2004年12月

日時 2004/12/31
銘柄 ラ・ターシュ2001(DRC)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 信濃屋有料試飲
価格 グラス3500円
感想

大雪で街も店も閑散としている中、連日の信濃屋詣でとなりました。当初は二日続けて行くつもりはなかったのですが、前日のペトリュスにノックアウトされて、この日のラターシュにも俄然興味が強まった次第。02のDRCにはWA誌は全般に低い評点しかつけていないようですが、さて01年はどうでしょうか?
グラスに注ぐと、色調は以外なほど淡めです。それでいて、注いでいるうちからモワッと香りが出てくるあたりはさすがといいましょうか。ラズベリーやイチゴなどのコンフィ状の果実、オレンジの皮、ダージリン、シナモン、それにマツタケっぽいニュアンスもあります。信濃屋の試飲のグラスは、リーデルでいえば、ちょうどヴィノムのキャンティクラシコタイプやオーヴァーチャーシリーズぐらいの大きさで、ふだん試飲でグラスに不満を感じることはなかったのですが、この日ばかりは、むせ返るような芳香力にグラスがちょっと負けているなあと思わされました。口にふくむと、強烈にミネラリーで透明感のある味わいながら、口の中でグンと旨み感が広がり、果実味はなんというか粘りのある感じです。タンニンはやわらかく、今すでに美味しく飲めるのが、昨日のペトリュスに続いて意外といえば意外。もちろん偉大な銘柄に共通項の、調和のとれたフィニッシュと余韻の長さは言うまでもありません。透明感を失わないなかにも要素がぎっしりつまった酒質とか、それでいてエッジがとれていて球体のように丸いテクスチャーとか、さすがというかなんというか、貫禄の味わいではありましたが、昨日の驚きに比べれば、まあ予想の範囲内といえなくもなかったかな、と。
【94】

日時 2004/12/30
銘柄 Ch.ペトリュス2001
産地 仏>ボルドー>ポムロール
購入店 信濃屋有料試飲
価格 グラス3500円
感想 ペトリュスをいただくときは、いつも期待とともに軽い緊張を覚えます。というのも、特に若い年代のこの銘柄は、かなり心して対峙しないと、ベールに包まれたその実力を少しも垣間見させてくれない難しさがあるからです。ラフィットロトシルトやドメーヌルロワのワインにも似たような印象を持つことがありますが、このペトリュスほど極端ではありません。ましてこの日飲むのは01年という、長命なこの銘柄にしてみればまだ幼少期とでもいうべきビンテージ。3500円の試飲代は半分ドブに捨ててもいいや、ぐらいの気持ちで行ったのですが…。
いや、これがまさに「激ウマ」。
色調は見事なルビーで、赤紫色のエッジに至るまで隙がありません。 香りはデザート用に仕立てたブラックベリーや焼き栗、エスプレッソ、それに甘草のようなスパイス香。味わいは、口いっぱいに膨らむような凝縮感があるわけではないのですが、舌の上を中心に継ぎ目のない、シルクのようになめらかな液体が静かに広がって行きます。ドカンと来るわけでなく、あくまでもスマートなリッチさとでもいいましょうか。ゆっくり飲んでいると、オイリーな印象が強まり、ビターチョコのような甘味を伴ってきます。フィニッシュは見事なまでに調和がとれていて、飲み込んだ後もしばらく余韻が口の中を満たしています。
まったく恐れ入りました。ペトリュスってこんなに若い時期から美味しいものでしたっけ?作りが変わったのか、01年がたまたまそうなのか、それとも、ここ数年某誌のテイスティングでリリースしたてのワインばかり試飲してきたせいで、私の若いワインにたいする感受性が変化したのかも…。
【95】
日時 2004/12/29
銘柄 シエピ(カステロ・ディ・フォンテルトーリ)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 ワインビッド
感想

ええと、目下9年連続でしたっけ?ガンベロ・ロッソ誌トレ・ヴェッキオリ連続獲得中の著名銘柄シエピの95年を開けてみました。
エノロゴはかのカルロ・フェリーニ氏。そして、セパージュは彼の得意とするサンジョヴェーゼ(50%)とメルロー(50%)のブレンド。 フレンチオークで16ヶ月間熟成されるそうです。
まだまだ元気な濃いルビーの色調で、エッジにややオレンジのニュアンスが見えます。香りはブラックベリーなどのジャム的果実香、シナモンなどのスパイス、木質的香り、遅れて甘いチョコレートのようなオークが出てきます。味わいはまだまだタンニンが豊富。テクスチャーはなめらかで、果実味はギュッと凝縮されているのですが、時期的なものなのか、全般に眠たげな表情で、大量の粉っぽいタンニンが味わいを支配しています。最近のシエピは、もっとこう精妙でフィネスを感じさせるスタイルになってきていると思うのですが、このころのものは、力強さはあってもまだ1本調子な印象をぬぐえないですね。久しぶりにデキャンタなぞを使ってみたら、かなりよい感じになりました。

