2007年4月
シニアワインエキスパート受験準備のため、先月からずっとテイスティング練習用のワインばかり飲んでいます。通常のラインアップからするとイレギュラーな銘柄が並んでいる印象がありますが、来月には元に戻ると思いますので、しばしおつきあいください。

日時 2007/4/30
銘柄 ムーラン・ナヴァン96(ルイ・ジャド)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 フルール・ド・プリムール/兼松
価格 6000円
感想 10年もののムーラン・ナヴァン。フルール・ド・プリムールで昨年か一昨年頃購入したものです。ネックの部分に「果実酒」のシールが貼ってあるところを見ると、ずいぶん前に輸入されてカーブに眠っていたものでしょう。開けてみるとコルクはしっかり。色調はオレンジがかっているものの、意外なほどしっかりしています。意外といえば香りがまた意外。未だ若々しいイチゴやラズベリーの香りが中心で、それになめし革やエピセ類が絡んで健康的ななかにも艶やかな芳香を放ちます。味わいは鮮烈な赤い果実のアタック。酸はしっかりしていますが、エッジは丸く、おだやかなタンニンとともに、スルスルと飲めます。また、口の中でまとわりつくようなガメイ特有の甘ったるさもなく、表情がとても豊かです。これはすばらしい。十年の歳月によるものでしょうか、ここまで深みと滋味のあるガメイって久々に飲みました。出来のよいガメイって、ピノと間違えそうなものもありますが、私が飲んだこのボトルは、明らかにガメイの香味でありながら、容易に到達できないような高みに達している印象です。状態もよく、実に貴重な1本でした。【中吉】
日時 2007/4/28
銘柄 シャトーメルシャン甲州きいろ香
産地 日本>山梨
購入店 勝沼ワイナリーマーケット
価格 2415円
感想 メルシャンというブランドの立ち位置って、うまく比喩できないのですが、ブルゴーニュでいえばジャドのそれに似ている気がします。あまりに身近な銘柄なため、つい過小評価しがちですが、実力は確かなものだという意味で。香りに乏しいといわれがちな甲州種からソーヴィニヨンブランと同系統の香りを引き出したというこの「きいろ香」にしても、話題先行の商品と思えばさにあらず、実際飲んでみると、柑橘類の豊かなアロマは看板どおりだと納得させるものがあります。色調は淡めのグリーンイエロー。香りは柑橘類、といってもどこか懐かしい和モノの柑橘を思わせる香りに、ハーブやミネラルのニュアンスもあります。また、時間をおくと(翌日などは特に)ネコの小便的な熟成香も感じられます。味わいは爽やかな中に、独特の苦みを感じさせるもので、酒質もしっかりしており、よくできているなあと感心します。伝統的な甲州種のワインに慣れ親しんだ方にとっては、やや異色ととらえる方がいても不思議ではありませんが、万人受けする、という意味ではやはりこういう方向性なのでしょう。価格がもうひと声安ければなあと思いますが、国産ワインの進化を体現しているという意味では、トップランナーたる銘柄のひとつでしょう。【小吉】
日時 2007/4/26
銘柄 ジュブレイシャンベルタン2000(クロード・デュガ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 優心美酒SHIMURA
価格 8400円
感想 シニア試験は、筆記の方こそ満足のいく出来だったものの、テイスティングでは会場の雰囲気に飲まれてしまったのと、あてはまる用語を定められた数チョイスするという最近の方式に適応できず、痛恨の大失敗。結局4問中3問品種を間違えました。このままでは通過はかなりキビシそうです。
そのショックが尾を引いていて、翌日翌々日あたりはワインを開ける気にすらなりませんでしたが、そろそろ気を取り直して、ワインの方も日常生活に戻りたいと思います。
ということで、景気づけの意味もあって、デュガの村名ジュブレイを開けてみました。
相変わらず濃厚なガーネットの色調ですが、エッジはオレンジが見えます。香りはコンフィ状のカシスやブラックチェリー、中国系スパイス、毛皮など。スーボワの雰囲気も見え始めていますが、反面、飲み進むうちにほんの少しですが、厩臭的な歓迎しがたいニュアンスも顔を出します。味わいはこの作り手らしく2000年であっても実に濃厚。厚みのある果実と継ぎ目のない酒質は見事ですが、バランス的にはかなり酸基調です。リリース初期に飲んだ頃に比べれば、それなりに熟成が進んだなあとは思いますが、まだまだ満開とはいかないもどかしさもあります。というか、いつも書いているような気がしますが、熟成してすばらしい状態のデュガになかなか巡りあえないでいる私です。【吉】
