2009年9月

日時 2009/9/28
銘柄 オー・コート・ド・ニュイ2007(ユドロ・バイエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想
06年までの人気はどこへやら、楽天でも余りまくっている07ユドロ・バイエ。RWG誌で「優良生産者の中で数少ない07年の負け組」と酷評されるなど、メディアでの評価が芳しくないことも一因のようですが、実際のところ、どうなんでしょうか?今回は手元にあるHCNを開けてみました。 紫の色調が強い、中程度のルビー。香りは当初寡黙でしたが、じっくり飲んでいるうちに、カシスやラズベリー、ミネラル、スミレ、ダージリンなどのニュアンスが立ち上ってきます。 香り同様、味わいも開けたてはバラバラの印象。果実味が引っ込んでいる一方で酸が強めに感じられ、これはキビシイかな、という気になります。しかし、ある程度空気に触れると、オレンジの皮のような果実味やそこそこの旨み感が出てきて、小ぶりながらも滋味に富んだ味わいに変化してきます。ボトル半分飲み終える頃には、「悪くないじゃないの‥」と思うようになりました。
個人的な印象としては、05年や06年より劣るものの、その差は05と06VTの差ほど大きくはないように思いました。 とはいえ、この07年のレベルですと、3千円を超えるプライスは、もはやお買い得といえるものではないかなと。この点、消費者とは正直なものですね。
【吉】

★ユドロ・バイエを検索。在庫があふれかえってますね、いや、ホント。★
日時 2009/9/27
銘柄 ブルゴーニュ・キュベ・プレステージ2002(シャルロパン・パリゾ)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想 なんだか最近セラーのワインが減らないなぁと思ってブログを調べてみたら、自宅でワインを開ける頻度が激減していることに気づきました。8月4本、9月はまだここまで1本です。決してワインから遠ざかっているわけではないんですけどね。平日はどうしても仕事のつきあいが多くなってしまうこと、ワイン会や試飲など、外でワインを飲む機会が以前より増えていることが原因かと思います。 日常消費用のストックもだいぶ貯まってきたので、これからは少しペースを上げて消費していくつもりです。

。さて、この週末飲んだのは、私の好きなシャルロパン・パリゾのACブル。 一ヶ月ほど前に割田屋さんでシャブリと一緒に購入したものです。 自宅にリリース直後に買った02VTのグランクリュが何本かあるので、それらの飲み頃を測る意味もこめて、興味深く抜栓しました。

色調はエッジにオレンジがかったやや濃いルビー。ブラックベリーほど黒くはないけど、カシスというだけでは物足りないといった黒系のコンポート的な果実香、八角、ナツメグ、丁子などのスパイス、それに下草や土っぽいアーシーな香り。口に含みますと、厚みのある果実味を力のある酸が支える、ACブルとしては申し分のない味わいです。タンニンはよく溶け込んでいて、この作り手独特の少し焦げたようなフレーバーが後半に感じられ、フィニッシュには甘い果実味の余韻を残します。時期的にはピークに差し掛かった頃合いでしょうか。今飲まなかったとしても、すぐにヘタれそうな気配はなく、まだしばらくはこの味わいをキープしそうな力強さも感じます。もちろん裾モノですので、奥深さとか抑揚とかはありませんが、3K程度のピノとしては、熟成具合も含めてすばらしい味わいだと思いました。今回は2本しか買いませんでしたが、もっと買っておけばよかったかな、と。 手持ちの特級はもう数年待ってから、ボチボチ開け始めようと思います。 【中吉】
#パリゾは早飲みしても美味しいんですけどね。

↑写真は06年。数ヶ月前に飲みましたが、正直、02年ほどの味わいは期待できないと思います。

★楽天でシャルロパン・パリゾを探す。★
この作り手、産地ごとの違いがあまり出てこないのがタマにキズですが、反面、どれを飲んでもそれなりにまとまっていて美味しいと思います。オススメの作り手の一人です。
日時 2009/9/25
銘柄 この日は取引先との会食で、久しぶりに、地元三軒茶屋の「夕(セキ)」に行きました。店内は満員で、店主もお忙しそうでしたが、料理はどれも工夫があって美味しくいただけましたし、国産ワインの充実ぶりも相変わらずでした。 飲んだワインは以下。

■キザンワイン2007
柑橘系の爽やかな香り。クリーンで滑らかな飲み口。以前飲んだものに比べるとやや酸が緩く薄めに感じるのは、ビンテージの違いでしょうか。お造りやサラダ系の料理によくあっていました。

