2003年10月

日時 2003/10/31
銘柄 トゥーレーヌ・ラ・テスニエール01
(ティエリー・ピュズラ)
産地 仏>ロワール
購入店 銀座屋酒店
価格 1550円
コメント 注目を浴びている新しいドメーヌ、ティエリー・ピュズラ。夏場に買って、飲む機会がないまま今日まで持ち越してしまったボトルを開けてみた。やや麦わらのニュアンスを感じる中程度のイエロー。白桃やカリン、ハーブ、白い花などの香りを嗅いで、おや?とラベルを再確認。そう、抜栓するまでソーヴィニヨンブランだとばかり思っていたのだが、このボトルのセパージュはムニュ・ピノ(=シュナンブラン、またはシュナンブランの亜種)だったのでした。味わいは特に力強いといか凝縮感があるということもなく、言ってしまえば普通の白ワインなんだけど、気持ちよく伸びる酸とか、ほんのりと広がる旨み感など、それなりにバランスよく仕上がっていて日常の食卓にあわせやすそう。なにより1500円という価格がイイですね。【85】
翌日飲んだら、酸が突出してバランスを崩していたのが残念。
日時 2003/10/25
銘柄 ペルナン・ベルジュレス2001
(フィリップ・パカレ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 湘南ワインセラー
価格 5600円
感想 ちまたで話題のフィリップ・パカレ。まだ若いことを承知で初ビンテージの2001年を1本開けてみた。最近のブルの中ではむしろ淡めの色調。香りは赤い果実、シナモンその他のスパイス、マツタケなどがバンバンと香ってくる、プリューレ・ロック、デュジャック系の路線。味わいは、薄めの色調とは裏腹にたっぷりとした旨み感があり、プリューレ・ロックほどヌメヌメした感じではなく、デュジャックほど樽のフレーバーが強くない、よりオーソドックスなタイプ。まさにお店の宣伝文句に書かれているような「癒し系」の味わいだ。反面、どうもギスギスと「酸っぱい」ワインが多い2001年の特徴ということもあるのか、このボトルもやっぱりピリピリした神経質な酸が時折強めに顔を出すのとややエグミ感を感じるのが難点。「血筋」のよさを感じるのは確かなれど、価格を考えると、ちょっと話題先行ではなかろうかとも思う。【88】
とはいえ、きっと上位銘柄や作柄の良い年ならさぞすばらしかろうとも思う。失望させたり期待させたり、気にしたくなる作り手なのは確か。

2003/10/18 エノテカ・マーラベッセ・テイスティング(コラムにて。)

日時 2003/10/17
銘柄 ジュブレイシャンベルタン・クロ・サンジャク83
(アルマン・ルソー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッドUKで落札後3年間セラー保存。
コメント

カミサンが子供とともに実家に帰省中の金曜日。友人と晩飯に行く予定だったのがドタキャンを食らい、ぶらり松原に行ってみると、こちらも休業中。なんてコッタ。
というわけで、腹いせに家でひとりで開けたのがこれ。このルソーは、だいぶ前にワインビッドUKで落としたもの。2本一組で、1本1万円くらい?だったと思う。もう1本はすでに飲んでしまっているが、この時のボトルは味わいはともかく、香りが本来のものでなかった。さて、2年半の歳月をへだてて、残りの1本はどうなっているだろうか、と。
エッジにレンガの色調が見え始めたオレンジガーネット。香りはグラスから鼻を遠ざけていてもわかるほど全開の、赤い果実のリキュール、オレンジピール、ダージリン、スーボワ、カフェ、鉄などが渾然一体となって迫ってくる。味わいはいまだにしっかりした骨格を感じさせるもの。さすがに果実が枯れはじめているものの、酸がピンと張っており、後半に甘酸っぱく濃縮した味わいが広がるところが古酒らしい。フィニッシュに乾いたタンニンが優勢になるのはちょっといただけないが、それでも全体的には私の期待値を大きく上回る出来。2年半前に開けたものと比べると
香り 今回>>>>>>>前回
味わい 前回>>今回       という感じ。

う〜ん、ひとりで開けるのはもったいなかったかなあ。一方で、前回よりだいぶ果実味が枯れてきてたところをみると、今のタイミングで飲んだのは正解だったかもとも思うし。ワインって難しいですね、つくづく。まあ、それが面白くもあるんだけれど。
【92】