日時 2007/4/22
銘柄 クローズ・エルミタージュ2004
(アラン・グライヨ)
産地 仏>ローヌ
購入店 タカムラ
価格 2830円
感想 この1週間仕事が超多忙で、ほとんど何の追い込みもかけられないまま、明後日の試験日を迎えることになってしまいました。せめての悪あがきに、金曜日の夜に大丸のワインフェアに最後の試飲に行くつもりでしたが、これも仕事が終わらず行けずじまい。今日は一日筆記の総マトメをやろうと、昼から喫茶店に篭ってみたものの、気力が続かず、結局3時間弱でリタイア。「やるだけのことはやった」というレベルからは程遠いうちにタイムアップという感じですが、こうなったら、出たとこ勝負でいくしかないですね。(^^;

ということで、この日は最後の最後に確認しておきたかった、仏産のシラーを。チョイスしたのは定評のあるアラン・グライヨのクローズ・エルミタージュです。 色調はまだ紫がかった、濃厚なガーネット。香りはブラックチェリーやカシス、ハーブ、黒胡椒などのスパイス、皮革、それに時間とともにヨーグルトのようなニュアンスが加わり、心地よいものです。味わいはスパイシーなアタック、果実味はエレガントで、やわらかなタンニンとしっかりした酸とにより、継ぎ目のない酒質です。飛びぬけた味わいではありませんが、価格を考えれば、レベルの高い一本といえますし、試験前に典型的な仏産シラーの味わいを確認できてよかったです。今でも飲めますが、2〜3年寝かせたほうが面白いかも。
【小吉】
日時 2007/4/21
銘柄 シェリー・アモンテリヤード・デ・プエルト
(ルスタウ・アルマセニスタ)
産地 スペイン
購入店 近所の酒屋
価格 3250円
感想 圧倒的に経験が不足している酒精強化酒やスピリッツのテイスティングを補うため、ちょうどこの時期開催中の大丸東京のワインフェアでいろいろ試してみたかったのですが、仕事がどうにも終わらず、結局行くことができませんでした。仕方ないので、近所の酒屋で表記の銘柄を買って家で飲むことにしました。
3千円台というと、好きな作り手のピノだったら、何のためらいもなく買う値段ですが、こうした用途になると、とたんに財布の紐が硬くなるから、我ながら現金なものです。
濃いめの琥珀色の色調。ジョンブは非常にゆっくりとしており、アルコール度の高さ(18度)がみてとれます。香りはキャラメル、干しイチジクなどのドライフルーツ類、ヘーゼルナッツ、紹興酒など、どことなくマディラを想起させるもの。飲んでみると、キリリと締まった辛口で、しつこさもなく、大変バランスのよい味わいです。1週間前に飲んだ同じ作り手の(ただしワンランク下のシリーズの)フィノが酷い味わいだったので、全く期待せずに飲んでみたのですが、これは素直に美味しいといえる、すばらしいアペタイザーです。まあ、以前飲んだフィノは千円台でしたからね〜。そこそこの投資をしないと美味しいものには出会えないのは資本主義の世の中ゆえ仕方ないことですね。
【中吉】
日時 2007/4/18
銘柄 Ch.カロンセギュール98
産地 仏>ボルドー>サンテステフ
購入店 エノテカ
感想 試験を翌週に控え、いよいよ切羽詰ってきましたが、今日は一応?10年目の結婚記念日ということで、プリムールで購入した結婚年のカロンセギュールを開けてみました。
色調は濃厚なガーネットで、エッジはオレンジの色調がみてとれます。香りは最初非常に寡黙でしたが、時間とともに徐々に開いて、ブラックベリーやカシス、中国系スパイス、土、オークなどが嗅ぎ取れます。とはいえ、基本的には閉じている状況に変わりはなく、口に含んでも、力強い渋みが支配的。これはキツイですね。10年たってもまだまだ忍耐が必要、という印象です(実生活さながら、ということでしょうか(笑))。半分以上残して、翌日飲んでみたら、テクスチャーがなめらかになって、エッジも丸く外向的になり、飲みやすくなりましたので、初日からさっさとデキャンティングしておけばよかったのかもしれません。ただ、二日目は香りの方が衰えてしまっていましたが。
