2005年12月

日時 2005/12/30
銘柄 ジュブレイシャンベルタン・オー・コンボット93
(デュジャック)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 やまいち
価格 失念(9000円前後)
感想

正月休みにはあのワインを飲もう、このワインを開けようといろいろとプランを練っていたのですが、諸般の事情があってゆっくりワインを飲んでいられなくなってしまいました。そんな中、かろうじて実家に泊まったこの日だけワインを飲むことができたのですが、その際開けたのがコレ。約5年前にやまいちのセールで購入したデュジャックのジュブレイ1級です。最近この入手経路のボトルではハズしてばかりでしたが、はたして汚名返上となりますか…。
色調はエッジを中心にかなりオレンジが入ったガーネットです。香りはリキュール状のカシスやダークチェリー、香水、オレンジピール、松茸、出し汁、赤サビなどの、往年のデュジャックらしいもの。とりあえずこの香りだけで元はとれたかな、と胸をなでおろしつつ、口に含んでみると、味わいは後半にかなり酸がキツめに出るものの、タンニンはなめらかに溶け込み、そこそこ心地よい熟成感を味わえます。「そこそこ」にとどまったのは、やや酒質がドロンとした感じなのと、フィニッシュにイガイガ感が強めに感じられたからです。2005年のトリをかざる1本としてはややスケールが小さく、コンディションも最良とは言いがたいボトルですが、まあそこそこ楽しめたのでよしとしましょう。終わりよければすべてよし、ということで、来年もよろしくお願いします。
【89】

日時 2005/12/25
銘柄

ブルゴーニュ・ルージュ03
(アンリ・グージョ)

産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 三吉屋
感想 この日は新たにワインをあけるつもりはなかったんですが、2日目のレグリーズクリネが思いのほか落ちてしまっていたので、早々に1杯で諦めて、別のボトルを開けることにしました。2本続けて状態がイマイチのワインだったので、今日こそは確実なところを、という視点で選んだのは、コレ、フィネス輸入の03ブルゴーニュ(アンリ・グージョ)です。ちなみに私はフィネス輸入のワインは全面的に信頼しています。(ただしあまりショップに長く滞留していないもの)
色調はACブルとは思えないほど濃厚なルビーで、エッジはまだ赤紫です。 グラスを近づけると、赤身肉とスパイス中心の全くもって還元的な香り。それがグラスの中で徐々に和らいで、カシス、ダークベリー、ハーブ、スミレなどのアロマが漂いはじめます。味わいは03らしく濃厚で、ピノというより、ローヌっぽい雰囲気もありますが、酸もきっちりとあって、テクスチャーが滑らかでフィニッシュも整然としています。 ん〜旨い。この銘柄がどうこう、という以前に、フィネス扱いであるがゆえのコンディションのすばらしさが際立ちます。最近、世間的に一時のようにやかましく言われなくなってきた気がしますが、やはり状態のよいワインというのは違いますねえ。ほんとはこんなワインばかり飲みたいんですが‥。【88+】
日時 2005/12/24
銘柄 Ch.レグリーズ・クリネ94
産地 仏>ボルドー>ポムロール
購入店 東急本店
価格 9800円
感想 子供が小さい我が家では、クリスマスの主役はあくまで子供たちなわけで、あまりゆっくりワイングラスを傾けるという雰囲気でもないのですが、まあせっかくだし、ということで、それなりのワインを開けてみました。このレグリーズクリネは、東急本店のセールで購入したもの。 このところの良年続きで影が薄くなってしまいましたが、94年の右岸は比較的良いといわれてきたビンテージです。
う〜ん、内向的なワインですね。濃厚なガーネットですが、エッジを中心にオレンジが見えます。香りはグラスに注いだ当初こそ香水やムスクなどのえもいわれぬ芳香が一瞬だけ漂いましたが、すぐに沈黙がちになり、ブラックベリーや土、丁子、ナツメグなど手ごわそうな香りが残ります。口に含むと、まだ眠りから覚めていないのか、果実味は奥に篭り、タンニンは頑強です。とりあえずボトル半分をデキャンティングして1時間ほど待ったところ、果実味と酸が前面に出てきてタンニンも目立たなくなり、飲みやすくなりました。とはいえ、余韻も短めで、特に傑出した要素も見あたらず、この銘柄の名声を思うと少し期待はずれです。ボトル半分残しましたが、はたして明日はどうでしょうか?この味わいで若いビンテージだったら、間違いなく翌日の方が味わいが向上するんですが、94年ですからねえ、ビミョー。【89】
翌日:すっかりしょうゆ味。このボトルに限らず、酒質が強いはずのボルドーで2日目にガックリと落ちてしまうワインが多いのはどういうことなんでしょうねえ。インポーター名はあえて書きませんが、どこの業者かに限らず、国内で流通している90年代のボルドーは結構問題が多いように思います。(最近のビンテージは改善されていることを祈ります)
日時 2005/12/22
銘柄 リュショットシャンベルタン・クロ・デ・リュショット96
(アルマン・ルソー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 やまいち
価格 8800円
感想

