2011年11月

日時 2011/11/30
銘柄 シャンボールミュジニー・シャルム2006(ユドロ・バイエ)
感想 前のエントリーのつづきです。 2本目に開けたのは、表題のユドロバイエ。 夏場にピアット・デル・ペオーネさんに伺った際に、飲みきれずに余って、そのまま店内で保管してもらっていたボトルです。 グラスに注いでもらうと、中程度からやや濃いルビーで、紫の要素が消えて全般に落ち着いた色調になっています。香りは全開。リキュール状の赤い果実やダージリン、オレンジの皮、枯葉、ミネラルに皮革や下草系の熟成香が入り混じってすばらしい芳香。飲んでみると、ジュクジュクで、タンニンは溶け込み、甘い果実味となめらかな酸が心地よく口の中を満たしてゆきます。やや梅酒的フレーバーも感じるあたり、06年のシャンボールの1級としては、熟成が進みすぎている感じがしますが、ひょっとしたら保管場所の温度がやや高めだったのかもしれません。でも美味しく飲めたので、結果オーライです。
写真 2
一時期の喧騒と熱狂が過ぎ去って、あらためてユドロバイエのことをどう思うかと問われれば、私にとって偉大な生産者や深遠な生産者に位置づけられる作り手ではありませんが、コストパフォーマンスに優れたチャーミングなワインを作る生産者としてポジティブに捕らえています。1級で6〜7Kという現在の価格が続いているうちは、毎年買って飲んでみようと思います。
★楽天でユドロバイエを検索する★
日時 2011/11/30
銘柄 奥野田ワイナリー・桜沢シャルドネ2009
感想 職場の同僚が異動することになり、身内だけの送別会を新橋の「ピアット・デル・ベオーネ」で開催しました。 実は、ここにユドロバイエを1本預けっぱなしになっていまして、早く行かなければと思いつつ数ヶ月。ようやく伺うことができました。 http://r.tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13113423/
新橋北口のやや雑多な界隈にありますが、料理は上質で相変わらずCPも良いです。ワイン会用のコースなどもありますが、この日は前菜多数にピザ、パスタと、アラカルトでワイワイ注文しました。 ワインは1本では足りないので、もう一本、以下の銘柄を持ちこみました。
写真 3
10月に奥野田ワイナリーさんを訪問したときに購入してきたボトル。 自家農園産のシャルドネを、オークの新樽で発酵、およそ半年間熟成させたものだそうです。料理王国の特集で、ゴーミヨ(ドイツのワイン誌)の編集長が褒めていた銘柄です。白桃やグレープフルーツ、アカシア、シナモンなどにオークが絡む落ち着いた香り。口に含むと、酸が丸く、滑らかでエレガント。味わいの後半に甘みが感じられます。スケール感や凝縮感はありませんが、エレガントでバランスのよいシャルドネです。
日時 2011/11/25
銘柄 サヴィニー・レ・ボーヌ・ドミノード09(ブリュノ・クレール)
感想 写真 2
RWGチャリティオークションで落札したブリュノ・クレールの09サヴィニー・レ・ボーヌ・ドミノード。 ラベルの右端にサインが入っているのですが、写真から判りますか?
樹齢100年以上の古木から作られる、ブリュノ・クレールの隠れた看板銘柄のひとつ。ひと昔前の話になりますが、雑誌のテイスティングでブリュノクレールの新着各アイテムをブラインドで飲んだ際、クロドベーズやクロサンジャックなどに混じって、ひときわすばらしい香味のグラスがあって、何だろうと思ったら、この銘柄だったということがあり、それ以来注目しているアイテムです。
当然まだ早いのはわかっていますが、3本セットで落札したので、飲み頃を探る意味でもまずは1本開けてみることにしました。
抜栓してみると、欧州から某新進インポーターさんの尽力で直送したボトルというだけあって、状態はイイです。香りは最初非常に還元的で、それなりに開いてくるのに1時間近くかかりました。
味わいは香りから想像するよりずっと飲みやすいものです。フローラルな赤系果実にアーシーな要素が絡み、甘く外向的。果実味がピチピチとして美味しいのですが、ややグリップに乏しいのと深みに欠ける気がします。ただし、リリース直後の若いVTのワインは、二日後、三日後の方が真価を発揮することが少なくないので、ボトル半分残して翌日に回すことにしました。

