2004年2月

日時 2004/2/29
銘柄 Ch.フィジャック89
産地 仏>ボルドー>サンテミリオン
購入店 東急本店/成城石井
価格 8000円
感想

ようやく春めいてきましたね。公私ともどもいろいろと建てこんでいる我が家だけれども、まあ日曜日ぐらいは良いワインを開けようと思って89フィジャックをチョイス。ちなみにこのボトル、やけに購入価格が安いと思われるかもしれないが、リリース直後に買ったものではなくて、わりと最近(といっても2〜3年前だが)の東急本店の4〜6割引きセールの時に購入したものだったりする。
濃い目のガーネットで、エッジにははっきりとオレンジの色調。ブラックベリーやカシスなどのリキュール的な香り、丁子や甘草などのスパイス、土、それに木質的な香り。抜栓直後の味わいはは思いのほか厳しく、痩せぎすの酒躯と全般にどうにもタニックなのに閉口した。
ところがこれで終わらないところがさすがというべきで、食事も終わってひと風呂浴びて、3時間ぐらい経過したころにもう一度飲んでみると、まず香りからしてバラや香水のような心地よいニュアンスが加わり、味わいもプラムっぽいフレーバーが増しクリーミーでやわらかなテクスチャーに変化、フィジャックらしいしなやかでエレガントな味わいを楽しませてくれた。侮りがたしフィジャック、というところか。かなりスロースターターなのが玉にキズだけれども。
【90】

日時 2004/2/24
銘柄 プイイ・フュッセ2000(コーディエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 銀座屋酒店
価格 2880円
感想 WA誌が98の「ジュリエット・ラ・グランド」に同年のブル白の中で最高点をつけたことで、一躍脚光を浴びたコーディエ。通常のキュベは如何なものだろうかと、実のところそれほど期待せずに開けたのだが、いや、美味しいですよ、これは。 ミネラリーで、溌剌とした酸があり、果実味も柑橘系のさわやかなもの。それでいて、十分な厚みとふくらみがあって、よく熟した ブドウに由来すると思われる健康的な甘みが感じられる味わい。 このところ、熟成感がある反面、どこかピントのずれた眠たげなシャルドネばかり飲んでいた気がするが、 このボトルは久しぶりに鮮度の高いシャルドネを満喫 させてくれた。【90】

ちなみにこのボトル、半分残したはいいがその後帰りが遅くて飲む機会がないまま3日経過してしまい、27日になってようやく残りの半分を飲んだけど、ほとんど衰えを知らず、美味しく飲むことができたのはちょっとした驚きだった。
日時 2004/2/22
銘柄 シャンボールミュジニー・1er・レ・ボー・ブリュン90
(シャルル・モルテ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 40ドル
感想 ドニ・モルテについての説明文を読むと、たいてい、「父シャルルの代に低迷していたドメーヌを90年代に建て直した」というような記述がある。では、そのシャルル・モルテのワインはどんなものだろうか、ということで。このボトルは一連の年末にかけてワインビッドで落札したうちの1本。液漏れもなく、コルクの状態も良好。 グラスに注ぐと、思った以上にしっかりした色調のガーネットで、オレンジがかった縁の色調がかろうじて15年近い歳月を感じさせる。香りは黒い果実やスパイス、バニラ、湿った土などが入り混じった、なかなかすばらしいもので、スーボワというにはまだ早いが、かなり熟成香がまざって きている。
口に含むと、90年の成功したブル赤に共通するふくらみのあるボディが感じられ、全般にトロリとしたクリーミーな酒質だ。その分ややダルな感じもあって、もう少し酸に張りがほしいとか、 タンニンがフィニッシュにかけてやや目立つとか、まあ難点もあるが、それらを補ってあまりある豊かなボディは見事といっていい。このとき1ケース落札したワインビッドものは玉石混合の感があるが、これはコンディションも含めて明確に「アタリ」といってよいボトルだった。
【90】
日時 2004/2/18
銘柄 ヴォルネイ96(ルイ・ラトゥール)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱
価格 2980円
感想 ルイ・ラトゥールの赤というと、白に比べてイマイチというのが相場 だが、個人的には「シャトー・コルトン・グランセ」を始めとして、結構よい印象を持っている。 このヴォルネイも3千円弱という価格ながら、96年ということもあって ひょっとしたら、と期待して開けたのだが‥。

