2008年5月

5・30松山出張。行った店と飲んだワインはコラムに掲載予定。
日時 2008/5/25
銘柄 窓辺07赤(四恩醸造)
産地 日本>山梨
感想 最近、国産ワインを扱ったブログや、国産ワインに関するテイスティングレポートの類が増えていますが、正直、「マンセー記事」が多いなあと思います。作り手との距離感が近い国産ワイン故、贔屓目に見たくなる心情も理解できますが、美味しいものは存分に誉めていただくとして、それなりのものはそれなり、あまりイケてないものはイケてないと正直に書いてくれた方が読み手としては参考になるのですけどね。まあ、親しくなった作り手さんのワインをけなしにくいというのもあるのでしょうね。 さて、最近巷で評判の四恩醸造。私はこの作り手さんとは面識もなにもないので、思うがままに率直に書きます。

‥とここまで読まれてさぞ酷評するのかなと思われたかもしれませんが、実際のところ、悪くないです。紫がかった濃いめのルビーの色調。蝋封だったためか、香りは最初のうち、ウンともスンともいいませんでしたが、徐々にフレッシュな赤い果実やハーブ、スミレなどが出てきます。味わいはジューシーで、軽やか。ライトに近いミディアムボディで、タンニンもやさしく、ややピリピリしたフレッシュな酸が印象的。アルコール度も高くないので、ゴクゴクといけます。難しく考えるワインではなくて、ピクニックなどに持っていって、ジャンクフードなどを肴に飲むのもいいですし、マリアージュなどで悩まずに、日常の夕食のお供にガンガン開けてよいと思います。ワイナリーについての解説を読むと、いろいろ小難しいことが書いてありますが、それを真に受けてさぞ深遠なワインだろうと思って飲むと、期待を裏切られること必定です。値段も値段ですしね。そういう意味では、蝋封とかって、ちょっと似合わないなあと思ってしまいますけどね。【吉】
日時 2008/5/23
銘柄 デルタ・ヴィンヤード・マルボロ・ピノノワール2006
産地 NZ>マルボロ
感想 子供たちを連れて、実家にあそびに来ています。今日はクルマでなく、電車で来ましたので、晩酌にワインでも飲もうと思ったのですが、新居に引っ越した際、こちらに置いてあったサイレントカーブを引き取ってしまったので、実家にワインのストックがありません。それで、近所の坂屋で見繕ったのがこのニュージーのピノです。

↑楽天では07年にチェンジしているようですね。
私が購入したのは06年でした。 健全なルビーの色調で、エッジは透明なグラデになっています。香りは、ラズベリーやイチゴのジャム、オレンジの皮、ゴム、シナモン、それにハーブ‥といえば、聞こえはいいのですが、少しばかり青っぽいニュアンスが強すぎるような気もします。口に含めば、ハーブの含み香とともに、充実した厚みのある果実味が広がり、豊かな酸がこれを支えています。タンニンに攻撃的なところはなく、今まさに飲めますが、抜栓当初はやや硬さと青さがつきまといます。飲み進むうちにほどよくこなれてきましたので、意識して空気に触れさせてやるとよいかもしれません。総じて、新世界らしい、厚みのあるピノですが、酸がしっかりしていて上質なのと、ハーブの香味豊かなのが特徴でしょうかね。フィニッシュは、フレッシュな果実に少しばかりの苦味がアクセントを添えます。ブルゴーニュに限らず、今や2000円前後で美味しいピノを探すというのは至難の業になってきましたが、これなどは申し分ない一本かもしれませんね。ただし、ブルゴーニュ愛好家の方が、安価なブルのデイリー代わりとして飲むには、あまりに香味の方向性が違いすぎるかもしれません。同じ品種ですが、同じジャンルとは考えないほうが平和かもしれませんね(って、言い過ぎかな‥)。ちなみに輸入元はミレジム、プライスは2100円でした。【小吉】
日時 2008/5/21
銘柄 A to Z(エイ・トゥー・ゼット) ピノノワール2006
産地 米>オレゴン
購入店 YANAGIYA
感想
旨安オレゴンピノとして有名な銘柄のようですが、私は飲むのは初めてです。 濃いルビーで、エッジはやや緩んだ色合いです。香りはフレッシュなカシスやラズベリー、ダージリン、ハーブ、それに茎っぽい青い香りが強めに出ています。口に含むと、力強い果実のアタックがあり、それをやや太めのがっちりした酸が支えます。アルコール度は高めで、液体に粘性があり、タンニンは柔和ながら、フィニッシュにかなりの苦みを感じます。06年とあって、今は香りも青っぽい要素が強いし、味わいも全般にぎごちなさが感じられます。ボトル半分残しましたが、たぶん明日のほうが印象はよくなるんじゃないかな‥。ということで、明日に続きます。【小吉】
二日目:案の定、ぎごちなさがだいぶとれて滑らかな味わいになりました。香りも青っぽさから、赤と黒の中間ぐらいの果実やオレンジピールの香りが伸びやかに出てくるようになりました。正直、先日飲んだモートンエステートとどちらをとるかといわえれると、モートンの方を選びたくなりますが、1年ぐらい待つと、またかなり表情を変えてきそうですね。
日時 2008/5/19
銘柄 ジュヴレ・シャンベルタン・キュベ・ラベイユ2005(ポンソ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 タカムラ
感想 話題の05ポンソ、まだ早いと知りつつ、表記の銘柄を開けてみました。 色調は濃いルビーですが、濃厚な中にも透明感があります。香りはあまり出てこないのですが、現時点では、黒い果実やスパイス、皮革系、小梅などの心地よい香りの中に、毛皮っぽいややノイジーなニュアンスがまざっています。(これはボトルの個体差かもしれません。)口に含むと、粘性のある充実した果実味があって、ミネラル感と旨み感が押し寄せてきます。タンニンは豊富ですが、決して険しくはなく、どちらかというとウエットな渋みがフィニッシュに残ります。それより今の時点では、強靭な酸が印象的で、明らかに酸が引っ張るバランスですね。高価で上質なイチゴをまだ固いうちに食べたような、甘いんだけど酸っぱい、そんな感じです。とはいえ、構造の堅牢さと各要素の質感の高さは村名のレベルを超えていると思いますので、数年寝かせると面白くなりそうです。それに、村名でこのレベルですと、クロ・ド・ラ・ロッシュあたりは、一体どんな飲み物なのかと、なにやらそら恐ろしさを感じます。買われた方、いつかお相伴に預からせてください。(^^; この銘柄単体では、そうですね、香りがイマイチ本調子でなかったハンデもありますが、某誌風にいうと、90-91もしくは、90-91+というところかな、と思います。
【小吉】