翌日:予想通り、ピチピチの果実味が落ち着いた分、味わいにグリップが出て構造が感じられるようになりました。バランスもさらに向上した感じです。味わいの変化が面白かったので、最後の1〜2杯分は翌々日用に残しました。

三日目:香りは衰えてしまいましたが、味わいはまだまだ行けます。初日は果実味に隠れて見えなかった、熟したタンニンと伸びやかな酸が味わいを支えていることを改めて認識させられます。もう1杯分ぐらい残しておけばよかったかな、と悔やみつつ完飲。
日時 2011/11/18
銘柄

昨年初めて参加させていただいた、光弘さん安師範へんさんたちのワイン会。年に一度開催で、今年で12回目だそうです。 そんな由緒正しい会に、私としたことが、大遅刻してしまいました。

‥とはいえ、今回ばかりは不可抗力だったのです。 18時半始まりなのに、当日になって17時半始まりの会議にどうしても出席しなければならなくなってしまったのです。 仕方ないので、店には30分ぐらい遅れるとあらかじめ連絡しておいたのですが、会議の方は当初予定されていたの1時間では終わらず、結局散会となったのが19時過ぎ。 さらに議事のメモをどうしてもその日のうちに関係者にメールしなければならず、会はとっくに始まっているのに、私はまだ職場でメールを書いているという最悪な展開‥。
この日の会場は、三田の「ミノビ」さん。地図を見ると、最寄駅からそこそこ距離があるようなので、迷わずタクシーに飛び乗りました。これは我ながらよい判断だったと思うのですが、それでも、結局到着したのは19時40分を回ってしまいました。 そんなわけで、まったくもって恐縮の至りだったのですが、みなさま暖かく迎えてくれたのは本当にありがたかったです。

とはいえ、 当然、食事のコースも進んで、ワインもかなりの数が空いたあとです。それで前半の泡と白については、ブラインドで、ということになりました(笑)。といっても、そこは大人のみなさま。追い込まれるようなこともなく、ごくごく余興程度のブラインドでした。

■泡
すごく勢いのある、それでいて細やかな気泡。イーストフレーバーとコクがあって、安定感のある心地よい味わいです。ビンテージは2000年とのこと。それにしては若く感じるなぁ。って、シャンパーニュのブラインドなんてわかるはずもなく、途方に暮れていたら、メジャーな銘柄というヒント。。銀座あたりでよく開けられているとのこと。ということはドンペリですか‥。って、これはブラインドとは言いませんよね。
→ドンペリニョン2000(写真撮り忘れ)

■次は白が2本。
こちらはへんさんとがぶさんより。へんさんのボトルは事前にアルザスと聞いてたなぁ。厚みがあって、テクスチャーがツルリとしている。酸は思ったほど鋭角的ではない。華やか。ピノグリですか?と思ったら、正解はリースリングでした。 写真 2
→リースリング・キュベ・フレデリック・エミール2004(トリンンバック) 堂々たるアルザスですね。すばらしい。
もう一本はシャルドネ。適度に樽が利いていて、エレガント。厚みはありませんが、ナチュラルで破綻のないバランス感がいいです。これは定評のあるワイナリーでしょうね。城戸ワイナリーあたり?‥あ、それはがぶさんに昨年お持ちいただいたワイナリーだったか‥。で、正解は小布施ワイナリーのドメーヌ・ソガ。 写真 1
→ドメーヌ・ソガ・ラ・ヴァン・ナチュレル"・シャルドネ 2007
(小布施ワイナリー)
国産のシャルドネも高水準のシャルドネが出てきてますね。

■ロゼ
師範の持ち込みワインは事前にロゼと聞いていたのですが、グラスに注がれたのを見ると、赤ワインといっても通用する濃い色調です。甘くフローラルな香味は赤い果実のゼリーとか、アセロラとか、砂糖入りの紅茶とかを思わせます‥。少しフォキシーなフレーバーもあって、昔飲んだ都農ワイナリーのキャンベルアーリーがこんな味わいだったな、なんて思ったのですが、銘柄を聞いてビックリ。なんと、カレラのロゼだそうです。品種はピノノワール。こんなピノ、初めて飲みました。ある意味目からウロコの一本。 (写真撮り忘れ) →カレラ ヴァン・グリ・オブ・ピノ・ノワール 2010