抜栓したては赤い果実やスパイスに加えてスーボワっぽい 熟成した香りがフワッと感じられて期待を持たせたのも束の間、残念ながら 開けたての時がピークだったようだ。以降は杯を重ねるごとに木質 的なフレーバーと酸が強く出てきて、2時間ほどかけて飲んだ中で 二度とバランスを取り戻すことはなかった。 劣化とか不健全というレベルではないけど、なんというかちょっと残 念と言わざるを得ないボトル 。
翌日もまだ飲めたが、かなり醤油っぽいフレーバーが出てきて味わいはすっかりフラットになってしまっていた。
それにしても、 年末ぐらいから3千円前後で買える95〜96年ぐらいの村名やマイナ ーAOCを何本か試してみたけれども、正直、価格相応という以上の買い物 はほとんどなかった。おとなしく99年や2000年あたりの同価格帯のものを飲んでいたほうが、大きな驚きはなくとも大きなハズレもなく、2〜3日に亘って愉しめる分よいのかもしれない。 【84】
日時 2004/2/14
銘柄 シャサーニュモンラッシェ・レ・シェネボット90
(ミシェル・コラン・ドレジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 銀座屋酒店
価格 失念(5千円弱)
感想 生協の冷凍ブイヤベースセット(^^;にあわせて。鮮やかな黄金色の色調。香り自体は弱めながら、黄桃、キンモクセイ、ナッツ、マロングラッセなどのよく熟した香りが感じられる。味わいは果実のふくらみがあって、グラマラスな印象。やや酸が緩くあっけらかんとしているものの、コクのあるふくよかな味わいは値段を思うと十分な内容だろう。もう少し香りがよく出ていれば言う事なかったのだけど、なかなか白の古めのボトルは難しいですね。ちなみにブイヤベースにはこの白ワインをドクドクと惜しげも無く注いだが、こちらは期待以上の味わいだった。全般に美味しいですよ、東都生協の冷凍鍋ものは。【88】
日時 2004/2/13
銘柄 ジュブレイ・シャンベルタン89
(フィリップ・ロシニョール)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 15ドル
感想 私のワインライフにおいて画期的なことなのだが、今年はなんと年が明けたからこの日に至るまで、まだ1本もワインを購入していない。おかげで家のセラーはガラガラ。実家のサイレントカーブから日常消費用のワインを補充しなければ…。
さて、この日開けたのも例によって年末ワインビッドで落札した古安ブル。しかも15ドルという極めつけプライス。
さっそく開けてみると、しっかりした色調のガーネットで全体にオレンジがかっている。香りはなかなか素晴らしい。ラズベリーやイチゴゼリー、スパイス、鉄、土などがまざりあった心地よい熟成香。ところが味わいがイマイチなんですなあ。飲んでひと口めの感想。「味がしない。」酸がタンニンがという前に、なんというか、エキス分が枯渇した感じなのである。時間をかけて飲んでいくとボトルの中盤あたりからかなり果実味が感じられるようになるのだけど、その分苦味やエグみも強めに感じられるようになって、結局のところあまり楽しめずに終わった。まあ村名だし、コンディションの問題というよりはポテンシャルの問題、すなわち飲み頃を後ろに外したかな、という感じでしたね。これが蔵出しだったりしたらまた違ったのかもしれないけど。 【82】
日時 2004/2/11
銘柄 コルトン・ブレッサンド82(シャンドン・ド・ブリアーユ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 40ドル
感想 たまたま2本続けてコルトンとなったが、この日飲んだのはシャンドン・ド・ブリアーユの82年。しかもワインビッド仕入れで価格は40ドルというなかなかギャンブル心をくすぐるボトルだ。キャップシールを剥がすと液漏れした跡がベットリとすでにカビているが、まあこの位の年代となると仕方ないかとも思いつつ。コルクは非常に脆くなっていて、2アクションのオープナーで慎重に抜いても結局下数ミリ分だけがちぎれてしまった。ところが、残ったコルクの残骸をつまみ上げたその瞬間、モワーッと立ち上ってきたのはバラや香水のようなえもいわれぬ芳香。いやあ、久々にキターーーッ!って感じですね。グラスに注ぐと、かなり薄めで全般にレンガがかかった色調。しかし、香りはこれだよ、これ、と言いたくなるような、アンズやイチジク、カツオだし、小梅、なめした革、漬物、それに前述のようなバラや香水、ファンデーションなどが渾然一体となったえもいわれぬもの。口に含むとさすがに香りから受けるほどのインパクトはないが、余分のものを殺ぎ落とした果実のエッセンスのような、年月を経たボトルでしか経験できない味わいを見せてくれる。熟成のカーブで言えばピークを越えて下り坂に入ってきているのだろうが、とにかくこのボトルで特筆すべき点は、香りでいえば馬小屋的な香りや獣臭が出ていないこと、味わいでいえば、タンニンがきれいに溶け込んでいること。2時間以上かけて飲んだが、後半やや酸が強めに感じられたものの、ヘタるというほどでなく、最後まで楽しめた。それにしても、たまにこういうボトルにめぐり会ってしまうもんだから、やめられないんですよねえ、「安古ブル買い」は…(^^;
【94】
日時 2004/2/8
銘柄 コルトン・ルナルド97(マリウス・ドラルシェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 湘南ワインセラー/INA東日本
価格 3980円
感想

