2009年7月

日時 2009/7/24
銘柄 地元でニコラ・ロシニョールのヴォルネイ05年の水平試飲があるというので、お値段がリーズナブルだったこともあり、申し込ませていただきました。 ニコラ・ロシニョールは、74年生まれの現在34歳。ボーヌの醸造学校卒業後、ジョゼフ・ボワイヨ、ルイ・ラトゥール、ヴュー・テレグラフ、シャトー・ラフィットが所有するシャトー・ラ・カルボンヌ、南アフリカ(ステレンボッシュ)のドメーヌ・ボッシェンダルなど、伝統と技術のある名門の生産者で修行を積み、94年に父親のドメーヌであるロシニョール・ジャニヤールに戻ったあと、97年にヴォルネイ、ポマール、ボーヌ、アロースコルトン、ペルナンヴェルジュレスの3ヘクタールばかりの畑を分配され、自らのドメーヌを立ち上げたとのことです。なお、98年には畑を1.5ヘクタール拡大して、現在では4.5ヘクタールの畑を所有しているそうです。 当日は、2階のほとんどのテーブルをひとつの島にして、参加者がテーブルを囲む形で行われました。昔懐かしい平野さんの勉強会を思い出すスタイルです。
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クレマンで乾杯のあと、ヴォルネイの各銘柄が次々と回されます。ビンテージはすべて05年。
*ヴォルネイ★★
イチゴ、赤い果実。なめらかな果実味、酸、わずかにスパイス。やわらかく美味しい。今のめる。
*ヴォルネイ・タイユピエ★★☆
密度感がある。果実味太くてリッチ。やや乾いたタンニン。フィニッシュはじんわりした印象。
*ヴォルネイ・カイユレ★★★
エレガントでミネラリー。甘い果実。タイユピエに比べるとスリムだが、縦方向に伸びる味わいがすばらしい。いかにもというような石灰質系の味わい。
*ヴォルネイ・サントノ★★★
ご存知、ムルソー地区で作られる赤。赤い果実、バラなどのフローラルな芳香はこの日一番。なめらかで調和のとれた味わい。ややスパイスを感じるフィニッシュ。
*ヴォルネイ・ロンスレ★★
シャンパン南東、村名と接した区画。赤と黒の中間位の果実。ミネラル感。やや軽めの味わい。
*ヴォルネイ・シュヴレ★★
カイユレのすぐ南の畑。黒い果実、香木、土、墨など一瞬ボルドーかと思うような香りが独特。隣同士なのに、なぜこんなに違うんでしょうね〜。
*ヴォルネイ・クロデ・アングル★☆
黒土、墨、紅茶、ミネラル。フレミエの南の畑。
*ヴォルネイ・フレミエ★★☆
ゆりの根などのヴェジタルな香り。スパイス。味わい重め。果実充実している。 ポマールに接しており、東に向いた泥灰質土壌だそうです。 料理の順番に対して、ワインを開けるペースが早かったこともあり、少し飲み足りないね、ということになって、平野さんが出してくださったのが以下のボトル。
*ボーヌ・プリミエクリュ・レベルゼ2002 ★★★
カシス、ダークベリーなどのリキュール、紅茶、スパイス。すばらしい香り。甘く濃縮された果実のアタック、酸は豊かで力のある味わいだが、ほどよく熟成感も入って、今美味しく飲めます。

いいですね、ニコラ・ロシニョール。テクスチャーがなめらかで、新樽のけばけばしさもなく、かといって古くさい感じでもなく、とてもバランス感覚のある作り手という印象を持ちました。 今回飲んだ05年や02年はビンテージの恩恵という側面もあるかと思いますので、06などでどんな味わいになっているか、興味があります。 それにしても、さすが平野さん(エスプリ・デュ・ヴァン)扱いのボトルです。 各銘柄のテロワールの違いがくっきりと出ていました。
最初にあけたカイユレとタイユピエの対比は大変興味深かったですし、サントノのアロマチックな香味は見事でした。ポマールと接するフレミエになるとまた全然違った味わいになるのも興味深かったです。水平試飲でこれほど各エリアの違いがくっきり出たというのは、ひとえに平野さん扱いのボトルの状態のよさと均質さによるものだと思います。凡庸なインポーターのボトルでは、こうした微妙なニュアンスの違いは消されてしまいますし、インポーター違いのボトルを寄せ集めたのでは、流通過程による状態の違いのほうが際立ってしまいますからね。
平野さんの会らしく、手元にはヴォルネイの地図や地質図なども配られ、参加されている方のレベルも高く、彼らの感想も非常に参考になりました。そういう意味で、勉強会的な色彩の強いワイン会でしたが、個人的にはこういうノリは好きです。また機会をみつけて参加したいと思います。 0724volnay2.jpg