■次は赤 。
写真 5
ソミュール・シャンピニー・ル・クロ 2005(クロ・ルジャール)
ようやくこの辺でみなさんに追いついてきたのはいいのですが、かなりのハイペースで飲んだので、酔いが回るのも早い‥。 とびさんの持参の赤はロワールのソミュール・シャンピニー。ビンテージは05年。飲んでみるといい具合に熟成入っています。赤い果実や紅茶に加えて、饐えた漬物系の香りが前面に出ています。ヴェジタルな要素はあまりなく、しっかりした味わいです。フランも熟成するとこういう味わいになるんですね。 写真 3
カオス01(ファットリア・レ・テラッツェ)
磯子さんのこの南イタリアのワイン、すばらしいです!調べてみると、マルケ州でトレ・ヴィッキオーリを獲得したワイナリーとのことですね。年産わずか4000本だそうです。フルボディで果実味豊か。甘く熟したタンニンとはこういうことを言うのでしょうね。アルコール度も高く、堂々たる体躯。日ごろの私のテリトリーでは、まず飲むことのない銘柄ですが、こういう新たな発見があると嬉しくなります。 写真 4
シャルムシャンベルタン99(ジャンテ・パンシオ)
私が持参したのは、イギリスから仕入れたジャンテ・パンシオ。現地直送モノということで、状態は心配してなかったのですが、グラスに注いで見ると、結構濁っています。控えめなスーボワ香。味わいは色調から感じられるとおり、ドロンとした印象が強いです。まあ、しっかり熟成ピノしてますが、99年のトップキュベにしてはなぁ、というのが率直な印象。もっとも、ジャンテ・パンシオって、どうも私が過大評価していたような節もあって、ある意味こんなものかなぁという気もするし、難しいところです。 写真 2
Ch.アンジェリュス90
光弘さんにお持ちいただいたのは、アンジェリスの90年。この会で10年前に開けたものと同じ銘柄だそうです。今買うととてつもないお値段ですが、光弘さんはその昔7000円台で買われたとか‥。かなり熟成入っていますね。ドライフルーツ系の黒果実、ゆで小豆、皮革、スーボワなど。味わいは各要素が溶け込んで複雑。それでいていかめしさはなく豊満で柔らかなところは、さすが90年です。ここから寝かせてさらに上昇する感じはしませんが、この状態がこの先しばらく続くのではないでしょうか。10年前はどんな味わいだったんでしょうね。 シャルムシャンベルタンがやや消化不良系ワインで申し訳なかったこともあり、予備に持ってきたワインを出させていただきました。って、予備によくこんなリスキーな銘柄を持参したよなぁと我ながら不思議。(笑)
写真 3
グリオットシャンベルタン04(シェゾー)
ポンソがメタヤージュで作っている銘柄です。シェゾー名のポンソはあまり評判よくありませんが、一方で04年のポンソは周囲の評判がよいという、プラスマイナス相半ばするボトル。どんなものかという興味もありました。 で、このポンソ、いつもの尺度でいうと、ホームランではありませんでしたが、ヒットか幸運な二塁打ぐらいかなと。最初は酸味勝ちでしたが、時間とともに果実のふくらみや旨みが出てきて、ポンソらしくなりました。各要素の質感が高く、熟成させるとよくなりそうです。 最後は、お店から、グロフレールのマールまでいただいて(これがまた美味しかった)、もうベロベロ。終了したのは11時半ぐらいでしたっけ?いやあ、よく飲みました。

それと、今回、とても印象に残ったのは、minobiさんの料理の美味しさ。 私自身、オーグードゥジュール系に久しぶりに行ったということもありますが、今年伺った店の中でも屈指の印象に残る料理でした。遅刻せずにもっとゆっくり食べられていればなぁと、それだけが心残りです。いずれ再訪することにします‥。 写真 5 写真 4 写真 3 写真 2 写真 1

日時 2011/11/17
銘柄 ボーヌ・ゼプノ05(パラン)
感想 月に一回睡眠薬(といってもごく軽いものです)を処方してもらっている診療内科の先生が大のワインマニアだと判明。診察そそっちのけで、ワインの話で盛り上がりました。 なんでもドクター・バロレのワインを10本持っているとか‥。
ワイン会で会ったことはもちろんありませんが、私が存じている方のワイン会にも行かれたことがある様子。もっと話せば、共通の知人友人なども出てくるのでしょうけど、他の患者さんの迷惑になるので、そこそこで切り上げました。 写真 1
この日開けたのは、パランの05ボーヌ・ゼプノ。プルミエクリュです。 たしか、何かのワインと抱きあわせで安く買ったものだったと思います。
少しドヨンとしたガーネットの色調。抽出強い。黒系果実の集中力のある香りは好ましいものの、一口飲むと、ギシギシするようなタンニンが‥。昔ながらのトラディショナルなコート・ド・ボーヌのワインというイメージ。飲み頃はまだかなり先のようです。

