2004年3月

日時 2004/3/31
銘柄 クローズエルミタージュ99(ドメーヌ・デュ・コロンビエ)
産地 仏>コートデュローヌ
感想 職場の送別会(新橋のしゃぶしゃぶ屋)の席に出てきたワイン。一杯ずつグラスに注がれて出てきたので、「ひとりブラインド」に興じてみた。紫がったルビーの色調で、グラスの底が透けて見える程度の濃さ。香りはスミレの花やダークチェリー、ハーブなどの甘くアロマティックなものだが、回しているうちに赤身肉のような香りが強くなってくる。口に含むとやさしい果実味とおだやかな酸、タンニンがあって、あまり自己主張は強くないが、それなりに食事を引き立てそうな味わいでもある。並の作り手のヌフパプかコートデュローヌあたり、もしくはちょっとしたヴァンドペイ?などと思っていると、ちょうど女将が持ってきたボトルがチラリと見えた。なで型のボトル。鳥が飛んでいる絵。おっと、モルドレのリラック?なんとマニアックな‥。と思ったら、正解はコロンビエのシラーだった。ということで、99年のコロンビエにしては凝縮感に乏しくてちょっと残念な味わい。やはり本家エルミタージュと違ってクローズエルミタージュは玉石混合ということなんだろうか。
【85】
日時 2004/3/28
銘柄 コルトン・プジェ93(ルイ・ジャド)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 40ドル
感想

それにしても最近ワインを飲んでいない。先週から今週にかけてもなんだかんだと忙しく、9日ぶりにようやく開けたボトルがこのジャドの93コルトン。こんなに間隔が開いてしまうと、感想を書こうにもテイスティング用語が一瞬でてこなくなるのがツライ。なお、このコーナー、今や「テイスティングコメント」といえる代物でなくてただの駄文になってますので、ソムリエ受験生のみなさま、くれぐれも真似しないように。(笑)
濃厚なガーネットの色調で、オレンジはあまり感じられない。
ブラックベリーやカシス、バニリーなオークに湿った土や甘草などの熟成した香りも出始めており、雑臭もなく、とてもまとまりの良い香り。この香りだけで40ドルのうち30ドルぐらいまでは元がとれてしまいそうだ。口に含むと力のある果実味とややシビアなタンニンが拮抗するシリアスな味わいで、飲み頃のピークはまだ先なんだろうと思わせる。しかし時間をかけてチビチビと飲んでいるうちに、果実味がトロトロとしてタンニンも目立たなくなり、だんだんと艶やかな表情を見せてくれるようになってきた。ジャドのワインは若いうちは焦がした樽の香りがややキツイと思う事が多いが、これぐらい寝かせるとオークも溶け込んで、相対的に凝縮されたクリーンな果実味が際立ってくる。面目躍如、グッジョブ!って感じのボトル。
【91】

日時 2004/3/19
銘柄 ニュイサンジュルジュ・オーサンジュリアン93
(ダニエル・ボックネ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 30ドル
感想 地味な作り手、地味なAOC、それに地味なラベル。しかし今回開けたボトルは、過去に飲んだUSオークションものの中でも もっとも状態のよかった1本だった。たぶん、あちらのディープな マニアがコンディションにこだわって保存していた1本に違いないなどと想像しつつ。 濃いガーネットで、やや熟成の見え始めた色調。黒い果実や スパイスなどにスーボワがまざり始めていてなかなか印象的な香りに なっている。味わいは質実剛健という印象。特別凝縮感があるとか オークの使い方が上手いとか、そういった際立った特徴はないながら も、口中で広がる旨み感が心地よく、10年という年月にふさわしい、 適度な熟成感を伴った味わい。クルマでいえば、ドイツ車。といっても ベンツ、BMWでなく、オペルあたりでしょーか。 【90】
ちなみにこのボトル、翌日も美味しくいただけた。
日時 2004/3/13
信濃屋の有料試飲。
銘柄 バローロ・ブッシア・ソプラーナ98
(アルド・コンテルノ)
意外なほどオレンジがかったガーネットの色調で、濃いことは濃いのだが、隣の↓のグラスと並べると透明感があって淡めとすら感じる色合いでもある。香りは赤い果実や枯葉、丁子やナツメグなどのスパイス、それにやや揮発性の塗料のようなニュアンス。口に含むと、バローロ特有の険しいタンニンを感じるが、それを包み込むような柔らかい果実味があり、伸びやかな酸とあいまって巧みにバランスが整えられている。長期熟成するポテンシャルを感じる一方で今の時点でもそれなりに美味しく飲める。バリックの濫用などでツノをためて牛を殺しているようなワインが多い中で、トラディショナルなバローロらしさをしっかり残しながら、精緻な仕上げを施しているところはさすが超一流の作り手だと納得させるものがある。7000円を切るぐらいの価格も穏当で納得感がある。【90】
   