このサイトのバックナンバーにも残っていますが、2000年の3月に「JOYワイン祭」で飲んでその味わいに感激し、自分でも早速通販で購入したのがこのボトルです。およそ5年半の時を経て、どうなっているかと開けてみることにしました。エッジにオレンジの入ったガーネットの色調で、思ったよりずっと濃厚です。ルソーというと、薄い色調からは考えられないような濃密な果実味、という印象が強いのですが(ただし「御三家」を除く)、今回のリュショットについては、あれ?こんなに濃かったっけ?というのが率直な印象です。芳香力は強く、鼻を近づけると赤黒い果実やオレンジの皮、ミネラル、土、皮革など、かなり熟成の入った、陶然とさせられる香りが立ち込めます。ところが口に含むとどうもイマイチなんですねえ。まず、ピリピリとした違和感のある酸が味わいをスポイルしています。果実味はそれなりに凝縮されているものの、2000年に飲んだときのような、甘く後を引く濃密感というものはなく、凡庸な印象を受けます。ボトル中盤を過ぎるあたりからようやくピリピリ感もなくなり、果実味も力を増しますが、テクスチャーのなめらか感に乏しく、フィニッシュもややイガイガとした感じです。劣化とまではいきませんが、状態が万全とは言いがたいボトル。開けたタイミングは悪くなかったようなので、状態さえ完璧なら、すばらしい味わいを体験できたと思うのですが‥。
【88】
翌日:干しイチジク、アンズ、赤系ドライフルーツ、梅など、かなり古酒っぽい香りになってきました。味わいは骨格が弱まりグジュグジュ感が強くなったものの、ネットリと旨味が増し、昨日より楽しめます。昨日はなんだか不完全燃焼な印象でしたが、今日になって花開いたというと褒めすぎでしょうか。ただ、全般に(一日経過後とはいえ)96年というビンテージのわりに、年をとりすぎているのは否めないですね。

日時 2005/12/20
銘柄 シト・モレスコ2000(アンジェロ・ガヤ)
産地 イタリア>ピエモンテ
購入店 TODA
価格 3150円
感想 ガヤの普及クラスのシト・モレスコ。私にとっては思い出深い銘柄です。かってはイタめし屋に行くとよくこの銘柄を注文していたものです。ブドウはネッビオーロ(85%)、メルロ、バルベラの混醸。市場価格は4000円前後からですが、たまたま3150円という破格のプライスで出ていたので、懐かしさもあって買ってみました。
濃いガーネットでエッジは鮮やかな紫色です。ブラックチェリー、乾燥プルーン、タバコ、紅茶。時間とともに土や生肉っぽいニュアンスも出てきます。口に含むとトーンの低い果実味のアタックのあと、ネットリと重たいタンニンが押し寄せてきて、フィニッシュには頬の内側がシュワシュワになります。この銘柄の解説を読むと大抵、若いうちから美味しいとかミディアムボディだとか書かれていますが、う〜ん、どうなんでしょう、このボトルに関しては、ある程度寝かして獰猛なタンニンを調教しないとツライ気がします。あるいは流通の過程で熱など浴びて本来の果実味がスポイルされたのか。(ボルドーの熱劣化ボトルでこのようなバランスのものに出くわします。コルクも結構上まで染みてたし‥)まあ前者だとすれば、熟成のペースは早そうなので、2〜3年でガラリと表情を変えそうな気もしますが‥。後者の可能性については、明日飲み残しを飲んでみて判断したいと思います。【87】
翌日:向上こそしませんでしたが、要素が溶け込んで飲みやすくなりました。甘く濃縮した果実味、少しざらついた豊富なタンニン全般の印象としては相変わらずヘビーです。
日時 2005/12/17
銘柄 オ・ボン・クリマ・イザベル98
産地 米>カリフォルニア
購入店 マスムラ
価格 失念(8K前後)
感想 ブルータスで取り上げられたりして、一時ブームになった銘柄です。当時は2万を越えるような価格がつくこともありましたが、今はすっかり落ち着いているようで、そうなってくると最近高騰著しいブルとの比較面でも面白くなってきます。数年寺田倉庫に寝かせておいたものを先日引き上げてきたので、早速飲んでみることにしました。