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日時 2009/7/15
銘柄

親しくしていた取引先の方が異動になるというので、久しぶりにビストロ・ヌガさんに行きました。
http://lenougat.jp/message.html

ご存知「シノワ」の3号店ですが、コンセプトは大分異なります。まさにパリのビストロを思わせるような店構え。多彩な料理メニューは、ビストロの冠どおり、本場の定番モノがズラリと並びます。グラスワインはほとんどが1000円台前半と、シノワに比べると安価なものが揃っています。1階は丸テーブルが並んでいて、ワイワイとやる雰囲気。2階は比較的ゆったりとしたテーブル席です。 この日はオーナーの後藤さんもいらっしゃいました。聞いてみると、水曜日はこちらの店にいらっしゃるそうです。 頼んだメニューは、以下の通り。 〜ブランダード 〜ニース風サラダ 〜キッシュ・ロレーヌ 〜ヒラメのポワレ 〜ステーキフリット 〜この日のオススメで出ていたテリーヌのような、ええと名前失念しましたが、これが実に美味でした。 最後のステーキフリットは、予算の関係でコレにしましたが、かなり脂っこい。若い人向けのメニューかもしれませんね。この日のオススメだった鴨のローストにしておけば、と若干悔やまれました。 ワインは料理に併せて、勧められるままに‥。



■ルイイ・ル・クローズ2006(クロード・ラフォン)
スッキリした酸と締まった果実味。ミネラル感たっぷりで、よくできたSBです。


■シュタインハウス・リースリング06(ヒードラー)
いかにもリースリングというような、伸びやかで華やかな味わい。後半にやや甘みが残ります。

■ミネルヴォワ05(ジェラール・ベルトラン)
濃縮感のあるスパイシーな赤。ジャミーな香りから想像するほど味わいはしつこくありません。ステーキフリットにはベストマッチでした。

料理はどれも水準が高く、ワインもよく吟味された安価で美味しいものが並んでいる印象です。ただ、気をつけなければならないのは、ビストロといっても、料理のお値段的は決して安くはない、ということですね。(コストパフォーマンスという意味ではなく、絶対額という意味で。) シノワに比べれば、総じてワインの価格が安いとはいえ、野放図に注文していると、ひとり1万超えてしまいそうです。予算の制限がある場合は、事前にお店の方に告げておくか、HPでメニューのアタリをつけていったほうがいいかもしれませんね。それから、このお店、予約は必須です。(この日も満員でした。)

日時 2009/7/13
銘柄 コロンビア・クレスト ツーヴァインズ メルロー
産地 米>ワシントン
感想

会社の帰りに近所の居酒屋で注文したのがコレ。昔、Andyさんに飲ませてもらったここのリザーブ銘柄が超ハイCPだったのを思い出してチョイスしてみたのですが、裾モノのこちらは、いたって普通のデイリーといったところです。 やや濃いめのルビーの色調から予想されるとおりの、カシスやブラックチェリーのジャム、カフェなどの健全な香り。口に含みますと、濃縮感については、正直物足りませんが、なめらかで甘い果実味が酸、タンニンとバランスよく配置されていて、シンプルな中にも締まった上品な味わいです。最初やや煮詰めたようなニュアンスがあって、くどさを感じましたが、時間とともにそれも解消しました。居酒屋で飲むワインとしては充分なレベルといえましょう。 ただ、居酒屋価格とはいえ、これで4000円はちょっとなあ、と思いました。 3000円前後で出してくれると嬉しいですね。【吉】
日時 2009/7/11
銘柄 ブルゴーニュ・ルージュ2006(E・ルジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想

田崎真也氏の「ワインにあうおつまみ手帖」の中から、「ひじきと納豆のグラタン アンチョビ風味」を作ってみることにしました。
作り方は以下の通り。

1.鍋に生クリームを入れて沸かし、納豆、塩、胡椒をいれ、鍋の中で軽く練り合わせ、バターをまぜる。
2.耐熱皿にひじきの煮物を平らになるように入れ、オリーブ油をふりかけ、1を上からかぶせ、細かく切ったアンチョビをところどころに乗せて、粉チーズを上からふる。
3.250度のオーブンで3〜5分焼く。
この日、たまたま子供たちがいただきもののオモチャ(「くるっとクレープル」というヤツです)でクレープを作って遊んだため、生クリームが冷蔵庫にあったのが、このメニューにした決め手でした。 アンチョビがなかったので、近所の西友で缶詰を購入。ひじきの煮物も出来合いのお惣菜を使用しました。 さて、できあがりはどんな感じかといいますと‥。
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とりあえず、一口いただいてみますと、、「ショッパイ!」。

