2004年1月

日時 2004/1/30
銘柄

サヴィニー・レ・ボーヌ・プリミエクリュ・レ・ジャロン90
(モーリス・エカール)

産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 30ドル(送料手数料別)
感想

旨安ブルの代表格としてよく名前のあがるモーリス・エカール。ワインビッドでバックビンテージを落札してみた。濃いガーネットの色調でオレンジがかった縁の部分に13年の歳月を感じる。香りはブラックベリーのような果実、鉄サビ、丁子などのスパイス、それに土や少しばかり醤油のような熟成したニュアンス。味わいは丸く球体のような、…というわけにはいかず、酸がかなり強めで後半はタンニンやエグミが支配的になる荒削りなもの。バランス的に果実味がかなりへこんでギスギスした感じがするのは、熱の影響かもしれない。どこまでが実力でどこまでがコンディション不良なのかがよくわからないが、それなりに愉しめる味わいをキープしているのは90年という良年のポテンシャルの高さがあってこそかもしれない。まあ30ドルならいいか、とも思うが、送料手数料など含めるとそれなりの金額になるんだよねぇ、USのオークションって。
【88】

日時 2004/1/25
銘柄 モレ・サンドニ・レ・ルショ・キュベ・ユニーク97
(ドメーヌ・アルロー・ペール・エ・フィス)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 35ドル(送料手数料別)
感想 昨年年末にかけて、ワインビッドで比較的安価なブルゴーニュを1ケースほど落札してみた。 一時は完全に見限っていたワインビッドだが、そのきっかけとなったボトルたちは手違いのため夏場をはさんで半年送られてこなかったロットだったという特殊事情もあり、もう一度自分なりにきちんと見極めてみようかという気分になったのだ。
手始めに開けたのは、入手した中でもっとも新しく、酒質もしっかり していそうなアルローの97ルショ。このルショの畑は、クロ・ド・タールとボンヌマールのすぐ東、南隣はシャンボール・ミュジニー・レ・サンティエという恵まれたロケーション。同銘柄の99年については、RWG誌 で絶賛されたし、私自身も飲んでみてすばらしいと思ったが、周囲では、 「濃すぎてデリカシーに欠ける」「ブルゴーニュらしくない」という批判的な声も多 かった。それでは97年はどうだろうかという興味もあった。
濃いめのガーネットだが、以前飲んだ99年ほどではなく、エッジにオレンジも 見える。香りはブラックチェリーやブラックベリー、スパイス、ミルキーなオーク、 それに森の下草ぽい心地よく熟成したニュアンスが加わりはじめている。 味わいはやや神経質な酸があって、舌の中央に集まる人工調味料のような旨みにやや不自然さを感じるが、クリーミーでコクのある酒質は魅力的で、後半にはやや苦味も加わり余韻を複雑にしている。 若かりしころは樽の要素がバンバンだったのだろうけれど、それがようやく落ち ついてきている段階。しかし、このボトルは噴きこぼれた跡こそないものの、コ ルクはかなり上方まで染みていたし、先に挙げたややしつこい旨みやささくれだったようなテクスチャー、時間とともに目立ち始める酸化香など、 熱を浴びたワインにありがちな特徴を示していた。 う〜ん、若めだったのでまあ飲めたけれども、コンディション的にはよく言って △ぐらいというところだろうか。一番若いボトルでこれでは残された他のボトルたちが思いやられる。
【89?】
日時 2004/1/24
銘柄 プイイフュッセ95(ヴェルジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱
価格 3480円
感想 これも前出のサントーバンと同じ流れで購入したもの。95年のプイイフュッセ、価格は3000円台、しかも手堅いベルジェとくると、うまく転べばすばらしい熟成を遂げたシャルドネをいただけるかもしれないと思って。。濃いイエローでやや麦わらっぽい色調。香りはマロングラッセやバター、黄色い花などのコッテリとした中にキノコのような熟成したニュアンスもある。味わいの第一印象は、まず「甘い」。グリセリンやアルコールの高さからくる甘みではなく、残糖ぽい甘み。全体にふくらみもあるのだが、酸が弱めなため、構造はやや緩め。ボトル半分翌日残したが、次の日のほうがバタリーな感じが強くなって美味しくいただけた。ところでヴェルジェといえば、総帥ギュファン・エナンに触れずにはいられない。マコン地区を本拠とするドメーヌ・ギュファン・エナンはプイイ・フュッセもリリースしており、私自身同銘柄を何度か飲んだことがあるが、こちらはそこいらのコートドールのグランクリュも真っ青の、まさにスーパー・プイイフュッセというべきワインだった。(その分価格も高かったが…)ネゴシアンラベルのこのボトルにその面影を見出すのは難しいが、それでも3千円台で適度な熟成感を味わえたという点では悪くない選択だったのかもしれない。
【88】
日時 2004/1/16
銘柄 ブルネロ・ディ・モンタルチーノ95
(ペルティマーリ)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 湘南ワインセラー