■ダイヤモンド酒造
シャンテY・AますかっとベリーA Plus2007 
コレ、美味しいですよ。赤系の充実した果実味にオークが心地よいアクセントを添えています。ピノ好きのご当主がピノノワールの味わいを意識して造ったとのことですが、ピノというよりは、よい生産者が作ったボジョレー(ヌーボーではない)に通じるものを感じます。 ベリーAというと、どうしても屋外でコップで飲むような安ワインを思い浮かべてしまうのですが、造り方によってここまで仕上げられるのかと、目からウロコでした。正直言いますと、ベリーAで「美味しい」と思うワインに出会ったのは、これが初めてです。 食べきれないほどの料理を注文して、駆けつけ一杯のビールと上記のワインでお会計はひとり7000円。いいお店です。
日時 2009/9/20
銘柄 東急試飲
感想

世はシルバーウイークで5連休。2日目のこの日は、 午前中、ウォーキングがてら渋谷の東急のテイスティングに出かけ、午後は近所の世田谷公園に子供たちを連れて行ったり、ミスドに行ったり、夜は近所の「大樹苑」に焼肉を食べに行ったりと、まったりと過ごしました。 東急で飲んだ銘柄です。 090920wine1.jpg
■ドーマス・ガサック88
エッジにはっきりとオレンジが見えるガーネットの色調。赤い果実のドライフルーツ、干しプルーン、枯葉、腐葉土、麦わら、ヨード、スパイス。口に含みますと、ややドライな果実味の第一印象。タンニンはややウエットながらよく溶け込んでおり、高めの酸が構造を支えます。鄙びた感じの熟成ですが、酒躯は緻密で充実しています。私のグラスは抜栓後最初の1杯でしたので、おそらくボトルの中盤以降はさらにすばらしい味わいになったのではと思います。

★MARUYAMAYAさんにバックビンテージいくつかあります。★

090920wine2.jpg
■ヴォーヌロマネ・シャン・ペルドリ90(ブリュノ・クレール)
中程度のガーネットの色調。エッジははっきりとオレンジが見てとれます。イチゴやラズベリーのコンポート、バラ、シナモン、ダージリン。味わいは厚みのあるリキュール的な果実味の第一印象。酸にこのあとのポンソほど張りはなく、ややグリップが乏しい面もありますが、村名とは思えない酒肉の厚みがそれを補っています。 090920wine3.jpg
■シャンボールミュジニー・シャルム90(ポンソ)
オレンジがかった中程度のガーネット。香りがすばらしい。赤い果実のリキュールやバラの花束、ムスク、ミネラルなどのうっとりするような芳香。口に含むと、オレンジピールっぽい果実味としなやかな酸があって、甘くクリアで旨みの乗った、繊細な味わいです。一方で、酒躯は儚げになってきているので、スワリングすると、一気に酸化が進んでしまいそうな危うさも感じます。ポンソは88年からSO2を排除している(代替に窒素ガスを使用)そうですが、SO2添加/無添加の長期熟成に対する影響ってどうなんでしょうね?

それにしても、20年を経過した村名、1級でこの香味。やはり90年はすばらしいです。近年のVTでこれに匹敵する年といえば、結局05年ということになるわけで、10〜15年後の自家消費用に、これからもチマチマと05年を買い足していこうと思っている今日この頃です。グランクリュでなくてもいいんです。村名、1級でも90年はこれだけ保っているわけですから。

日時 2009/9/18
銘柄 モンテプルチアーノ・ダブルッツオ2006(マシャレッリ)
産地 イタリア>トスカーナ
感想
97ジオイアを買ったときに、一緒に購入したマシャレッリのモンテプルチアーノ・ダブルッツァオ。これ単体ですと、もっと安い店もありますが、これを含めて合計5K以上買えば送料無料になるので、マル源さんで何か買うときには一緒に買うとお得です。(^-^) 濃いめのルビーで、エッジは和らいできています。香りが思いのほか寡黙でなかなか立ち上ってこないのですが、時間とともに、ラズベリーやカシス、プルーン、干草などがほんのりと立ち上ってきます。 味わいはミディアムボディで飲みやすい印象。果実味が少し過熟気味で、ドロンとした感じがありますが、伸びやかで綺麗な酸がうまくバランスをとっています。一部の新世界銘柄のような凝縮感はありませんが、かといって青っぽいとか水っぽいということもなく、ナチュラルな造りには好感が持てます。余韻はまあ価格相応というところでしょうか。 過大評価すべきワインではありませんが、深く考えずに飲むときなどにはよろしいと思います。 【吉】
日時 2009/9/14
銘柄 イヴ・ガングロフの会
感想 0911hiranoya.jpg
*コンドリュー・キュベ・エクセプショナル
”アリアンス・ジャズ・エ・コンドリュー”
キュイヨン、ガングロフ、ジュラン、ジョルジュ・ヴェルネ、ガイヤール・エ・ヴィラールの各ドメーヌがそれぞれ1樽持ち寄って造った銘柄とか。 少し黄緑がかった色調。ミント、ジャスミン、アンズのコンポート、それに麝香などのニュアンスがあり華やかな香り。味わいは厚みのある果実とエッジのとれた丸い酸とで、ヌメッとしたテクスチャーがこの品種らしい。★★

