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2000年9月13日(水)
フランス旅行記 その3 Ch.ピションロングヴィルバロン訪問
この日はメドックのポイヤック村へ。2級のCh.ピションロングヴィル・バロンを訪問して試飲をしたあと、Ch.ムートンロトシルトの施設見学、そして昼食はこの地区随一の名門レストラン「シャトー・コルディアン・バージュ」にて。その後ボルドーを離れ、ロワールのシャトーホテルに向かうというスケジュールだ。

地図で見るとボルドー市からポイヤック村なんてすぐのように思われるけど、実際はクルマで小一時間の距離がある。あらためてここでボルドーの大きさを実感。ガロンヌ河を右手に見ながらしばらく走ると、やがてバスの窓からの景色はブドウ畑一色になる。昨日のサンテミリオンに比べると、その規模の大きさは一目瞭然だ。


←Ch.ラトゥール
オー・メドックにある「Ch.ララギューヌ」あたりを手始めに、そこから先道の両脇は著名シャトーのオンパレード。
ベイシュビルの美しいシャトーやラスカズのラベルに載っているアーチ、ラトゥールの塔などを眺めながら走っているうちにバスはロングヴィル・バロンに到着。

Ch.ピション・ロングヴィル・バロンはCh.ラトゥールに隣接するすばらしい場所にあり、道を隔てて有名な「Ch.ピション・コンテス・ド・ラランド」がある。名前からもわかるとおり、この二つはもともと一つのシャトーで、遺産相続のときに息子がバロンを、娘がラランドを相続することによって分割されたとか。1987年からは保険会社のAXAの所有で、管理はCh.ランシュバージュでおなじみのジャン・ミッシェル・カーズ氏があたっている。建物はとても美しいが常駐で誰かが住んでいるわけではなく、ゲストハウスに利用されているだけだそうだ。作付けは68%がカベルネソーヴィニヨン、5%がカベルネフラン、他はメルロだが、0.3%だけプチヴェルドを植えている。ちなみにラランドでは8%がプチヴェルドだそうで、男性的なバロンに対して、女性的なラランドと言われる味わいの違いの原因のひとつらしい。土壌は砂利が6〜7m堆積し、その下が粘土層とのこと。したがってブドウの根は、粘土層に蓄えられる水分を求めて地下深くまで根を伸ばす。

発酵はステンレスタンクで、もちろんコンピューター制御。ブレンドは樽熟前に行われ、ここで樹齢の若い木からのものや水準に達しないものはセカンドワインの「レ・トゥール・ド・ロングヴィル」に回される。

 

 

樽熟成は14〜15ヶ月。樽は7つの産地から仕入れているそうだ。貯蔵庫には1600樽貯蔵できる。また、MLFは約30%が樽の中でなされる。ちなみにラランドは樽の中でMLFを行っていないのではないか、それも味わいの違いの理由のひとつだろうとは、先方の担当者の弁。


圧搾は水平風船式。

瓶熟庫。 瓶のストックは100万本可能。

瓶詰め機。一時間に2500〜2800本瓶詰めできる。
銘柄

Ch.ピション・ロングヴィル・バロン93

産地 仏>ボルドー>メドック2級>ポイヤック村
場所
シャトーにて試飲 価格  
感想 ややオレンジが縁に見える濃いめのガーネット。香りはとても開いており、ブラックベリーやカシスのコンフィ、木の根、墨汁、コーヒー、甘草やナツメグなどのスパイスなど、複雑。味わいは果実の凝縮感はほどほどながら、豊かでしなやかな酸と木目細かいタンニンによるしっかりしたストラクチャーが昨日のサンテミリオンとはまた違った個性を感じさせる。私にとっては一番ほっとできる味わいだ。タンニンはまろやかに溶け込んでいて、後半からアフターにかけて酸が存在感を見せる。蔵出しということもあるのだろうけど、今とてもよい状態になっている。
【84点】
ちなみにここではシャトー直販でワインを購入することができる。ビンテージはたしか93年以降ぐらいしかないが、値段は95、96ともに395FF(約6000円)と結構安い。セカンドの「レ・トゥール・ド・ロングヴィル」や「シャトー・ピブラン」も売っている。せっかくの記念にと思い、ここで96を一本購入。後で思えば95も買ってくればよかった…。