2004年6月

日時 2004/6/29
銘柄 Ch.ラフルール・ペトリュス98
産地 仏>ボルドー
購入店 エノテカ(プリムール)
価格 7980円
感想 巷で2003年のプリムールの値段の高さが話題になっているが、この日開けたラフルール・ペトリュスは奇しくもエノテカのプリムールで購入したもの。7980円という価格が現在の相場に照らし合わせて高いのか安いのかは判らないが、98年についてはあくまで自分で楽しむ為に購入したもので市場のプライスがどうこうというのはあまり気にならない。(ちなみに2000年などはその限りでない(^^;)色調は深みのあるガーネットで、エッジはピンクの色調。グラスを鼻に近づけると、まさに正統派のボルドーとでもいうべき、ブラックベリーやカシス、プラム、八角や丁子、それに黒土、オークなどの香りが押し寄せてくる。味わいは最近流行の「ギュッと凝縮していて甘くバニリー」というタイプではないが、各要素のバランスがよく、しなやかでどこまでも角のとれたナチュラルな酒質がすばらしい。自己アピールがやや足りない分テイスティングの場だと1〜2点低くつけてしまいそうなタイプだが、晩餐の伴侶としては実によく食事をもりたててくれるし、1本通して飲んでも飲み飽きないのはイイ!【92】
日時 2004/6/19
  伊勢丹のセールの帰りに久しぶりに東急の有料試飲カウンターに立ち寄り。
銘柄 クロ・ヴージョ・グランモーペルチュイ02
(アンヌ・グロ)
感想

この銘柄については毎年どこかで飲んでいるが、99年はすばらしかったものの、00、01年あたりは「まあまあ」という線にとどまっていたという印象がある。では02年はどうか。結論を先に言えば、99年並みかあるいはそれ以上にイイです。グラスに注がれた色調からしてすばらしい。濃厚でありながら透明感を失わない、美しいルビーでまだ瑞々しい紫色のエッジ。香りは相当にスバイシーで、黒というよりはむしろ赤系寄りの果実香、スミレ、それに初期的な赤身肉などが主体。今はともかく、時間とともにすばらしい芳香に成長しそうな、そんな初期的な香りだ。味わいは濃縮感がありながらも、透明でクリーンな果実味が実に心地よく、もちろんタンニンはまだ手ごわいが質感が高いため飲みづらいといようようなことはなく、しっかりした酸が後半の表情をひときわ豊かにしている。華美にならない絶妙なオークのかけ具合など、モダンさを失わない中にも、クラシックなすばらしいピノノワールに仕上がっている。例年に比べてずいぶん値段もあがってしまったけど、ズバリ「買い」でしょう。
【92】

 
銘柄 ジュブレイ・シャンベルタン02
(クロード・デュガ)
感想

今やもっとも高価な村名となったクロード・デュガのジュブレイシャンベルタン。かっては5000円前後で買えたのに、と試飲も溜息混じりになる。一緒に飲んだアンヌ・グロよりもさらに濃いルビーの色調。香りがまた凄くて、猛烈に凝縮した銘柄にたまに感じる揮発性のセメダインやシンナーのようなニュアンスがトップノーズにあり、その後からカシス、ブラックベリー、オレンジピール、ミネラルなどが続いて出てくる。味わいは全般にやや乾いたタンニンが感じられるものの、この作り手特有のジューシーで充実した果実がそれを補ってあまりあり、伸びやかな酸がそれを支えて、今でもすでに美味しく飲めてしまうバランスのよさがある。ただ、この作り手に関して言えば、02年が際立って印象深いかというと、00年や01年も十分すぎるほどのレベルだったので、まあ例年通りプラスアルファ、というところかな、という気もする。値段も値段ですしねぇ。【90+】

 
銘柄 ジュブレイ・シャンベルタン・クール・ド・ロワ02
(ベルナール・デュガ・ピィ)
感想

ベルナール・デュガ・ピィ。クロードの従兄弟ということを差し置いても、最近はむしろこの作り手の方がマニアの熱狂度は高いのではあるまいか。個人的にもセラーに揃えたいと思っている作り手の一人だ。(ただしプライスと入手難が‥)底が見えないほど濃いルビー。閉じ気味な中にも、ブラックベリーやカシスに加えてモワッとくる葉巻や甘草などのニュアンス。味わいは一にも二にも果実味の分厚さと凝縮感がすばらしく、酸やタンニンも豊かなのだが、あまりにも豊かな果実味が他の要素をマスキングしているかのような印象を受ける。一応村名だが、世間の扱いは村名を超えたレベルとの認識で一致しているし、実際Aグロのクロヴジョと並べて飲んでもほとんどひけをとらない存在感がある。ちなみに私の印象では、アタックの力強さや果実の充実度ではA・グロよりこちらの方が上。ただ、やはり中盤から後半にかけてのバランスとか、余韻の美しさとか、そういう部分ではクロヴジョの方にグランクリュのグランクリュたる所以を感じるのだけれども。(比べること自体がナンセンスということは十分理解した上での話。)ちなみにこのデュガピィの東急の価格は奇しくもAグロのクロヴジョと同じ15kだとか。ちょっと前に比べるとまさに「倍」ですなぁ。
【91】

