大雪で街も店も閑散としている中、連日の信濃屋詣でとなりました。当初は二日続けて行くつもりはなかったのですが、前日のペトリュスにノックアウトされて、この日のラターシュにも俄然興味が強まった次第。02のDRCにはWA誌は全般に低い評点しかつけていないようですが、さて01年はどうでしょうか?
グラスに注ぐと、色調は以外なほど淡めです。それでいて、注いでいるうちからモワッと香りが出てくるあたりはさすがといいましょうか。ラズベリーやイチゴなどのコンフィ状の果実、オレンジの皮、ダージリン、シナモン、それにマツタケっぽいニュアンスもあります。信濃屋の試飲のグラスは、リーデルでいえば、ちょうどヴィノムのキャンティクラシコタイプやオーヴァーチャーシリーズぐらいの大きさで、ふだん試飲でグラスに不満を感じることはなかったのですが、この日ばかりは、むせ返るような芳香力にグラスがちょっと負けているなあと思わされました。口にふくむと、強烈にミネラリーで透明感のある味わいながら、口の中でグンと旨み感が広がり、果実味はなんというか粘りのある感じです。タンニンはやわらかく、今すでに美味しく飲めるのが、昨日のペトリュスに続いて意外といえば意外。もちろん偉大な銘柄に共通項の、調和のとれたフィニッシュと余韻の長さは言うまでもありません。透明感を失わないなかにも要素がぎっしりつまった酒質とか、それでいてエッジがとれていて球体のように丸いテクスチャーとか、さすがというかなんというか、貫禄の味わいではありましたが、昨日の驚きに比べれば、まあ予想の範囲内といえなくもなかったかな、と。
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