価格 4580円
感想 個人的にはブルネロはあまり食指の伸びない銘柄だ。価格帯が全般に高止まりであること、同じイタリアであれば今のところバローロやバルバレスコに、トスカーナに限ってもスーパータスカンの方により興味がいってしまうことなどが理由だが、まあ食わず嫌いなのは明らかだし、たまにはということで、花里さんのお店で安く出ていたこの銘柄を買ってみた。 濃厚だがエッジの部分にオレンジをかなり感じるガーネット。 カシスリキュールやブラックベリーなどの果実系の香りに加えて、丁子やナツメグなどのスパイス、かすかに黒トリュフ、しかし全般には木質的な香りが支配的。味わいはかなりタニックで厳しく、果実味が前面に出てこない。う〜む失敗だったか、と思いつつボトル半分以上残して翌日へ。ところが次の日グラスに注いでみると、前日より各要素が溶け込んで心地よい香りになっている。味わいもまた凝縮感のあるジャムっぽい果実味と伸びやかな酸とが前面に出てきてぐっと飲みやすくなった。各要素の充実感と高いアルコール度による堅牢なストラクチャーはさすがというべきで、本来はもっと寝かせた方がよいのだろうとも思うが、早めに抜栓しておけば今でも愉しめることを身をもって実証?した形になった。
それにしても、キャンティやブルネロなどの香りって、カベルネなどとは全然違うのに、香りの要素を書き並べるとボルドーなどと違いが無くなってしまう自分の表現力のなさが悲しい。
【89】  
日時 2004/1/13
銘柄 モンテリ ヴィラージュ・キュヴェ・ミズ・アルマン 2001
(ドメーヌ・モンテリー・ドゥエレ・ポルシュレ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱
感想 このドメーヌの名称にもなっているアンドレ・ポルシュレ氏は22年間オスピスドボーヌの醸造長として名を馳せた人物。1988年からはドメーヌ・・ルロワの責任者となり、94年に再度オスピスドボーヌに復帰、 2000年に独立してこのドメーヌのオーナー(共同)として参加しているそうな。中程度の濃さのルビーで透明感のある色調。香りがとてもイイ。ラズベリーやチェリー、カシスなどのコンフィ状の果実になめした革やカフェ、湿った土などが絡みあう心地よい芳香。味わいは適度なタンニンとやさしい果実味があり、ジューシーな印象。酸は伸びやかだがコートドールの赤のようなガッチリした感じでなく、どことなく新世界のピノを彷彿とさせるところもある。グリップが弱くスルリと口の中を通り過ぎるのがやや物足りないが、そこいらのACブルなどよりはよっぽどナイスな味わいで、こういう銘柄がレストランのハウスワインで出てきたりすると、ぐっとその店の印象もアップしそうだ。私自身、あまり「古安ブル」ばかり狙うより、こういう銘柄をチョイスするというのも賢い選択かもしれないと考えさせられた。【87】
※アンドレ・ボルシュレ氏の経歴に一部誤記がありました。ご指摘いただいたみなさまありがとうございました。
 (誤:DRCの責任者→正:ドメーヌ・ルロワの責任者)
日時 2004/1/9
銘柄 サントーバン95(ドルーアン)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱
価格 2480円
感想 このワイン、購入に至ったのはなんといっても、価格に惹かれたからだ。マイナーな村の白とはいえ、良年の95年。しかも手堅いドルーアンのネゴシアンもの。それで2500円を切る価格というのはなかなか面白い買い物である。8年経過していることもあり、ひょっとすると価格からは考えられない位、すばらしく熟成したシャルドネをいただけるかもしれない‥。
とまあ、飲む前はいくばくかの期待もしたのだったが。
やや麦わら色がかった濃いイエロー。香りは最初ビニールのようなやや酸化したニュアンスを感じたが、時間と共にバターやナッツ、マロンなどの甘い香りが開いてきた。しかし味わいはどうにもいけない。口に含むと酸が高めで、細身の酒肉はそれを受け止めきれず、後半に苦みもまじって、全般にギスギスとしたあまり心地よいとはいえない味わいに終始する。(ちなみにコルクの状態は下部数ミリ分ぐらいまでしか染みたあともなく、見たところ良好だった。)なんというか、気の抜けたビールのような空虚な印象のシャルドネ。う〜む、やはり蛙の子は蛙なんでしょうか。2年ぐらい前に飲んでいればだいぶ印象が違ったのかもね。【84】
日時 2004/1/4
夕刻信濃屋の有料試飲に行く。この日のアイテムはサイのラベルで有名なラ・スピネッタのバルバレスコ単一畑3本。
2001年度ガンベロロッソ誌の最優良ドメーヌにも選出されたこの作り手のバルバレスコを3本並べて(しかも1杯あたり800〜900円という価格で)飲めるとはなかなか豪勢な試飲だと思ったのだが、私が行ったときには、まだボトルの3分の1も減っていなかった。もったいないことです。
ちなみにこの日夕刻に行ったのは、それしか時間がなかったこともあるけど、 以前抜栓したてに飲んだ98年の同銘柄がガチガチで手に負えなかったという経験もあってのこと。
今回のボトルたちは抜栓後6時間前後経過していたようだが、 結果的にはこれぐらいの間隔をあけて正解だったと思う。