  まあしかし、なんですね。02のブルはやはり良さそうですね。
グロフィエやルイ・ラトゥールの試飲でやや「?」を感じたのですが、この3本はその疑念を晴らしてくれるのに十分な内容でした。
日時 2004/6/21
銘柄 グリーンポイント・ブリュットNV
(ドメーヌ・シャンドン)
産地 豪>マーガレットリバー
購入店 信濃屋
価格 1680円
感想 久しぶりにあさりの白ワイン蒸しを作ろうと思ったら、またまたセラーに適当な白ワインがない。かといって料理のためだけに白ワインを購入する気にもならない。というわけで、目先を変えて新世界の泡を買ってきた。グリーンポイントはモエ・エ・シャンドンが豪州のコールドストリーム地区で作るスパークリングワイン。同社が新世界で作る泡物としてはもうひとつ「エクリプス」が思い浮かぶが、こちらは2003年に事業ごと売却されて消滅してしまったとのこと。濃いめのイエローで軽く麦わら色がかった色調。泡はやや大人めで粗く、シャンパーニュのようにはいかないが、まあ価格を思えばないものねだりというものだろう。香りはカリンやリンゴ、それにビスケットなどの香ばしいもの。口に含むと、力のある果実味と豊かな酸が値段を忘れさせてくれるが、ややツンと来るアルコール感と、後半にかなり苦味が感じられるところが難点か。全般に、決して悪くはないが、なんとなく鮮度のなさを感じてしまう味わいだが、値段を思えばこんなもんでしょう。【85】
日時 2004/6/20
  連日の信濃屋有料試飲。
銘柄 コルトン・シャルルマーニュ02
(ルイ・ラトゥール)
感想

黄緑がかったイエローの色調。香りは閉じ気味な中に、白桃や洋ナシ、石などのニュアンスが見られる。口に含むとミネラリーでバランスはよいのだが、今まで飲んだ02年の白に見られたような、ギュッと締まった凝縮感はなく、酸はジリジリとしていて、とりたてて綺麗なわけでもなく、酒質全般になんとなく散漫な印象があって、正直期待をかなり下回る味わい。温度が高めだったことも一因だと思うが、それ以外に、たとえばトラベルショックが抜けてないなど、あまり万全な状態でなかったではなかろうか。ルイ・ラトゥールのCCはこんなモンじゃないハズなので‥。【88】

 
銘柄 シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ02
(R・グロフィエ)
感想

印象としては前日のアムルーズと同系統。ただしこちらの方が全般に各要素の純度が高く、 樽の要素もでしゃばらず、したがって過度のローストやミルキーなニュアンスもなく、透明感のあるややジャミーな果実感がなかなかに心地よい。明らかに長熟タイプの作りで、現在はタンニンが皮膜のように全体を覆っているため、やや飲むのにつらさを感じるが、時間とともにクラシックなピノに成長するのではという期待を持たせてくれる。赤系果実のジャム、プラム、イチジク、鉄、紅茶などの香り。 【91】

日時 2004/6/19
  信濃屋の有料試飲に出かける。
銘柄 ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ・ブラン99
(J・ドルーアン)
感想

2001年の10月にドルーアンのセミナーでこの銘柄を飲んだが、今回のボトルはその後の3年という年月のなせるワザか、あるいは個体差か、かなり印象が異なっていた。黄金色がかったイエローの色調。黄桃などのフルーツ、バニラ、ミネラルに加えて、ヘーゼルナッツやシャンピニオン系をかなり顕著に感じる香り。味わいはリッチで厚みがあり、まだまだ元気だが、以前飲んだものに比べるとずいぶんとこなれた印象があって、99年にしては意外にも熟成が進んでいるなあ、と思った。もっとも99年といえばすでに5年経過しているわけで、不思議でないといえばないのですけどね。この早目の成長の仕方が、この銘柄の特性なのか、あるいは99年というビンテージの性格なのか、それともボトルの個体差や状態の差に起因するものなのか‥。ワインの味わいを左右するファクターっていろいろありすぎてわかりませぬ。
【89】