*コンドリュー2006
オレンジ、アンズ、ジャスミン、金木犀、花の蜜、味わいは果実味が凝縮されていて、アルコール感があり、ネットリとしたテクスチャー。フィニッシュに少し苦味も加わり、複雑で長めの余韻。★★☆

*コートロティ”ラ・バルバリーヌ”04
濃いめのルビーでエッジピンク。カシス、ダークベリー、木質、丁子などのスパイスにやや汗っぽいニュアンスも。伸びやかな酸があり、エッジはやわらか。熟成途上でやや中途半端な感じの味わい。★★

*コートロティ”ラ・バルバリーヌ”05
エッジはまだ赤紫。カシス、ダークベリー、スパイスに加えて、若くフローラルなニュアンス。酸はしっかり。タンニン豊富だが緻密でよく熟した印象。シラー100%のスレーヌ・ノアールに比べて香味が華やかな印象がある。★★★

*コートロティ”ラ・スレーヌ・ノアール”04
濃いルビー。エッジはやや緩んできている。カシス、ダークベリー、木質、スパイス、それにやや動物臭。味わいはバルバリーヌより骨格があり、伸びやかな酸が好印象。もう少し寝かせたものを飲んでみたい。★★☆

*コートロティ”ラ・スレーヌ・ノアール”05
カシス、ダークチェリー、血、黒胡椒、木質。凝縮された、力のある果実味。タンニン豊富。バルバリーヌに比べるとストレートな力強さがある。ブラインドだと少し熟成したボルドーと間違えそう。個人的にはバルバリーヌの方が好みだが、こちらも美味。★★★

いい生産者ですね。 バルバリーヌは、砂質の花崗岩主体で、ヴィオニエ7〜8%混醸。スレーヌノアールは、シスト土壌でシラー100%。ギガルの単一畑でも感じましたが、ヴィオニエを混ぜているかどうかで、かなり味わいに違いが出ますね。 それになにより、平野弥さん扱いの状態のすばらしさ。 ただ、今回飲んだ04年は、時期的に難しい時期なのか、ややピントがぼけたような味わいでした。これに対して、05年は、非の打ち所のないような鮮烈な香味。これがはたして閉じる前からなのか、それともビンテージの差なのか、おそらく両方なんでしょうけど、そんなことを確認する意味も込めて、ぜひ定点観測的にまた飲んでみたいと思いました。
日時 2009/9/13
銘柄 0913deguchiya.jpg
近所の出口屋さんで試飲会があったので、ウォーキングの合間に寄ってみました。全部で17アイテムあったのですが、時間の関係で3アイテムのみ、それも駆け足のテイスティングでした。

*サヴィニー・レ・ボーヌ・ブラン07
(カトリーヌ・エ・クロード・マレシャル)
輝きのあるグリーンイエロー。白桃、カリン、アカシア、それに蜜っぽい香り。厚みのある味わいで、果実味は甘く凝縮されてますが、全般にややボッタリ感があります。フィニッシュには柑橘類の皮のような苦みが感じられ、余韻も価格相応というところ。

*ムルソー・レ・コルバン07
(ヴァンサン・ダンセール)
淡い色調のグリーンイエロー。白桃、ミネラルなどに加えて、ヘーゼルナッツのような独特の香りがあります。口に含むと果実味がネットリと凝縮していて、目の詰まった感じは前銘柄とは比べ物になりません。酸も綺麗で、奥行きのある味わい。
★ヴァンサン・ダンセールを楽天で検索★

