“ジャスティス”という畑は、単一畑とはいいながらも、決して立地がよいとは言いがたく、実際パリゾのラインアップの中でも“V.V”より安価で出ています。私もさほど期待せずに開けたのですが、これが思いのほか良かったりするから、わからないものです。
濃いめのルビーの色調は、エッジの部分もまだまだしっかりしています。香りはカシスや黒系フルーツ、スパイス、皮革、揮発性塗料(のニュアンス)に加えて、時間とともにこの村らしい赤錆のような香りが立ち上ってきます。小学生のころ、鉄棒をしたあとの手のひらにこびりついた、あの赤錆のにおいです。味わいは力強いというほどではありませんが、ほどよい濃縮感となめらかさがあって、モダンな熟成の仕方をしています。おそらく若いときは樽の要素が前面に出ていたのでしょうけど、それも今はすっかり落ち着いて、イイ感じになっています。とはいえ、この先置いておいても、劇的に良くなりそうな気はしないので、今飲んだのはちょうどよかったのではないでしょうか。
同じパリゾでも、グランクリュでしたら、もう少し辛抱したほうがよいでしょうね。【中吉】
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