【90】

日時 2004/12/28
銘柄 モレ・サン ドニ・アン・ラ・リュー ドゥ ヴェルジイ96
( ブリュノ クレール)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 みちのく岩手のワイン屋竹澤
価格 4380円
感想 11月に95ビンテージを飲んで、まあまあの印象だったブリューノ・クレールのモレ・サン ドニ・アン・ラ・リュー ドゥ ヴェルジイ。今度は96VTです。飲む前は、95に比べてどうだろうとか、酸が高く飲みずらいかもとか、いやでも村名だしそろそろのめるんじゃあとか、いろいろと思いをめぐらせましたが…。
まずひとくち飲んで。「ダメだコリャ。」
香りはそれほどひどくないのですが、味わいは相当醤油が入ってます。といっても、この手の劣化ボトルの場合、瓶の下のほうは結構マトモなことが多いので、上の方のグラス2杯分ぐらいを景気よくザバッと捨てたら、案の定中間部以降はまあ飲めるレベルに留まっていました。香りはやや弱めですが、ラズベリーやカシスなどの果実に加えて、紅茶、オレンジピール、枯葉、それにかすかに下草っぽいニュアンス。味わいは元からなのか、あるいは環境によるものか、酸やタンニンに比べて、果実味が相対的に不足しており、飲んだ印象はかなりギスギスした感じであまり楽しめるものではありません。コルクを見る限り、特に噴いた跡もないし、急激な温度変化に接した形跡もないのですが、それでもこういうヒネた状態になってしまう。難しい飲み物ですね…。
【85?】翌日:少し残した分を飲んでみましたが、まるで飲めない味でした。これで4K円と思うとかなり残念な1本でした。
日時 2004/12/24
銘柄 ドラモット・ブリュット・ロゼ
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 ウメムラワインセラー
価格 3500円
感想 風邪をこじらせてはや1ヶ月。アルコールを飲むと咳がひどくなるので、自然とワインをあける機会も減ってしまいましたが、さすがにクリスマスぐらいは泡モノを、と思って開けたのがこのドラモットです。ドラモットといえば、サロンのセカンド的銘柄という血筋もあり、食指が動くのはなんといってもブランドブランかもしくはリーズナブルなノーマルブリュットでしょう。なにゆえあえてロゼをと思われるかもしれませんが、それはたまたま他の銘柄が売り切れだったのと、ロゼが安かったから、という他愛もない理由からに過ぎません。あまり濃くない色調のさわやかなサーモンピンクで、気泡は細かく勢いも十分。香りはストロベリーやピーチ、花などのアロマチックなもの。口に含むと、コクはさほどなくて、酸がしっかり。スリムでさわやか系の味わいながら、フィニッシュの調和やきれいな余韻など、さすがと思わせる面もあります。実のところ、私自身はロゼシャンパーニュに時に感じられるしつこさや生臭さが苦手なので、こういうアッサリ系の味わいの方が好みだったりします。それに、宴のときの(といっても今年は子供のドンチャン騒ぎに終始した訳ですが…)ロゼシャンパーニュは華やかでいいですね。【89】
日時 2004/12/18
銘柄 キャンティクラシコ・ドン・トッマーゾ2000
(レ・コルティ)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 湘南ワインセラー
価格 2980円
感想 カルロ・フェリーニ氏がエノロゴを努める名門の上級キャンティクラシコ。99ビンテージはトレ・ビッキエーリを獲得しました。隙のない濃いめのルビーの色調。香りはよく開いていて、黒い果実やカシスのジャム、木質、スパイス、エスプレッソなどが絡み合う官能的なもの。味わいも外向的。タンニンは豊富なものの、凝縮された果実味と明るめの酸とがきれいにバランスがとれいていて、リッチなボディが魅力。時間とともにさらに開いてきて、果実味にトロリとした甘さが乗ってきました。残念だったのは、私自身の体調があまりよくなかったこと。良いワインは体調のよい時に飲むべきものだと実感しました。翌日は香りは弱まりましたが、味わいはしっかりしていて十分楽しめました。正直なところ、無茶苦茶割安だとまでは思いませんが、5000円ぐらいのスーパータスカンでも、大したことないものも結構あることを思えば、これで2980円というのは手堅い選択といってよいでしょう。【89】
日時 2004/12/12
銘柄 メルキュレイ・レ・モント02(AetP ド・ヴィレーヌ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 湘南ワインセラー 
感想 DRCの共同経営者 オベール・ドゥ・ ヴィレーヌ氏が営むドメーヌ。リリースする銘柄の中では、ブルゴーニュ・ラ・ディゴワーヌがつとに有名ですが、メルマガなどの情報によると、所有者自身はこのメルキュレイをもっとも気に入っているとのことです。色調は濃いめですが濃厚というほどでもないルビーで、エッジはやわらかな紫色。香りはカシスやブルーベリー、スミレ、オレンジの皮、オークなどの心地よいもの。味わいは凝縮感や力強さというベクトルではありませんが、旨み感がたっぷりあり、フレッシュなベリー類やオレンジピールを思わせる果実と、控えめなオークのアクセント、それに伸びやかな酸が味わいを彩ります。スケールは決して大きくないし、自己主張の強いタイプでもないのですが、その分、日常の食卓にも合わせやすく、ピノノワールとしてのツボを抑えているというか、ピノ好きにとってはおそらく、評点以上に好感を感じる銘柄でしょう。二日目はさらに旨み感がましてさらに好感度アップ。【88+】
日時 2004/12/8
銘柄

