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2000年9月12日(火)
フランス旅行記 その2 Ch.ボーセジュールベコ訪問
順序は逆になるが、食事の前に「Ch.ボーセジュール・ベコ」を訪問した。サンテミリオン地区の「プリミエ・グランクリュクラッセB」銘柄だ。一度プリミエグランクリュから降格されて物議をかもしたが、96年に再昇格した。畑の面積は16.5haと決して大きくない。オーナーはジェラール&ドミニク・ベコ氏。この日はジェラール氏みずから応対してくれた。

植えられているのは70%がメルロ、6%カベルネフラン、残りがカベルネソーヴィニヨンだそうだ。ブドウはまさに完熟していて、約1週間後に収穫を予定している。ただオーナー氏は今日の雨模様の空をいたく気にしておられた。

発酵はステンレスタンクで行う。コンピューター制御で温度が32度以上にならないように調整する。

 

 

 

 

マロラクティック発酵は樽の中で行う。樽熟期間は12〜18ヶ月。新樽比率は年によって違うが概ね80〜100%。樽の産地はアリエやリムーザンのものを多く使っている。澱引きを3ヶ月に1回程度行う。
ブレンドは瓶詰め前に行われ、大体5〜6月ごろに瓶詰めされるとのこと。このシャトーでは石切り場の跡の地下スペースを貯蔵庫に利用しており、6万本のストックがあるそうだ。この貯蔵スペースは1849年から利用されていて、温度は12.7度だそうだ。
オーナーのjジェラール氏。私と写真をとるときは仏頂面だったくせに、一緒のツアーの女性や私のカミサンと撮影するときはニコニコ。まあ試飲で86年物を飲ませてくれたから大目にみよう。99年は困難なビンテージだったようだが、彼曰く、「96年に似たタイプになりそうだ」とのこと。帰り際に「2000年がよい収穫となるといいですね。」と言ったら、それに応えてニコッと笑った笑顔が印象的だった。 
銘柄

Ch.ボーセジュールベコ86

産地 仏>ボルドー>サンテミリオン・プリミエグランクリュクラッセB
場所
シャトーにて試飲 価格  
感想 縁にオレンジの見える濃いめのガーネット。香りはカシスやブルーベリーのコンフィ、麦わら、湿った土、漢方薬。まわすと甘いカシスリキュールのような香りが奥から出てくる。タンニンは丸くやわらかくとけこんでおり、酸はしなやかで角がとれている。果実味はたっぷりとしていて、甘味が後半に後を引く。噛めるような凝縮感があるというタイプではないが、非常にしなやかでバランスがよく熟成されていてすばらしい。蔵出しであるということ以外に、なんでもオーナー氏が朝のうちに抜栓してくれていたとのことなので、3〜4時間経過してちょうどよい状態になっていたということもあるのだろう。【87点】

さて、昼食をすませてサンテミリオンを後にし、ボルドー市へ戻る。

ボルドーはフランスでは5番目に大きい都市だとかで、同じく日本で5番目の福岡市とは姉妹都市になっているそうだ。市の中心部に行くと、大きな街にきたなあ、と改めて感じさせる。


あんまり時間のない中、無理を言って自由時間を作ってもらい、ワインショップを見て回った。
まず一件目は、「ラ・ヴィノテーク・デュ・ヴァン」。市の中心部にあるので、すぐわかる。この店は日本への発送もしてくれるというので、期待していったのだけど、品揃えは普及クラスすなわち97とか98といったごく新しいビンテージのクリュ・ブルジョワやセカンドワインなどが中心で、奥のカーブにある高級ワインや年代物は拍子抜けするほど少ない。ラミッションオーブリオンがビンテージによっては7000円台であるなど、 じっくり探したらいろいろあったのかもしれないけど、時間がなかったこともあり、パス。


二件目に行ったのは「ランタンダン」。ブルータスなどでも紹介されている店だ。こちらは店のレイアウトが出色。螺旋階段になっていて、上にいくほど古いビンテージになっていく仕組み。期待したほどオールドビンテージはない(陳列していないだけか?)けれど、80年代以降の品揃えはかなり豊富だし、値段もヴィノテークより安い。ちなみにツアーで一緒だった方が買われたものを例に挙げると、
「Ch.ラトゥール95」「Ch.ムートンロトシルト95」がともに21000〜22000円くらい。
「ヴィュー・シャトー・セルタン95」「Ch.デュクリュボーカイユ89」「Ch.フィジャック95」あたりが概ね7000〜8000円程度だったそうだ。
ただ、この店で非常に残念なことは、日本へ発送してくれないこと。ここで買って持っていってもいいんだけど、この先ロワールとかパリとか回らなければならなことを考えると、以前のアメリカ出張の際、ハンドキャリーに懲りた経験がよみがえって、私結局購入せずじまい。 ちなみに通な方々は日本から梱包材を持っていって郵便局で送ったりされてもいるようです。

銘柄 Ch.カルボニュー98
産地

仏>ボルドー>ペサックレオニャン(グラーブ)グランクリュ

場所
アルカーションのカジュアルなレストランにて 価格 239FF(約3600円)
感想 自由時間のあと、晩飯はボルドー市の西1時間ほど行った所にあるリゾート地アルカーションでシーフード三昧。皿に一杯のムール貝とサーモンのグリル。美味しかったんだけど、量がややトゥーマッチだった。デザートにはりんごのタルトがまるまるひとホールでてくるし…。(^^; 
選んだワインは順当にボルドーの白を。カルボニューは日本でも容易に手に入るので、イマイチ面白みがないんだけど、あんまり他に選択がなかったので。色は緑がかったやや濃いめのイエロー。香りはグレープフルーツなどの柑橘系果実、少し時間をおくと洋ナシのコンポートような甘い香りがでてくる。 樽からのミルキーな香りや白い花を濃縮したような香りもある。味わいはふくらみがあり、果実味が豊かでみずみずしい。酸は豊富でやわらかく、果実の甘味とのバランスが良好。フィニッシュにまでふくよかでいてさわやかな果実のフレーバーが口中を満たすなかなかすばらしい味わい。大変コストパフォーマンスのよいワインだと思う。
【83点】