 
銘柄 シャンボール・ミュジニー・レ・ザムルーズ02
(R・グロフィエ)
感想

いよいよ02ブルの大物の登場。02年は単に作柄が良いと言われているだけでなく、娘の誕生ビンテージということもあって大量購入を考えているため、興味がつきることがない。グロフィエも例年よりかなりプライスが上がってしまったが、その実力は如何なものなのだろうかと。
う〜む、これがやや予想外だったのですなあ。
中程度からやや濃いというレベルのルビーの色調。香りはトップノーズにエスプレッソやロースト、その奥からジャムっぽい赤い果実やオレンジの皮(←これらが意外)、ミネラル、紅茶、初期的なジビエ香など。味わいはギュッと詰まったような凝縮感はなくナチュラルなものなのだが、なんというか果実味に「焼けたような」ニュアンスを感じるのが悩ましい。もちろんまだごく初期的な段階だし、タンニンも皮膜のように酒躯を覆っていて全貌が見えずらいのだが、私がグロフィエの02年に勝手に抱いていたイメージとはかなり異なる印象を受けた。実のところグロフィエは娘のビンテージ用のまとめ買い候補の一人なので、私自身この日のテイスティングには結構戸惑っている。明日は同じ作り手のシャンベルタン・クロドベーズが出るそうなので、そちらも飲んでみるつもり。【88?】

日時 2004/6/17
銘柄 ギイ・シャルルマーニュ・レゼルブ・ブラン・ド・ブラン
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 ウメムラワインセラー
価格 3780円
感想 リアルワインガイドの6号が送られてきたが、今号については(多忙により)2〜3回しかテイスティグに参加していないため、 私のレビューはほとんどなし。 その分客観的に読めて、かえって新鮮だったりするのだが、本音を言うとルソーとイタリア白のテイスティングぐらいは参加したかったなぁ、と無念さも募る‥。さて、この日久しぶりに開けたのは、昨年飲んで好印象だったギイ・シャルルマーニュ。グランクリュ100%の畑から作られるブランドブランだそうな。もっともグランクリュ畑といっても、シャンパーニュの場合は大きな意味は持たないと思いますが‥。グラスに注ぐと輝きのあるイエローの色調で、勢いのある気泡だが、やや暴れ気味でもある。白い花や熟したグレープフルーツ、リンゴに加えて、香ばしいクロワッサンやらビスケットやらの香り。味わいはふくらみがあってバランスも良好。前回も書いたように特にどこが秀でているというわけではないのだが、変にシツこくなく、かといって淡白でもなく、きちんとツボを得た安心感のある味わい。ただ、昨年のものに比べると、購入店は同じなんだけど、デゴルジュマン(口抜き)後の経過時間の差によるものなのか、今回の方が味わいにイーストっぽさとコッテリ感が増しているような気がした。【89】
日時 2004/6/12
銘柄 エシェゾー96(ジャック・カシュー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 小田急ハルクで購入後約4年セラー保存。
感想

このタイミングで96のカシューを開けたのには訳がある。というのも、上の子の生まれ年である02のブルゴーニュがそろそろ出回り始めていて、総花的に狙っているスタードメーヌのもの(ヴォギュエとかルソーとかルーミエとか…)とは別に、値段が穏当で入手しやすい中堅どころの銘柄をいくつか6本〜1ケース単位で購入しようかと企んでいるのだ。すでにドーヴィサとグロフィエは手配済みなのだが、ジャックカシューも候補の一人というわけ。注:その後グロフィエは事情により入手できず。この作り手は基本的には若くして美味しく飲める作りだと思うが、熟成させるとどうなのか、また、一部で言われている「コルクが緩い(ことが多い)」という風評についてはどうなのか、以前買って寝かせておいた96エシェゾーで確認しておきたかった。
というわけで、まずコルクだが、キャップシールをはがしてみると、うーん、見事に噴いているんですなあ。家のセラーでずっと寝かせておいたのに噴いてしまうというのは、やはりコルクに問題ありだったのだろうか。(もちろん購入前から噴いていたという線も捨てきれないが…)そういえば、99のエシェゾーを購入したときも同時にクール便で配送してもらった他銘柄がなんともなかったのにこの銘柄だけが噴いていたなんてこともあった。
気を取り直してグラスに注ぐと、外見は濃いルビーでかなり落ち着いた色調になっているが、オレンジが顕著に見えるほどではない。香りはかなりスパイシーで、黒コショウやナツメグ、火を通した黒いフルーツ、鉄、それに一歩間違うと臭くなりかねない毛皮っぽいニュアンスがある。口に含むと、この作り手特有の濃くてクリーミーな酒質は健在で、酸がかなりしっかりめ。タンニンはこなれてきているが、味わいにも香りにも熟成したスーボワっぽいニュアンスはまだ見られず、かといってみずみずしい果実味はすでにないという今開ける96年に共通のツラサはあるが、スパイシーで華やいだ香りとなめらかでミルキーな味わいはさすがというべきで、個人的には昨年飲んだアルヌーの96スショに似た印象を持った。とりあえず噴いていたことによる悪影響は見られなかったと言ってよいだろう。02年については(長期熟成時のコルクの不安が拭いきれないので)1ケースは買わないにしても、値段が穏当な範囲に収まっていれば、2〜3本ぐらいは買おうかな、と。【90】