とにかくクソ重たいボトル。キャップシールは無く、その代わりにガッチリと蝋封してあって、開けるのにひと苦労です。コルクは良質で長く、抜栓すると同時に心地よい香りが香ってきます。 グラスに注ぐと、この作り手独特のやや暗いルビーの色調ですが、それほど濃いわけでもなく、透明感は高めです、香りは強めで、黒っぽい果実やなめした皮のような熟成香がとても心地よく、それに樽香が溶け込み、揮発性の塗料やビニールのようなニュアンスもあります。口に含むと、色調からは想像できないような粘性のある甘い果実味が広がり、思わず顔がほころびます。美味しいですねえ。数年寝かせて良い時期に開けたなあと実感する瞬間です。
酸はブルゴーニュに比べるとやや緩めな気もしますが、これはこれでバランスがとれいていますし、アルコール度が高く体躯も堂々としています。そしてアフターにはやや苦味を伴ったカフェのような独特のフレーバーを感じます。
‥とまあ、すばらしいピノなんですが、ブルゴーニュと比較して云々という議論はやはりナンセンスだと思います。決して否定的な意味でなく、ブルゴーニュとは個々の構成要素からして似ても似つかない、異なるベクトルのピノに感じられるからです。とはいえ、ブルゴーニュにさして思い入れのない人はおそらくこちらの方に魅力を感じるかもしれませんね。たしかに誰もを納得させる明朗で屈託のない美味しさがこの銘柄にはあると思いますし、私自身も自分のストック用に(ずいぶん安くなってきた)02、03あたりを買い足したいと思いました。ちなみに今まで飲んだ中では、セインツベリーのブラウンランチが一番印象的に近いように思います。
【92】
翌日:一晩おいたカレーのように、昨晩よりも各要素が調和して、より味わいが向上した気がします。華やかな果実味、グラマラスな体躯、フローラルで豊かなバックテイスト、これでプライスが6〜7Kというのであれば、ある意味文句のつけようがないです。さらに「厳粛さ」のようなものが加われば、真に偉大なワインと呼びたくなるところなんですが、そういう路線に走り出したら「角を矯めて牛を殺す」結果になってしまうのかもしれませんね。
日時 2005/12/15
銘柄 Ch.プリューレリシーヌ97
産地 仏>ボルドー>マルゴー
購入店 かわばた
価格 2880円
感想 「フランスワインvs新世界ワイン」というのはある意味議論のつきることのない永遠のテーマかもしれませんが、この両者を隔てるもっとも根源的な要素は、なんといってもアルコール度ではないかと思います。12%台から13%、いってもせいぜい13.5%のフランスワインに対して、新世界モノは14%に達することもしばしば。最近の地球温暖化で、結構なアルコール度のフランスワインも増えてはいますが、私などは今回飲んだプリューレリシーヌのような、12.5%程度のものが飲んでいてもっとも心地よいです。たぶん新世界ワインの愛好家の方々がこれを飲むと、薄くて物足りないと思うのではないかと思いますが、個人的にはアンダー 3000円でこれだけの味わいだったら言うことないですね。(決して新世界ワイン好きの方々を貶めているわけではありません、念のため)
それにしても97 年がここに来てこんなに綺麗に熟成しているとは思いませんでした。エッジにオレンジの見える、しっかりした色調のガーネット。香りはブラックベリーや中国系のスパイス、黒土など。口に含むとミディアムボディで、インパクトこそ弱めですが、伸びやかな酸がバックボンを支える、バランスのよいなめらかな味わいです。タンニンはよく溶け込んでいますが、後半やや前面に出てくる感じがあります。まだまだ熟成途上という感じで、あと10年以上は楽に持ちそうです。そういえば、90年代の終わりごろによく飲んだ92とか93年のボルドーがこんな味わいだたなあ、と懐かしくなりました。92グリュオラローズとか93ブラネールデュクリュとか、見つけたら、今どんな味わいになっているのか試してみたいものです。
【88+】
日時 2005/12/12
銘柄 デュルカマーラ2001(イ・ジュスティ・エ・ザンツァ)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 松坂屋
価格 4280円
感想 03ブルゴーニュが続々と到着して、セラーの空きスペースを確保する必要に迫られているから、とわけでもないのですが、このところワインを開けるペースが上がっています。今週も月曜日から開けてしまいました。デュルカマーラといのは、ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」に登場する女性の名前だそうですが、私の写真のとり方が悪いのか、なんだか(ジャドのラベルにも登場する)ギリシア神話の怪物メデューサのようですね。実物のラベルはこの写真よりずっとエレガントで、思わずラベル買いしてしまった私です。 ただ、肝心のお味の方はかなり手ごわいです。 中心部が黒味がかった濃いルビー。ブラックベリーや八角、ナツメグ、木質、赤身肉などのごく初期的な香り。オークの香りに結構バニリーなニュアンスを感じるのは若干アメリカンオークを使っているからでしょう。味わいは果実がギュッと凝縮されており、ファットで、毛皮のような含み香もあり、カベルネというよりはメルロのキャラクターを強く感じます(セパージュはCS80、メルロ20)。その反面ボルドー左岸のような味わいの伸びやかさにやや欠ける気も。セパージュを知るまではてっきりサンジョベーゼがかなり混醸されているのかと思ってました。 とにかくトスカーナの若いワインの常で、今はどうにもならないぐらい濃くて、その奥の表情が読み取れません。それでも磨き上げられたようなテクスチャーや上質なタンニン、濃縮されている中にもクリーンな果実味などに、この銘柄のポテンシャルは感じられます。以前飲んだ中では、パレオ・ロッソなどに似た感じでしょうか。翌日に期待、ですかね。 【89】
翌日:だいぶ頑強さが減って木目が良い意味で緩くなってきましたが、本当の意味で美味しくいただくにはかなり寝かせた方がよさそうです。もう1本買って最低5年ぐらい寝かせてみたらどうなっているのか、確かめてみたい気もします。
翌々日:香りはさすがに弱くなってしまいましたが、ほどよくこなれてもっとも良い状態になりました。
日時 2005/12/10
銘柄 Ch.グロリア97
産地 仏>ボルドー>サンジュリアン
購入店 ゆはら
価格 3480円
コメント 最近97年のボルドーが各所で安く売り出されています。個人的にはリリース直後に何本か飲んで失望し、それ以来見向きもしなかったビンテージですが、この時期に安価で購入できるのであれば、ほどよい熟成感を味わえてそれはそれでよろしいのではと、3本ほど買ってみました。 その第一弾がこのグロリアだったわけですが‥ エッジにまだあまりオレンジも感じられないようなしっかりしたガーネットの色調。香りはやたらと強いロースト香がします。その奥からブラックベリーや丁子、木質などが感じられますが、とにかく今は深煎りのローストが主体です。ひと口飲んでみると、やわらかな果実と中程度の凝縮感、それに‥、ややトーンの高い干からびたような、ムレたようなフレーバー、これってもしや‥ブショネ?。
ビンゴでした。ハイ。
まあ香りでわからなかったぐらいですから、今回のボトルは軽症なのでしょうけど、ブショネって、私の場合、一度気になりだすとそればかりが気になってしまってダメなんですよねえ。たぶん香りも本来はもっと果実香が出てくるべきところを、ブショネによってスポイルされてロースト香だけが際立ってしまった、というところなのでしょう。 ‥と言いつつ、なんだかんだで結局ボトル半分飲んで、残りを翌日に回したりしてますが。
【87?→88】
バキュバンして冷蔵庫でひと晩保管したボトルを開けてみると、結構しっかりしたロースト香が残っているので、それならいっそ、ということで、デキャンティングしてみました。これがよかったのかわかりませんが、昨日より心なしかイヤなフレーバーが後退して、飲みやすくなった気がしました。さすがに最後の方はヘタってしまいましたが、二日目のボトルをデキャンティングしたのだからそれも仕方ないことでしょう。点数も上方修正しました。
日時 2005/12/9
銘柄 ニュイサンジュルジュ・レ・ポワゼ95
(R・アルヌー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワイン&地酒TODA
価格 6690円
感想 金曜日の夜は訳あって実家に泊まったのですが、その際セラーの中から引っ張り出してきたのがこのアルヌーです。村名のバックビンテージですが、近年の新しいデザインのラベルが貼られているところをみると蔵出しなのでしょうか?(輸入元はサントリー)
そのわりにはこのボトルイマイチでしたねえ。オレンジというよりレンガすら見えるような色調。香りはおとなしい中にも、赤黒い果実やオレンジピール、スーボワ、ミルキーなニュアンスなど心地よいものです。ところが味わいがなんともジュクジュクした感じで「腰砕け」な印象なのです。ピークというよりはすでに下り坂にさしかかっていて、寝かせてもこれ以上良くなることはないだろうなあ、という味わい。アルヌーは若いうちから美味しく飲める半面、過去何度か飲んだバックビンテージの印象からすると、たとえばルーミエやルソー、デュジャックなどのように、寝かせることによってそのポテンシャルがグンと引き出されるような熟成能力に欠けるような気がします。ひいきの生産者なんですが、この辺が世間的には超一流の生産者に列せられない所以なんでしょうか?同時に購入したヴォーヌ・ロマネ・レ・オート・メジエールの96年も早々に開けねばならなそうです。 また、95年といえば手元にクロヴジョもあるので、こちらも遠からず開けてみようと思います。さすがにグランクリュともなればここまで腰砕けになってはいないと思いますが。
【87】
翌日はさらに酷くなって、ほとんど飲めない代物と化していました。
日時 2005/12/6
銘柄 ブルゴーニュ・ルージュ2003(R・グロフィエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 湘南ワインセラー
価格 3480円
感想 今日は下の子の2歳の誕生日です。仕事をきっちり定時で切り上げて、コージコーナーに予約していたバースデーケーキを抱えて家に帰ってみると‥ なんと、上の子が39.5度の発熱、一方下の子はスヤスヤと就寝中。おまけにカミサンまで微熱があるといって、3人で寝室でゴロゴロ(--)
ワインは03ビンテージのそれなりに豪勢なものを開けるつもりでしたが、この状況ではのんびり飲んでいられそうもないなあと、急遽表題の銘柄に変更と相成りました。