どうやら、アンチョビを入れすぎたようです。「ところどころに乗せる」と書いてあったのに、缶詰を余らせるのがもったいなくて、一面隙間がないぐらいに乗せてしまったのが敗因でした。

料理の方はショッパすぎて、とてもワインにあわせられる代物でなかったので、仕方なく、食後にチーズと飲むことにしました。

決して濃厚な部類には入らない明るめのルビーの色調。香りはやや弱めですが、カシスやダークチェリー、プラムなどの果実、バラ、オレンジの皮、シナモン、ハーブなどのアロマチックなニュアンスが感じられます。口に含みますと、05のような力強さや凝縮感こそありませんが、旨み感がたっぷりあり、含み香も豊かで液体の表情の豊かさに驚かされます。ただし、それほど長命な感じはしませんので、あまり出し惜しみせずに飲んでしまったほうがよいかもしれません。05年のACブルだけが、突然変異的な出来だったというわけではなくて、この06年についても、みなさん仰るように、非常にレベルの高い出来ですね。 それにしても、エマニュエル・ルジェ、まったくもって目が離せないつくり手ですが、お値段的にも、裾モノ以外手が出ないレンジになりつつあるのがツライところです。【小吉】

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お値段のせいか、タマ数はかなりありますね。

日時 2009/7/9
銘柄 ヴィレ・クレッセ(シャンソン・ペール・エ・フィス)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想
ウチのカミサンは、たぶん本人が好きなのでしょう、よく晩飯におでんを作ります。今日の夜もおでんでした。このところ続いていた激務が一段落して、今日こそは帰宅したらワインを飲もうと思っていた私は、さて、何をあわせようかとセラーをあさったのですが、そもそも我が家のセラーにはそんなにセパージュのバリエーションはないんですよね。 結局、安価で購入した表題のワインを開けてみることにした次第です。 シャルドネにおでん。 どうなんでしょう?ちくわぶやはんぺんの、フニャリとした触感や味わいがマッチするようにはとても思えなかったのですが‥。 これが意外に、(よく合うとまでは言いませんが)悪くないんですよ。 煮汁の複雑でちょっと甘い味わいが、カジュアルでややクリーミーなこのシャルドネとうまい具合にケンカしないで共存します。フレッシュな柑橘的な香味はスポイルされますが、オーク(あるいはオークチップ?)のニュアンスが意外に合うんですよね。飲む前は、合うとしたら甲州やアルザスあたりかなと思いましたが、シャルドネでここまでイケるとは思いませんでした。

http://www.mercian.co.jp/company/news/2003/0355.html

たまたま検索したこのページによりますと、 『おでんの煮汁に含まれる甘味成分はワインの糖分と相性がよく、旨味成分(アミノ酸、イノシン酸など)はワインの持つ「酒石酸、乳酸、りんご酸」等とも合います。従って、ワインとおでんの関係は科学的にも好相性であると言えます。 』 だそうです。 ワイン自体は、2000円前後としては大変上質な、正統派の安旨シャルドネだと思いました。2000円でこういうブルゴーニュを飲めてしまうと、正直国産シャルドネは辛いなあ、という気もします。まあ、もともと同じ土俵で比べるべきものでもないのでしょうけど。 ついでに、この日食卓にあった、『茹でたとうもろこし』との相性も(ベストではありませんが)悪くなかったように思います。【小吉】

★私が最近お気に入りのシャンソンのワイン。★
日時 2009/7/5
銘柄 ボーヌ・グレーヴ2005(ドメーヌ・デ・クロワ)
産地 仏>ブルゴーニュ
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東急本店に試飲に行った際に、F巻さんに薦められて購入したドメーヌ。先日久しぶりに試飲に伺ったら、06VTは期待したほどじゃなかった、と残念がっていましたが、05年の村名については、掛値なしにすばらしい味わいでした。村名と一緒に1級も購入してセラーで寝かせてましたので、話題に上ったのを機に、飲んでみることにしました。 縁がやや柔和になり始めた濃いルビーの色調。香りはやや還元的ですが、黒い果実のコンポートやオレンジピール、スパイス類などが徐々に立ち上ってきます。口に含みますと、まずなにより、なめらかで柔らかなタッチのテクスチャーがすばらしい。タンニンはよく熟していて、酸も豊富、健康的な甘酸っぱい果実味が口の中に広がります。スケールの大きなワインではありませんが、以前飲んだ村名よりも目が詰まっていて、豊かな含み香とあいまって、ユドロバイエがコート・ド・ボーヌで造ったらこんな感じになるんじゃないか、というような味わいです。 熟成面でどの程度期待できるのかは、ちょっとわかりませんが、楽天で安価なところもあるようなので、何本か買い増して、寝かせてみようと思います。【中吉】
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