日時 2008/5/17
感銘柄想 昨日はピュリニーさん宅でワイン会でした。昼過ぎから伺って、終電近くまでダラダラと飲んでましたが、嫌な顔ひとつせず、素晴らしい料理をこしらえてくださったピュリニーさんご夫妻、どうもありがとうございました。料理の数々、美味しゅうございました。

飲んだワインは以下。 0805181.jpg
■ヴーヴクリコ・ブリュット・ロゼ
ご結婚の際、奥様から贈られたものだそうで、なんとラベルはご夫妻の名前のエッジングですよ。こんなサービスあるんですね。美しいサーモンピンクの色調。キメ細かく豊かな泡と伸びやかな酸。乾杯で飲んでしまうのはもったいないような素晴らしいシャンパーニュでした。ある意味、これがこの日の一番だったかも。

■ロゼ・ド・ジスクール06
この日は少しばかり蒸し暑いぐらいの陽気でしたが、そんな日にふさわしい、爽やかな、それでいてしっかりとコクや旨み感もある美味しいロゼ。ジスクールのオーナーが自家用に少量仕立てているものだそうで、今度自宅でも買ってみようかなと思いました

■プイイ・フュッセ・ジュリエット・ラ・グランド2002(コーディエ)
久しぶりに飲んだジュリエット・ラ・グランドはやはりすばらしいものでした。トロリとした濃厚な果実味とそれを支えるしっかりした酸。最近のVTは、キュベ・ボトリティスという甘口仕立てもあるようですが、この銘柄もセックといいながら、かなり甘みを感じますね。

■ニュイ・サンジュルジュ・プルミエクリュ・テール・ブランシェ
(ルシアン・ル・モワンヌ)
これは珍品でしょう。プリモー・プリセー村で生み出されるAOCニュイサンジュルジュの白。ニュイの白というとミネラルギンギンの硬い味わいを思い浮かべますが(って、私だけ?)、この銘柄はバタリーでふくらみがあり、よく開いていて美味しくいただけました。

■ピュリニー・モンラッシェ・ピュセル2002
(ジャン・ボワイヨ)
のびやかで強靭な酸と、抑制の効いたクリーンな酸。緻密な密度感。いいですね、ジャン・ボワイヨ。当日運搬のためか、時期的なものか、香りが閉じこもっていてなかなか開いてくれませんでしたが、グラスの中でじっくり待っているとほんのりと開いてきました。 0805182.jpg
■シャンボールミュジニー・レ・サンティエ01
(エルヴェ・シゴー)
ボトルの写真が間違って、白にまぎれこんでしまいましたが、これはある意味、非のうちどころのないブルゴーニュのピノでした。ミネラル的要素もありながら、かなり熟成感の乗った、スーボワや皮革主体の芳香。口に含めば、酸が綺麗で癒し系の味わい。まだ6〜7Kで市場にありますが、今飲むのなら、同じようなプライスレンジの05の村名などより、こちらでしょう。
★エルヴェ・シゴーを楽天で検索。

