2006年5月

日時 2006/5/30
銘柄 ボーヌ・プリミエクリュ・エプノ99(パラン)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 TODA
感想 私の記憶に間違いがなければ、このパランという作り手は、A・Fグロの父君だったと思いますが、飲むのは初めてです。上品ですが、ややそっけなく安手なラベル。抜栓すれば、コルクに一筋噴いた跡があり、不安になりますが、少なくとも当日飲む分には問題はありませんでした。
色調はやや濃いめのルビーで、エッジはほんわかとしたピンク色です。香りは赤と黒の中間ぐらいの果実やシナモン、それになめした皮などの心地よいもの。味わいはアタックから口の中に広がる果実味が飲み手を幸せな気分にしてくれます。 酸はしっかりしていますが、角が丸く、タンニンも比較的おだやかで、酒質はどことなくコートシャロネーズ的な雰囲気もあります。このボトルはTODAさんのセールで申し訳ないぐらい安価なプライスで購入したものですが、実力的にはとりあえずコートドールのプリミエクリュの水準にあるといってよいと思います。これだけの味わいが2千円台で得られるのであれば、何本かまとめ買いしておけばよかったかな、と。
【中吉】
日時 2006/5/28
銘柄 クロ・ヴージョ95(ジャン・グリヴォー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ファインワインクラブ
感想 ストイックなワインです。若い頃は樽が効いていたのでしょうけど、それも溶け込んで、黒い果実を中心に線香や皮革類、黒土などのしんみりとした、トーンの低い熟成香が出始めています。香り自体のポテンシャルはありますが、パァッと華やかに香ることはなく、スワリングするとじんわりと香ってくる印象です。味わいは日本酒でいうところの「端麗辛口」。モダンに仕立てられてはいますが、豊満さや艶やかさとは無縁で、どこまでも実直に作られ、そして熟成された印象です。構造に揺るぎはなく、酸がガッチリとバックボーンを支え、フィニッシュには乾いたタンニンが顔を出します。ただ、果実味がもう少し外向的であってくれてもいいのかな、とも思いますし、 ブルゴーニュのグランクリュに対しては、プラスアルファ的な享楽的官能的側面を求めたくなる私でもあります。
ジャン・グリヴォーというと、80年代後半から90年代前半まで、「低温浸漬」で有名なギィ・アッカにコンサルティングを受けていたことでも知られています。その時期の88クロヴジョを2001年に飲んだときは、まるでボルドーワインのようになっていたのに驚かされたものです。この95年は既にギィ・アッカとは決別していた時期ですが、このボトルにも、なんとなく低温浸漬の手法の名残のようなものを感じないでもありません。まあ具体的なデータは不明なので、エラソーなことはいえませんが、実際のところ、どうなのでしょうか。
【中吉】
日時 2006/5/25
銘柄 グーツ・リースリングQbAファインヘルプ2004
(フレッド・プリンツ)
産地 ドイツ>ラインガウ
購入店 メロウブーケ
価格 2080円
感想 ドイツワインを飲み始めて、手始めにと、中辛口のQbAクラスを数本飲みましたが、正直、全く惹かれるところがありませんでした。これでも一応、事前にリサーチして、秀逸といわれる生産者のものばかり購入しているつもりなんですが、ここに来て、なんとなく、「攻め方」を間違っているなあ、という気がしてきています。ドイツワインマニアの方々がQbAを飲むのは、ブルゴーニュでいうところのACブルを飲むような感覚なんでしょうか?ACブルって、単体で飲むと、これほどコストパフォーマンスの悪いジャンルも無いよなあ、という代物ですが、よいドメーヌのACブルは、上位銘柄の片鱗を見せてくれたり、その年の傾向をわかりやすく伝えてくれることが多いので、それはそれでありですよね。翻って、ドイツはというと、そもそも私はまだ各作り手の個性も特徴も把握していないので、下のクラスを飲んでもその片鱗を感じとることなどかなわないわけです。結果的に、なんだか代わり映えのしない、印象の薄いボトルばかり飲んでいるというだけの結果になっています。(飲む人が飲めば違いを満喫できるんでしょうけど…)やはり辛口にせよ甘口にせよ、シュペトレーゼクラスぐらいから飲んでみたほうがいいのでしょうか?
