2006年7月

日時 2006/7/24
銘柄 リースリング2004(ポール・ブランク)
産地 仏>アルザス
購入店 銀座屋酒店
価格 1980円
感想 ポールブランクを飲む機会はそれほど多くはないのですが、今までこのドメーヌのワインを飲んで裏切られたことはありません。今回開けた04のリースリングも2000円のものとしては出色の味わいで、ますますこの作り手のことが好きになりました。色調はやや淡めのイエローでまだ黄緑がかっています。香りはかんきつ類、グレープフルーツ、塩ビ人形、白い花などのリースリングらしいもの。口に含むと、、爽やかな中にも充実した果実味が感じられ、シャープなキレのいい酸とあいまって、食中酒として誠に申し分のない味わいです。味わいの奥深さとか、テクスチャーの緻密さとか、そういうものは所詮2000円也のものではあるのですが、トータルの完成度の高さやバランスのよさとか、そういう面で、改めてよくできているなあ、と感心させられます。2000円の白ワインでオススメを何本か選べと請われたら、間違いなくこの銘柄を挙げると思います。
【中吉】
日時 2006/7/21
銘柄 モレ・サンドニ・キュベ・グリヴ2001(demi) (ポンソ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 銀座屋酒店
価格 2780円
感想 同じ銘柄の02年がすばらしかったので、何本か買い増した際に、ビンテージ違いの01年を一本混ぜてみました。01のコート・ド・ニュイは、酸が綺麗なため、「良い作り手」の「上位グレード」に限れば相当イイものがあると思っていますが、反面凡庸な作り手のACブルなどでは、「赤く着色した水ですか?」みたいなものにも何度かあたっています。で、この01村名ポンソはというと、ひとことでいえば、「酸っぱい」味わいに終始しています。香りは赤と黒の中間ぐらいの果実に、なめした革やスーボワのニュアンスが入ってなかなか魅惑的なんですが、飲んでみると果実味の密度感が02年に比べて2ランクぐらい落ちる感じで、結果的に酸が目立ち、フィニッシュも薄められたような頼りなさがつきまといます。グランクリュクラスならともかく、やはりこのグレードで02と比べるのは可哀想そうかな、とも思いましたが、プライスも02年と同じだったんですよねえ。ちなみに銀座屋さんのメルマガでは、02年のキュベ・グリヴが星4つ半、この01年には星4つでしたが、星半分の差は確かに実感できました。(星一つ差でもいいぐらいかも‥。)【吉】
日時 2006/7/18
銘柄 グリュナー・フェルトリナー・ロイブナーベルグ 
・スマラクト2004(F・X・ピヒラー)
産地 オーストリア>ヴァッハウ
購入店 TODA
感想 パーカー氏が激賞するオーストリアの作り手、F.X.ピヒラー。TODAさんで安く出ていたので購入してみました。ちなみに「スマラクト」とは「エメラルド色のとかげ」で、ヴァッハウ地区の最高のワインに与えられる格付けのことです。いくつかのキュベがリリースされているピヒラーですが、このキュベは通常価格が5000円前後と、結構いい値段です。飲んだ印象はというと、この品種を飲みつけていない私にしてみれば、ブラインドテイスティングなら、100発100中で「NZのソーヴィニヨンブラン」などと答えそうな味わいです。(^^;柑橘系やグレープフルーツ、青いハーブなどのアロマチックな香り。伸びやかでシャープな酸とビビッドな果実味はビシッと締まりがあって、タイトに仕上がっていますし、この季節にちょうどよいでしょう。ただ、この手の味わいがそもそも本質的に私の好みのベクトルとあわないこともあり、価格を思うとちょっと辛めの評価になってしまうかな、と。ツボにはまる人にははまるかもしれません。
【末吉】
日時 2006/7/16
銘柄 ジュブレイシャンベルタン“ジャスティス”99
(シャルロパン・パリゾ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 やまいち/モトックス
価格 失念
感想

“ジャスティス”という畑は、単一畑とはいいながらも、決して立地がよいとは言いがたく、実際パリゾのラインアップの中でも“V.V”より安価で出ています。私もさほど期待せずに開けたのですが、これが思いのほか良かったりするから、わからないものです。
濃いめのルビーの色調は、エッジの部分もまだまだしっかりしています。香りはカシスや黒系フルーツ、スパイス、皮革、揮発性塗料(のニュアンス)に加えて、時間とともにこの村らしい赤錆のような香りが立ち上ってきます。小学生のころ、鉄棒をしたあとの手のひらにこびりついた、あの赤錆のにおいです。味わいは力強いというほどではありませんが、ほどよい濃縮感となめらかさがあって、モダンな熟成の仕方をしています。おそらく若いときは樽の要素が前面に出ていたのでしょうけど、それも今はすっかり落ち着いて、イイ感じになっています。とはいえ、この先置いておいても、劇的に良くなりそうな気はしないので、今飲んだのはちょうどよかったのではないでしょうか。 同じパリゾでも、グランクリュでしたら、もう少し辛抱したほうがよいでしょうね。【中吉】

