン・バージュ」にて。Ch.ランシュバージュでおなじみのジャン・ミッシェル・カーズ氏が経営するホテルで、建物は17世紀のものだとか。 ちなみにここのシェフ・ソムリエはブルータス誌などでもおなじみの石塚さん。 「ムッシュー」とお呼びするよりは、日本料理の厨房がむしろ似合いそうな気さくな感じの方だ。 ワインは約500種類とかで、リストはなにかのマニュアルのような分厚さ。これぐらいのリストになると、ソムリエに相談しないことには、それだけで日が暮れてしまう。
アミューズのあと、フォアグラのソテー。 表面の焼き具合が絶妙で、香ばしく、それでいて中はとろりと甘い味わ い。 合わせるワインは石塚さんに相談したところ、「クラシックな組み合わせ」のソーテルヌをすす め られる。一本目から甘口とうのもどうかな、と若干不安を感じたが、であれば熟成して味わいの落ち着いたものをということで、下記銘柄を。これなんか日本で買うといくらす るやら…。
銘柄 Ch.スィデュイロー82
産地 仏>ボルドー>ソーテルヌ1級
場所
シャトー・コルディアンバージュにて 価格 約400FF(失念)
感想 色は鮮やかな黄金色だが、濃さはそれほどでもない。香りはりんごのコンポート、ハチミツ、それにセメダインやビニールなど典型的だが、歳月から来る深みを感じさせる香りだ。アタックはなめらかで木目細かいテクスチャーが感じられ、果実味は落ち着いていて品のある甘味が口中に広がる。その一方で酸もしっかりしているので、全体の味わいは重々しくならず、しなやかでスルリと飲める。アフターには柔らかく甘い果実味が感じれ、長い余韻を形成する。フォアグラとソーテルヌというひとつの典型的な組み合わせを心行くまで堪能させていただいた。
【87点】
メインはポイヤックの名物料理「乳のみ仔羊のロースト」。 この地方の仔羊は、ジロンド河からの風が海の塩気を帯びるために、天然の塩分を含む とか。 食してみると、これが羊かと思うような柔らかさ。 いや美味しい。 石塚さんのオススメワインは はリストラック地区のクリュ・ブルジョワだそうだが、日本ではほとんど無名ではないかな。 64年ということで熟成が進んで軽くなり、羊の味わいに負けるのでは、と一瞬危惧し たが、 これだけ柔らかく繊細な仔羊であれば、ベストマッチだ。
銘柄 Ch.Liouner64
産地 仏>ボルドー>メドック>リストラック村
場所
シャトー・コルディアンバージュにて 価格 約600FF(失念)
感想 色は全体にレンガ色がかった濃い目のオレンジガーネット。香りは熟成してひなびた感じの香り、すなわちドライプルーン、ドライフラワー、麦わら、スーボワなどを最初感じるが、回すと甘いカシスリキュール香が、さらに時間をおくとムスクのような香りがあふれてくる。アタックはやわらかく、ややヨードっぽい旨みを伴った果実味。タンニンはすっかり溶け込んでおり、酸もしなやかで凝縮感はあまり感じないが、やわらかくバランスよく熟成をとげており、今まさに飲み頃。アフターにはやや乾いた果実味を感じ、余韻も長め。自分で選べといわれたら、考えもしなかったワインだが、石塚ソムリエにお任せしてよかった。
【88点】

食後のデザートもお上品。

今回はこちらに来てからもっとも贅沢な食事とワインだった。 かさんでしまったワイン代を快く折半してくれた荻野さんほか同行のみなさま どうもありがとうございました。

食事を終えて、一路ロワールへ。ボルドーは短い滞在だったけど、充実感があった。欲をいえばもう少しワインを買う時間があれば…。
←初めて乗ったTGV、やっぱり写真をとりたくなるのは何歳になっても変わらないね。
ロワールで宿泊するシャトーホテルは人里離れた森の中にあるので、食事はTGVを降りたトゥールの駅ですませる。
ところが、昼のフォアグラがもたれているのか、仏食続きで胃が疲れてきたのか、まるで食欲がわかない。そんなところにもってきて食事は重たい肉料理。ほとんど手をつけられずに終わってしまった。カジュアルなビストロなのでワインのストックも貧弱。とりあえず地元のワインをということでトゥーレーヌを注文してみたが、これはイマイチ。ちなみに値段は約900円也なので、あんまり無理もいえないか。
銘柄 トゥーレーヌ99
産地 仏>ロワール>トゥーレーヌ
場所
トゥール駅そばのビストロにて 価格 60FF(約900円)
感想 色はグリーンがかった薄めのイエロー。香りはグラスが貧弱だったためあんまり感じ取れなかったが、青リンゴやハーブの香りがほんのりと。味わいは、果実味があまり目立たず、かなり水っぽい印象。酸はとりたててさわやかでもシャープでもなく、ややミネラル分を感じる。後半にはやや果実の甘さみ感じられるところが日頃飲んでいるSBっぽくなくて面白い。
【70点】