日時 2003/10/13
銘柄 ヴォーヌロマネ96(ミュニュレ・ジブール)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱
価格 4800円
コメント ジョルジュ・ミュニュレとミュニュレ・ジブールは同一ドメーヌ。ジョルジュ・ミュニュレがミュニュレ博士の取得した畑からなるのに対して、ミュニュレ・ジブールは、母親の代からのヴォーヌ・ロマネの区画からなる。ルーミエやデュガ、ルジェなどが極めて入手困難or入手できても村名で1万近いプライスがついている中、このドメーヌは入手も比較的容易で、価格も(比較的)穏当。それでいて、味わいはまさにクラシックなブルゴーニュのよさを堪能させてくれる。某所で飲んだリュシュットシャンベルタンやエシェゾーなどはもう絶品だった。そう、実のところ私は最近このドメーヌに首ったけなのだ。(^^;今回開けたのは96年の村名ヴォーヌロマネ。96ビンテージの熟成度合いを測る意味でも興味深かったが、結果的にはまだちょっともったいなかったようだ。エッジにピンクの色調が見える濃いめのルビー。香りはコンフィ状のカシスやダークベリー、紅茶、中国系のスパイス、それにうっすらとスーボワを感じさせる熟成した土のニュアンスがまじりはじめている。味わいは現時点では香りほどこなれてはおらず、強めの酸が支配的で、乾いたタンニンが皮膜のように酒躯を覆っているように感じられるなど、かなり無愛想な表情。クリーンな果実味にらしさの片鱗が感じられるものの、もう少し旨み感が前面に出てきてほしいところでもある。以前飲んだ95ルーミエのように、時間をおけば変化してくれるかもしれないと思ってちびちび飲んだが、あまり変わらず。ちなみに翌日の味わいもあまり変わらずで、ちょっと残念なミュニュレ・ジブールでした。【88】
日時 2003/10/11
銘柄 ムルソー2000(コシュ・デュリ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 信濃屋(有料試飲)
価格 グラス1200円
コメント 最近飲んだコシュデュリは、ボトルが本来のコンディションでなかったりとか、恵まれないビンテージだったりとか、あまりこれはと思うものがなかったけれども、今回のボトルはさすが、というべき内容だった。輝きのあるイエローでやや黄緑がかった健全な色調。柑橘類、黄桃などの果実、ミネラル、バニラなどの強く華やかな香り。口に含むと、しなやかで凝縮感のある果実味と張りのある酸により、豊かな中にもキリリと引き締まった味わい。後半からフィニッシュにかけては苦味が加わって余韻を複雑なものにしている。まだ樽のフレーバーがかなり支配的とはいえ、それに全く負けていない果実の強さや表情の豊かさ、含み香の複雑さなどがあって、一般の村名ムルソーとはレベルが違うと改めて思わせる。もっともコストパフォーマンスとなると、それなりの作り手のバタール・モンラシェ並みの価格になってしまうので、難しいところですが。
【91】
日時 2003/10/8
銘柄 ヴェーレナー・ゾーネンウーアー・リースリング・カビネット01
(ドクター・F・ワインズ・プリュム)
産地 独>モーゼル・ザール・ルーバー
購入店 尾張一宮河野酒店
価格 1880円
コメント 2001年はすばらしい出来との宣伝文句につられて、久しぶりにドイツワインを買ってみた。(といっても2000円弱のカビネットクラスだが…)黄緑がかった中程度のイエローでやや気泡が見える。香りは白桃、よく熟したリンゴ、アカシアや白い花など、華やかなもの。味わいは中甘口で、みずみずしい果実味が口に広がり、それを溌剌とした酸が酸が良く支えている。酒躯はふくよかな中にも張りがあって、よく熟した果実味中心の健康的な美味しさ。抜栓後3日に亘って楽しめた。この価格なら全く文句なし。というか満足。お店の宣伝どおり、週末の疲れた体と頭を癒してくれるようなワインでした。【89】
日時 2003/10/15
仕事と育児に追われる毎日、たまにはということで、トゥールダルジャンの19周年アニバーサリー・ランチに行ってきました。 頼んだのは15000円のコース。夜とは比較にならないとはいえ、昼飯と しては結構な値段。
う〜ん、正直言ってキビシイですね。
前菜のテリーヌがとても美味しくて、期待を持たせたのだけど、スープ、 メイン、デザートと進むにつれてだんだん印象が薄くなってゆく感じ。 チーズはパサパサ。デザートは甘すぎ。
サービスもギャルソンたちの導線がどうもゴチャゴチャしている感があり、 あんまり落ち着けない雰囲気。そのわりにあまり目が行き届いておらず、たとえば 1杯目のシャンパーニュを頼んだあと、放ったらかしにされて、魚料理の ときはテーブルに水しかない有様だったし、ボトルを頼んだら頼んだで、出され たグラスがカミサンでもすぐにわかるほど埃臭かったというのは、グランメゾン としていかがなものでしょうかねえ。
まあ、あくまで夜が基本の店なので、昼は何かと勝手が違うのでしょう。

頼んだのは以下の銘柄。

銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・クロ・デ・フォレ・サンジュルジュ88
(ラルロ)

