2005年7月

日時 2005/7/29
銘柄 アヤラ ブリュット NV 
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 イーショッピングワイン
価格 3130円
感想

本格的な夏到来、ということで、ワイン飲みにとってはなにかとモチベーションの下がる季節ですが、泡モノに限れば話は別です。日の沈む前からシャンパングラスをかたむけるのって、束の間のゴージャス気分を味わせてくれますよね。もっとも、私の場合、泡モノは半分ビール代わりなので、それほど高級な銘柄は必要ありません。クレマンか、せいぜい3000円台までのシャンパーニュで十分です。今回開けたアヤラもれっきとしたシャンパーニュながら、値段は3000円ちょっと。ということで、肝心のお味はいかがでしょうか?
グラスに注ぐと、シュワッと勢いのある気泡が立ち上ります。熟したリンゴやカリン、黄色い花などのバランスの良い香りの中に控えめなイースト香。味わいは、香りから感じるほど芳醇なものではなく、どちらかというとスリムで爽やか系で、心地よい酸と炭酸がキレのあるフィニッシュを演出します。香りがすばらしかったためにやや過度な期待をした感がありますが、味わいはまあ普通というレベルでしょうか。それでも、これぐらいの味わいで4000円ぐらいのプライスがついているシャンパーニュが結構あることを思えば、悪くない選択だといえましょう。ライバルはドラモットあたりですかね。
【88】

日時 2005/7/23
銘柄 プリンタニエ・シャルドネ2003
産地 イタリア>ピエモンテ
購入店 ワインセラー・パリ16区
感想 今月はなんだかセール品ばかり飲んでいますが、この日開けたのも、パリ16区の「4本1万円」で購入したボトルであります。アルド・コンテルノが造るシャルドネといえば、「ブシャドール」がまず思い浮かびますが、「プリンタニエ」はもう少し安価なプライスで、木樽を使わないところが大きな特徴です。お店のサイトの説明によれば、「収穫の翌年の春に出荷されることから『春』と名付けられたこのワインは、木樽を使わず、ステンレスタンクで発酵後、濾過も澱引きせずそのまま澱の上に寝かせ、マロラクティク発酵が9割ほど終わったところで若干のフィルターをかけ、瓶詰めします。」とのこと。
しっかりした色調のイエローでやや黄緑のニュアンスがみえます。香りはグレープフルーツ、レモン、ヨーグルト、ミネラル、黄色い花など。口に含むと、意外なほどしっかりした味わいで、厚みのあるボディを丸くエッジのとれた酸が支えています。樽熟していないとのことから、もっとシャープで爽やかなものを想像していましたが、味わいのベクトルはむしろリッチでクリーミーな方向です。トータルバランスとしては酸が弱めなことによる酒躯の「緩さ」は否めませんし、フィニッシュや余韻もどちらかといえばシンプルですが、それよりは樽の要素を排除した明朗かつ健康的な果実味を積極的に楽しむべきでしょう。それにしても、セットのセール品って、この銘柄しかり、先日のアントナン・ギィヨンしかり、なかなか自分から買おうとは思わない銘柄との出会いがあって、新鮮ですね。前回のカマンサックでも書きましたが、この銘柄も日常のいろいろな食事(但し洋食系)にも巾広く併せやすそうです。
【87】
日時 2005/7/18
銘柄 Ch.カマンサック98
産地 仏>ボルドー
購入店 イーショッピングワイン
価格 2079円
感想

Ch.カマンサックは1855年のメドックの格付けでは第5級に列せられていますが、21世紀の今、この銘柄をランシュバージュやポンテカネ、グランピュイラコストといった5級の上位シャトーと同列に扱うのは、あまりに無理があります。世間の評価では、せいぜいクリュ・ブルジョワレベルというところでしょう。それでも税込み2079円、税抜きで2000円を切る価格でメドックの格付けシャトーのボトルを購入できるというのは、なかなか刺激的なプライスだと思います。というわけで、私も2本買ってみたので、早速1本目を開けてみることにしました。色調は濃厚なルビーですが、エッジは退色が進んでいます。香りはカシスやブルーベリーなどの果実、墨、甘草、黒土などの発散的ではありませんが、染み入るようなものです。味わいは抜栓直後こそ手ごわいタンニンが感じられましたが、外気に触れるにつれ、急速にやわらかさを増しましてゆきました。力強さや密度感には乏しいものの、クリーンで近づきやすい果実味が、ボルドーらしい力強いタンニンとしなやかな酸とに支えられて、ややこぶりながらきれいなまとまりをみせてくれます。フィニッシュにはやや酸が優勢になって、きれいで長い余韻とはいきませんが、価格を思えば仕方ないところでしょう。全般にそれほど自己主張の強いワインではないので、過大な期待は禁物ですが、その分、日常の晩餐に幅広くあわせることができそうです。内向的でとっつきにくいと言われる98年ですが、このクラスのワインはそろそろ熟成の途上に入って飲める時期にさしかかっているのかもしれませんね。さて、このワイン、実力的にはいくらぐらいのレベルでしょうか?一部ショップで表示されている小売希望価格5010円というのは論外としても、3000円弱ぐらいのCPはあるといってよいでしょうか?ビミョーなラインですが、少なくとも2000円であれば、お買い得の部類に入るのは間違いないところでしょう。
【86+】