日時 2006/7/11
銘柄 エルデナー・トレプフェン
・リースリング・シュペトレーゼ・トロッケン2001
(カール・エルベス)
産地 ドイツ>モーゼル・ザール・ルーヴァー
購入店 メロウブーケ
価格 2980円
感想 シュペトレーゼ級の糖度がありながら、トロッケン(辛口)に仕立てたということは、アルコール度もかなり高かろうと思いきや、ラベルに記載された数値は13.5度と、フランスのグランクリュ並です。飲んでみると、そこまでのアルコール度の高さは感じませんが、ガッチリとした構造は体感できるし、それでいて、ピンと透き通った酸によるスマートでキレのある飲み口が見事です。口中での表情も豊かで、ここら辺はさすがにQbAクラスとは違いますね。少しだけ残念だったのは、柑橘類、グレープフルーツ、白い花、ミネラルなどにまざって、ほんの少し消し炭のような嫌なニュアンスが感じられたこと。まそれでも、味わいの方は翌日までヘタることなく飲めたので、不問としておきましょう。このところ比較的な安価な価格帯のドイツワインをたてつづけに飲んできましたが、この銘柄は、それらの中ではもっとも私の好みに合致するものでした。
【小吉】
日時 2006/7/8
銘柄 リースリング・シュロスベルグ・キュヴェ・ サント・カトリーヌ“リネディ!”2000 (ドメーヌ・ヴァインバック)
産地 仏>アルザス
購入店 TODA
価格 5430円
感想

コレはなかなか非凡なワインです。熟したリンゴやグレープフルーツ、白い花、それにわずかな重油香のニュアンスが加わり、華やかながらも、どこまでも奥ゆかしい香り。口に含むとアタックの線が細いため、一見弱々しくすら感じるのですが、中盤の広がりの豊かさと立体感がすばらしく、酸はどこまでも繊細で、果実の甘みは上品でしつこくないものです。フィニッシュには熟したリンゴのような心地よい風味が伴い、余韻も綺麗。とにもかくにも、非常に繊細で女性的なリースリングで、これを飲んだあとではウンブレヒトやマルセル・ダイスが野暮ったく思えてしまうほどです。きっちり向き合わないと、良さを見過ごしてしまいそうな面はありますが、わたし的にはある意味、ドンピシャ好みの味わいです。【中吉→小吉】
二日目:初日の印象が非常によかったので、半分ほど残して翌日を楽しみにしていたのですが、残念ながら、初日の輝きは雲散霧消し、ドロンと甘いだけの味わいになってしまいました。あまりに落差が激しかったので、思わず評価も下方修正してしまいました。まあ、もう少し若ければまた違ったのかもしれませんが。

日時 2006/7/4
銘柄 コルトン・ブレッサンド99(プスドール)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 「自然の仲間たち」
価格 5980円
感想 早いものでもう7月です。私はといえば、会社の組織変更のあおりを受けて猛烈に忙しくなり、サイトの更新もままならないのですが、ワインに関しては、歓送迎会や飲み会の間を縫って、細々と飲みつづけています。 この日開けたのは、リリース直後に購入したプスドール。ヴォルネイに本拠を置くプスドールですが、近年コルトン(ブレッサンドとクロ・デュ・ロワ)にも畑を購入しておりまして、コルトン・ブレッサンドについては、私の記憶が確かなら、この99年がファーストリリースのはずです。実は、このビンテージのプスドールについては、リリース直後にリアルワインガイドのテイスティングで水平試飲したのですが、残念ながらそのときの印象では、看板銘柄たる「クロ・ドラ・ブスドール」や「ソワサントウヴレ」に比べて、実力的に見劣りするように思われました。あれから5年。ある程度熟成したところで、当初の印象も変わってくるのではないかと期待しつつ‥。
色調は濃いめのルビーで、エッジはピンク。まだオレンジ系統のニュアンスは見られません。香りはカシスや黒い果実、スパイス類に加えて、毛皮やジビエ系のワイルドな熟成香が顕著です。この香りは実にコルトンらしいですねぇ。同じプスドールのヴォルネイ系の銘柄と並べて飲んでみたら、違いが顕著に読み取れて面白かったのではないかと思います。味わいはなめらかでクリーミー。充実した果実味を豊かな酸と細かなタンニンが支える堂々たるものです。リリース直後に飲んだ印象では見劣りするように思われたコルトンですが、少なくとも今、この銘柄を単体で飲む限りでは、全く不満はないどころか、非の打ち所が無いとさえいえる味わいでした。ということで、現時点で改めてヴォルネイ1級と水平テイスティングしたらどういう印象となるのか、実に興味のあるところです。プスドールのストックは我が家には全然無いので、02年あたり少し買い足してみようかな、とも思いました。【中吉】