*ピュリニーモンラッシェ07
(ジャン・マルク・ボワイヨ)
これもどちらかというと淡い色調のイエロー。レモンやシトラス、ミネラル、それに硝煙のような還元香?があります。口に含むと、前銘柄に比べて、スッキリしてスマート、それでいて抑揚のある味わいです。構造を支えるしなやかで力のある酸がすばらしい。
★ジャンマルク・ボワイヨを楽天で探す★
日時 2009/9/10
銘柄 コノスル・20バレルリミテッド・ピノノワール07
産地 チリ
感想
この銘柄を飲むのは2度目ですが、相変わらず美味しいです。 濃厚なルビーの色調。ブラックチェリーやカシス、スパイス、紅茶、それにやや木質的な香り。口に含むと、凝縮された中にもなめらかな果実味のアタック。タンニンは柔らかく上質、酸もしっかりあって奥行きのある味わいです。14%のアルコール度と聞くと、新世界的なパワフルなピノを想像しますが、この銘柄はどこまでもナチュラルかつエレガントに仕上がっているのが印象的。良年のブルの裾物あたりと充分にタメを張れそうです。 ボトルをずっと冷蔵庫に入れておいたせいか、この日はやや香りが閉じこもり気味でしたが、ボトルに少しと小瓶に分けて残しましたので、3日ぐらいかけて飲んでみようと思います。
ところで、楽天でこの銘柄の感想を読んでみると、CP面でネガな意見が多いのが意外でした。ピノを飲みつけている人向けの銘柄なんですかね?【小吉】

★コノスルの20バレルシリーズ。他銘柄も試してみようと思います。★
日時 2009/9/8
銘柄 ナカイ・ヴィンヤード・ラシアンヴァレー・メルロ2004
産地 米>カリフォルニア
感想 昨晩は、取引先との会食で、珍しく上野に行きました。
厳選洋食さくらい
http://www.yoshoku-sakurai.com/

洋食の名店というと、店内は油まみれで座席はカウンターだけ、なんていうお店を想像しがちですが、ここは内装もオシャレで、お味の方も昔ながらのというよりは、洗練されたモダンな洋食という感じです。 ワインも銘柄数こそ多くはありませんが、結構こだわりを感じさせるもので、ナカイヴィンヤードやイスラエルのヤルデンなどがハウスワインとしてオンリストされてます。 ということで、今回はお店のハウスワインのひとつでもあるナカイヴィンヤードを注文してみました。

楽天でのお値段がおおむね3000円台前半ですから、お店のボトル5500円というプライスは充分良心的。濃厚なルビーの色調。香りはカシスやダークチェリーなどの果実、シナモンなどのスパイス、バニラなど。味わいは濃密な果実味をしっかりした酸が支えており、タンニンはよく熟した印象。14.2%というアルコール度もあって、堅牢な構造を感じますが、その一方で、各要素のエッジが丸く、なめらかなテクスチャーも出色。良い意味で「判りやすい」味わいであり、ご一緒した方々も口々においしいと仰っていました。3Kそこそこなら悪くないチョイスだと思います。 その後、飲み足りずに同じくハウスワインのヤルデンのカベルネを注文したのですが、こちらはカラフで頼んだためか、抜栓後日にちが経過していると思しき味でした。次回はケチらずにボトルで注文しようと思います。【中吉】

★楽天でナカイ・ヴィンヤードを検索。★
日時 2009/9/1
銘柄 カルチェロ・ティント2008(アガピト・リコ)
産地 スペイン
感想
こちらのワイン、リアルワインガイドで「旨安大賞」を受賞したものだそうです。 RWG誌の試飲には毎回参加しているわけではないので、掲載されているものの中でも実際に飲んだのは一部に過ぎませんが、このオシャレなラベルについては、見覚えがありますし、私も高得点をつけた記憶があります。 ということで、近所の酒屋で同じラベルを見つけて購入してきたわけですが、ちっと勝手が違ったのは、08年だったんですね。(写真は07年です)
黒々としたルビーの色合いで、まだ若いだけあって、エッジは綺麗な紫色です。 香りはカシスやブラックベリーなどのジャム風ながらもフレッシュな果実、スパイス、ハーブ、それに香りではありませんが、アルコールのツンと来る感じがあります。 口に含みますと、分厚くジューシーな果実味のアタックとともに、アルコールの高さを感じますが、その一方で、青っぽいニュアンスもあります。酸は豊かでタンニンもよく熟しているのですが、複雑さはなく、やや大味なワインでもあります。 以前試飲した07年は、もっとエレガントな味わいだったと思うのですが、こちらはまだおちついてないのでしょうか、それともVTの差でしょうか。千円台前半の銘柄なので、複雑さを期待するのはムリとしても、この青っぽさががどうもねぇ、といったところです。

翌日:‥と書きましたが、一晩おいたら、グンとよくなりましたよ。青っぽさが後退して、果実の甘みが前面に出てきました。シンプルながら、素性のよい果実味中心にバランスの整った味わいですね。居酒屋でこんな銘柄があったら嬉しいんですが。
【末吉→小吉】