3千円台のグランクリュ。米国では「ノースバークレー社」が「バレルセレクション」仕様のスペシャルキュベを販売しているようだが、今回飲んだのはノーマルキュベのほう。
ほどほどの濃さのルビーで、エッジにややオレンジが混ざり始めている。ダークチェリーや丁子などのスパイスに加えて、はっきりとジビエ、なめし革、それに燻したようなニュアンスが感じられる香り。 味わいは決して濃くはないし、スケールもグランクリュにしては小さいのだが、きれいなカーブを描いて熟成段階に入っているような心地よさがある。グランクリュにこういう言葉を使うのも如何なものかと思うが、私の印象をひとことで言うと「チャーミングにバランスのとれたブルゴーニュ。」4千円弱なら価格相応というところでしょう。レストランで、6千円ぐらいでオススメを、と頼んでこういうのが出てくると結構ウレシイかも。
【88】

日時 2004/2/1
銘柄 シャンボールミュジニー99(ドメーヌ・デュジャック)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 いただきもの
感想 2本続けてワインビッドの怪しげなボトルを飲んんだこともあり、あらためて状態のよいボトルというのはどういう味なのかを確認したくなった。そこで開けたのは、フランス旅行帰りの友人からいただいたハンドキャリーのデュジャック。99年のデュジャックは某誌のテイスティングでほぼ全銘柄テイスティング済み。そのときの印象は決してよくなかったのだが、現地直送?のものははたしてどんなものだろうかと。
これがイイんですね〜。全般にまだ青さが残るような香りは、カシス、ブラックチェリー、ハーブ、紅茶、ミネラルなど。味わいは、まずなんといっても、ささくれだったようなところやエグミがなく、口の中でひんやりとした感触があり、タンニンは量的には豊富でまだ閉じ気味なのだが、果実の余韻が飲み込んだあとも長く残り、そしてなによりもイキイキとしたミネラル感が心地よい。デュジャックの中では普及クラスの銘柄だし、それほど奥行きや深みがあるわけでもないのだが、やはり状態の完璧なワインというのはこんなにすばらしいのかと、改めて思い知らされた。
ちなみに私は決して偏執狂的にワインの状態にこだわっているわけでもないし、極端に現地のボトルやハンドキャリーのボトルを礼賛する者でもない。良心的なインポーターが輸入し、管理のきちんとしたたショップから購入したボトルなら、現地で飲むものとそれほど遜色ないとすら思っている。それでも今回のこの99デュジャックに関しては、某所でテイスティングしたものとは無視できないほどの差があったことを報告しないわけにはいかない。まあ、コンディション以前にキュベ差とか、ボトル差とか、そういう可能性もありますがね。それでも割り切れないものが残るのは確か。
【90+】