98年のボルドーはカロンセギュールを6本、ラトゥールを6本、ラフルールペトリュスを3本購入しましたが、ヴァンドガルドな年ということもあって、まだほとんどレンタルセラーに残っています。これから徐々に開けていくことになりますが、一体何年後ぐらいがベストなんでしょうね〜。
ちなみに、パーカーさんの飲み頃予想は、2008-2030年。記念日はしばらくブルゴーニュを飲む方が賢明かもしれないと思ったり。
【吉】
日時 2007/4/16
銘柄 シャブリ2004(ドメーヌ・デュ・コロンビエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 近所の酒屋
価格 2100円
感想 試験前にぜひ樽熟していないシャブリを飲んでおきたいと思い、近所の酒屋で買ってきたのがこの銘柄。テイスティング目的で、正直、味そのものには大して期待していなかったのですが、予想に反して?美味いです、このシャブリ。 少しばかりグリーンがかった中程度のイエロー。香りは柑橘類やレモンの鮮やかな果実、キリリとしたミネラル、ハーブなど、クリーンなもの。味わいは、シャープな酸のアタック、その後からなめらかで凝縮感のある果実味が口の中に広がり、2000円のシャルドネとしては、非常に高いレベルの味わいです。05年という作柄の良さゆえか、果実味が蜜のように尾を引くのがいいですね。それにしても樽を使っていないシャルドネって、こんなにクリーンな味わいになるんですねぇ。目から鱗というか、この品種の懐の広さをあらためて感じました。問題は、このワインをブラインドで出されて、シャルドネと答えられるかなんですが‥リースリングと答えそうだなぁ。
【中吉】
日時 2007/4/15
銘柄 モレ・サンドニ・ブラン98(デュジャック)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 5300円
価格 東急本店
感想 この日開けたのは久しぶりのデュジャック。といっても白です。 東急本店で5300円。いただきものの商品券で購入した記憶があります。 色調はかなり麦わら色がかった濃いめのイエロー。香りはマロングラッセ、 モカなどの熟成感のあるもので、なかなかすばらしい芳香を放っています。 ところが、味わいの方がどうもいけません。中盤がスカスカで水っぽく、ダラリとして力のない酒質。明らかに飲み頃を2,3年後ろにはずしてしまったかな、という感じの味わいで、落胆とともにボトル半分残して冷蔵庫へ。初日がこの有様でしたから、翌日はいいところ料理用かなと思っていましたが、飲んでみると、意外なことに味わいに力強さが増し、バランスも向上していました。わからないものですねぇ。まあ、冷蔵庫に入れっぱなしだったので、温度を低めからスタートさせたのがよかったのかもしれません。10年近く経過したボトルで二日目になっても衰えなかったのは、状態面でも恵まれていたのでしょう。初日の印象だけだったら、「凶」だったんですが‥。
【吉】
日時 2007/4/9〜13
例によって「お勉強ワイン」です。
感想 サンセール04
(アンリ・ド・フォントネー)
前回のメロのプイイ・フュメがあまりにすばらしかったので、過度な期待をしてしまったようですが、こちらはまあ普通のサンセールです。二日目の方が酸がまろやかになって厚みが出てきました。三日目はほとんど死んでました。

シェリー・フィノ(ルスタウ・アルマセニスタ)
家でシェリーを開けたのはほとんど初めてに近いかもしれません。アルコール感とともに、ナッティな香りや酸化したいわゆる「シェリー香」が感じられます。味わいは甘いアタック、中盤ボリュームとともに独特の苦みとエグミ。う〜む、美味しくないです。杯が進みませぬ。シェリー全般が、というより、この銘柄の問題のような気もします。まあ値段も2k以下でしたし、久しぶりにシェリーをテイスティングしたという意味では高い買い物ではありませんでしたが。


ヒドゥンレーベル・クレアヴァレー・リースリング05