【末吉】
日時 2006/5/18
銘柄 ブラウネベルガー・ユッファー・シュペトレーゼ96
(ターニッシュ)
産地 独>モーゼル・ザール・ルーヴァー
購入店 メロウブーケ
価格 2980円
感想 昨日から今日にかけて飲んだのが、このターニッシュ家のほどよく熟成したリースリングです。ベルンカステラー・ドクトールの畑で有名なターニッシュ家には本家と分家があるようですが、VDPマークが入っているこちらは、本家のボトルのようです。いや、さすがに前2本とはレベルが違いますね。熟したリンゴ、白桃、アカシア、それにゴムや塩ビ製品のような鼻に抜ける心地よい熟成香があり、時間とともに蜜のような甘い香りも出てきます。 味わいはシュペトレーゼということで、たしかに甘いのですが、酸がしっかりしているのとバランスがよいこととで、イヤみな甘さはありません。食中であっても、シチュー料理などとならなんとか併せられそうです。アルコールは8.5度と低めですが、口の中に広がる豊かな果実の含み香が見事で、余韻の長さも前二者とは比べ物になりません。10年経過してほどよい熟成感も出たこの味わいが3000円以下で楽しめるというのはすばらしいですね。調子に乗って寝酒代わりにグビグビ飲んだら、夜中に気持ち悪くなって起きてしまいました。なにをやってんだか、という感じですが、まあそれほど美味しかったということで。
【中吉】
日時 2006/5/16
銘柄 リースリング・クラシックQ.b.A.2002
(ペーター・ヤコブ・キューン)
産地 ドイツ>ラインガウ
購入店 メロウブーケ
価格 2070円
感想 ペーター・ヤコブ・キューンはラインガウ地方エストリッヒ村で夫婦でワイン造りを 営んでいる小さな醸造所ですが、グルメ雑誌「ファインシュメッカー」の誌上品評会で同醸造所の91年産のワインが見事、辛口ワインの部門でトップに輝いて以来、俄然注目を浴びるようになったそうです。深緑色で細身のボトルと幾何学的なラベルがモダンでカッコイイです。ちなみに 「クラシック」は、ドイツワインでは辛口の表示ですが(2000年より「トロッケン=辛口」「ハルプトロッケン(=中辛口)から「クラシック」「セレクション」という表記へ移行中)、そうはいっても、この銘柄、結構甘いです。白い花や白桃、洋ナシなどのリースリングらしい香り。口に含むと、酸が丸く、酒躯はなめらか。前回飲んだシェエーンレバーに比べると、溌剌さでは劣りますが、コクが一回り上という印象。ただ、味わいが全般にやや平坦に感じられるところが難ですね。QbAクラスにそうそう多くを期待するのも酷というものでしょうか?【吉】
日時 2006/5/14
銘柄 モンツィンガー・リースリング・ハルプトロッケンQbA2003
( エミリッヒ・シェーンレバー)
産地 独>ナーエ
購入店 信濃屋
価格 1700円
感想 さてさて、今年の夏は当サイト始まって以来の怒涛のドイツワイン特集になる予定です。(^^;
手始めは、 ドイツのガイド誌「 ゴーミヨ ドイツワインガイ ド2004」で数少ない5ツ星に昇格したエミリッヒ・シェーンレバーによるスタンダードクラスのリースリング。
色調は中程度のイエローでやや黄緑がかっています。香りはハーブやミネラル、柑橘類、レモン、それに白い花。青っぽいニュアンスが強く、やや安手の印象を受けるのが残念です。味わいはハルプトロッケン(中辛口)といいながらも、結構甘いです。しかし、キラキラとした力強い酸のおかげで、味わいは鈍重にならず、あくまで爽やかです。価格も価格ですし、深遠さや奥行きのある味わいは望みようもありませんが、バランスよく上品にまとまった味わいは、食事に幅広くあわせられそうな守備範囲の広さを感じます。
【吉】
二日目:酸がなじんで、味わいに密度感が出てきましたが、香りにやや消し炭のような心地よくないニュアンスがまざるのはなんでしょうか?トータルとしては値段相応というところですね。
日時 2006/5/14
銘柄 ペルカルロ99(サンジュスト・ア・レンティナーノ)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 ゆはら