キャンティクラシコ・ジョルジョ・プリモ94
(ラ・マッサ)

産地 イタリア>トスカーナ
購入店 CantinaVinoVino
価格 4900円
感想 私が特に気に入っているキャンティクラシコの生産者ラ・マッサのジョルジョプリモ。94年はあまり良い年とはいえない上、プライスも結構高価だったんですが、10年経過してどのように熟成しているだろうかという興味もあって購入してみました。
色調は最近のビンテージのものほど濃厚ではなく、エッジにかなりオレンジが見えます。香りは、リリース直後ほど強烈ではないものの、まだオークがかなり感じられます。その奥から、黒い果実や麦わら、木質、中国系のスパイス、それになめした革や下草のような熟成香。口に含むと、残念ながら近年のもののような凝縮感やコンセートレーションはなく、薄めのミルキーなテクスチャーの中に、明るめの酸や乾いたタンニンなどが見え隠れしています。よく言えばエレガント、悪く言えば構造が脆弱。最近良年続きで半ば忘れていましたが、このHPを始める以前はあまりマニアックでないイタリアものを中心に飲んでいた時期があって、当時よく開けた92〜94年あたりは、このような味わいのものが多かったなあ、なんてそれはそれで懐かしく思い出しました。
【88】
日時 2004/12/4
銘柄 ロッソ・ディ‥セーラ01(ファットリア・ポッジョピアーノ)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 湘南ワインセラー
価格 6280円
感想

ポッジョピアーノは靴製造を営んでいたバルトリ家が1992年に創立したワイナリー。キアンティ・クラッシコ地区のサンカッシャーノに位置し、ルカ・ダットーマがエノロゴをつとめています。このロッソ・ディ・セーラはサンジョヴェーゼとコロリーノとの混醸という異色のセパージュです。
いやあ、コロリーノというブドウの特性が出ているのか、実に個性的な味わいですね。濃厚なルビーの色調。香りはドライプルーンやなめし革、オーク、白コショウなどのスパイスなど。口に含むと、濃縮感があってトロリとしたテクスチャーなんですが、山路さんが奇しくも某誌に書いていたように、小梅のようなチャーミングな酸と、スパイシーなフレーバーとによる、甘ショッパイようなニュアンスがあり、そのおかげでか、酒質は鈍重な感じにならずに、どこまでも軽やかです。数時間もすると、この独特の質感は見られなくなってしまいましたが、その分、こなれてきてバランスが向上しました。質感の高さといい、独特の個性的な味わいといい、ウワサにたがわない存在感のあるワインですが、個人的にはあまり得意なタイプではありません。翌日はもっと違う表情を見せてくれるかと期待しましたが、残念ながら、初日より向上することはなく、普通のよくできたスーパータスカン、という感じに留まってました。
【90】3日後:少し雑臭がまざるようになりましたが、それなりに美味しく飲めました。

日時 2004/12/1
銘柄 ヴォーヌロマネ・レ・ショーム02
(ロベール・アルヌー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 みちのく岩手のワイン屋竹澤
感想 このボトルを開けたのは、正確には11月30日でしたが、その後数日かけてゆっくり飲んだので、感想はこちらに書きます。風邪をこじらせてとにもかくにも咳がひどかったため、一日1〜2杯ペースでちまちまとしか飲めなかったのです。
初日はかなりバランス悪いです。例年より一段と濃厚な色調で、香りに還元香とともに硫黄っぽいニュアンスが。味わいはタニックで、特に後半の苦味というかエグミが強めに感じられます。う〜む、02のアルヌーはイマイチかぁ、と少し落込みました。
二日目。香りが開いてきて、黒い果実やスミレなどの真っ当な香りが前面に出てくるようになりました。味わいもだいぶこなれてきましたが、まだ堅く、マッシブな印象はあまりアルヌーらしくないかなぁ、と。
三日目。グラスに注ぐと、まだ香りがよく出ていることに驚かされます。味わいはやや果実味が少し抜けてきた感がありますが、 タンニンが溶け込んで全般にまろやかなテイストになってきました。
四日目。なんとまだ真っ当な香りをキープしています。味わいは旨味がたっぷり出てきました。やや酸が強めになり、輪郭もボケて、締りがなくなってきていますが、抜栓後4日経過していることを思えば、賞賛に値するレベルです。
‥とまあ、振り返ってみると、何日目がもっともよかったのか、微妙なところですが、今の時点で開けてすぐに飲む場合は、ある程度事前にコルクを抜いておくか、デキャンティングにトライしてみるなど、なにか工夫をした方がいいかもしれませんね。
【88〜89】