ピンチヒッターとはいえ、このACブルは相当手ごわいです。 普通「ローヌっぽい」という形容は、「こないだデュガのグリオット飲んだけど、若すぎてまるでローヌだったね〜」なんていうように、ブルゴーニュに対してはあまり褒め言葉としては使いませんよね。しかるにこのグロフィエも、ブラインドで飲んだらまんまローヌと答えそうです。中心部が黒みを帯びた濃いルビーの色調。香りは黒い果実のコンフィチュール、カフェ、ハーブ、それにユーカリのようなスッとするニュアンス。口に含むと、甘く凝縮感のある果実味のアタック。タンニンは豊富ですが、以前飲んだA・P・ド・ヴィレーヌなどに比べればずっとなめらかで、クラスを超えたシルキーな酒質は賞賛に値します。酸は意外なほどしっかりしていますが、少し神経質で、落ち着いていない印象があります。ACブルのレベルを超えた充実感は得られるものの、、前述のようにあまりにブルらしくない、ヌフパプのような味わいにちょっと戸惑ってしまいます。まあ考えてみれば以前何度となく飲んだ熟成ヌフパプもかなりブルゴーニュに近い味わいになってたたわけで、行き着く先は同じなのかもしれませんが。5年10年年とは言わずとも、2〜3年寝かせたらかなり印象も変わってくると思います。
この日は2杯しか飲まなかったので、明日以降の変化を観察して見たいと思います。 【87】
翌日:あいかわらずローヌチックですが、香りも味わいも初日より和らぎ、ナチュラル感が向上しました。特に香りは還元的な要素が消えて黒い果実や花、オークなどが綺麗に整ってきました。今日の味わいなら、ブラインドでもかろうじてブルゴーニュと答えられそうです。
翌々日:かなりキメが緩んで、一般的なブルゴーニュらしい?味わいになってきました。もっともその分単調さが目立つようになり、そういえばそもそもACブルなんだよなあ、と再認識しました。
日時 2005/12/4
銘柄 ジュブレイシャンベルタン・クロ・サンジャック98
(G・バルテ(B・クレール))
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 いただきもの(購入先はおそらく東急、インポーターはラック)
感想