■カナイオーロ06(テスタマッタ)
これも面白い銘柄。名前のとおり、セパージュは通常キャンティの補助品種などで使われるカナイオーロ100%。飲んでみると、果実味豊かでありながら、攻撃的なところや近づきにくいところが全くなく、角のとれた球体のような味わい。見事です。オススメ。お値段も結構高いですけど‥。
★テスタマッタのカナイオーロ。

■シャルムシャンベルタン2001(シャルロパン・パリゾ)
昨年飲んだクロ・サンドニの01年もよかったですけど、このシャルムもすばらしかったですね。01年とは思えないような充実した果実味と、それを支える上質な酸、タンニン。とてもバランスのよいピノです。やはりパリゾは好きな生産者です。
★パリゾのワインを楽天で探す。

■エルミタージュ・キュベ・エミリー98
(ドメーヌ・デ・ルミジエール)
これも珍品のようですね。10年経過していますが、果実味はまだまだ若い感じです。ただし、タンニンは丸く溶け込んでいて、今の時点でも抵抗なく飲むことができます。さすがエルミタージュというべき、リッチで構造の大きなワインです。
★こちらにドメーヌの解説載ってますね。★

※最後にソーテルヌもいただきましたが、写真をとるのを失念してしまいました。7人で9本でしたので、帰りはベロベロ。事前にアミノバイタルとウコンの力飲んでおいてよかったです。 それにしても、いつもと違ったメンバーのワイン会というのは、こちらが予想もしないような銘柄が出てきて、面白いですね。自己のレパートリーを広げる意味でも有意義な会でした

日時 2008/5/14
銘柄 モートンエステート・ホークスベイ・ピノノワール2005
産地 NZ>ホークスベイ
購入店 YANAGIYA
感想
色調は濃厚なルビーですが、エッジはやや緩んでピンク色になっています。香りはカシスやブラックチェリーのジャム状の果実、ダージリン、ハーブ、皮革、ゴムなど。口に含めば、充実した果実味のアタック。酒質は粘性があって、いかにも新世界のピノという感じですが、酸もしっかりしていますので、平板な味わいには陥いらずにすんでいます。タンニンはよく熟していて、フィニッシュにかけて苦味が感じられますが、それもいいアクセントになっていますね。二日に亘って飲みましたが、二日目の方がグッとこなれてよくなりました。同じ品種を使っていながら、ブルゴーニュとは似ても似つかない、言ってみれば中華料理店のなんとか麺とラーメン専門店のラーメンぐらいの違い(意味不明?)がありますが、これはこれで美味しいですし、二日に亘って安定して楽しめる点など、ちょっと高めですがデイリーによいと思います。 ちなみに、このワイナリーのラインアップでは、この「白ラベル」が普及版で、その上に「黒ラベル」「リザーブ(単一畑)」というものがあるそうです。機会があったら、ぜひそちらも試してみたいものです。【小吉】
日時 2008/5/11
銘柄 オー・コート・ド・ボーヌ・アンリ・ダンジュブルグ2000(ルモワスネ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ウメムラワインセラー
感想

透明感のある中程度の色調でルビーというよりはガーネットの色調。エッジにはレンガっぽいニュアンスも見て取れます。 抜栓当初の香りはしんみりとしたもので、ラズベリーやカシスのコンポート状の果実、小梅、枯葉、紅茶や鉄観音など。時間とともに皮革、ドライハーブ、下草などの要素が前面に出てきて、心地よい芳香を愉しめます。 口に含むと、じんわりとした酸に包まれた果実の第一印象。果実味はジワッと口に広がる感じで、強靭ではないけれども豊かな酸と、柔らかな、しかしながら後味にやや残るタンニンとが共存しています。構造は大きくはありませんし、酸、タンニンとも決して質が高いとはいえませんが、それでもしんみりとバランスがとれていて、よい熟成具合です。フィニッシュにはややタンニンが顔を出し、余韻を引き締めます。
熟成のピークというよりは、すでに下り坂に向かい始めている印象で、寝かせておいてもこれ以上よくなることはなさそうですが、すぐにダメになるというものでもなく、まだしばらくこの状態をキープしそうです。肉料理全般に合わせられますが、あまり濃いソースだと負けてしまうかもしれませんね。かといって極上の肉に併せるほどのデリカシーを持ち合わせてはいませんが。
ちなみに飲むときは、初めから高めの温度ではじめたほうが、香りも出て、タンニンもめだたないでしょうね。
総じて、もう少し果実味に旨みとか色気とか、そういうものがあればなあとも思いますが、そこはアンダー3Kの銘柄ですからね、あまり多くを望むのは酷というものでしょう。とてもよいブーケが出ておりますし、熟成して枯れ始めた味わいを手ごろな価格で味わいたい、という方にはよいチョイスだと思います。
個人的には、同じ3Kを出すのであれば、生きのよい、05年、04年あたりのよい生産者の裾モノを2〜3日に亘って飲んだほうが楽しいですけどね。そこはまあ好みの問題でしょう。

