合格通知から2日ほど経って少しばかり冷静になってみると、受かった嬉しさにもまして、今更ながら、散々の出来だったテイスティングに対しての忸怩たる思いが募ってきます。前回エキスパートに合格してから今まで、本館「S's
Wine」に掲載している(実際はそれ以上の)本数を飲んできて、はたまたコメントといえないまでもそれなりの感想を記してきて、まあ曲がりなりにもテイスティングには自信があるつもりでした。しかし、いざ久々に試験に臨んでみて痛感したのは、、定型化された用語と瞬間的な判断を要求されるいわゆる狭義の「テイスティング」と日常の「ドリンキング」((c)ooisotroさん)は似て非なるもの(というとちょっと言いすぎかもしれませんが‥)だということです。そんなことは8年前の試験勉強のときに認識していたはずなのですが、その後の時の経過ですっかり私の記憶も風化したということなのでしょう。
この先、業界人でもなく、コンクールをめざすわけでもない私がその「テイスティング」の技量を用いる機会があるのかといえば、ぶっちゃけ、ほとんど無いのですが、そうはいっても、純粋な思いとして、ワイン会とは別に、もう少し日常的、恒常的にテイステイング力を磨く機会がほしいという思いが頭をもたげてきました。単にブラインドで品種をあてる、というのではなく、分析にワインと向き合う機会とでもいいましょうか。幸い、子供二人も幼稚園に通うようになり、一時期よりは体の自由もきくので、またテイスティング会とか勉強会とか、そういった機会を見つけて参加できればと思います。
さて、この日開けたのは、 フジッコワイナリーの甲州。色調は透明に近いような淡いイエロー。香りはかなり熟成した、ネコのおしっこ的な香りの奥から、柑橘系やハーブ、ミネラルなどが顔を出します。飲んでみると、ビビッドな果実味と爽やかな酸が健在で、過不足なくバランスのとれた味わいです。甲州種もこれだけ綺麗にかつドライに仕上げられるんだなあと飲むたびに感心します。昨年訪問したことで、つい贔屓目に見てしまうのですが、それを抜きにしても、とてもよく出来ている銘柄だと思います。【小吉】
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