バルバレスコ・スタルデリ99
濃厚で美しいルビーで、エッジはピンクの色調。
香りはよく開いていた甘い香りで、ブラックベリー、カシス、枯葉、甘草、スミレ、それにしっくいやセメントのような独特のニュアンス。 味わいは甘くやわらかな果実味があり、豊富なタンニンは緻密でしっかりした 酸がバックを支えて、構造のしっかりしたすばらしい味わい。
【91】

バルバレスコ・ガリーナ99
色調は同様。やや閉じ気味だが、香りの密度感はこちらのほうが上手。 口に含むとなめらかで充実感のある味わいがすばらしい。果実味はギュっと凝縮していて酸やタンニンのエッジは丸く質感が高い。 残糖でなく果実味とアルコールに由来する心地よい甘さを感じる。 時間とともに黒糖、ブラックベリー、ブラックチェリー、甘草、漆喰などの香りが開いてくる。
【92】

バルバレスコ・ヴァレイラーノ99
直線的に脳を刺激するブラックチェリーやハーブなどの深く伸びやかな香りだが、香りの中にまだ青いニュアンスがある。味わいは3種の中で最も甘くトロリとしたテクスチャーが印象的。後半には豊富なタンニンが押し寄せ、手ごわい印象。
現時点でのバランスという点ではイマイチだが、ポテンシャルを感じるワイン。 ちなみに、これだけボトルの減りが少なかったので抜栓時間が他の2本に比べて遅かった可能性は大いにあるが。
【92】

日時 2004/1/2
銘柄 シャンベルタン・クロドベーズ86(アルマン・ルソー)
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 ワインビッド
価格 65ドル
感想

新年2日目は2年ほど前のワインビッドで落札したややギャンブル系のボトルを。ギャンブルといっても、以前酷い目にあったときのロット(落札後、先方のミスで半年以上送られて来なかったもの)はすべて飲み尽くしてしまっているし、このボトルと一緒に落札した他のボトルは結構まともなものが多かったので、それなりに期待してもいたのだが…。
まあ、結論から言うとコンディション的には▲ぐらいですかね。色はかなりレンガを感じるオレンジガーネット。香りはコンフィ状の黒い果実や紅茶、スーボワ、コーヒーなどが感じられるが、芳香力自体が弱めなのと、最初のうち(ボトルの上の方)少しヒネたニュアンスが感じられたのが残念。といっても、味わいは旨み感が充実していて、酒質が厚く張りもあって満足の行くもの。本領を発揮したときのルソーはこんなもんじゃないはずだけど、それなりに飲めたので(値段も値段だし)、まあよしとしましょう。 【88?】

日時

2004/1/1

銘柄 Ch.ラフィットロトシルト64
産地 仏>ボルドー>メドック1級
購入店 土浦鈴木屋で購入後4年弱セラーに保存
価格 23400円
感想 年が明けてこのサイトも5年目に突入。多忙により更新もままならない日が続きますが今年もよろしくお願いします。
さて、 元旦ということで、この日は少しばかしゴージャスなワインを開けてみた。この64ラフィットは2000年の春先に土浦鈴木屋から購入したもの。飲む機会がないまま4年近くたったが、ちょうど40年という区切りの正月だし、2人目の子供が生まれて帰省中だった家族も帰ってきたしということで。
色はエッジにレンガが見える中程度のオレンジガーネット。香りはドライな黒い果実やしんみりとしたスーボワ、ヨード、スパイス。最初印象だった果実香は時間とともにリキュールっぽく変化。味わいはさすがに力強さや凝縮感はないが、透明感のある味わいと儚げなバランスが古酒らしさを感じさせる。果実味はすでにドライアウト気味だし、時間がたつとかなり酸味が出てくるものの、全般にコンディションは良好で、醤油だのワラだの馬小屋だのというニュアンスが見られなかったのは幸いだった。まあ絶対値的な実力や評点よりも今回ばかりは、(マーラベッセや蔵出しでなく)市井のルートで購入した40年前のボトルが良好な状態で生きていたということに拍手を送りたい。 【91】