感想 ウワサには聞いてましたが、良くも悪くも、シリアスなワインです。黒みがかった、濃厚なルビーの色調。火を通した黒い果実やアジアンスパイス、ミネラル、それに杉の木などの香り。酒質は締りがあって筋肉質。それもマッチョなプロレスラーというよりは鋼のようなボクサータイプですね。加えて、おそらく閉じている時期なのでしょう、果実味は後退気味で愛想のかけらもなく、飲み手である私を困惑させます。酸度は高めで、フィニッシュにはタンニンで口の裏側が渇くような感じになります。このワインを今美味しく飲むのはなかなか難しいかもしれませんね。半分残して翌日飲んでみましたが、印象はあまり変わらず、最後の方は雑巾臭が出てきました。そういう意味ではボトルのコンディションもあまりよくなかったのかもしれません。セラーには01年もありますが、こちらはまだしばらく寝かせておこうと思いました。
【吉】
日時 2006/5/9
銘柄 マコン・ピエールクロ・ル・シャヴィーニュ2000
(ギュファン・エナン)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 失念/AMZ
感想

このヴィンテージだか99年だか忘れましたが、WA誌が94点つけた、ということで一躍品薄になったギュファンエナンのマコン・ピエールクロ・ル・シャヴィーニュ。当時私も流行にのって?何本か買いましたが、買い増すたびにショップの価格が上昇してたものです。色調はやや濃いめのイエローで、全般にやや麦わらがかっています。白桃や洋ナシ、メロンなどの甘いフルーティな香りの中に、白花やシナモンのアロマ。口に含むと、リリース当初のようなムッチリした果実味はありませんが、とても豊かな含み香が口中を満たし、エレガントで優しい味わいです。酸は緩めに感じますが、温度を上げてもダルにならないところがイイですね。ギュファン・エナンのこのマコンは今まで何度が飲んできましたが、リリース当初のインパクトに比べると、だんだん印象が薄くなっていく感じで、やはりマコンのワインはコートドールの白のような熟成はしないのかと残念に思っていました。最後の1本となったこのボトルも、その思いをくつがえす、というほどではありませんでしたが、それでも相応の歳月にしか実現できないような、年輪といいますか懐の深さを感じる味わいをみせてくれたのが嬉しい驚きでした。
【中吉】

日時 2006/5/7
銘柄 モレ・サンドニ・クロ・ド・ラ・ビシェール97(ルーミエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 やまいち/マックコーポレーション
価格 3780円
感想

しつこく97のブルを開けます(^^;。このルーミエ、購入記録を調べたところ、2000年の7月にやまいちのセールで仕入れたものだったんですが、そのときの購入価格は3780円と、今となっては思わず笑ってしまうようなプライスでした。(そういう時に限って、1本しか買っていないんですよねぇ。orz…)
色調はやや濃いめのルビー。エッジを中心にオレンジのニュアンスがみてとれます。香りはシナモンやバニラ、カシス、ダークベリーなどの黒系というにはややトーンの高い果実、オレンジの皮、ミネラル、さらにスワリングにより皮革系の熟成香が立ち上ります。味わいはこの作り手らしく、透明感がある中にも、口の中で独特の粘性を伴った出し汁のような旨み感が広がります。タンニンはよく溶け込んでいるのですが、酸はやや平板な感じがします。また、よく言われるように、同じルーミエでもシャンボール系(村名やレ・クラなど)のような華やかさはなく、よくいえばシリアスな、悪くいえば、やや陰気でいかめしいイメージです。加えてこのボトルの最大の難点は、フィニッシュや余韻があっさりしすぎていることでしょう。良いときのルーミエのようないつまでも続くバックテイストが残念ながら希薄なんです。
ただし、97のルーミエのビシェールすべてがそうなのか、たまたまこのボトルがそうだったのかは微妙なところかもしれません。というのも、 このボトル、キャップシールをはがすと、盛大に噴いた跡があったからです。余韻の長さやフィニッシュの調和などはボトルのコンディション次第で全然変わってきますからね…。それと関連しているのかはわかりませんが、ボトルの上部(すなわち一杯目)と中盤飲み進んだあたりとは相当に味わいに差があったのもまた事実です。(上部はヘタッた印象+フィニッシュの苦味感がやや強し。評価は中盤以降のものです→。) 【小吉】