先月のデュジャックといい、それ以前に飲んだユベールリニエなどの銘柄といい、98ビンテージについては全くといってよいほど良い思いをしていないので、手持ちの98年については早めに飲みきってしまう方針に転じたのですが、のっけからいきなり出鼻をくじかれるような銘柄に出会ってしまいました。このボトルはいただきものですが、ラベルのデザインからお判りのように、作り手はブリュノ・クレールだそうです。ドメーヌの名前が「G・バルテ」となっているのはメタヤージュかなにかでしょうか?残念ながらネットで検索しても判りませんでした。どこかでその手の記述を読んだような記憶もあるのですが、子供が生まれてからというもの、家の中が手狭になり、ワイン関連の文献は大掃除のときぐらいしかたどりつけないようなクローゼットの奥底にしまわれてしまっているので、これ以上調べようにも調べようがないのです。
それはともかく、このボトル、それこそ「泣けてくるほど」美味いです。濃いめのルビーで、全般にややドロンとした色調。エッジはオレンジが顕著になってきています。香りは、久しく経験していないようなすばらしいスーボワ香。カシスやダークベリー、オレンジの皮、赤サビ、スパイスなどの奥から、トーンの低い湿った土や積もった枯葉、それに毛皮のような熟成香がバンバンと出てきます。口に含むとしなやかな酸のアタックのあとから甘く濃縮した果実味が湧き上がってくるかのように広がります。といっても、それはいわゆる「フルーツ爆弾」系の果実味ではなくて、クリーンでリキュール的なものです。時間とともに果実の旨味感が強まり、余韻も長く、戻り香がしばらく口の中を満たします。飲んでいて陶然とさせられるような、およそ非の打ち所のないブルゴーニュ。これに球体のような広がりが加われば、真に偉大な1本といえるところですが‥。まだ先は長そうですが、とりあえず上り坂の過程で第一次のピークを迎えところというところでしょうか。う〜ん、それにしても98でこれだけの味わいを体験してしまうと、やっぱり先月のデュジャックはボトルの扱いに問題があったのではないかと疑いたくなります。
【93】