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日時 2008/5/9
会社帰りに職場の同僚と三軒茶屋「きゃんどる」に行きました。
銘柄


■ドメーヌ・クリペア・シャルドネ
グラス(カラフ)はオーストラリアのテーブルワインと、ルエダ、それにこのチュニジアのものがあったのですが、なんとなく興味本位でこちらを注文。アフリカのワインなんて、飲むのは初めてじゃなかろうか、と一瞬思いましたが、考えてみれば、南アフリカというワイン大国があったのでした。(笑) VT確認し忘れましたが、写真のものは2003年ですね。ひょっとしたら、それぐらいのVTだったのかもしれません。結構こなれた感じでした。コッテリとした酒躯で、やや酸に締りがなく、一本飲むのは疲れそうでしたが、プライスがプライスですからね、めくじらを立てるほどでもないでしょう。蜜のような甘いフィニッシュが印象的でした。


■ラ・パッション・グルナッシュ2006
RWG誌の表紙をかざった旨安ワインの代表格。お店の値段は3200円でしたが、ショップで買えば1200円前後で買えますね。 飲んだ感想はといえば、十分な凝縮感がありながら、過度にジャミーになったり、甘ったるくなったりしない、味わいの「落としどころ」には好感が持てます。ご一緒した方も美味しいと言ってました。ただ、びっくりするほど美味しいかと問われれば、正直、それほど印象に残るものでもありませんでした。おそらく雑誌で取り上げられたころ(ちなみに04VT)より、生産量を増やしているんじゃいないでしょうか。市価千円のワインにしては十分なCPですけどね。

ちなみに「きゃんどる」さん、創業50年の老舗で、雰囲気は典型的な街場のビストロですが、あいかわらず美味しいです。ここのウニのパスタは絶品ですね。ワインの持ち込みも出来ますので、ここでミニワイン会をやるのもいいなあ、と思ったりしました。三軒茶屋でワインを飲める店は他にもありますが、個人的にはここがベストです。
http://r.gnavi.co.jp/a940500/

日時 2008/5/5
銘柄 モレ・サンドクロ・ド・ラ・ビシェール2000(ルーミエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想 子供の日の今日は、ベタですが、「こどもの国」に行ってきました。クタクタに疲れて帰って、ひと風呂浴びて、さてワインでも飲むか、という段になり、先日RWGの試飲で持ち帰った旭洋酒さんの甲斐ノワールも残っていたのですが、せっかくのGWですから、セラーのよさげなボトルを飲もうということで、甲斐ノワールをグラス1杯で早々に切り上げて、表題の銘柄を開けることにしました。
2000年のルーミエ、セラーにはCMレ・クラもあったんですが、順序としてはこちらが先だろうということで。 色調は濃いめのルビーで、エッジにはかなりしっかりとオレンジが見てとれます。芳香力は期待したほど強くはありませんが、ブラックベリーやブラックチェリー、なめした革、焦臭、それにナツメグなどのスパイスや湿った土などがしんみりとグラスから立ち上ってきます。口に含むと、透明感のあるピュアな果実のアタック。しなやかな酸がこれを支えて、果実の甘みと旨みがじんわりと口の中を満たします。タンニンはやや乾いた印象で、余韻には甘苦いフレーバーが残ります。飲み頃かと問われれば、すでに飲み頃だと答えられますが、寝かせておけばまだ持ちそうな感じもありますし、素敵な古酒へと変貌していきそうな予感もします。一方で、少しばかりグリップに物足りなさを感じるのと、この畑の特徴なのか、後半乾いたタンニンが優勢になるあたりに多少不満を感じますが、それはまあ「ないものねだり」という気もしないでもありません。どうもルーミエに対しては過大な期待をかけすぎるキライがあるんですが、そもそもこのボトルの当時の買値は5800円でしたので、CP的には充分すぎるものがあります。これが最近のVTのプライスとなると、自然と飲み手の見る目もシビアになってしまいますけどね。【中吉】

↑信濃屋さんに03が残ってますね。プライス的には微妙ですが。 ↑05年は26Kのお値段がついてます。お店はいいショップですけどね。う〜ん。