高額なボトルたちの一角にまぎれこんで、寺田倉庫にリリース以来寝かされていたジャイエ・ジルを開けてみました。なんでこのクラスのボトルを寺田に入れたのかよく覚えていないのですが、たぶんダンボールの中身が1本分余ってしまったなどの理由によるものだと思います。7年目ということで、そろそろこなれてきているかな、と思ったのですが、意外にまだ早かったですね。濃いめのルビーで、エッジにはオレンジ色が見えます。香りは最初カシスやスパイス類が感じられて、お、樽香もずいぶん和らいできたな、と思ったのですが、しばらくすると、カラメルやエスプレッソ、焦臭などのオーク由来の香りが全開になりました。もちろんリリース当時のようにひたすらオークばかりでどうにもならないというようなことはなくて、心地よいオークではあります。味わいは穏やかにバランスがとれていますが、あまり凝縮感もなく、酸やタンニンもおとなしく、全般にそっけない感じです。とはいえ、タルタルした中にも、クリーンでピュアな果実感が失われていないところが、この作り手の非凡なところではあります。
それにしても、このCNV、 時期的には明らかに熟成の途上段階です。もう2〜3年(根拠なしですが)辛抱すれば、熟成感が出てきて、もっと愉しめたのではと思うと、自分の忍耐のなさが恨めしいです。
【小吉】
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