日時 2006/5/5
銘柄 エシェゾー97(エマニュエル・ルジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱/AMZ
価格 14980円
感想 GWも後半、我が家も5連休のさなかなんですが、下の子の下痢が治らず、喘息も少し出かかっている感じなので、無理はせずに、近所をブラブラしたり、公園に行ったり、洗車をしたり、読書をしたりして過ごしています。そんな状況なので、せめてワインぐらい贅沢しようと思って開けたのがこのルジェのエシェゾーというわけです。 色調はやや濃いめのガーネットで、ほんのりとオレンジがかっています。黒い果実やスパイスに加えて、揮発性塗料やお香のような独特の香りもがあり、熟成を感じさせるアーシーなニュアンスも加わって、期待を持たせる香りです。ところが味わいはイマイチ迫力に欠けるもので、エレガントにまとまっていて含み香も豊かなんすが、果実の力強さと凝縮感に乏しく、水っぽい印象は避けられません。ルジェのエシェゾーは96から02年まで連続して飲んできましたが、これが97の実力だとすると、他ビンテージに比べてかなり見劣りするといわざるをえません。ボトルバリエーションという線も捨てきれませんが、以前一度飲ませていただいた97年のボトルもイマイチでしたし…。ルジェのワインって、難しい面がありますよね。『ビンテージ×村×格付け→味わいの予測値』というブルの経験則があてはまりにくいというか、ありていにいうと、ムラがあるというか。
【小吉】
日時 2006/5/1
銘柄 シャンボールミュジニー・プリミエクリュ97
(ヴォギュエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ファインワインクラブ(当時)/AMZ
感想

この日の都内はぽかぽかと暖かく、絶好の行楽日和でした。私はといえば、朝子供を「日曜学校」に送り届けて、そのまま世田谷公園で1時間弱ウォーキングに励み、子供を迎えにいったその足で、寺田倉庫に先日届いた03ボルドーのワインたちを届けに行ったのでした。久しぶりに行った寺田倉庫はロビー周りがずいぶんと綺麗になっていました。今回寺田に預けたワインは21本、持ち帰ったワインは5本。帰路、公園に立ち寄って、子供を小一時間そこで遊ばせたら、その間駐車場に停めてあった車の中が結構な温度になってしまい、こりゃワインたちに悪影響があったかもしれないな、と思いましたが、どうせ自宅で早晩開けるボトルばかりだから、と自分に言い聞かせて帰ってきました。思えば私も寛大になったもんです。
閑話休題。
ゴールデンウイークということで、今週はそこそこ気合を入れて?ワインを飲もうと思います。手始めに今日開けたのは、ヴォギュエの97 シャンボールミュジニー・プリミエクリュ。02、03年あたりの暴騰ですっかり「あちらの人」になってしまった感のあるヴォギュエですが、このボトルは、当時のファインワインクラブの2割引セールで8Kぐらいで購入しました。 コルクを抜き、条件反射的に香りを嗅いで、「?」。なにやらクレゾール系の異臭が感じられます。ここでイヤーな予感がよぎりましたが、とりあえずグラスに注いでみます。 色調はやや濃いめのルビーで、全体にオレンジっぽいニュアンスがみえます。問題の香りは、カシスや黒い果実、ロースト、スパイスにまじって、消毒薬っぽい変なニュアンスがあります。ブショネではないんですが、明らかに科学薬品系の異臭。たまにあるんですよねぇ、こういうボトル。幸い、酒質の強さゆえか、異臭はニュアンス程度でしたので、デキャンティングしたり、グルグルとスワリングしたりして、だましだまし飲みましたが、何年も寝かせたボトルが本来の実力を発揮してくれなかった時の無念さたるや、まったくもって言葉がないです。
【凶→末吉】
翌日:と思ったら、意外や二日目は異臭も消えてそれなりに美味しく飲めました。底の方は酒質も分厚く、まだ飲み頃には早いとさえ思いました。