銘柄 テヌータ・デ・トリノーロ2001
感想

今日わざわざ信濃屋の試飲に出向いたのは、この銘柄をテイスティングしてみたかったからにほかならない。99ビンテージがワイナート誌で絶賛されて以来すっかり価格が上昇してしまったテヌータデトリノーロだが、私自身少ないながらも同銘柄を飲んだ印象や関連銘柄の「クーポデトリノーロ」「パッソビジャーロ」などのすばらしさから、この作り手には並々ならぬ敬意と関心を抱いている。ということで、2001年の出来はどうだろうか?。
濃厚なルビーの色調で、エッジは鮮やかな紫。むせかえるようなカシスリキュールやダークチェリー、甘草、バニラ、ユーカリなどの蟲惑的な香り。口に含むと、アルコール度の高さと凝縮した分厚い果実によりクリーミーで甘みすら感じられるような味わい。 この作り手のスゴさは、田中さんがワイナートで誌的な文章で表現されていたように、非常に濃厚でパワフルなワインでありながら、各要素の磨き上げられたような質感とそれらの精妙な均衡により、飲んだ印象からはむしろ静謐さすら感じるところだ。とまあ、誉め言葉を並べたが、反面このビンテージに関しては、(世間の評判とは裏腹に)99年や2000年のときのようなスゴみを感じるほどのインパクトはなかった。それに、いくらなんでも上記のアルド・コンテルノを3〜4本買える値段というのは、ちょっと考えてしまう。
【92】

日時 2004/3/6
銘柄 シャトー・モンテリーナ・カベルネソーヴィニヨン97
産地 カリフォルニア>ナパヴァレー
購入店 ウメムラワインセラー
価格 タリウス・ラシアンリヴァーPN99とセットで11800円
感想 このボトルはウメムラのセールでセットで購入したものだが、あらためてウメムラのHPを覗いてみると、現在の単独の売り値は10800円。しかもこの銘柄、パーカーさんが98点つけたものだとか。そんな大層な代物だとは知らずになんでもない週末に開けてる私。エッジがまだ赤紫のルビーで、中心部は黒みがかった色調。凝縮感のある黒い果実のジャムとか丁子ナツメグなどのスパイス、黒土、オークなどの深くぶ厚い香り。味わいはキメ細かいが厳しいタンニン、ピンと張った酸、そして閉じ気味の黒い果実が拮抗する内向的なもの。今はなかなか表情を緩めようとしないが、スケールの雄大さは十分実感できる。とは言うものの味わいの厳しさは飲み始めてから数時間たっても変わらずで、さすがの若飲みの私でも、こいつを今開けたのは失敗だったと後悔させられた。セラーの中で忘れ去られて、5年〜10年後ぐらいに再会を果たせばきっとすばらしい出会いになったことだろう。
【92】
日時 2004/3/4
銘柄 モンティアーノ2000(ファレスコ)
産地 イタリア>ラツィオ州
購入店 失念
価格 失念(4000円台)
感想

ワインアドヴァケイトの最新号が送られてきたが、今回注目だったのは02ブル白の点数よりもむしろ「Parker in your Palm」なる新ソフト。インターネットサイト「e Robert Parker」の会員であれば、Palmのメモリが許す限りの情報をネットからダウンロードできるらしい。非会員用のスタンドアローン版もあるが、こちらは最近の約5000銘柄についてのみ。私は「e Robert Parker」の会員ではないので、このソフトに興味はあるがいまいち購入に踏み切れない。誰か試してみた人、いますか?
閑話休題。今日開けたのは、そのパーカーさん高評価のファレスコ。 イタリアで多くののブティックワイナリーのコンサルティングを手がけるエノロゴ、リカルド・コッタレラ氏自身が運営するワイナリーだ。モンティアーノはそのうち単一畑からつくられるメルロ100%のワイン。ミスターメルローと呼ばれるリカルド・コッタレラ氏が自ら作るわけだから、その実力は期待できようというもの。濃厚なガーネットで、エッジはまだ赤紫。香りはスッとするようなユーカリやミント、ブラックベリー、黒オリーブ、丁子、オークなどのモダンで凝縮感のあるもの。口に含むと、強めの酸が構造を下支えしており、よく熟したタンニンと濃縮感のある果実味とのバランスもよく、意外やエレガントさを感じる味わい。ただ濃いだけでなくきちんと各要素が調律されているところはさすがというべきで、毎年パーカーさんが高得点をつけているだけのことはあると思った(ちなみにこの年は94点)。その一方で、(ないものねだりかもしれないが)どうしてもこの銘柄というほどの圧倒的な存在感や、マッセートやメッソリオ、レディガッフィなどのスーパーメルローが纏っているオーラのようなものはこのボトルからは見て取れなかった。産地の限界なんだろうか。私の中ではあくまでこの価格帯で(なおかつ非トスカーナで)よく出来たワインというイメージだった。
【91】