エンボス加工を施してはあるものの、真っ白基調のシンプルなレーベル、そして名前はヒドゥンレーベル。なんだか怪しげなこの銘柄、真相はブルゴーニュでよくある「有名ドメーヌのブドウを使いました」というのが売りの、ネゴシアン扱いのボトルということなのでしょう。 比較的おとなしい色調の、淡めのイエロー。柑橘類、白桃、白い花、ハーブなどの香り。口に含むと上品な酸があり、ボリューム感はほどほど。豪州というよりは、アルザスを思わせるバランスのとれた上品な味わい。作り手が誰なのかはわかりませんが、なかなかレベルの高いリースリングです。もっとも1800円という価格は、アルザスやドイツで同価格帯のものが数多くありますので、それほどお買い得とは思いませんが‥。
【吉】
日時 2007/4/7
銘柄 ヴォーヌロマネ・レ・スショ99(R・アルヌー)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想 このところずっと「お勉強ワイン」ばかりが続きまして、まあそれはそれで美味しくいただいているのですが、たまには自分の欲望に素直になろう、ということで、この週末はそれなりのピノを開けてみました。アルヌーのラインアップでは、ロマネサンヴィヴァンを別にすれば、事実上のフラッグシップは、このスショとクロヴジョでしょう。今年の元旦に開けた同年のクロヴジョがかなり危うげな味わいで、少しばかり心配していたのですが、結論から言えば、当時ブログのコメントにいただいたMAMIさんの見解(=クロヴジョの状態が悪かった)が正しかったようです。 色調はしっかりしたルビーで、エッジはピンク色。香りはかなりクローズ気味です。じっくり待っていると、ブラックベリーやカシス、丁子、ナツメグ、それに皮革系のトーンの低い香りが出てきますが、最後までその芳香を惜しみなく披露してくれることはありませんでした。味わいは厚みのある果実味が健在で、テクスチャーもなめらか。香りのようなとっつきにくさはなく、今でも美味しくいただけます。後半からフィニッシュにかけては、伸びやかで豊かな酸とよく熟したタンニンとにより、甘苦いような複雑な味わい。前回のクロヴジョの危うさはどこへやら、このボトルに関しては、花にたとえればまだ5分咲きといった程度でしょうか、やはりグランクリュ(ってグランクリュではありませんが)はこうでなくちゃ、といいたくなる堅牢な構造があります。こうなると、セラーにもう1本ある同銘柄のボトルの飲み時が悩ましいですね〜。まだしばらく先のような気もする一方で、今年の桜みたいに、ここから満開までは意外にすぐのような気もするし‥。
【中吉】
日時 2007/4/5
銘柄 ヴーヴレ・クロ・デュ・ブール2004 (ドメーヌ・ユエ)
産地 仏>ロワール
購入店 信濃屋
感想 久しぶりにシュナンブランも試しておこうと思い、近所の信濃屋で購入。 バックビンテージが結構なお値段で出回っているユエのヴーヴレですが、このボトルは3K以内だったと思います。 色調はややゴールドがかった、中程度のイエローです。香りは柑橘系フルーツ、カリン、黄色い花や花の蜜、それにミネラルなど。口に含むと豊かな果実味のアタック。セックとはいえ、果実の熟度が高いのか、わりと甘みを感じますが、張りのあるビビッドな酸が、味わいを引き締めてくれます。フィニッシュは健全な果実感が広がり、余韻もこのクラスとしては長めです。やや甘いこともあり、さまざまな料理にあわせやすいとはいいませんが、クリームを使った料理やシチューなどには絶妙の相性でしょうね。たまに飲むと素直に美味しいと思います。
【小吉】
日時 2007/4/3
銘柄 ピノー・デ・シャラント(レイモン・ラニョー)
産地 仏>コニャック
購入店 信濃屋
価格 2600円
感想 コニャック、アルマニャック、その他のリキュールなどは結局ミニチュアボトルでそろえることができましたが、VDN、VDLまでは近隣では見つけることは出来なかったので、値段が手ごろだったVDLを一本買ってみました。 このピノー・デ・シャラント、作り手はレイモンド・なんとか、という名前なんですが、解読不能です。(注:後日tokeiyaさんに教えていただきました) 色調は濃いめのイエローで、麦わら色がかっています。香りの出方が普通のワインとは違いますね。ブドウの瑞々しいアロマはなく、トップノーズから、アルコール感、それにナッティなフレーバー。冷蔵庫で1週間以上置いたソーテルヌのような香りに近いでしょうか。味わいは甘口で結構ジューシー。冷やして飲むと、心地よく飲めます。アルコール 度は20度とそこそこなので、食後酒としても、 よく冷やしてアペリティフとしてもよさそうです。まあ、自ら好んでまた買おうとは思いませんけどね。
【末吉】