日時 2005/7/16
銘柄 シャンボール・ミュジニー クロ・デュ・ヴィラージュ2000
(アントナン・ギヨン)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインセラーパリ16区
価格 4本1万円のうちの1本
感想

熟成しはじめたイイ香りが出ています。黒い果実、枯葉、烏龍茶、皮革、甘草、黒土、それにセメントのようなニュアンスは樽からのものでしょうか。シャンボールミュジニーにしては、やや土っぽさ獣っぽさが前面に出すぎているキライはありますが、スーボワっぽさの出始めたすばらしい香りには違いありません。味わいも各要素が溶け込んでクリーミーな中に、旨味がたっぷり乗っています。特にここがズバ抜けているという箇所はないものの、各要素のバランスもよく、うまく飲み頃にあたったときのブルゴーニュのすばらしさを改めて教えてくれる1本です。アントナン・ギィヨンは、サヴィニー・レ・ボーヌに本拠を置くドメーヌ。コルトンなどにグランクリュを所有していますが、最近飛ぶ鳥を落とす勢いの「ドメーヌ・ギィヨン」とは直接的な関係はないようです。ちなみにセレナ・サトクリフ女史の「ブルゴーニュ・ワイン」(この本も今となってはかなり情報に古さを感じますが‥)では、「最近テイスティングした赤ワインでは、望みどおり期待どおりの凝縮度とかスタイルをもったものはなかった」と、あまりポジティブな紹介はされてません。そういうこともあって、このボトルは4本1万円のセール品の中では、オマケみたいなイメージだったんですが、あとになってみるとひょっとしたら、これがもっとも印象深かった、なんてことになるかもしれません。ワインバーなどでこういうのが出されるときっと嬉しくなるでしょうね。【91】

日時 2005/7/9
銘柄 “セルヴェ・ディ・ルオーティ”タウラージ2000
          (フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ)
産地 イタリア>カンパーニャ州
購入店 パリ16区
価格 4本1万円のセールで購入
感想

毎年のことですが、暑くなってくると濃い赤ワインにはどうしても食指が動かなくなります。加えてこのところ疲労困憊で体調は絶不調。こういう時に南イタリアの赤ワインを選択するということ自体、そもそもどうかというハナシもありますが、セラーを覗いたらたまたま目に留まったので、開けてみました。
ところが、案の定というか、やっぱりというか、あまりの濃さにへきへきとして、杯が進まず、初日は感想以前の問題。グラス1杯半飲んだだけで、翌日にまわしてしまいました。2日目になると、香りこそやや弱まったものの、味わいは一晩おいたカレーのごとく、各要素が溶け込んで、そこそこ飲みやすくなりました。
濃厚なルビーでエッジまで濃い紫の色調。香りは黒い果実、木質、オーク、スパイス、墨、それにユーカリっぽいニュアンスもあります。味わいは分厚い、密度感のある果実味が口の中を満たします。タンニンはよく熟しているので攻撃的ではありませんが、14度というアルコール度の高さもあって、相当にパワフルな印象です。一方でしっかりと張りのある酸が構造を支えて、ダルなところやクドすぎるところもなく、各要素が拮抗するようにバランスがとれています。よくできた高質なワインだと思いますが、この手の濃厚パワフル系の常で、飲み飽きるんですよね〜。その辺、上位銘柄のセルピコがどうなのか、興味のあるところですが、セラーで待機中のセルピコを試してみるのは、きっと冬になってからでしょう。
【88】

日時 2005/7/1
銘柄 サンダルフォード・カベルネソーヴィニヨン2003
産地 豪>マーガレットリバー
購入店 タカムラ
価格 2700円
コメント

ヴィノテーク4月号のテイスティングでベストワインに選ばれたという銘柄、ショップの宣伝文句に釣られて1本購入してみました。
『サンダルフォードは1840年、ジョン・セプティマス・ローが西オーストラリア州スワン・ヴァレーに設立、この地区では最も古いワイナリーのひとつだが、近年、所有者を変えながら歴史を重ねている。 現在は実業家のピーター・ブレンディビル・ノヴェントレがオーナー。 このワインはより南に位置するマーガレット・リヴァーのカベルネ・ソービニヨン100%から。 フレンチオークとアメリカンオークの樽を用い、18ヶ月の熟成。』だそうです。
背が高く、高級感のあるボトルですが、抜栓してみると、短くてチープなコルクにちょっとガッカリさせられます。色調な濃厚なルビーでエッジはまだ紫色です。香りは抜栓当初は閉じ気味ですが、気長に待っていると、リキュール的な黒い果実やカフェ、ビターチョコ、ユーカリなどのニュアンスが見えてきます。味わいは、各要素がてんこもりで、アルコール度も高く、甘く豊満な果実味をしっかりした(しかしややデリカシーのない)酸とざっくりしたタンニンとが支えます。抽出が強いのか、もしくはボトルコンディションの問題か、後半にちょっと強めの苦味とエグミを感じるのが難点ですね。この値段にしては、たしかによく出来ていて、明快な判りやすさがありますが、マニア目線で見ると、陰影のなさにちょっと物足りなさを感じます。個人的には、居酒屋で出されたら、その店のセンスのよさを誉めたくなりますが、ワインバーでは飲もうとは思わない、そんなタイプですかね。
【86】
翌日:初日より良くなるかと期待しましたが、アルコールが浮いた感じのヒネた味わいになっていました。03年という若いビンテージのワインでこれはちょっと‥。