日時 2005/12/1
銘柄 ボジョレーヌーボー2005(ジャン・フォワイヤール)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ゆはら
価格 2800円
感想 ついこないだ正月だったと思ったら、もう師走とは、時が流れるのは早いものですね。特に四十路を過ぎてからはそう思います。さて、今日は、解禁日当日に手元に届いていたのに、子供がインフルエンザに罹ったおかげで飲むことが叶わなかった可哀想なボジョレー・ヌーボーを開けることにしました。 ボトルからグラスに注がれる液体の独特の紫色からして、ああ、一年ぶりだなあ、と思わせてくれる色調です。イチゴキャンデーやサクランボ、メロンなどのフレッシュな香りに加えて、なぜかカフェやローストっぽいニュアンスや還元的な乾いたスパイス香も感じられます。味わいは最初のうちこそバランスがいまひとつでしたが、飲み進むうちに果実のみずみずしさが際立つようになってきました。例年のジューシーさに加えて、今年のヌーボーは伸びやかな酸とそこそこのタンニンもあって、骨格がしっかりした感じです。加えてこのボトル、航空便ということもあって状態がすばらしい。例年味わいは二の次、祝祭的な雰囲気を盛り上げるためだけに飲んでいる感のあるボジョレー・ヌーボーですが、今年のこの銘柄は単体でもなかなか楽しませてくれました。 まあ、だからといって、この値段で解禁日以外に買おうとは思いませんけどね。【84→85+】
3日目: ボトルの底に残っていた1杯分を飲んでみて驚きました。 初日の倍ぐらいの濃縮感があり、香りには、独特なセメダインのようなニュアンスすら見られます。3日後という時間の経過がそうさせたのか、あるいは底の方だったことによるのか(ちなみに澱が相当出ていました)、いずれにせよ、解禁日に飲み干していたらその実力をうかがい知ることはかなわなかったでしょう。