バルバレスコ・ソリ・サン・ロレンツォ96(A・ガイヤ)
濃い色調だが、一部のイタリアの銘柄のように真っ黒というほどではない。香りは黒い果実のコンポート、中国系のスパイス、バルサム、ユーカリなど。木質的なニュアンスを強く感じる香り。口に含むと意外なほどエッジが丸く、やわらかな果実味と節度ある酸により、現時点で抵抗なく飲めてしまうのが意外。(もっと手ごわいものかと思っていた。)タンニンは緻密でなめらかだが、じめっとした印象で、フィニッシュにやや収斂性を感じる。しかし、決して嫌な渋みではなく、時間とともに溶け込んでいきそうな類のものだ。モダンな作りだが、ガンガンに樽を効かせているというわけでもなく、猛烈に凝縮感があるというわけでもない。しかし、バランスのよさと各要素の質感はさすがというべきで、総合点で上位に来るようなタイプ。【92】
バルバレスコ・ソリ・サン・ロレンツォ82(A・ガイヤ)
この銘柄、本来は有料試飲用に用意されたものだが、なんでもボトルの状態がよくないとかで、上記銘柄を注文したらオマケ試飲させてもらうことができた。状態がよくないとはどういうことなのかと問うたところ、ある店員は「コルクを落とした」、違う店員は「澱が舞っている」とのこと。おそらく、コルクを落としてそれを拾い上げようとするうちに澱が舞って収拾がつかなくなったというところだろう。飲んでみるとたしかに澱はあるものの、コンディションはそれほど悪くないように感じられた。(それよりむしろこの年代のものをウルトラデキャンタに移し変えている事の方が問題な気が…)
かなりオレンジがまざった色合い。たしかに澱は多いが、どうにもならないほどではない。香りはやや弱くなっているが、 十分に魅力的な、赤い果実のリキュール、枯葉、麦ワラ、スーボワなど。澱に気をつけながらそっと口に含んでみると、甘く濃縮されたクリーンな果実味が印象的で、タンニンはきれいに溶け込み、静謐な中にも秘めた力が感じられるような、そんな味わいはさすが。最上のコンディションであればさぞすばらしかったことでしょう。【92?】
ブルネロ・ディ・モンタルチーノ・レゼルバ95
(ビオンディ・サンティ)
ブルネロの伝統的な生産者だが、近年はあまりよい評判を聞かない。底がはっきりと透けて見えるかなり淡めの色調。カシス、プラム、スミレ、ユーカリ、木質などのクリーンな香り。
味わいはどこまでもなめらか。角が取れていて抵抗無く飲めるのはよいのだが、いかんせんエキス分が絶対値として不足している印象。もちろん濃厚さや力強さだけがワインを量る尺度でないのはわかっているけど、それにしてももう少しなんとかならないものか、と言いたくなってしまう。グラスを3脚並べて飲んでいると、上の82バルバレスコでなくて、こちらがオマケみたいに思えてしかたなかった。【88】
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