オレンジが入った中程度のルビーだが、しっかりと透明感のある色調。 香りは最初大人しかったが、飲み進むうちに、リキュール状のラズベリー やアンズ、ダージリン、梅、スーボワなどの心地よく熟成したブーケが漂い始める。
飲んでみると、味わいはかなりこなれてやわらかく、アンズやオレンジの皮を思わせるような 果実味としっかりした酸のバランスが良好で、どことなく梅酒のような雰囲気もある。
タンニンもよく溶け込んで、贅肉をそぎ落としたような酒質はどことなく危うげでもあり、88年よりももっと古い年代に感じられる。ラルロのワインって、熟成が早い方なのでしょうか?
それにしてもこれはなかなか。久しぶりに充分に熟成したブルの魅力を堪能しました。
【90】

ワインが美味しかったのがせめてもの救い。もっとも、頼んだのがコースの後半になってからだったので、早めのペースでボトル1本グイグイ飲んだら、 夜になって壮絶な頭痛と吐き気でのたうちまわることに。ちなみにお会計は二人で7万数千円。(呆然)
なんだかなあのランチだったが、それなりにゴージャスな「雰囲気」を楽しめたのでよしとしますか…。(^^;

日時 2003/10/4
銘柄 信濃屋にて有料試飲。抜栓後5時間経過。
産地

バルバレスコ・ソリ・サン・ロレンツォ96(A・ガイヤ)

濃い色調だが、一部のイタリアの銘柄のように真っ黒というほどではない。香りは黒い果実のコンポート、中国系のスパイス、バルサム、ユーカリなど。木質的なニュアンスを強く感じる香り。口に含むと意外なほどエッジが丸く、やわらかな果実味と節度ある酸により、現時点で抵抗なく飲めてしまうのが意外。(もっと手ごわいものかと思っていた。)タンニンは緻密でなめらかだが、じめっとした印象で、フィニッシュにやや収斂性を感じる。しかし、決して嫌な渋みではなく、時間とともに溶け込んでいきそうな類のものだ。モダンな作りだが、ガンガンに樽を効かせているというわけでもなく、猛烈に凝縮感があるというわけでもない。しかし、バランスのよさと各要素の質感はさすがというべきで、総合点で上位に来るようなタイプ。【92】

バルバレスコ・ソリ・サン・ロレンツォ82(A・ガイヤ)

この銘柄、本来は有料試飲用に用意されたものだが、なんでもボトルの状態がよくないとかで、上記銘柄を注文したらオマケ試飲させてもらうことができた。状態がよくないとはどういうことなのかと問うたところ、ある店員は「コルクを落とした」、違う店員は「澱が舞っている」とのこと。おそらく、コルクを落としてそれを拾い上げようとするうちに澱が舞って収拾がつかなくなったというところだろう。飲んでみるとたしかに澱はあるものの、コンディションはそれほど悪くないように感じられた。(それよりむしろこの年代のものをウルトラデキャンタに移し変えている事の方が問題な気が…)
かなりオレンジがまざった色合い。たしかに澱は多いが、どうにもならないほどではない。香りはやや弱くなっているが、 十分に魅力的な、赤い果実のリキュール、枯葉、麦ワラ、スーボワなど。澱に気をつけながらそっと口に含んでみると、甘く濃縮されたクリーンな果実味が印象的で、タンニンはきれいに溶け込み、静謐な中にも秘めた力が感じられるような、そんな味わいはさすが。最上のコンディションであればさぞすばらしかったことでしょう。【92?】

ブルネロ・ディ・モンタルチーノ・レゼルバ95
(ビオンディ・サンティ)

ブルネロの伝統的な生産者だが、近年はあまりよい評判を聞かない。底がはっきりと透けて見えるかなり淡めの色調。カシス、プラム、スミレ、ユーカリ、木質などのクリーンな香り。 味わいはどこまでもなめらか。角が取れていて抵抗無く飲めるのはよいのだが、いかんせんエキス分が絶対値として不足している印象。もちろん濃厚さや力強さだけがワインを量る尺度でないのはわかっているけど、それにしてももう少しなんとかならないものか、と言いたくなってしまう。グラスを3脚並べて飲んでいると、上の82バルバレスコでなくて、こちらがオマケみたいに思えてしかたなかった。【88】

日時 2003/10/2
銘柄 ガティノワ・グランクリュ・ブリュット
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 銀座屋酒店
価格 3750円
感想 ガティノワはアイ地区の著名RM生産者だけど、実にいい響きの名前ですね。やや濃いめのイエローで麦わら色がかった色調。トースト、黄色いリンゴ、カリン、ナッツなど、かなり重めの香り。味わいも香り同様、爽やかというよりは芳醇系で、コクのあるドッシリしたボディ。正直、初日はあまりよい印象をもてなかったが、翌日になるとエッジが丸くなり、バランスも向上したように思えた。この価格ならまあ不満はないのだけど、正直、あまたある競合銘柄の中で特に印象に残ったわけでもなかった。この銘柄を推奨している人って結構いるようなので、機会があればもう一度じっくり試してみたいと思う。【88】