翌日、小瓶の残りを飲みましたが、相変わらずタニック。酒質は締まっていて、舌にジンと来る木質的でボルドーチックなタンニンが優勢です。まあ05というVTのキャラもあるんでしょうね。デキャンティングしたら、少し飲みやすくなりました。

2年前に今の部署に異動になってからというもの、かつてないほど精神的に追い込まれることが多く、一時はノイローゼ寸前までなったこともありました。それでも、たまに参加するワイン会や晩酌に開けるワイン、友人や知り合いとのワインについての会話などが大いに気分転換に役立ってくれました。診療内科の先生も、そんなに積極的にワイン関連の活動をできるのなら、全く問題ないよと太鼓判を押してくれてます(笑)。 そういう意味では、ワインという趣味に本当に救われていると感じる今日この頃です。 まぁカネはかかりますがね。
日時 2011/11/10
銘柄 クレマン・ド・ブルゴーニュ(アニェス・パケ)
感想 写真 3
木曜日から金曜日にかけて飲んだのは、アニェス・パケのクレマン。 フレッシュで果実味豊かな泡ですが、味わいはカジュアル方向で、シャンパーニュの代わりになるレベルではないかと。2kを超えるプライスを思うと、やや微妙。個人的には、フィリップ・ラマリエの方を選びますね。
日時 2011/11/4
銘柄 ブルゴーニュ・ルージュ09(グロフィエ)
感想 写真 2
巷で評判の09グロフィエ。追加購入を検討する意味もあって、裾物を開けることにしました。裾物といっても、グロフィエのACブル、そしてPGNは毎年出来がよいことで知られています。今回も期待して開けてみました。
底が見えないほど濃厚な色調。抽出の強さは感じられず、酒質はエレガントさを保っています。やや酸度が低めな気もしますが、平坦な感じはなく、バランスよいです。タンニンは熟してなめらか。目のつまり具合が素晴らしい。

翌日、還元的だった香りは開いて、飲んでも酸がしっかり感じられるようになりました。初日のフルーツ爆弾的味わいからより構造的な味わいに変化してきたという感じです。まあ裾物ですから、余韻の長さなどは期待できませんが、これだけ凝縮感があって、バランスもよいと、ブラインドでは間違いなく村名(以上)と答えそうです。

というわけで、前評判どおり、かなりイイですね。濃厚でありながらエレガント。上位銘柄はさぞかし、と思いますが、どういうわけか、グロフィエに関しては、あまり購買欲が湧かないんですよねぇ、ワタシ。追加購入については、まだ迷っています。
日時 2011/11/3
銘柄 ジュブレイシャンベルタン04(J・トルショー)
感想 写真 1
我が家のトルショーさんのボトルも残り少なくなってきました。
子どもの生まれ年の02、03年の特級が数本と04の村名2本、05のプルミエと村名が何本か。04年については、そろそろ頃合だという話もあるようなので、村名ジュブレを開けてみることにしました。

この生産者の常で、コルク上部はカビがびっしり。コルクがやや緩いのか、抜栓すると側面が少しヌルッとしていました。グラスに注ぐと、ボトルの最上部はピリピリとして神経質な酸が見られましたが、二杯目からは落ち着きました。ちなみに今回のボトルのインポーターは千商ではなく、オルヴォーです。
色調はオレンジがかったガーネットで、ボトル下部はやや濁りがあります。香りは最初寡黙でしたが、徐々に赤系果実やオレンジピール、スパイス、紅茶、スーボワ、それに赤サビっぽいニュアンスが出てきます。味わいはタンニンが穏やかで酒質は肩肘張ったところがなくどこまでもナチュラル。生産者の個性とVTのキャラクターズがあっているというのもあるのでしょう。飲み進むにつれて香りも開いてきて、しみじみ美味しいと感じさせるピノです。 小瓶に残した二日目も、香りこそやや衰えたものの、なめらかな味わいは健在で、二日に亘ってトルショー節を堪能することができました。